ロッド（とリール）は釣り道具の花形です。
各メーカーから実に多くのシーバスロッドが発売されています。
ロッドはシーバスを釣るために欠かすことのできない道具ですが、意外と誤解の多い道具の１つでもあります。
このページではロッドの種類と役割の基本についてご紹介します。
ロッドの種類
スピニングロッドとベイトキャスティングロッド
釣り用のリールには大きく分けて
・ベイトキャスティングリール
の二種類があります。
左がスピニングリール。右がベイトキャスティングリールです。
これらのリールに合わせて、ロッドも二種類存在しています。
スピニングロッドとベイトキャスティングロッドです。
ロッドの見分け方
一番の違いは、ベイトキャスティングロッドには人差し指を引っ掛けるためのトリガーと呼ばれる突起が付いています。
トリガーがないものがスピニングロッド。
トリガーがあるものがベイトキャスティングロッドです。
また、ロッド表記上は、ベイトキャスティングロッドにはC（またはB）と記載されていることが多いです。
伝統的にはCと表示されています。海外のロッドでは今でもCと表示されているものが多いです。
日本ではBと表示されることが増えています。
また、ストレートに『ベイト』と表示されていることもあります。
ちなみに、市場のシーバスロッドはほとんどがスピニングロッドのため、スピニングロッドである旨があえて表示されるのは稀です。
稀ですが、あえてスピニングロッドであることをわかるように表示するとすればSになります。
種類の多さと扱いやすさからスピニングロッドを選ぶ
ほかの記事でご紹介しますが、ロッドというのは腕の延長です。
ロッドは、釣り人にとってのいわゆる『右腕』のような存在になります。
ロッドの良し悪しの判断に慣れていないビギナーにとって、右腕ともいえるロッドを選ぶうえでは選択肢が多いに越したことありません。
また、ベイトキャスティングリールには、ブレーキシステムという特有の機構が備わっています。
このブレーキの調整がビギナーにはけっこう面倒くさい。（ロッドではなくリールの方の問題）
ルアーの重さやルアーの空気抵抗、風の強さなどを考慮してブレーキを微調整する必要があります。
慣れていないとライントラブルが起こります。
さらに、スピニングリールとベイトキャスティングリールでは、ドラグと呼ばれる糸を送り出す機構の性能が雲泥の差です。
スピニングリールのドラグ機構のほうがはるかに優れています。
風の強いオープンエリアで釣りをすることの多いシーバスフィッシングでは、スピニングタックルのほうがはるかにメリットが大きいです。
そこで、ビギナーは種類の多さと扱いやすさから、まずはスピニングロッドで始めましょう。
ロッドの役割
素手でも魚は獲れる
そもそも、魚釣りをするのになぜ釣り竿が必要なのでしょうか？
たとえば、テレビ番組などで漁師さんが釣り糸を素手でたぐり寄せて魚を釣るシーンを見たことありませんか？
釣り竿なしに、素手で。
魚を獲ることだけを考えると、糸と針さえあれば、掛かった魚はほぼ獲ることができます。
ロッドの真の役割
ルアーフィッシングにおけるロッドの役割は主にこの二つです。
・魚の引きに柔軟に対応する
掛かった魚を獲ることだけを考えると、必ずしも釣り竿を使わないといけないわけではありません。
でも、そもそも魚が居そうな場所まで仕掛けを投入することを考えたとき、手で投げるのには限界があります。
つまり、魚の居る場所までルアーを運ぶ（飛ばす）ために釣り竿が必要になります。
もう一つのロッドの役割は、魚の引きに柔軟に対応することです。
ルアーフィッシングの中でもとりわけシーバスという魚は針が外れやすい魚です。
とにかくバレやすい。
シーバスは水中で体をくねらせ、首を振って針を外します。あるいは、首を振りながら水面に向かってジャンプして針を外します。
このとき、もっとも針が外れやすいのが糸がたるむ瞬間です。
この糸のたるみが発生するのを最小限に抑えるのがロッドの働きです。
魚の動作に合わせてロッドが曲がったり元に戻ったりします。この動きによって、糸にたるみができるのを抑えます。
さらに、糸に瞬間的に負荷が掛かったときに、ロッドが曲がることで負荷を吸収します。糸が切れるのを防ぎます。
魚の動きに合わせて針が外れるのを防いだり、魚の急な突進で糸が切れるのを防ぐ働きをするのがロッドです。
釣り竿に関する基礎知識
ロッドのパワーで魚は浮かない
よくある誤解の一つとして、ロッドには魚を浮かせて強引に寄せてくる働きがあるという勘違いがあります。
