ロッドの硬さの表示方法について第4回の記事でご紹介しました。
ロッドを買おうと思ったときにまず最初に検討するのがロッドの長さと硬さ。ロッドの長さは、どんなメーカーであっても8ftと表記されていれば8フィートの長さです。でもロッドの硬さはそうではありません。ほとんどのロ[…]
一般的にロッドの硬さの表示に用いられるML表示は、案外大雑把に設定されているものです。
では、実際にロッドの硬さを選ぶとき、何を基準にどう選べばいいのか?
このページではロッドの硬さの選び方についてご紹介します。
ロッドの硬さの違いによってどんな影響があるのか?
前提として、ロッドの硬さが違うと、釣りをするうえでどういう影響があるのでしょうか?
投げられるルアーの重さが変わる
ロッドの硬さの違いが一番大きく影響するのが投げられるルアーの重さが変わるということです。
ほとんどのルアーロッドには、キャストに適したルアーの重さが表示されています。
これを適合ルアーウエイトと呼んでいます。
「5~28g」とか「7~35g」という表示です。
ロッドの硬さが変わると、キャストに適したルアーの重さが変わります。
ルアーの操作感が変わる
ロッドの硬さ変わるとルアーの操作感にも影響があります。
引き抵抗の大きいルアーを巻いてくるときに、柔らかいロッドでは、ロッドを持つ手の手首が疲れてしまいます。
逆に、引き抵抗の小さいルアーを巻いてくるときに、硬いロッドでは、引き抵抗をかなり感じにくくなります。
このように、ロッドの硬さはルアーの操作感にも影響があります。
その他の影響について
ビギナーの頃には、上記の点を気にしておけば問題ありません。
ただ、ロッドの硬さの違いは上記以外にも影響が生じるので、簡単にご紹介します。
まずは、フックングのしやすさ。硬いロッドの方が力が伝わりやすいのでフッキングしやすいです。
次に、フッキングした後のバレにくさ。柔らかいロッドの方が魚の引きへの追従性が良いのでバレにくくなります。
また、向かい風でのキャストのしやすさ。硬いロッドの方が風に負けずにロッドを振り切れるのでキャストしやすくなります。
さらに、強引な魚のコントロールのしやすさ。足場の少ない場所で魚を安全に取り込むときは、少々強引に魚を誘導することがあります。このような場合には硬いロッドの方が魚を強引にコントロールしやすいです。
これらもロッドの硬さの違いによって影響があるポイントです。
ただ、やや細かい部分なので、シーバスフィッシングに慣れてきてから気にすればいいでしょう。
ロッドの硬さの選び方
ロッドの硬さの違いによって上記のような影響があるとして、では、実際にどうやってロッドの硬さを選べばいいのでしょうか?
適合ルアーウエイトを基準にする
ほとんどのロッドに採用されているML表示には統一的な基準はありません。
多くのメーカーでは~28gをMLクラスと定めているようです。
でも、二大メーカーの一つダイワのMLクラスは~35gです。
また、エキスパート監修モデルのロッドは、そもそもML表示のバラつきが大きいです。
そこで、これからシーバスフィッシングを始めていこうという段階では、ML表示はそれほど気にする必要はありません。
ビギナーの頃にはML表示ではなく適合ルアーウエイトを基準にしましょう。
適合ルアーウエイトの上限を基準にする
適合ルアーウエイトはほとんどの場合に「下限~上限」という設定になっています。
そのうち、気にしなければならないのは上限の方です。上の写真↑でいうと20gになります。
適合ルアーウエイトの上限は、これを超えるルアーを投げるとロッドが破損するリスクが生まれます。
しかし、適合ウエイトの下限は、これを下回るルアーを投げたとしてもロッドに問題は起こりません。
単に「投げにくい」「全然快適ではない」という使用感の問題です。ロッドに深刻なリスクがあるわけではありません。
そのため、適合ルアーウエイトは上限を基準に考えます。
