ロッドを買おうと思ったときにまず最初に検討するのがロッドの長さと硬さ。
ロッドの長さに関していえば、どんなメーカーであっても「8ft」と表記されていれば8フィートの長さです。
でもロッドの硬さはそうではありません。
ほとんどのロッドにはMLとかLとかMって感じでアルファベットが表記されています。
これがロッドの硬さ表記です。
実は、入門者にとってこのロッドの硬さ表記の意味がいまいちピンとこない。
しかも、さらに問題をややこしくしているのが、適合ルアーウエイトが同じ~28gなのに、AメーカーのロッドはLクラスで、BメーカーのロッドはMLクラスって書いてあったりします。
そのため、入門者がロッドを選ぶときに

ってことになってしまいます。
このページではロッドの硬さ表記についてご紹介します。
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「ロッドの硬さ」の表記方法
ロッドの硬さを表示する方法は主に2つあります。
1つはM・ML・MHといったアルファベットを用いた表示方法(ML表示)。
もう1つは1番・2番・3番という数字を用いた表示方法(パワー表示)。
ルアーロッドではML表示が大多数ですが、ジギングロッドでは半々くらいの割合という印象です。
ML表示について
ほとんどすべてのルアーロッドにUL・L・ML・M・MH・H・XHといったアルファベットを用いたロッドの硬さが表記されています。
これを(僕は勝手に)ML表示と呼んでいます。
これらの意味をとても大雑把にまとめると…
L :ライト(柔らかい)
ML:ミディアムライト(やや柔らかい)
M :ミディアム(普通)
MH:ミディアムヘビー(やや硬い)
H :ヘビー(硬い)
XH:エクストラヘビー(超硬い)
といった感じ。
最近ではXXXHみたいな、もはやよくわからないアルファベットが使われることもあります。
たぶん「超絶硬い」という意味。
多くのメーカーで汎用的な硬さ表記をMLクラスに設定しているからです。
別にM表示と呼んでもいいのですが、MLクラスのロッドが流通量も一番多いようなのでML表示と呼んでいます。
パワー表示について

おそらく釣具屋に売っているルアーロッドの90%以上はML表示です。
大手メーカーでキャスティング用のルアーロッドにパワー表示を使用しているのはシマノくらいです。
シマノのルアーロッドのカテゴリーには、バスやシーバスやエギング等以外にフリースタイルというカテゴリーがあります。
特に魚種は指定せずに、「快適に使えるならどんな魚種を狙ってもいいですよ」というロッドです。
このフリースタイルと呼ばれるカテゴリーのロッドはMLとかLというアルファベットの硬さ表示がありません。
そのかわり、やたらと長い数字が書かれています。17113R-2みたいに。
シマノではパワー表示のロッドは次のように表示してあります。

シマノではML表示のないルアーロッドの場合、横並びの数字のうち最後の数字がロッドの硬さ(パワー)を表しています。
このようなロッドの硬さの表示方法を便宜的にパワー表示と呼んでいます。
パワー表示はジギングロッドでは伝統的な表記方法です。
ジギングロッドでは今でもパワー表示のロッドが多数あります。

シマノのフリースタイルロッドの表記はわかりにくいので、 ついでに他の数字についても説明しておきます。
モデル名のアタマ(一番左)についているアルファベットまたは数字がスピニングロッドとベイトロッドの区別を表しています。
(下1桁の2や4や3や1はパワー表示)

