シーバスフィッシングを始めたばかりのアングラーが一番釣れなそうに感じるレンジがシャローレンジです。
特に水深が1mあるかないかのシャローレンジだけで構成されているシャローエリアにいたっては
っていう疑問があることでしょう。
でも、シャローレンジの釣りを覚えると、シーバスフィッシングに必要な知識とテクニックがほとんど身に付くといってもいいくらい、シーバスフィッシングの要素が凝縮されているのがシャローレンジです。
このページではシャローレンジの特徴と攻略法についてご紹介します。
シャローレンジの特徴
水深1.5m未満の「シャローレンジでシーバスを狙え!」と言われると
とか
というネガティブなイメージが先行します。
でも実は、シャローレンジはビギナーがシーバスフィッシングを覚えるのに最適なレンジなのです。
シーバスの絶好の捕食レンジ
水深1.5m未満のシャローレンジは、シーバスがベイトを捕食するための絶好の捕食レンジです。
シャローレンジにはシーバスがベイトを追い詰めるための水面という名の”壁”が存在してるからです。
ベイトである小魚等の水生生物は、水面より上に逃げることはできません。
つまり、ベイトにとっては、シーバスから逃げられる上限は水面までです。
水面はベイトにとって壁のようなものなのです。
逆に、シーバスにとって水面はベイトを追い詰めるための絶好の捕食場所になります。
シャローレンジで捕食態勢に入っているシーバスは、ベイトを捕食するために常に水面の方を意識しているといえます。
また、シャローレンジを回遊しているシーバスは捕食態勢に入っていることが多いので、シャローレンジはシーバスをルアーに反応させやすいレンジでもあります。
平面的に攻略できる
シャローレンジといってもその範囲は水面から1.5mほどあります。
シーバスの捕食範囲を考えると、けっこう幅のある範囲のようにも思えます。
でも、シャローレンジのシーバスは、より水面に近い場所で捕食しようとします。
水面という”壁”に向かってベイトを追い込んでいきます。
そのため、シャローレンジにいるシーバスを狙うときは、シーバスに捕食されやすい場所でアプローチをするべきといえます。
つまり、シャローレンジのシーバスを狙うときは水深1.5mよりももっと上の、水面に近いレンジに絞ってアプローチをすることができます。
僕の感覚的には、シャローレンジを回遊するシーバスをルアーに反応させるには、水面~80cmくらいまでのレンジを中心にルアーを通してやれば十分シーバスを釣ることができるという感覚です。
シャローレンジは立体的にアプローチをしなくてもシーバスを狙うことができる特別な領域です。
誘い・仕掛けなどのアプローチが重要
シャローレンジは、ミドルレンジやディープレンジと比べると、はるかに「誘い」や「仕掛け」といったアプローチ方法が活きてくるレンジです。
ミドルレンジやディープレンジではタダ巻きを多用しますが、シャローレンジではタダ巻きと同じくらい、スピードの変化による「誘い」やアクションの変化による「仕掛け」によってシーバスを惹きつける機会が多くなります。
誘って、仕掛けて、バイトを引き出すというシーバスフィッシングの本質的な釣りを最も体感できるのがシャローレンジです。
シャローレンジがビギナーにおすすめなワケ
シーバスの食い気がある
シャローレンジはシーバスがベイトを追い詰めて捕食しやすいレンジです。
そのため、シャローレンジを回遊しながら捕食態勢に入っているシーバスはとてもアグレッシブにルアーにアタックしてきます。
ルアーを一度通すだけで同じシーバスが二度三度ルアーにアタックしてくることも普通にあります。
もちろん、警戒心の強いスレたシーバスがシャローレンジを悠然と泳いでいることがあります。
でも、捕食態勢に入っているシーバスに関していえばかなりイージーにルアーに興味を持ってくれます。
ビギナーであってもシーバスに口を使わせやすいレンジがシャローレンジです。
水深を気にしなくていい
シャローレンジにいるシーバスに仕掛けようと思った場合、ルアーを通す水深は水面~80cmほどの間を通せば十分にシーバスを狙うことができます。
この「水深を気にしなくていい」というのは、ビギナーにとって非常に大きなアドバンテージです。
