シーバスフィッシングを始めると頻繁に耳にするようになるのが「〇〇パターン」という言葉。
最近では何でもかんでも〇〇パターンと名付けられる傾向にあります。
パターンフィッシングはルアーでシーバスを狙うのにはとても効果ですが、「パターンフィッシングの役割」を理解して使わなければ、かえって自分の釣りの幅を狭めることになります。
このページでは、セオリーやパターンの役割についてご紹介します。
セオリーとパターンについて
セオリーとは
シーバスフィッシングにおけるセオリーとはシーバスの習性や行動パターンに着目した理にかなったアプローチ方法です。
たとえば、シーバスは夜になると明暗部の暗い側に身を潜め、明るい方から暗い方へ泳いでくるベイトを待ち伏せして狙います。
そのため、ナイトゲームで明暗部がある場所では、明るい方から暗い方へ向けてルアーを送り込んでシーバスを狙うのがセオリーです。
パターンとは
シーバスフィッシングにおけるパターンとは季節・水温・ベイトなどの条件に合わせてシーバスの行動やそのときのシーバスに効くルアーを絞り込んでいく戦略的なアプローチ方法です。
たとえば、春先になると、シーバスのエサとなる「バチ」と呼ばれるゴカイ類が産卵行動のために一斉に水中へ現れるようになります。
このゴカイ類の習性と、シーバスの捕食方法に着目したアプローチ方法でシーバスが釣れるとき、これをバチパターンと呼びます。
主に春先にお祭り状態になり、春の風物詩といえます。
セオリーとパターンの違いは?
セオリーはシーバス一般の習性や行動方法に着目したアプローチ方法なので、シーバスを狙う場合には一年中、日本全国どんな場所へ行っても当てはまる釣り方です。
関東ではシーバスは明暗部の暗い側でベイトを待ち伏せしているけど、東北や九州ではシーバスは明暗部で待ち伏せしない…なんてことはありえません。
日本全国どこへ行っても、シーバス一般の習性や行動として、シーバスは明暗部で待ち伏せをしてベイトを捕食します。
これに対して、パターンフィッシングが成立するのはけっこう限定的な場合です。
たとえば、新潟や秋田の方ではハタハタ(白ハタ)を捕食しているシーバスを狙うハタハタパターンというのがありますが、日本全国でみるとハタハタパターンのシーバスが狙えるのはかなり限定的な地域です。
あるいは、ゴカイ類が産卵行動をするのは一年のうちでも期間が限定されるため、バチパターンがハマるのは基本的には春先がメインです。
ゴカイは比較的年中見かけますが、パターンとしてハマるのは3〜6月くらいまでの間がほとんどです。
セオリーは汎用性の高いアプローチ方法
であるのに対し、
パターンはハマれば爆発力があるけどパターンが成立するためには諸条件を満たさなければならない
という違いがあります。
セオリーやパターンの役割とは?
セオリーにしてもパターンフィッシングにしても、なぜ、そういうアプローチ方法が存在しているのか?
もちろん「シーバスを釣るため」です。
この点についてもう少しだけ掘り下げます。
シーバスは一匹一匹性格が違う
シーバスでも、その他のフィッシュイーターでも、およそ魚というのは一匹一匹に個体差があって、性格が全然違うんだということを第1回の記事でご紹介しました。
犬種が同じ犬であっても1匹1匹性格が違うのとまったく同じです。
魚にも1匹1匹性格の違いがあります。
【ゼロから始める】魚の性格の違いを知ればシーバスはもっとたくさん釣れる!【第1回】
ルアーを通してシーバスと向き合うとき、シーバスの習性や性格を理解することはとても重要です。・どういう餌を食べているのか?・どういう場所に生息しているのか?・どういう性格の魚なのか?でも、セオリーやパターンついて知っただ[…]
そのため、シーバスをルアーで狙う場合、目の前にいるシーバス1匹1匹の性格に合わせたアプローチをするのがもっとも理想的な方法です。
ボトムにいるベイトを常に意識しているシーバスを釣るために、表層系のルアーでアプローチしてもスルーされます。
バチが流れてくるのを無視してサッパやサヨリを捕食しているシーバス釣るために、バチパターンでアプローチしてもスルーされます。
その日のシーバスの気分やシーバスの性格に合わせたアプローチをするのが理想的かつ究極的な狙い方です。
アプローチを効率化・合理化する
いくら個々のシーバスの性格や気分に合わせるといっても、目の前にいる(であろう)たくさんのシーバスのそれぞれに合わせたアプローチ方法を模索していては、いくら時間があっても足りません。
持ち歩けるルアーの数には限りがあるし、釣りができる時間にも限りがあります。
