【ゼロから始める】適合ウエイトを超えるルアーを投げるとロッドは折れる?【第6回】

第5回の記事では、ロッドの硬さを選ぶときには『適合ルアーウエイト』を基準にすることをご紹介しました。

関連記事

ロッドの硬さの表示方法について第4回の記事でご紹介しました。[sitecard subtitle=関連記事 url=seabass-beginner5=]一般的にロッドの硬さの表示に用いられるML表示は、案外大雑把[…]

ところで、素朴な疑問として

ビギナー
適合ルアーウエイト超えたらマズイ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル?

と考えるビギナーも多いでしょう。

このページでは、知ってるようで知らない「適合ルアーウエイトの秘密」についてご紹介します。

適合ルアーウエイトとは?

適合ウエイトの意味

ほとんどのルアーロッドには適合ルアーウェイトが表記されています。

「Lure Wt:〇~〇〇g」という表示です。

一般的には

そのロッドで投げられるルアーのウエイト(メーカー推奨)

という意味合いで考えられていることが多いです。

適合ウエイトを超えたら折れる?

ビギナーの頃の最大の関心事といえば

ビギナー
適合ウエイトを超えるとマズイ?

ということでしょう。

たしかに気持ちはよくわかります。

「適合ルアーウエイト」という数字をメーカーが提示してしまうと

ビギナー
(それを)超えたらマズイんじゃないの?

という疑問があるのは当然です。

でも、結論をいえば

極端なウエイトオーバーでなければ普通は折れない

というのが答えです。

適合ルアーウエイトの設定方法

そもそも、メーカーが製造するロッドには、どのように適合ルアーウエイトが設定されているのでしょうか?

この点については、正直なところ、僕はまったくわかりません。

でも、想像はできます。ここからは僕の想像です。

おそらく、ロッドの適合ルアーウエイトの数字の設定は『適当』です。

ここで適当というのは、二つの意味合いを含んでいます。

体感的に適切なウエイトを設定している

1つは適切という意味。

メーカーがロッドを開発するときには破断テストや試投を行います。

このときに「だいたい●gくらいのルアーなら快適に投げられる」というのを体感的にチェックするでしょう。

実際に投げてみて、無理なく投げられる範囲(適切なウエイト)を体感的に設定しています。

大雑把にウエイトを設定している

もう1つはいい加減という意味。

ショーカラ
いわゆる「テキトー」という意味です

ロッドの設計に関わっているわけではないので、僕は詳しいことはまったくわかりません。

でも、ロッドの適合ウエイトをコンピューターのように1g単位で設計・設定・製造できるということ自体がちょっと想像できません。

たとえば、1gのモノといえば何を想像しますか?

一般的にわかりやすいものでいえば一円玉ですね。

手のひらに乗せてみるとわかりますが、めちゃくちゃ軽いです。

この一円玉が28gのルアーに乗っかると、ロッドが折れるリスクが上がるのか?

それはちょっと極端な話であることは想像できると思います。

なので、適合ウエイトというのは「だいたいこれくらい」という感じで大雑把に設定されているのでは?と僕は考えています。

ルアーのウエイトよりも大切なこと

ルアーの空気抵抗がとても重要

適合ウエイトを少々超える重さのルアーを投げたところで、普通はロッドは破損しません。

でも、一つだけ注意しておかなければならないファクターがあります。

それが

ルアーの空気抵抗

です。

空気抵抗が大きいととても投げにくい

たとえば適合ウエイト~28gのロッドでルアーを投げるとします。

40gのメタルジグと175mm(29g)のミノーを投げるとすると、どちらが投げにくいか?

メタルジグと大型ミノーを比べると大型ミノーの方がはるかに投げにくいです。

通常、少しくらいウエイトオーバーのメタルジグを投げたところで不安感はありません。

でも、大型ミノーというのは、適合ウエイトの範囲内であっても「ロッドが破損しそう」という違和感を覚えることがあります。

投げにくさの原因

キャストの過程というのはこんな感じ↓です。

①グイッとロッドを後ろに曲げて
②グッと反発力をためて
③ビシュッと前方に向かって投げる

この過程おいて

テイクバックでロッドをしっかり曲げられない

とか

ロッドを振り切るときのスイングスピードが遅い

と、ルアーの重みを上手くロッドに乗せられません。

その結果、反発力の弱い箇所に負荷が集中して、ロッドを破損することがあります。

この点、ルアーの空気抵抗が大きいと、空気抵抗が邪魔をしてロッドのスイングスピードが思ったほどは上がりません。

そのため、ルアーの重みが十分にロッドに乗り切らないために、反発力の強い箇所まで充分にロッドが曲がらず、反発力の弱い竿先付近でルアーをキャストしてしまうことになります。

これが投げにくさを感じる原因です。

ショーカラ
メタルジグは空気抵抗が小さいわりには重さがあるので、反発力の強い箇所にスムーズにウエイトが乗ります

ロッドの破損の原因

キャスト時にロッドを折ってしまう原因はいくつか考えられます。

その中でもけっこう多い原因(と思われるの)が、この「ルアーの空気抵抗を無視してキャスト」するケースです。

本来、ルアーロッドは、キャストの際にしっかりとロッドを曲げて、反発力の強い箇所にしっかりとウエイトを乗せて、反発力を利用して投げばそう簡単には折れません。

しかし、空気抵抗の大きいルアーを投げる場合には、ルアーの空気抵抗が邪魔をします。ロッドのスイングスピードが思ったほど上がらず、ロッドをしっかりと曲げることができません。

また、空気抵抗のわりにはルアーのウエイトはそれほど重くないので、ルアーの重さを利用してロッドを曲げることも簡単ではありません。

結果として、ルアーのウエイトがスムーズに伝わらず、反発力の弱い竿先で投げることになります。

ロッドの反発力の弱い部分にルアーの重さが乗ってしまうため、適合ウエイトの範囲内のルアーでもロッドが破損してしまいます。

意外に多い?オーバーウエイト事案

自分では適合ウエイトの範囲内だと思っていたのに、実際に投げていたルアーは適合ウエイトを超える重さだった…

という事案はビギナーには意外に多いものです。

みんなが大好きなあのルアーもオーバーウエイト?

