ルアーを通してシーバスと向き合うとき、シーバスの習性や性格を理解することはとても重要です。
・どういう場所に生息しているのか?
・どういう性格の魚なのか?
でも、セオリーやパターンついて知っただけで「わかった気」になっていると、釣果を伸ばすうえでは、中途半端な情報がかえって障害になってしまうこともあります。
このページでは、シーバスという魚の性格についてご紹介します。
シーバスの性格は十匹十色
ターゲットとなる魚をどうやって釣るか?を考えるにあたって、通常は各々の魚の性格を考えるようなことはしません。
・あのシーバスは●●が好きだ
・そのシーバスは◇◇が嫌いみたいだ
・向こうのシーバスは△△だ
というように、それぞれのシーバスの性格をクローズアップすることは普通はあり得ません。
というように、普通はシーバス全般について考えることがほとんどです。
「シーバスはストラクチャーに付く魚である」って感じで。
でも、シーバスにも人間と同じように、個体差による性格の違いが存在しています。
シーバスが10匹いれば、10匹分の性格の違いがあるといえるでしょう。
犬や猫を飼っている人にとってみれば、それぞれの犬や猫に性格の違いがあることは当然の話です。

みたいにひとくくりにされると

というように、一般的に説明されるゴールデンレトリーバーの性格とはまったく違った性格の子はいくらでもいます。
シーバスも同じです。
すべてのシーバスには個体差があります。
ストラクチャーにまったく付こうとしない個体もいます。
ボトムべったりの個体もいます。
シーバスにも個体差による性格の違いというものがあるのです。
アクアリスト目線で考えてみる
ケース①-ボトム好きのメダカ

僕は釣り以外にもアクアリウムという趣味があり、今までいろんな魚を飼ってきました。
最近ハマっているのはメダカ。
スイレン鉢に泳がせていると涼を感じることができます。
メダカはスイレン鉢で飼うことが多いですが、メダカをじっくり観察しようと思うと水槽が一番です。
僕が水槽で飼っていたメダカを毎日見ていたところ、ふと、興味深いことに気付いたことがあります。
たくさんいるメダカのうち、特定の一匹のメダカは、いつもボトムに落ちたエサをつついています。
このメダカは、水面に浮いているエサにはほとんど反応せず、時間が経ってボトムまで沈んだエサをいつも食べているのです。
他のメダカは、僕が水槽の前に立つとエサを貰えると思って水面付近まで浮上してくるのですが、ある一匹だけは常にボトムに落ちたエサを狙っていました。
ケース②-お気に入りのストラクチャー
これはメダカ以外の魚種でも見られます。
魚の中にも好みがあって、いつも同じストラクチャーに身を寄せる個体がいます。
いろんなストラクチャーを置いても、いつも同じ場所。
逆に、いつも泳いでいてストラクチャーにはほとんど身を寄せない個体もいます。
同じ種類のメダカなのに性格がとても対照的な個体がいました。
ケース③-小さな体の暴君

水槽の中に同時に数匹の個体を入れておくと、他のメダカに攻撃を加えようとする個体がかなりの確率でいます。
5匹のメダカを同じ水槽に入れると、1匹くらいはジャ〇アンのような性格の個体が混ざっています。
そういう個体は、自分より体の大きなメダカでも果敢に突っかかっていきます。
以前、僕がメダカを新規導入する際に、鉢の準備が間に合わなかったので新規メダカを既存メダカの鉢で一時的に混泳させたことがありました。
このとき、既存の鉢に乱暴者がいることは知っていましたが、新規導入したメダカの方が二回りくらい体が大きかったので、乱暴者が居るとはいえ、まさか攻撃されることはないだろうと思って同じ鉢に混泳させました。
すると…
体の小さな乱暴者が体の大きな新参者を追いかけ回しとる…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
僕はあわてて暴君を1匹だけ別の鉢に移動させました。
体の大きさが二回りくらい違うのに、まさか大きいメダカが小さいメダカに追いかけ回されるとは思っていませんでした。
人間だろうとメダカだろうと、体が小さくても乱暴者といえるような気性の荒い個体は存在します。
ケース④-ワイルド個体の餌付け