潮の流れが変わってしまった途端に、それまでとは違った行動をシーバスが始めることも少なくありません。
そうすると、また別のアプローチ方法を模索することになります。
つまり、シーバス1匹1匹に照準を合わせたアプローチ方法を考えていると、とても効率の悪い狙い方になってしまいます。
そこで有効なのがセオリーやパターンにあてはめたアプローチ方法です。
セオリーやパターンというのは、シーバス1匹1匹の性格に着目するのではなく、多くのシーバスに共通する習性に着目してアプローチする方法です。
セオリーやパターンを構築することで、シーバスという魚の多数を一定の枠に当てはめて、効率的に、一度により多くのシーバスにアプローチをすることが可能になります。
セオリーやパターンというアプローチ方法は1匹1匹性格の違うシーバスに効率的・合理的にアプローチするという役割を担っているのです。
アプローチ方法の優先順位
基本的なアプローチの優先順位
シーバスを狙うための主なアプローチ方法としては
②セオリーに沿ったアプローチ
③パターンフィッシング
が考えられます。
この中で最も優先順位が高いのは
②セオリーに沿ったアプローチ
です。
先でも記載したとおり、セオリーやパターンというのはシーバスへのアプローチ方法を効率化・合理化した釣り方です。
なので、当然、①よりも効率的な②や③の方法でシーバスにアプローチすべきです。
では、最初にセオリーで攻めるべきか?パターンに当てはめるべきか?
この点について、まずは、より汎用的なアプローチ方法である②のセオリーに沿ったアプローチで攻めます。
「パターン」というのはハマれば爆発力があるアプローチ方法ですが、パターンが成立するためには諸条件を満たさなければなりません。
つまり、セオリーと比べるとパターンは「どんな場所でもハマる」とはいえないのです。
同じ日の同じ中海を例にとってみても全然違います。
米子エリアではカタクチイワシがベイトになってるけど、大橋川河口域ではバチパターンになっていて、大根島周辺ではコノシロパターンで釣れている
…ということも当たり前に起こり得ます。
でも、明暗部で待ち伏せして捕食するという習性のシーバスは、中海のどこへ行っても居る可能性は高いです。
明暗部で待ち伏せするというのはシーバスの持って生まれた本能のようなものなので、日本全国どこへ行っても通用します。
逆に、「パターン」というのは、それがハマる条件が揃っているタイミングでしかなかなか上手くハマりません。いくらバチが流れていても、バチパターンが成立するようなバチの量や潮の流れにならなければ単発で終わってしまいます。
なので、まずは一般的なシーバスの習性に合わせたセオリー通りのアプローチ方法で攻めるのが効率的です。
次に、セオリー通りのアプローチではシーバスが反応しなかった場合にどうするか?
これについては2つの方法が考えられます。
1つは、セオリーやパターンという枠を取っ払って、手持ちのルアーでできるいろんなアプローチ方法を試してみるという方法です。つまり、1匹1匹性格の違うシーバスに答えを問いかけてみることです。
もう1つは、目に見えていないだけで、水中では〇〇パターンが成立しているかもしれないという期待のもとにパターンフィッシングを試してみる方法です。とりあえずパターンフィッシングを試してみて、ダメなら1匹1匹のシーバスに答えを問いかけてみます。
これはどちらがいいというわけではありません。
例外的なアプローチ方法
基本的には【②→①】か【②→③→①】の順番でアプローチします。
でも、例外的に③からアプローチをする場合もあります。
これはいうまでもなく、パターンがハマりそうなヒントが目に見えているときです。
明らかにコノシロが追われているとか、バチがバンバン流れていて水面で小さな捕食音がポンポン聞こえてくるような場合、パターンフィッシングがハマる可能性が高いです。
この場合には③→②→①の順番でアプローチしてみます。
セオリーやパターンでアプローチするときの注意点
セオリー通りにアプローチをする場合でも、パターンに当てはめてアプローチする場合でも、絶対に忘れてはならないことが1つあります。
それは
シーバスは一匹一匹に個体差があって、性格が全然違う
ということ。
いくらシーバスの習性に着目してセオリーやパターンを構築しても、それに当てはまらない(そこから漏れる)個体というのは必ず存在します。
魚は、アングラーが考えているほど単純ではありません。
セオリーやパターンで釣れないときにどうするか?