たとえば、こんな↓広告があったとします。
これを見たビギナーは
ビギナーと思い込んでしまいます。でも、これは勘違いです。
釣り竿は、負荷を掛けると曲がります。
釣り竿が曲がれば曲がった分だけ、魚の引きを吸収します。
暖簾（のれん）に腕押しといったところです。
反対に、釣り人側がどれだけパワーを掛けても、釣り竿が曲がった分だけ釣り人のパワーを吸収します。
のれんを反対側から押すようなものです。
魚の力だけを吸収して、釣り人が掛ける力はそのまま魚に伝わる…ということはありません。
ロッドの反発力はたかが知れている
ロッドには反発力があります。曲がった分だけ元に戻ろうとする力も生まれます。
この反発力を使って魚を強引に浮かせることができるのでは？と考えるアングラーもいます。
でも、ちょっと想像してみてください。
竿先を持って竿を思い切り曲げて、パッと放す。このときの反発力でどれくらいの重さのものが浮かせると思います？
ロッドの反発力で1kgくらいの重さのペットボトルが持ち上がりますか？
ちなみに、1kgのシーバスというのは50～60cmくらいです。
あるいは、ロッドの反発力を使ってルアーやオモリを投げたとき、どれくらい重い物が投げられます？
ロッドの反発力で500gくらいのオモリを投げられますか？
冷静に考えてみると、ロッドの反発力って意外に大したことないということが想像できます。
ショーカラロッドの反発力というのはたかが知れているということを覚えておきましょう。
ロッドは長いほどパワーが伝わりにくくなる
これもよくある誤解の一つです。
魚とやりとりをするときに、ロッドが長い方がパワーファイトがしやすいという誤解です。
これも、冷静に考えればそれほど難しい話ではありません。
ロッドが長くなればなるほど、ロッドの曲がり幅が大きくなります。
これがどういうことかといえば、パワーを吸収する部分が多くなるということです。
そうすると、魚の引きが吸収できるようになる反面、釣り人のパワーも釣り竿に吸収されて魚に伝わりにくくなります。
つまり、ロッドが長いと魚を強引に寄せにくくなるということです。
ロッドは短ければ短いほど、釣り人がパワーを掛けやすくなります。
ちなみに、コチラ↓はオシアジガーリミテッドのスペック表の一部です。
品番の一番右側の数字がロッドの硬さ（パワー）を表しています。
1～5までパワー表示があり、5番が一番硬いということです。
S510-5は大物釣り用のロッドです。
この表を見ると明らかですが、大物とのパワーファイト用のロッドだけ5.10ftなんです。
このロッドだけ短いんです。
それはなぜか？
ロッドが長いとパワーファイトに不向きだからです。
ロッドは短い方がパワーを伝達しやすいことは覚えておきましょう。
参考動画のご紹介
最後に、ロッドの基礎知識に関する超優良動画を一つご紹介します。
コチラ↓はブルーブルー代表の村岡昌憲氏の個人チャンネルです。
実は、このウェブサイトでは複数回登場している動画です。
一般アングラーにありがちなロッドに関する誤解を、一つ一つ実演を交えて説明しています。
正直、ビギナーはこの動画を10回くらいは観ても損はないですね。
それくらい、わかりやすく的確にまとめられています。
ちなみに、村岡さんの動画はほかのものも観たことがあります。
全部…とまではさすがに言いませんが、いくつかの動画については
ショーカラといえるほど貴重なものがあります。
こちらについても適宜ご紹介します。
釣り竿の役割は正確に理解しよう！
釣り竿のパワーで魚を浮かせる
という誤解が釣り業界には存在しています。
この誤解は、実はこの問題だけにとどまるものではありません。
のちにご紹介するタックルバランスやリールのドラグ設定の考え方にも誤った影響を与えてしまいます。
ロッドの役割は
・魚の引きに柔軟に対応する
です。
ロッドは、魚にパワーを伝えて魚を強引に浮かせるための道具ではありません。
むしろ、ロッドは、曲がることで魚や釣り人のパワーを吸収する働きがあります。
もちろん、数グラム〜数十グラムのルアーを遠くまで飛ばすためにはロッドの反発力はとても重要です。
しかし、それを超えて、1〜2kgよりもさらに大きいシーバスを強引に浮かせたり引き寄せたりするのはロッドではありません。
釣り人のパワーです。
しかも、その釣り人のパワーも、ロッドが吸収してしまうため、実は、思っているより力は加わりません。
ロッドの機能と役割の正確な理解は、タックルのバランスを考えるうえでとても重要になります。
「ロッドのパワー」に過度な期待はしないようにしましょう。