まずは「使う(予定の)ルアー」をピックアップする
ロッドの硬さを選ぶときに、まずは自分の使う(あるいは使いたい)ルアーの中から、もっとも重いルアーをピックアップします。
このルアーが、30g前後であれば「~28(30)g」の硬さのロッドを選べば問題ありません(ただし下記の例外あり)。
自分の使いたいルアーのもっとも重いルアーが35g前後の場合、~28gの硬さのロッドで釣りをするのはややしんどいです。
この場合には、適合ウェイトが~35g前後に設定されているロッドを選びましょう。
ルアーの空気抵抗を考慮する
使う可能性のあるルアーで一番重いものが28gくらいだとした場合。
「適合ルアーウエイト~28gのロッドで問題ないのか?」といえば、基本的には問題ありません。
ただ、必ずしもそうは言い切れない場合もあります。
それが、空気抵抗の大きいルアーを投げるときです。
たとえば、僕の場合でいえばフライヤー175(デュオ)というルアー。このルアーは175mmで29gあります。
じゃあ「適合ルアーウエイト~30gのロッドであれば投げられるか?」といえば、一応は問題なく投げられます。
でも、キャストに慣れていないビギナーの場合、十中八九、超投げにくいはずです。
ルアーの空気抵抗が大きいため、テイクバック→キャストに至る動作でロッドを振るスピードが上がらないからです。
結果として、放出されるルアーの初速が上がらないため、ただただ空気抵抗の大きいルアーが飛んでいくだけです。
飛びません。
そのため、ボリュームがあって空気抵抗の大きいミノーの場合は、適合ルアーウエイトの80~85%が上限くらいに考えておいたほうがいいでしょう。
適合ウエイト~28gのロッドであれば、キャストに不慣れなビギナーがスムーズに投げられるミノーは、24gくらいまでと考えておいたほうが無難です。
ルアーを使う頻度を考慮する
ロッドの硬さを選ぶときには、上限の重さのルアーについて、使う頻度(出番)も考慮する必要があります。
たとえば、上限で28gくらいのメタルバイブレーションを使うけど、あくまで「たまに使う」程度であれば、適合ウエイト~28gのロッドで問題ありません。
でも、28gくらいのメタルバイブレーションをメインで使うのであれば、適合ウエイト~28gのロッドよりもワンランク硬いロッドの方が快適に釣りができるでしょう。
メインで使うルアーのウエイトよりも、ワンランク余裕を持たせた硬さのロッドの方が快適に釣りができます。
実は難しい!?ロッドの硬さ選び
上記のようにロッドの硬さを選んでいただければ、基本的には問題ありません。
ただ…
そうは言っても、ビギナーの頃というのは、どんなルアーが自分のメインルアーになるかって全然わからないんですよね。
メインルアーというのは足繁く通うメインフィールドや自分の好みのスタイルによって徐々に形成されていきます。
たとえば、僕が中海・宍道湖・大橋川で釣りをする場合、メインルアーはトップウォーター・ミノー・シンキングペンシル、一部の特定のポイントや初場所では(メタル)バイブレーションも使う、といった感じです。
そのため、ロッドは7.0ft(~20g)と8.2ft(~26g)をメインで使っています。
ベイトが大型のときは9.0ft(~30g)というやや硬めのロングロッドも使います(出番は少ないです)。
これは、中海・大橋川・宍道湖エリアを転々としながら、好みのポイントや好みのスタイルが形成されていった結果です。
でも、ロッド選びは、好みのポイントやスタイルが固まる前に選ばなければなりません。
なので、「自分のよく使うルアー」という基準は変化していく可能性があり、実はビギナーの頃にはあまり役に立たないこともあります。
それでもロッドを選ばないと釣りができない
自分の好みのポイントや好みのスタイルが形成される前に「自分のよく使うルアー」というのは選びにくいものです。
では、そんなときは、ロッドの硬さはどう選べばいいのか?
