シーバスを狙うときに参考になるのがプロの解説です。
でも、あるプロと別のプロでは「言ってることが全然違う!」ってこともしばしば。
ビギナーの頃には
と悩むことも多いでしょう。
ただ、日本全国のどんなところでシーバスを狙う場合であっても、基本となる超重要な5つのファクターというものがあります。
プロと呼ばれる人たちは、この5つのファクターを当然の前提に、そのうえで自分の経験に基づいたテクニックやメソッドを紹介しているのです。
そのあたりの説明が大雑把なプロが多いためか、プロのテクニックやメソッドだけが独り歩きするのが今のシーバスフィッシングシーン。
このページでは、シーバスを釣るために常に意識しておかなければならない超重要な【5つのファクター】についてご紹介します。
シーバスを釣るための5つのファクター
ルアーでシーバスを釣るために常に意識しておかなければならない超重要なファクターとして次のものがあります。
②ベイト
③タナ
④ルアーのスピード
⑤ルアーのアクション
これは、僕がシーバスフィッシングを始めた頃からずーっといわれ続けている「シーバスを釣るためのファクター(条件)」です。
むしろ、シーバスに限らず、海のルアーフィッシング全般に当てはまる考え方といってもいいくらい。
ルアーでシーバスを狙う場合、この5つのファクターを常に意識しながらシーバスへのアプローチ方法を組み立てていくことになります。
①②③はシーバスがいるであろう「ポイントを探すため」の考慮要素です。
④⑤は、①②③から絞り込んだポイントにおいて「どうやってシーバスにルアーに興味をもってもらって、ルアーに反応させるか?」というアプローチ方法に関する考慮要素です。
つまり①②③で「シーバスの居場所」を絞って、④⑤で「シーバスへのアプローチ方法」を考えます。
この5つのファクターを基本にして、その日のシーバスへのアプローチ方法を組み立てていきます。
潮・流れ込み
シーバスの居場所を絞るために一番重要なファクターになるのが潮の流れや水の流入といった水の流れです。
潮の動き
水の流れの中でも特に重要になるのが【潮の動き】です。
ダム湖や池沼と違って、海水域や汽水域には潮の満ち引きによる潮の動きが発生します(潮汐)。
海水や汽水の生物はこの潮の満ち引きに基づいて行動します。
したがって、アングラーも常に潮の動きを意識して行動する必要があります。
加えて、潮の動きについては「2種類の潮の流れ」を知っておく必要があります。
1つは、潮の満ち引きによる海域全体の潮の流れです。
海水域や汽水域では潮の満ち引きによって潮汐が発生します。
この潮の満ち引きのときに海域全体の潮が大きく動きます。
海域の潮が動き始めるとき、あるいは潮の流れが止まる直前、魚の活性はとても高くなります。
もう1つは、潮目に代表されるような部分的な潮の流れです。
潮は水質や水温の異なる潮がぶつかると、その境界に潮目と呼ばれる帯状の流れが発生します。
あるいは、潮目が現れていなくても、潮には部分的に流れのスピードの違う場所が現れることもあります。
これら部分的に潮が変化している場所は小魚のエサとなるプランクトンが集まりやすい場所です。
そのプランクトンを追って小魚が集まり、小魚を追ってシーバスが集まる…という構造が生まれます。
海域全体の潮の満ち引きや、部分的な潮の変化というのはシーバスを狙ううえで重要な目印になります。
水の流入
潮の流れと並んで重要なのが河川や工場排水などの【水の流入】です。
水は「動く」ことによって良好な環境が保たれます。
湖・池・沼よりも海水の方が新鮮といわれるのは、海水は潮の満ち引きにより絶えず動いているからです。
ただ、いくら海といっても、部分的に閉鎖水域のような場所もあります。
閉鎖水域では、開かれた水域に比べると水の動きがずいぶん少なくなります。