熱帯魚には、人工的に繁殖されたブリード個体と、現地の野生で採取されたワイルド個体と呼ばれる区別があります。
その中でも小難しい性格なのが肉食魚のワイルド個体。
野生の肉食魚は現地では活き餌を捕食しているので、熱帯魚屋さんで管理されているときには活き餌を与えられていることが多いです。
でも、そういう個体をアクアリストが導入する場合、その魚を生涯活き餌で飼うのは困難なので人工飼料を食べるように餌付けすることがほとんどです。
そしてこの餌付け。
かなりグルメな個体がいて、人工飼料にまったく見向きもしてくれないってことが普通にあります。
僕の場合、餌付けに5週間も掛かったエンドリケリーがいました。
アクアリストが餌付けをするときは次のような方法で行います。
まずは人工飼料を与えてみます。
エサに反応するかどうかを確認して、食べればそれで餌付け完了です。
食べなければ、人工飼料を取り除いて、その日のエサは抜きにします。
人工飼料を食べるまで、毎日これを繰り返します。
なので、うちの子が餌付けできるまでに5週間掛かったということは、うちの個体は5週間エサを食べずに過ごしたわけです。

逆に、エンドリケリーの別のワイルド個体は、2日目には早くも人工飼料を食べた個体もいました。
エサなんだから空腹になれば食べて当たり前…というわけにはいきません。
アクアリウムの世界ではワイルド個体が人工飼料に慣れる速さは個体差によって全然違うというのが常識です。
魚にだって性格の違いがあるのは当然です。
アクアリスト的な視点
水槽越しにいろんな魚の行動を観察していると、「メダカは〇〇」とか「ピーコックバスは□□」という括り方をするのは難しいと感じるほど、それぞれの魚の性格は違います。
「〇〇なメダカ」もいれば「それとは真逆のタイプのメダカ」もいたり、1匹1匹が個性をもった魚たちです。
そういう視点でみると、(本格的に飼ったことはないけど)おそらくシーバスだって1匹1匹性格が違うというのはまず間違いないでしょう。
なので、ルアーでシーバスを狙うときも、基本的にはそれぞれのシーバスの性格に合わせた狙い方というものが必要になります。
『習性』に着目したパターンフィッシング
(シーバスに限らず)魚は個々の個体差によって性格がまるで違います。
ルアーで魚を狙うとき、本来は個々の魚の性格(いま自分の目の前にいるシーバスの性格)に合わせたアプローチをするのが理想です。
いま自分の目の前にいるシーバスが水面をいつも意識している個体であれば表層系のルアー。
逆に、自分の目の前にいるシーバスがボトムにいるエサを捕食している個体であればバイブレーション。
という感じで。
でも、それははっきり言ってムリゲー
いま自分の目の前にいる(であろう)シーバスがどんな性格の個体か?なんて分からないし、釣りの時間が無限にあるわけでもありません。
限られた釣りの時間の中で合理的かつ効果的にシーバスにアプローチする方法がパターンフィッシングです。
シーバスのパターンフィッシングとは、季節・水温・ベイトなどの条件に合わせてシーバスの行動やそのときのシーバスに効くルアーを絞り込んでいく戦略的な釣り方です。
パターンフィッシングは「個々のシーバスの性格」ではなく『シーバスという魚種の習性』に着目したアプローチ方法です。
個々のシーバスには個体差による性格の違いがあることを前提にしつつ、もう少し大きな視点から「シーバスの習性」という共通項を見つけ出します。
シーバスの共通項を見つけ出し、それに着目してアプローチをすることで、同じアプローチ方法であっても、より多くのシーバスを狙うことが可能になります。
たとえば、バチパターンでは流れてくるバチを捕食するために多くのシーバスが水面を意識してるので、表層を軽量・細身のルアーで流すように狙うというのは、まさにシーバスの習性に着目したアプローチ方法といえます。
パターンフィッシングは、性格がそれぞれ違う魚に対する合理的なアプローチ方法であり、アングラーにとても大きなアドバンテージを与えてくれます。
パターンで釣れない!どうする!?
パターンフィッシングが全盛になると、なんでもかんでもパターンに当てはめてアプローチをしようという風潮になります。
「 〇〇パターンには◇◇のルアー」というメジャーなパターンもあれば、ある一部のプロアングラーが提唱するような〇〇パターンという名前のついていないパターンもあります。
「梅雨時の日没後の下潮には●●のルアー」って感じで。
なんでもかんでもパターン化するようになります。
これは悪いことではありません。
パターンフィッシングは、シーバスの習性に着目して合理化されたアプローチ方法です。
釣りの時間は無限にあるわけではないので、アプローチ方法を合理化することはむしろ歓迎されることです。
問題なのは、
・そのパターンで釣れないときにどうするか?
ということまでフォローされているかどうか。
パターンで釣れないときに何をするか?というところまでフォローしてくれるメディアアングラーはとても少ないです。