要するに…

真ん中の2桁(まれに3桁)の数字はロッドの長さ(レングス)を表しています。

70は7.0ft、63は6.3ft、711は7.11ftです。
65や75という数字はもともと6ft半とか7ft半という意味だったと記憶しています。
1ftは12インチなので、1ftの半分は6インチです。
なので、僕の中では65は6ft半=6フィート6インチ(6.6ft)、75は7ft半=7フィート6インチ(7.6ft)という認識でした。
つまり、12進法のフィートを日本人にわかりやすく10進法に変換していると思っていました。
でも、近年になってシマノのロッドに17113というロッドが登場しました。これは、7.11ftのロッドです。
このロッドは12進法のフィートを12進法のまま表示しています。
この711(7.11ft)の表示方法に従えば、65という長さは6ft半(6.6ft)ではなく、数字どおり6.5ftということになります。
長さを測ってみればわかりますが、65が6.6ftなのか6.5ftなのか最近はよくわからなくなってきました。
ML表示の設定方法
一番ユーザーを混乱させている原因は
ML表示上は同じ硬さなのに、実際のロッドの硬さはメーカーによって違う
ってこと。
つまりS社のMLクラスのロッドとD社のMLクラスのロッドは硬さが違うということです。
なぜこういうことが起こるのでしょうか?
ML表示の硬さに決まりはない
圧倒的多数のロッドに採用されているML表示ですが、実はメーカーによってかなり違いがあります。
シーバス(オカッパリのキャスティング)ロッドを例にとってみます。
【シマノ】ML=6~28g
【がまかつ】ML=5~24g(ラグゼチータR2参照)
どのメーカーのロッドも硬さの表示はMLクラスですが、MLクラスのロッドで投げられるルアーの重さに違いがあります。
つまり、同じようにMLと表示してあっても、メーカーによってロッドの硬さにはけっこう違いがあります。
ちなみに、適合ルアーウエイトを基準に考えると次ぎのようになります。
どれも適合ルアーウェイトが~28g(30g)クラスのロッドですが、ML表示がすべて違います。
【シマノ】ML=6~28g
【がまかつ】M=5~30g(ラグゼチータR3参照)
※上記に当てはまらないロッドも多く存在します
見事なまでにバラバラ
これだけバラバラだと

っていわれても

ってことになります、マジで。
2大メーカーのダイワとシマノで違うってのがユーザーを混乱させている根源かもしれませんが…
でも、同じ「ML」って硬さなのに、これだけメーカーによって硬さが違うと

って疑問もあります。
実はロッドの硬さを設定する方法は2パターンに分けられるそうです。
つまり、エキスパートアングラーモデルかエントリーモデルかの違いによってML表示の硬さの設定方法が違っているそうです。
エキスパートアングラーモデル
ダイワやシマノの最上位機種(モアザンブランジーノやエクスセンスジェノス)のロッドは、各モデルごとにプロスタッフやプロインストラクターの意見・わがままを余すことなく取り入れた(モデルによっては超個性的な尖った性能の)エキスパート好みのロッドたちです。
こういったエキスパートアングラーの意見やわがままを取り入れた最上位モデルのロッドはそのエキスパートアングラーの主観でML表示が設定されています。

って感じで。
普段柔らかめのロッドを使っている他のエキスパートアングラーがそのロッドを使えば

ってこともあるそうです。
ただ、最終的には開発担当のプロアングラーがMLクラスといっているのでMLクラスになるそうです。
要するに開発担当のプロスタッフ目線で適当(適切)に設定されているということです。
エントリーモデル
ダイワのラブラックスやラテオ、シマノのルナミスやディアルーナといったエントリーモデルのロッドは、良くも悪くも癖のない汎用ロッドです。
エキスパートアングラーモデルとは対照的な性格です。
エントリーモデルのロッドに関してどのようにML表記を設定しているかは公にされていませんが、以前から↓のように噂されています。
(前提として)ダイワもシマノもシーバスロッドの標準的な硬さはミディアムライトクラス(MLクラス)と考えています。
そして、ここからが各社の思想が分かれるところです。
ダイワは

って感じでML=~35gという設定になっています。それよりワンランク柔らかい~28gくらいのロッドはLクラス。
シマノは

って感じでML=~28gという設定になっています。
ちなみに、がまかつは

標準的なロッドなら~30gくらいまで使えた方がいいっしょ!
って感じでM=~30gという設定になっています。

要するに・・・
ML表記は、エキスパートアングラーモデルもエントリーモデルも、各社のロッドの設計思想・釣り思想に基づいて設定されています。
要するに、基準となるような硬さがあるわけではなく、ML表示の設定方法はメーカーに委ねられているということです。
昔フィッシングショーで聞いた話ですが、そのときの開発担当者は真面目な話として
だいたいこれくらい
って感じで設定してるって言っていました。

