【入門者向け】間違いだらけのマッチ・ザ・ベイト攻略法

ルアーフィッシングに限らず釣り全般において、魚に少しでも近づくために必要なのは、釣りの対象魚が今の時期どんなエサを食べているかを知り、そのエサに合わせる マッチザベイト だといわれます。

ルアーフィッシングにおいては特にマッチ・ザ・ベイトが強調され、フィッシュイーターのエサ(ベイト)にルアーを合わせる(マッチさせる)ことがまるで至上命題かのごとくいわれます。

ところが、このマッチザベイトという言葉が一人歩きして「とにかくフィッシュイーターのエサとなるベイトに似せるべし」とする風潮が広まっています。

でも、このマッチザベイトという考え方はただ単にベイトに似せればいいのか?といえば、まったくそんなことはありません。

それどころか、その考え方ではかえって魚から遠ざかる結果にもなりかねない…

このページでは巷にはびこる間違いだらけの【マッチザベイト】について紹介します。

マッチザベイト攻略法とは

マッチザベイト攻略法とは、ルアーのサイズ・カラー・アクションをそのポイントにいるターゲット(対象魚)のエサとなるベイトに合わせてルアーをよりエサに近づけて魚を釣る釣り方です。

魚は偏食の生き物であり、いまその場で捕食しているエサ以外のエサにはほとんど見向きもしないといわれることがあります。

そのため、魚にアプローチするためにはターゲットとなる魚が今そのエリアで捕食しているエサに近いルアーを使うことが有効であると考えられています。

よくある間違い

一般的にはこのように考えられている【マッチザベイト】ですが、実際にはこれだけでは魚に近づくことは難しいです(もちろん不可能ではありません)。

マッチザベイトが語られるときによくある間違いは次にとおりです。

とにかくベイトに似せればいいと思っている
似せたあとは投げて巻くだけ
魚の個体差を考えない
似るはずもないベイトに似せようとする

実は奥が深いマッチザベイト

似せることが至上命題ではない

もっとも短絡的で多い間違いが『ベイトに似せることしか考えていない』という誤りです。

魚のサイズにルアーのサイズを合わせる。できればカラーも合わせる。可能であるならばアクションも近づける…

でもよーーーーーく考えてほしいのがこの『とにかくベイトに近づける』ということ。

実は一般的にはルアーがベイトに似れば似るほど釣るのが難しくなるということが言われています。

『とにかくベイトに近づける』ことを至上命題としているアングラーは、『似すぎたら釣るのが難しくなる』ということを忘れがちになります。

なぜ『似すぎたら釣るのが難しくなる』のか?

これは想像力を働かせたらそんなに不思議なことではありません。

たとえば99匹のベイトの中に、ベイトとまっっっったく同じサイズ・カラー・動きのルアーを1個投入したと考えてください。

似ている…ではなく、ベイトそのものだと仮定してください。

そうすると、フィッシュイーターにとってそのルアーがどう見えるか?

たぶん100分の1匹に見えることでしょう。

釣り人
ならOKじゃないか

と考えるのはちょっと短絡的です。

フィッシュイーターから見て100分の1匹に見えるということは、要するに

いつかは食われるかもしれないが、ルアー目がけてバイトさせることが難しい

ということです。

ルアーがベイトに似れば似るほど、フィッシュイーターにとってそれはルアーではなく、なんの特徴もないベイトの群れの1匹に過ぎなくなってしまうのです。

フィッシュイーターから見たらベイトである以上、いつかはルアーが襲われるかもしれませんが、ルアーを狙って襲わせる(バイトさせる)ことが難しくなるのです。

これは大げさな言い方ですが、ルアーがベイトに似れば似るほど群れに紛れてしまうとうことです。

ベイトに似せつつも特徴が必要

ベイトに近づけすぎるとルアーが群れの中の1匹になってしまう(おおげさに表現しています)。

じゃあどうすればいいのか?

この場合ベイトに似せつつもあえてベイトと違うポイントを作ってやる必要があります。

たとえば、サヨリパターンでよく使われるルアーとして動きの弱い細身のシンキングペンシルがあります。

マッチザベイトを意識するあまりサヨリカラーのシンキングペンシルを選ぶ人もいます。

それが間違いというわけではありません。

でも、それでは釣れないこともあります。

その時はカラーをドチャートドピンクに変えてみましょう。

サイズ感や動きを大切にしつつ、サヨリの群れの中でルアーの存在に気づかせるためにあえてカラーをサヨリから遠ざけてみるのもマッチザベイト攻略法の一つです。

ルアーをベイトに似せた後に、どうやってルアーに気づかせるか。ここからがマッチザベイト攻略法の奥の深いところです。

ベイトによって捕食方法が違う

これもよく考えれば当たり前の話です。

たとえばシーバスが30cmクラスのコノシロを捕食しているときと2~3cmのハクを捕食しているときで同じ捕食方法をしているのでしょうか?