あるいは、同じ海域であっても地形によっては水の動きの少ないエリアというのができます。
そういう潮の影響を受けにくいエリアにおいて水に動きを与えてくれるのが河川や工場からの水の流入です。
水の流入のあるエリアは、(変な物が混ざっていない限り)比較的良好な環境が保たれているエリアといえます。
プランクトンや小魚やシーバスも、何の変化のないエリアよりも水質が良好な環境を好みます。
水の流入のあるエリアというのはシーバスを狙ううえで重要な目印になります。
ベイト
シーバスの居場所を絞るためのもう1つの重要な要素が【ベイト】の存在です。
基本的にはシーバスのエサとなる小魚(ベイト)の気配がまったくないようなエリアはシーバスを狙ううえで適切な場所とはいえません。
ただ、ベイトの存在やベイトの動きというのは、実際のところ潮の流れや水の流入に密接に関連しています。
シーバスのエサとなる小魚だって海の生物なので、潮の満ち引きに基づいて行動するし、潮の流れが部分的に強く、プランクトンが流されて集まってきているような場所にベイトも集まってきます。
基本的にはベイトが集まっている場所には潮や水の流れという何らかの要素が作用していることが多いといえます。
なので、「ベイトの存在」というファクターは、潮の流れや水の流入というファクターではポイントを絞ることができないときに特に重要になる要素といえます。
あるいは、まったくベイトの気配がないときにポイントを見切るためのファクターとして考えることもできます。
タナ(レンジ)
昔から海の魚を釣るのに重要なのは「潮・ベイト・タナ」といわれていたので「タナ」と表現していますが、【レンジ(水深)】のことです。
シーバスに限らずフィッシュイーターは、ベイトを捕食するための射程範囲を持っています。
もちろん、積極的にベイトを追い回すこともありますが、基本的には射程範囲に入っていないベイトに襲い掛かることはありません。
なので、ルアーでシーバスを狙うときは、シーバスが泳いでいるタナに合わせてルアーを通してやらなければ、シーバスはルアーに見向きもしません。
もちろん、多少は上下に動いてはくれるでしょうが、上下に1mずつもズレるとなかなか見向きはしないでしょう。
許容範囲はシーバスを中心に上下50cmずつくらいだと考えています。
上下50cmずつっていうのは、あくまで個人的な考えですけど。
ところで、
シーバスが泳いでいそうなタナをどうやって判断するか?
ということですが、シーバスが泳いでいるタナというのは、実際のところベイトの泳いでいるタナに密接に関連しています。
シーバスがベイトを捕食しようとするときは(積極的にベイトを追い回さない限り)射程範囲にいるベイトを狙うので、シーバスの射程範囲の近くにベイトがいる必要があります。
結局のところ、ベイトの居る場所(②)は潮の流れ(①)に密接に関連しているし、シーバスの泳いでいるタナ(③)はベイトの居る場所(②)に密接に関連しています。
なので、上記①②③というファクターすべてが、切っても切り離せない関係にあるということができます。
ルアーのスピード
上記では「シーバスを狙うポイント」に関するファクターをご紹介しました。
次に「シーバスにルアーに興味を持たせて反応を引き出す」ためのファクターについてご紹介します。
ルアーの操作に関する最も重要なファクターは【ルアーを巻くスピード】といわれています。
よく「ルアーのアクションやカラーの方が大切なんじゃないの?」って誤解されることがあります。
たしかに、ルアーのアクションはルアーを巻くスピードと同じくらい重要なファクターといえます。
でも、ルアーのカラー・シルエット・フォルムといったビジュアル的な要素よりも重要なファクターがルアーのスピードです。
ルアーでシーバスを狙ってみたいと思ったとき
なぜ、エサでもない樹脂の塊にシーバスが喰らいついてくるのか?