として終わりにするのではなく、せっかくルアーフィッシングを通じてシーバスと向き合う以上、自分の手元にあるルアーを駆使してさまざまアプローチを試してみましょう。
セオリーやパターンに反応しなかったシーバスでも、別のアプローチ方法であれば反応するという個体もきっと居ることでしょう。
それくらい、それぞれのシーバスには個性があって性格が違うものです。
個人的な経験
最後に、僕の印象に残っている経験を1つ。
バチが上流からどんどん流れてくるバチパターンの日に、僕を含め僕の周りにいたアングラー(知り合いではない)のほとんどがバチルアーでシーバスを狙っていました。
細身のシンペンで上流側から下流に向かってゆっっっくりと流す釣りです。
たまに、僕のルアーが隣の人のラインを拾ってしまって
って感じの挨拶を交わしながらシーバスを狙っていました。
沖の方ではバチパターン特有の小さな捕食が頻繁に見えていました。
周りの釣り人にはポツポツとセイゴサイズのシーバスが釣れていましたが、僕はまったく釣れていませんでした。
そのまま釣りをしていても釣れる気がしなかったので、僕はなかばあきらめムードでスーパースプークJr.をダイビングさせていました。
すると…水面に浮いた瞬間のスーパースプークに、大きな水柱を上げてスマッシュバイトがありました。
サイズは80cm台中盤のよく太ったランカーシーバスでした。
これはバチパターンにおけるダイビングペンシルパターン…というわけではありません。
その個体が、バチじゃないベイトを捕食していたか、バチを含め選り好みせずにベイトを捕食していた個体だったということです。
これは、シーバスへのアプローチ方法は枠にハメすぎてはいけないということを僕が実感した体験です。
セオリーやパターンの役割を理解して適切に使い倒す!
シーバスフィッシングにおいてセオリーやパターンに沿ったアプローチというのは、テクニックや裏技的な攻略法ではありません。
セオリーやパターンは、シーバスの習性や行動から導き出された効率的かつ合理的なアプローチ方法です。
そのため、これらを駆使してシーバスにアプローチをすることは王道かつ正攻法です。
経験や情報の少ない入門者であればあるほど、セオリーやパターンというアプローチ方法は大切にするべきです。
それと同時に「なぜセオリーやパターンというアプローチ方法が必要なのか?」ということも合わせて意識をしておくことも入門者にとっては重要です。
シーバスには個性があって一匹一匹の性格が違うので、一匹一匹のシーバスに合わせたアプローチ方法は無限に考えられます。
そこで、シーバス全般に共通するような習性や行動に基づいてアプローチ方法を効率化・合理化したものがセオリーやパターンです。
逆に、そもそも個々のシーバスの性格が違う以上、セオリーやパターンに当てはまらない個体というのも必ず存在しています。
しかも、その数は決して少なくありません。
セオリーやパターンでシーバスにアプローチしても答えが得られないときにどうするか?
それは、原点に帰って、それぞれ性格の違うシーバス一匹一匹に答えを問いかけてみることです。
シーバスフィッシングは、セオリーやパターンを知っていればシーバスが釣れるというようなヌルゲーではありません。
でも、セオリーやパターンにシーバスが反応しないからといってあきらめる必要もありません。
セオリーやパターンに反応しないときこそ、その他のアプローチ方法の差や経験の差が釣果に現れます。
シーバスを狙うときは、「セオリーやパターンに当てはまらない性格の違う個体が必ずいる」ということを常に意識して、別のアプローチ方法も選択肢として持っておきましょう。
セオリーやパターンに当てはまらなくてもアプローチ方法はたくさんあり得るということを意識するだけで、釣りの幅が大きく広がってきます。
セオリーやパターンはシーバスを効率的・合理的に狙うためにとても有効なアプローチ方法なのでどんどんと試してみるべきです。
しかし、それには限界もあります。
さらには、その限界を突破するためのアプローチ方法も必ず存在します。
そのことを常に意識して釣りをすることが釣果を伸ばすうえで、また、釣りの幅を広げるうえでとても大切なことです。
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