シーバスフィッシングの5つのファクターのうちの「レンジ」という要素。
実は、このレンジをコントロールしたり、レンジをキープしたりする作業というのはとても技術が必要とされます。
その日のシーバスが捕食対象としている水深にルアーを送り込んで、その水深をキープしながら巻いてくる。
これはビギナーだけではなく中級者にとっても簡単な技術ではありません。
もちろん、僕の場合も、新しいルアーを使うたびにレンジコントロールやレンジキープには頭を悩まされます。
新しいルアーだと、そのルアーがどのくらいの速さで沈むか把握しないといけないし、レンジキープができる巻き速度もわかりません。
この点、シャローレンジにおいては、トップウォーターであればレンジコントロールなんて一切不要です。
また、水面下を通す場合もシャローランナーといわれるルアーを巻けば決まった水深を泳いでくれます。
シャローレンジでシーバスにアプローチをする場合、水深を気にしなくていいという大きなアドバンテージを持って釣りをすることができます。
ルアーの泳ぎを目視で確認できる
第5回の記事でも書きましたが、ルアーというプラスチックの塊でシーバスのバイトを引き出せるのは、ルアーがベイトにそっくりだからではありません。
ルアーの泳ぎそのものにシーバスの興味を惹いてバイトを引き出すための機能が組み込まれているからです。
最近のルアーフィッシングシーンでは、多関節のクネクネ動くルアーや、本物のベイトフィッシュのカラーを追求したリアル系カラーが話題を呼んでいます。確かに、リアル系ルアーはアングラーの購買意欲をかき立てます。しかし、実際[…]
ルアーの泳ぎというのはシーバスのバイトを引き出すための機能そのものにほかなりません。
これを目で見て確認できるというのは、そのルアーに組み込まれた機能をビジュアル的に理解できるのでアングラーにとってはとても有益です。
“軽いトゥイッチに対してどの程度の距離を移動するか?”
とか
“どの程度強めのジャークならルアーの動きが破綻せずに泳ぎ切るか?”
ということをいちいち確認しながら釣りをすることができます。
これがミドルレンジやディープレンジの場合だとそうはいきません。
ミドルレンジやディープレンジでは、ルアーの泳ぎやアクションはすべてが想像の世界です。
リフトアンドフォールのロッドアクションに対して、本当にルアーはリフトアンドフォールしているのか?
実際のところはわかりません。
ルアーの泳ぎを目視できるシャローレンジの釣りは、ビギナーの経験値として大きな財産になります。
スピード・アクションによるアプローチ方法が身につく
後述しますが、シャローレンジは、スピードの変化やアクションの変化によってシーバスのバイトを引き出すというファクターが最も当てはまるレンジです。
ルアーローテーションやカラーローテーションをするよりも、同じルアーでスピードやアクションに変化をつけてアプローチをした方がよっぽど効率的だし、より多くのバイトを引き出すことができます。
つまり、アングラーからみると、シーバスを釣るための5大要素のうちのルアーのスピード(④)やルアーのアクション(⑤)を積極的に実践した方が、より多くのシーバスに出会えるのがシャローレンジです。
シーバスを狙うときに参考になるのがプロの解説です。でも、あるプロと別のプロでは「言ってることが全然違う!」ってこともしばしば。ビギナーの頃にはアングラーどっちが本当なの!?と悩むことも多い[…]
シーバスを釣るための要素が凝縮されている
ビギナーになぜシャローレンジの攻略を真っ先におすすめするのか。
それは、シャローレンジの釣りにはシーバスを釣るためのファクターが凝縮されているからです。
シャローレンジは、ほぼ「平面の釣り」といってもいいくらい、レンジを立体的に捉える必要はありません。
水深を気にしなくていいというのはビギナーにとっては大きなアドバンテージです。
また、シャローレンジでは実際のルアーの泳ぎを目視で確認することができます。
“どのくらいの遅巻きならルアーがきちんと泳ぐのか?”
とか
“自分のロッドアクションに対してルアーがどういうふうにレスポンスするのか?”