そんなときは原点に帰ることです。
つまり、魚には個体差による性格の違いがあるというところに帰ることです。
たとえば、バチパターンというのは、水面を漂ってくるバチを軽い吸い込みで捕食するという多くのシーバスの習性に着目して、それに合わせてアプローチする方法です。
細身のルアーを水面で漂うようにゆっくりと泳がせるというのは多くのシーバスにとって有効なアプローチ方法です。
でも、シーバスにも個々の性格の違いがあることを考慮すると、当然、それが当てはまらない個体というのも存在します、必ず。
アクアリウムの経験上、あれだけ個々の魚で性格が違うのであれば、2~3割はバチパターンが当てはまらない個体がいても不思議ではありません。
あるいは、バチを捕食しているのにそもそもバチパターン用のルアーに一匹も反応しないってことも日によってはあるかもしれません。
そういう場合にどうするか?といえば、原点に帰って、個々のシーバスの性格に合わせたアプローチ方法を試みる必要があります。
つまり
いろんなアプローチ方法を試してみる
ということ。
あまりにもザックリし過ぎていて答えになっていないですが、その日・その時・その場所でどんなアプローチ方法が正解か?というのは、その日・その時・その場所にいるシーバスに聞いてみなければわかりません。
バチパターンという狭いスタイルに自分のスタイルを押し込めてしまうのではなく、シーバスは個体ごとに性格が違うということを前提に、様々なアプローチ方法を模索してみましょう。
バチパターンとはまったく無関係なアプローチ方法に反応する個体が必ずいるはずです。
バチパターンのときにビッグベイトを試してみるという方法もあり得ます。
あるいは、超小型のバイブレーションの早巻きを試してみても面白いでしょう。
とにかく大切なのは「アナタの目の前にはいろんな性格のシーバスが泳いでいるんだよ」ということを常に頭の隅には置いておいてください。
魚の性格の違いを意識すれば釣りの幅が大きく広がる!

「パターン」や「セオリー」というのはルアーでシーバスを狙うにあたっては効果的なアプローチ方法です。
限られた釣りの時間の中では、魚に共通する習性を利用してアプローチするというのはとても合理的な方法といえます。
注意しなければならないのは、自分が覚えた「パターン」や「セオリー」がシーバスのすべての行動をフォローできるわけではないということです。
イヌやネコが1匹1匹性格が違うように、シーバスも1匹1匹違う性格を持っています。
明暗部の境目に潜んでいて、明部から暗部に入ってきたベイトを待ち伏せで狙うタイプのシーバスも居れば、明部の中で積極的にベイトを追い回す体育会系のシーバスもいます。
重要なのは、パターンやセオリーで釣れないシーバスがいたときに「このシーバスたちはパターンやセオリーの枠にハマらない性格のシーバスたちかもしれない」と考えられるかどうかです。
パターンやセオリーの中でしかアプローチができないとなると、そのスタイルは合理的といえますが、釣りの幅がそれ以上広がることはありません。
逆に、パターンやセオリーでアプローチをしつつ、それで釣れないときに、パターンやセオリーに当てはまらない性格のシーバスがいて、そのシーバスに対するまったく別のアプローチで釣れたときには「シーバスにはいろんなアプローチ方法があるんだ」ということを経験値として得ることができます。
パターンやセオリーで釣れないときこそ、そこで諦めるのではなく、原点に帰ってさまざまなアプローチ方法を試してみましょう。
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