パワー表示の設定方法
じゃあ「パワー表示の設定は緻密なのか?」といえば…
表向きは緻密に設定されていると言われています。
〇〇gのオモリをぶら下げたらこのくらい曲がるからこのロッドは2番パワー
という一応の基準があるそうです。
でも、結局それって、メーカーにしか分かりません。
メーカー的な基準があるからといって、それが公にされているわけではないので、ユーザーにとってパワー表示がわかりやすい表示方法というわけではありません。
僕の持っているロッドはシマノのものが多く、そのほとんどのロッドがパワー表示ですが、いまだによくわかりません。

4番でも良さそうなくらい硬いけど…
っていうロッドもけっこうあります。
結局のところパワー表示もよくわからないです。
結局適合ルアーウエイトがわかりやすいんだが…
ルアーロッドの硬さがMLで表示されていようがパワーで表示されていようが、ぶっちゃけわかりにくいんだよね、抽象的だから。
それくらいML表示もパワー表示もメーカーごとに違うから基準にならないんだよね。
正直、ロッドの硬さの表示はMLもパワーもなしにして全部適合ルアーウェイトで表示してくれって思っています。
でも、そうもいかない事情があります。
実は「5~28g」っていう適合ルアーウエイトですら
だいたいこれくらい
って感じで設定されてるらしいです、マジで。
まあ、よくよく考えてみれば、ロッドの適合ウエイトを1g単位でコントロールできると思えないし、子どもの頃なんて適合ウエイトなんて無視して~28gのロッドで15号のオモリ(56g)を投げてたこともありました。
実際のところ適合ルアーウェイトも基準としてはかなり微妙。
S社のロッドは~28gでもかなり張りが強いのに、M社のロッドは~28gでもペナンペナンってことも普通にあります。
釣り雑誌やウェブメディアでは当たり前のように”〇〇にはMクラスのロッドが使いやすい”みたいな書かれ方をすることがありますが、これは本当にあてにならないので注意が必要です。
このメディア(ナチュラルリリース)でもそうです。
ロッドの硬さの表示はそれくらいテキトーなんだと思ってもらって差し支えありません。
このロッドは、適合ウエイトの上限くらいのウエイトからが快適に使えるとさえ感じることもあります。
たとえば~21gのロッドであれば、20gくらいからが快適に使えるっていうやつもあります。
それくらい適合ウエイトもあてにならないです。
同じMLでも釣りジャンルごとに硬さは違う
これはよくある誤解ですが

みたいな質問。
確かにエリアトラウトとかメバリングって標準的なロッドの硬さはULクラスといわれることがほとんど。
じゃあ、ULクラスならバスロッドでもイイか?って聞かれれば

ってのが答えです。
全然別物のロッドです。
ULやMLという硬さは釣りジャンルごとに基準が全然違うということは知っておいてください。
ロッドは触ってみるのがベスト
◆パワー表記もメーカーにしかわからない
◆同じML表記でも対象魚によって硬さが全然違う
◆ロッドを選ぶ時は触ってみて判断すべし
ロッドの硬さ表示は、ナイロンやフロロラインのように業界全体で統一的な基準があるわけではありません。
ML表示は各社(または各エキスパートアングラー)ごとの判断でテキトーに設定されているので、ロッドを選ぶときの基準としてはかなり曖昧です。
シマノにみられるようなパワー表記も、一応のメーカー的な基準(内部基準)はあるそうですが、別に公開されているわけではないので、それはシマノにしかわかりません。

まぁ、比較できても僕にはよくわからないんだけどね。
ロッド選びは触って振る
最近はネットショップが充実していて、トイレにいながらロッドを注文できる時代になりました。
でもロッドは、釣りにおいてまさに右腕ともいうべきタックルなので、ロッドの硬さや長さに不満があると、釣りをしているときにものすごくストレスを感じるようになります。
ロッドは、自分で触ってみて(できれば試投会などで思い切り振ってみて)選ぶのがベストです。
