大型釣具店に行くと、実に多くのロッド(釣り竿)が並んでいます。
シーバスロッドだけでも相当な数があります。
そして、ロッドの値段も数千円から数万円するものまで。
というのは想像に難くないところですが…
では、なぜそのような価格差が生まれるのでしょうか?
このページでは高価なロッドと安価なロッドの違いについてご紹介します。
素材・パーツによって価格が違う
ロッドの価格差に直結するのが素材(材料)とパーツの違いです。
まず、ロッドを構成する素材としてメインになるのは次のとおりです。
・ガイド
・グリップ周りのパーツ
これらの材料がロッドの中心です。
ブランクス
ブランクスとはガイドやグリップが付いていない、釣り竿の中心になる素材です。
ブランクスにガイドを接着し、グリップを接着することで釣り竿になります。
このブランクスの原材料はカーボンです。
そして、このカーボンにもかなり多くの種類があります。
こちら↓は東レのカーボン製品表の抜粋です。
表の一番右側は製品番号で【使用炭素繊維】を表しています。
その中にM40JBというのがあります。これは、いわゆる高弾性の40tカーボン素材です。
40tカーボン素材だけでも9種類あります。
わかりやすい違いでいえば厚みです。40tカーボンには0.07mm~0.16mmの厚みの異なるカーボンシートがあります。
倍半分以上の厚みの違いがあります。
このように、竿の原料になるカーボンシートには価格の異なる様々な製品があります。
ガイド
ロッドの価格を大きく左右するパーツがガイドです。
多くのアングラーにとってあまり馴染みはありませんが、ロッドのガイドというのはとても高価なパーツです。
その中でも、チタンフレームのSiCガイドやトルザイトガイドというのはとても高価です。
ステンレスフレームのガイドと比べると、チタンフレームガイドの方が数千円単位で価格が高くなります(ロッド1本分あたり)。
メーカーのウェブサイトでロッドの説明を見ると、ガイドに関する記載を目にします。ステンレスSiCのKガイドだとか、チタンフレームのトルザイトガイドだとか…。正直なところビギナーにとってはビギナー意味わかんね[…]
2023年にシマノが、一部のロッドについて、トルザイトガイドから少し安いSiCガイドに仕様変更することを発表しました。
おそらくは、物価の高騰の影響だと思われますが…
ガイドが価格に与える影響は、それほど大きいことを物語っています。
グリップ周りのパーツ
メーカーを代表するようなハイエンドロッドになればなるほど、グリップ周りのパーツも専用の煌びやかなパーツが採用されます。
また、グリップ一つをとってもグレードの高いものが使われていることもあります。
さらには、ダイワやシマノといった二大メーカーのロッドになると、リールシートも独自の金型を自社で成形して作っています。
そのため、グリップ周りのパーツというのもロッドの価格に影響を及ぼします。
専用設計か汎用設計かによって価格が違う
釣り竿(ロッド)の価格に影響を与えるのは素材・パーツの価格だけではありません。
ロッドの金型にもコストがかかります。
ロッドを製作するときにはマンドレルと呼ばれる芯金が必要になります。
こちら↓は、ロッドの製造工程に関する動画です。
動画の最初の方(開始1分くらい)で、棒状の長細いものに黒いカーボンのシートを巻きつけている様子が映っています。
この棒状の長細いものがマンドレルと呼ばれる芯金です。
各メーカーのハイエンドロッドというのは、この芯金から専用に設計されるそうです。
つまり、芯金の設計にトライ&エラーが加わります。
そして、この芯金。
新しく設計・製作すると、けっこうなお値段になるそうです(;´・ω・)
そのため、ハイエンドクラスの高価なロッドは、芯金にもコストが掛かることになります。
これに対して、汎用設計のロッドは、(言い方は悪いですが…)マンドレルを流用することが少なくないそうです。
たとえば長さ。
汎用モデルは8.6、9.0、9.6、10.0、10.6…など。長さがだいたい決まっています。
これはマンドレルを流用しているからと言われています。
そのため、ハイエンドクラスと比べて価格を抑えることができます。
独自技術による差別化
ロッドの製造にはメーカー独自の様々な技術が採用されています。
SVFコンパイルXナノプラス、X45フルシールド、スパイラルXコア、ハイパワーX…
その独自技術を盛り込めば盛り込むほど、ロッドの価格が上がります。
逆に、使われる独自技術が少なくなるほど、ロッドは安価になります。
ロッドの製造過程において、どのような技術をどれだけ採用するかでロッドの価格が変わります。
外注かどうか
ロッドは様々なメーカーから発売されていますが、ロッドを自社製造できるメーカーは限られています。
有名どころではオリムピック・ダイワ・シマノ・がまかつ・天龍・ヤマガブランクス・アレス(宇崎日新)など。
これら以外のメーカーのロッドは、どこかのメーカーに依頼してロッドを製造してもらうことになります。
その結果、自社製造以外のメーカーのロッドは
がロッドの価格になります。
そのため、外注先の利益分だけロッドの価格が上がってしまいます。
反対に、ダイワやシマノといった大手メーカーは、ハイスペックのロッドを価格を抑えて販売することができるといえるでしょう。
高いロッドにはワケがある
釣具店に並ぶロッドの価格は実に様々です。
確かに、高いロッドはコスメ部分にも気を配ってあるので、見た目から高そうに見えます。
でも、実際に数万円の価格差がどこから生まれるのか?
ビギナーにとってはわからないことだらけです。
高いロッドには、高いだけの理由があります。
それだけ、ロッドの素材・設計・製法等にコストをかけています。
違うメーカー同士ではなかなか比較が難しですが、同じメーカーのロッドであれば、ロッドの価格差を比較しやすいです。
ガイドの素材や独自技術など、ロッドの細かい部分に興味を持つと、さらにロッド選びが面白くなるでしょう。
これについては別記事でご紹介します。