といったルアーに組み込まれた機能を目で確認することができます。
水中でのルアーの動きを想像するための経験値が不足するビギナーでも、ルアーを目視することでルアーの機能を把握することができます。
さらには、シャローレンジでシーバスのバイトを引き出すためには、ルアーローテーションをするよりも、同じルアーの違うスピードで巻いてみたり、同じルアーの違うアクションで誘ってみる方が圧倒的に効率的で、かつ、よく釣れます。
つまり、シャローレンジの釣りは「ルアーのスピードの変化」や「ルアーのアクションの変化」というシーバスを釣るためのファクターを積極的に実践することになるので、「スピードの変化で食わせる」ことや「アクションの変化で食わせる」ことを覚えるのに最適なのです。
シャローレンジ攻略の3つのポイント
シャローレンジのメインは平面的な釣り方なので、考えることは多くはありません。
ただ、やることが少ない分、この3つのポイント↓はしっかりと実践する必要があります。
②ルアーを変えるよりスピード・アクションを変える
③粘らない
以下では、これらのポイントについてご紹介いたします。
バイトの間を作り出す
シャローレンジ(の中でも、特にトップウォーターでシャロー)を攻めるとき、最も重要になるのが”バイトの間“を作り出すことです。
シーバスは捕食が下手な魚ということで有名です。
トップウォーターにバイトがあってもルアーに乗らないってことは当たり前にあります。
下手すれば5回バイトがあって1回乗ればいいってくらいに乗らないことがあります。
ただ、感覚的には確かに乗りにくいです。
ルアーの波紋に出ることも普通です。
そんなシーバス相手だからこそ「食わせの間」というのがとても重要になります。
ルアーを動かし続けてバイトを誘うだけでなく、シーバスのバイトを引き出すためのアクションが必要です。
その食わせの間を作るための代表的なアクションがポーズです。
つまり”止める“というアクションです。
アクション後のポーズ中に出るバイトはけっこう乗りやすいです。
これは感覚的に理解できるところだと思います。
「そりゃ、動いてない方が食いやすいだろう」って。
また、動かした後のポーズに出てくれと「食わせた!」っていう喜びが何倍にもなります。
反対に、感覚的に理解しづらいのが、スピードアップによってバイトを引き出す方法です。
って怒られそうですが、実は話はそれほど単純ではありません。
そもそも、いくらシーバスが食うのが下手だといっても、魚である以上、ルアーを動かすスピードよりもよっぽど速く泳げます。
また、シーバスはベイトを水面付近で捕食する習性があるので、シーバスは自分自身が捕食が下手だとは(おそらく)思っていないはずです。
魚に聞いてみないとわからないけど
通常は、普通に泳いでいるサヨリやコノシロを捕食しているわけなので、単純に考えればベイトと同じくらいの速さのルアーの動きなら問題ないということです。
ルアーを動かすスピードをアップしてもシーバス上手く捕食できる理由は波紋が小さくまとまるからといわれています。
一定のリズムでアクションさせている状態から、急にスピードアップさせようとしたとき、アングラーはどういうロッドアクションをするか?
それは、一定のリズムでアクションさせている状態よりもロッドの動かし方を小刻みにして、リトリーブスピードを上げます。
スピードアップに伴ってロッドの動きが小刻みになることで、一定のリズムでアクションさていたときの波紋よりも、(波紋の数は増えますが)一つひとつの波紋が小さくまとまるようになります。
そのため、スピードを上げたルアーであってもシーバスが狙いを定めやすくなります。
シャローレンジの中でもトップウォーターゲームでは、ルアーを止めたり、逆にルアーを速く動かすことでシーバスがバイトする間を作ることで釣果が格段に伸びるようになります。
スピード・アクションの変化でバイトを引き出す
シャローレンジで捕食態勢に入っているシーバスは、タイミングさえ合えばいつでも捕食できる状態にあります。
何も考えずにシーバスの頭の上をルアーを通してやると、いとも簡単にバイトしてくることも少なくありません。
その反面、シーバスの捕食のタイミングとルアーのスピードやアクションが合わないと、ベイトばかりを追いかけていて全然ルアーに反応してくれない…ということも少なくありません。
そういうとき、ルアーローテーションをするのも一つの方法です。
でも、ルアーを替える前にした方がいいのがスピードやアクションを変えることです。
シャローレンジはシーバスが最も積極的にベイトを捕食するゾーンなので、シーバスは食い気が立っています。
「〇〇のルアーだから食わない」とか「△△のルアーだから釣れた」って考えるのは生産的でないし現実的でもありません。
極論をいえば、シャローレンジで捕食態勢に入っているシーバスを釣ろうと思うと、基本的にはどんなルアーでも食ってきます。
それなのにシーバスが釣れないのは「シーバスの捕食のタイミング(リズム)とルアーのスピードやアクションが合わない」ことが圧倒的に多いからです。
シーバスだって常にバイトし続けているわけではありません。
せいぜい1分間に2〜3回といったところじゃないでしょうか?