魚に聞いてみなければなんともいないのですが…

捕食方法は異なるといわれています。

コノシロを捕食する場合には、捕食の瞬間は1匹のコノシロに狙いを定めてバイトします。30cmクラスのコノシロが何匹も口の中に入るわけないので特定のコノシロに狙いを定めます。

ではハクを捕食する場合はどうでしょうか。捕食の瞬間に1匹のハクに狙いを定めてバイトするでしょうか?

通常は、大きく口を開けてハクの群れに襲い掛かり、小さなハクを吸い込めるだけ吸い込むような捕食方法をしているといわれています。

この捕食方法の違いからルアーのチョイスやアクションも変わってきます。

コノシロの場合にはサイズ感をコノシロに近づけつつ、コノシロの群れの中でも目立つようなカラーを選択したり、パニックアクションで狙われやすいベイトを演出したりします。

とはいえ、ルアーのサイズを30cmのコノシロに近づけるのは困難なので、長さよりもボリュームを寄せたりします。

ハクの場合には3cmほどのルアーを使い…というようなマイクロルアーが流行っていますが、ここまでルアーのサイズを小さくするとルアーがベイトの無数の群れの1匹に紛れてしまいます。

ベイトがハクの場合には、群れが散らないように動きの弱い9cm前後のシンキングペンシルで群れの中を通します。動きの弱いシンキングペンシルなら不特定多数のハクを目がけて襲い掛かる吸い込み系のバイトのときにシーバスの口にも入りやすいです。

ハクの場合はルアーのサイズよりも、ベイトの捕食方法に着目してシーバスの口に入りやすいルアーをチョイスします。

サイズや色をベイトに近づけることだけがマッチザベイトではありません。

捕食対象になっているベイトを把握したうえで、そのベイトにルアーのどんな要素を近づけて(サイズ・カラーなど)どんな要素を遠ざけるのか。

これを探っていくのがマッチザベイトの攻略法です。

魚の個体差も考慮する

人間が十人十色であるように、魚も千差万別であり、すべての個体が同じ行動をしているとは限りません。

目の前にいるコノシロの群れだけをターゲットにしているシーバスもいれば、目の前のコノシロの群れ以外にもその周辺にいるベイトにも狙いを定めているシーバスもいます。(…と思われます)

正直なところこれは魚に聞いてみなければわかりませんが、うちで飼っているメダカを見ていると同じ鉢の中のメダカでもかなり性格が違います。

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アングラーはとかく〇〇パターンや〇〇メソッドとしてターゲットとなる魚をカテゴライズしたがりますが、その枠からはみ出る魚も絶対に存在しています。

ベイトに近づけてもどうしても魚の反応がない場合には、あらゆるファクターをあえてベイトから遠ざけてみるのもマッチザベイト攻略法の一つです。

こういう言い方をすると『全然ベイトに「マッチ」してないじゃないか』といわれることがあります。

でも、ファクターをあえてベイトから遠ざけるということは、目の前で追われているベイトのことを深く理解していないとできない釣り方です。

ルアーのファクターのうち、捕食対象になっているベイトにどのファクターを合わせてどのファクターを遠ざけるのか。

マッチさせるファクターを取捨選択するのがマッチザベイトの奥の深いところです。

似るはずもないベイトに似せようとする

これもよく見られる間違いです。

ハクがベイトだから3cmくらいのルアーを使うとか…

まあこれ自体は間違いとはいえないですが、姿かたちを似せることがマッチザベイトの本質と考えている人にとっては釣果は伸びないでしょう。

アミエビとか絶対にマッチできないからね。

重要なのは3cmのルアーを使って群れの中の1匹に紛れさせずにどうやってバイトを引き出すか…ということです。

これができるのなら3cmのルアーを使うことにまったく問題はありません。

もしそれが難しいのであれば、ターゲットの捕食方法に合わせて、ベイトに寄せるファクターをシルエット以外の要素に切り替えるべきです。

サイズ・カラー・シルエットを似せることだけがマッチザベイトではありません。

ベイトの種類やサイズ、フィッシュイーターの捕食方法などを考慮して、ルアーのどんなファクターをベイトに合わせるのかを考えるのがマッチザベイトという考え方です。

単純ではないが面白いマッチザベイト

最近はルアーのサイズやカラーをベイトに近づけて、あとはレンジを合わせて投げて巻くだけ…という間違ったマッチザベイトの風潮があります。

ルアーフィッシングで求められるファクターはサイズやカラー、シルエットだけではありません。時にはフィッシュイーターの捕食方法をも考慮してルアーを選択する必要があります。

それは、与えられた選択肢の中からパズルを組み上げていくようにファクターを取捨選択していきます。

それは常に変わり得るもので、その場その場によって一様ではありません。

ベイトに近づけるファクター、ベイトから遠ざけるファクター。

マッチさせるファクターを選び抜き、マッチザベイト攻略法を駆使してターゲットの魚にアプローチしてきましょう。

決して単純ではありませんが、実に奥が深く、味わったことのない釣りの面白さを体験できるでしょう。