現在のシーバスフィッシングでもっとも多いオーバーウエイト事案は(おそらく)VJ-28です。

ビギナーの中にはVJ-28が28gだと思い込んでいる人がとても多い。

でも、実際に投げているルアーは28gではありません。

VJ-28はアルカリシャッド90mmを含めると34g前後あります。

ジグヘッド28g+アルカリシャッド6gということです。

34g前後ということになると、Mクラスのロッド(~35g)のカバー領域のようにも思えます。

でも、VJ-28はジグヘッド+スイムベイトなので、大型ミノーほど空気抵抗は大きくありません。

また、巻き抵抗も大きくありません。

結果としてMLクラス(~28g)のロッドで難なくカバーできます。

このように、知らないうちに適合ウエイトを超えたルアーを普通に使っていたという事案は少なくありません。

適合ウエイトとはそういうものです。

空気抵抗の小さいルアーであれば、適合ウエイトを少々超えたところで問題が起こることはほとんどありません。

メバルロッドでVJ-28!?

僕がよく乗せてもらうボートの船長は、メバルロッドでVJ-28をブン投げています。

もちろん、大して飛距離はでませんが…

反発力の強い箇所にスムーズにウエイトが乗れば、メバルロッドでもそう簡単には折れません。

ショーカラ
竿先で投げると簡単に折れるかもしれませんが…

~15gのロッドで50gオーバー!?

こちらの動画ではワールドシャウラ2831R-2(5~15g)で15号(57g)ほどのオモックをキャストしている動画です。

オモリメタルジグは、キャスト用のシンカーとしてはもっとも空気抵抗の小さいものになります。

ロッドがワールドシャウラというのもありますが…

投げ慣れてくると、少々のオーバーウエイトにビクビクする必要はありません。

ショーカラ
オモックは「少々」のオーバーではないけどね…

何のための適合ルアーウエイト?

最後に、適合ルアーウェイトの意味についてご説明しておきます。

適合ウエイトを超えるルアーを投げられると言ってしまうと

ビギナー
じゃあ、結局何のための表示なの?

という疑問が残ります。

これには主に二つの理由があります。

メーカーの責任の範囲を限定する

メーカーがロッドを設計するときは、当然、ユーザーの使用目的を想定してロッドを設計します。

メバルロッドであれば「ジグヘッドやマイクロプラグでメバルを釣る」という感じ。

ところが、

アングラー
メバリング中にVJ22を投げたらロッドが折れたぞ!
これは初期不良じゃないのか!?

とか

アングラー
(ライトクラスの)シーバスロッドでダウズスイマー220をフルキャストしたらロッドが折れてしまったぞ!
これはロッドの初期不良じゃないか!?

とメーカーに言われても、メーカーとしては「そんな使い方は想定していません」と答えるしかありません。

でも、この『想定』というのはけっこう曖昧で、表現するのはなかなかムズカシイ。

そこで便利なのが適合ルアーウエイトです。

適合ウエイトを超えるルアーを投げてロッドを破損した場合、一応検査はするでしょうが

メーカー
アンタが悪い

とメーカーは言いやすくなります。

なので、適合ルアーウエイトはメーカーにとって便利な表示なのです。

ユーザーとして注意しておかなければならないのが、本来であればロッドに問題があって無償で交換してもらえるケースであっても、 適合ウエイトを超えるルアーを投げてロッドを破損した場合、保証書を使って直さなければならなくなる場合があります

ロッドの硬さを知るための参考値

第4回の記事でもご紹介したとおり、ロッドのML表示には統一的な基準はありません。

関連記事

ロッドを買おうと思ったときにまず最初に検討するのがロッドの長さと硬さ。ロッドの長さは、どんなメーカーであっても8ftと表記されていれば8フィートの長さです。でもロッドの硬さはそうではありません。ほとんどのロ[…]

そのため、もし、ダイワとシマノのロッドにML表示しかなければ、ユーザーはとても困ります。

ダイワのMLクラスとシマノのMLクラスでは硬さが違います。

でも、適合ウェイトのように数字で表示されれば、基本的にはメーカーに左右されることはありません。

『28g』は誰が量っても28gです。

なので、適合ウエイトというのは、ユーザーがロッドの硬さを想定するときの参考値としてとても便利です。

適合ウエイトを超えても直ちに折れるわけではない!!

ビギナーの頃には適合ルアーウエイトの判断はとても難しいものです。

ビギナー
(適合ウエイト超えたら)折れるんじゃないだろうか((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

と思いながらルアーを選んだり、上限ギリギリのルアーを投げたりします。

でも、ビギナーの中にはVJ-28のように、知らないうちに適合ウエイトをオーバーするルアーを普通に投げている人も少なくありません。

そして、適合ウエイトというのはそんなものです。

空気抵抗の少ないルアーなら、ロッドの反発力の強い部分にウエイトを乗せられればオーバーウエイトでも普通に投げられます。

たしかに、メーカーの保証が受けにくくなるというデメリットはあります。

でも、「適合ウエイトを超えるルアーを投げられるか?」という質問に対しては

普通に投げられます

というのが答えです。

(空気抵抗の少ないものであれば2倍以上の重さも投げられるという感覚はあります(あくまで自己責任ですが))

なので、必要以上に適合ウエイトを気にしてビクビクしないようにしましょう。

関連記事