しかも、1分に2〜3回のバイトが何分も続くわけではありません。
シーバスは10分間で30回も捕食行動している…わけではありません。
シーバスにスイッチが入るタイミングとルアーのスピード・アクションが合わなければルアーを替えたところで釣れるわけではありません。
でも、どんなルアーがその日のシーバスのタイミングに合わせやすいかなんて、魚に聞いてみないとわかりません。
そこで、シャローレンジにおいて効率的にシーバスのバイトを引き出すためには、ルアーを替える前に、そのルアーの別のスピードやアクションを試してみましょう。
「〇〇のルアーが…」とか「△△のルアーの方が…」と考えるよりも、シーバスの捕食のタイミングにルアーのスピード・アクションを合わせられるようにアプローチ方法を変えてみましょう。
シャローレンジは「シーバスがいるのに口を使わない」というシビアなゾーンではありません。
もちろん、ストラクチャーに付いて、浮いてじっとしているシーバスはなかなか口を使わないかもしれません。
でも、ベイトを求めて回遊しているシーバスは「自分の得意なゾーンで捕食するためにベイトを探している」個体たちなので、それほどシビアに考える必要はありません。
ただ、やる気のあるシーバスといえども”捕食するタイミング”と”ベイトを探して回遊している時間”は別の話です。
ベイトが見つかればなんでもかんでも手当たり次第にバイトしているわけではありません。シーバスだって個体ごとに”捕食のタイミング“が異なります。
もし、シャローエリアでシーバスが反応してくれないようなら、シーバスの捕食のスイッチを入れてタイミングを引き出せるように、スピードやアクションに変化をつけてみましょう。
シャローレンジは粘らない
シャローレンジの釣りは、いつか回遊してくるかもしれないシーバスを「待つ釣り」とは異なります。
やる気のあるシーバス1匹1匹をターゲットにしてアプローチします。
また、そのアプローチ方法も「待ち」の要素ではなく、シーバスの捕食タイミングに合うようにルアーのスピードやアクションを「アングラー側で合わせていく」というものです。
そのため、ルアーのスピードやアクションを変えて一通りアプローチして反応がなければ、一つのエリアのシャローレンジで粘る必要はありません。
そのときはレンジを深くしてみましょう。
あるいは、シャローレンジにこだわるのであれば、同じエリアで粘るのではなく、どんどん動きながらシーバスを探してみましょう。
捕食のタイミングとルアーのスピード・アクションが一致するシーバスに出会えるかもしれません。
シャローレンジは「待ち」の釣りではないので、アングラー側でアプローチを仕掛けましょう。
そして、反応がなければ狙うレンジを変えるか、狙うエリアを変えてみます。
一箇所のシャローレンジで粘っても効率的に魚を探すことはできません。
シャローレンジは知識と経験の宝庫!
シャローレンジでのシーバスへのアプローチには、シーバスフィッシングのファクターが凝縮されています。
また、シャローレンジの釣りは平面的な釣りなので、経験とテクニックが必要な立体的なレンジよりもはるかに釣りがやりやすいレンジです。
そのため、シャローレンジは、他のどのレンジよりもビギナーがシーバスフィッシングを覚えるのに最適なレンジといえます。
“ルアーがきちんと泳ぐにはどのくらいまで巻きスピードを遅くできるか?”
“どのくらいの早巻きまでならルアーの動きが破綻せずにきちんと泳ぐのか?”
“こういうロッドの動かし方をすれば、どんなふうにルアー動くのか?”
そういうルアーのスピードやアクションを目で見て経験として理解することができます。
さらには、シャローレンジは「ルアーのスピードやアクションの変化でシーバスのバイトを引き出す」のが体感的に最も理解しやすいレンジです。
目視できないミドルレンジやディープレンジでは、スピードの変化やアクションの変化は想像することしかできません。
自分のイメージではキレのいいダートで誘っていたつもりでも、実際にはルアーがそれほど動いていないってことも普通にあり得ます。
そんな状況でシーバスのバイトが得られたとしても、その日はキレのいいダートが有効…かどうかは想像の世界でしかありません。
シャローレンジは、ビギナーでもルアーのスピードやアクションの変化が体感的にわかりやすいので、ルアーのスピードやアクションの変化でシーバスのバイトを引き出すことを覚えるのに効果的なシチュエーションです。
シーバスフィッシングを始めたばかりで、いろんなことを吸収していく段階の頃であれば、積極的にシャローレンジのシーバスを狙ってみましょう。
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