ということを考えたことはあるでしょうか。
この「ルアー」と呼ばれる樹脂の塊には、シーバスのバイトを引き出すための多くの性能が組み込まれています。
色・見た目・動きの種類や幅・動きのスピードなど。
これらルアーに組み込まれた多くの性能が複合的に作用して、エサとは似ても似つかない樹脂の塊に対するシーバスの興味を引き出すのです。
そのルアーに組み込まれた性能のうちルアー1個だけで最も多くの変化を生み出せるのがルアーのスピードです。
色や見た目のようなビジュアルを変えようと思うと、ルアーそのものを交換する必要があります。
シルバー系のカラーのルアーにゴールド系のカラーの性能を求めるのは無理な話です。この場合、ゴールド系のカラーのルアーにチェンジしなければなりません。
でも、スピードは違います。
1つのルアーを超高速で動かすこともできれば、同じルアーを超デッドスローで魅せることもできます。
ルアーの動きが破綻しない範囲で、幅広く変化をつけることができるのがルアーのスピードです。
シーバスへのアプローチ方法で最もバリエーションに富んでいるのは、ルアーのスピードの変化によるアプローチ方法です。
ルアーのスピードが重要といわれるもう一つの理由が、ルアーのスピードの違いによってその日の魚の反応がまるで違うことがあるということ。
オフショアジギングはその典型といえます。
オフショアジギングにはジャーキングというアクションがありますが、ジャーキングはジャークとジャークの間の長さによって使い分けられます。
ローピッチ〜ワンピッチ〜ハイピッチといった感じで。
ルアーを動かすスピードや、逆にルアーを止めてルアーをシーバスに魅せる時間というのは、樹脂の塊に対するシーバスの興味を引き出すためのとても重要な要素になります。
ルアーのアクション
ルアーを使ったシーバスへのアプローチ方法でもう一つ重要なのが【ルアーのアクション】、つまり、ルアーの動し方そのものです。
ルアーはエサと違ってただの樹脂の塊です。
ルアーを投げて待っているだけではシーバスのバイトを引き出すことはできません。
ルアーは、動かすことによってシーバスの興味を惹き付けることができるようになります。
基本的な動かし方はタダ巻き(ステディリトリーブ)です。
とはいえ、タダ巻きで泳いでいるルアーの映像を見るとわかりますが、どう見たって本物の小魚の動きには似ていません。
なのに、シーバスはこの本物に似ていない樹脂の塊に喰らいつく。
これは、シーバスが、タダ巻きでただ動いているだけの樹脂の塊をエサと見間違えているわけではなく、タダ巻きよって生み出されるルアーのアクションにシーバスのバイトを引き出す性能が組み込まれているということです。
ルアーはただの樹脂の塊でしかないので、これを動かすことでルアーに組み込まれた性能を駆使してシーバスの興味を惹き付けなければなりません。
カラーやシルエットをどれだけ本物の小魚に似せたところで、ただのプラスチックの塊です。
なので、ルアーは動かしてなんぼです。
しかも、その動かし方は多様です。
ジャーク・トゥイッチ・ストップアンドゴー…など。
あるいは、ジャーク1つをとってみても、ロングジャークからショートジャークまで複数の動かし方があります。
どんな動かし方をすれば、どんな性能が引き出されるのか…?
アングラーは常にこれを意識しながら、ルアーの性能を最大限に引き出して駆使できるようにルアーを使い込んでいくことになります。
ルアーのアクションは、ルアーのスピードと並んでシーバスのバイトを引き出すための重要なファクターの1つなのです。
5つのファクターは常に意識すべし
プロと呼ばれる人たちであれば誰もがこれらのファクターを常に考えてシーバスへのアプローチ方法を組み立て、さらには、そこへ自分の経験やテクニックやメソッドを組み込んでいきます。
でも、昨今のシーバスフィッシングを取り巻くメディアでは、これらの基本ファクターをすっ飛ばしてプロアングラーの経験やテクニックやメソッドがクローズアップされています。
結果として、こういう超基本的な情報がビギナーに伝わらないという本末転倒な環境にあるといえます。
ここで挙げた5つの考慮要素は特別な知識やテクニックではありません。
①潮、②ベイト、③タナという要素は、エサ釣りをするときでも基本中の基本となる、すべての釣りにおいて重要なファクターです。
また、④スピードや⑤アクションという要素は、プラスチックの塊であるルアーを使ってシーバスの興味を惹き付けるというシーバスフィッシングにおいては、とても基本的なファクターといえます。
ポイントを選ぶときにどういうところを気にしたらいいのか?
魚が釣れないときになにをしたらいいのか?
こういう「どこで、なにを、どうすればいいかわからない」とき、シーバスのバイトを引き出すための5つのファクターを意識していないと、ただ投げて巻くだけになってしまいます。
そういう状況の中でも、どうにかしてシーバスの興味を惹き付けるためにも、これら基本的な考慮要素は常に頭の片隅に置いて釣りをしてみましょう。
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