月並みな答えですが
この硬さが一番汎用性が高い硬さです。
MLクラスが汎用的な硬さといわれるのには次のような理由があります。
ビギナーが多用するルアーの多くがその範囲に収まる
MLクラスが汎用と呼ばれる一番の理由は
ビギナーが多用する大半のルアーがその範囲に収まる
ということです。
ビギナーがよく使うミノーのサイズといえば、大きいところでも140mmクラスまでがほとんどでしょう。
140mmクラスのミノーであれば、適合ウエイト~28gのロッドの80~85%に収まるものがかなり多いです。
また、空気抵抗の少ないバイブレーションですら、最近は28g未満のものがかなり増えてきました。
適合ウエイト~28gくらいの硬さであれば、相当多くのルアーをカバーすることが可能です。
Mクラスより巻き抵抗がわかりやすい
すてに述べたとおり、適合ウエイトの下限は気にしなくていいというのであれば
と思われるかもしれません。
しかし、10g台のルアー(特にシンキングペンシルなど)は、MクラスのロッドよりMLクラスのロッドの方がルアーの巻き抵抗を感じやすいです。
ルアーの巻き抵抗(ルアーが受ける水圧)の強弱を感じることは、ルアーフィッシングをするうえでとても重要なスキルです。
もちろん、Mクラスでもルアーの受ける水圧を感じることができます。でも、MLクラスのロッドのほうが水圧をより感じ取りやすいです。
Mクラスよりロッドが軽い
同じメーカーの同じシリーズの同じ長さのロッドを比べた場合、MクラスよりもMLクラスのロッドの方がやや軽いです。
基本的にロッドは、硬くなればなるほど、強くなればなるほど、素材となるカーボンの量が増えるので重くなります。
同じシリーズの同じ長さ同士で比べると、柔らかいモデルの方が軽いです。
たいした差ではありませんが、MクラスよりMLクラスのロッドの方がやや軽くなります。
張りのあるロッドの方が空気抵抗のあるルアーを投げやすい
最後に、ロッドの「張り」について少しだけご説明しておきます。
適合ウエイト~28gのロッドでも、メーカーやシリーズによって、ロッドを振った時に硬く感じるロッドがあります。
という場合があります。
これは、A社の方がロッドの張りが強いために起こる現象です。
ロッドに使用されるカーボン素材にはたくさんの種類があります。
このカーボン素材の種類と組み合わせ方次第で、同じ硬さでも様々な性格のロッドに仕上がります。
小さい負荷でもマイルドに曲がるロッドもあります。逆に、小さい負荷ではそれほど曲がらないけど、負荷をかけていくほどよく曲がるロッドもあります。
ちなみに、やや空気抵抗の大きいルアーを使うことも視野に入れている場合には、MLクラスの硬さでも少し張りのあるシャッキリとしたロッドを選ぶと良いでしょう。
張りのあるロッドの方が、テイクバック→キャストの過程でロッドを振るスピードを出しやすいです。
結果として、キャスト時のルアーの初速が上がり、空気抵抗の大きいルアーでもロングキャストしやすくなります。
MLクラスを選ぶのには理由がある!
ロッドの硬さ選びでは、使用するルアーの重さやそのルアーを使う頻度によって硬さを選ぶのが一般的です。
でも、ビギナーの頃は「自分がどんなルアーをどんな頻度で使うか?」という青写真を描ける人はほとんどいないでしょう。
それでも、ロッドを選ばなければ釣りはできません。
そのため、ロッドの硬さ選びというのは、ビギナーにとっては実はけっこう難しいものです。
では、困ったときにはどんな硬さのロッドを選べばいいか?
もっとも汎用性が高い硬さが適合ウエイト~28g(30g)(いわゆるMLクラス)のロッドです。
MLクラスが汎用性が高いといわれるのにはしっかりとした理由があります。
ロッドの硬さに困ったときは、MLクラスを検討してみてはいかがでしょうか。