シーバスアングラーに意外に軽視されがちな超重要ファクターが『レンジ』です。
レンジの攻略なくしてシーバスを釣ることはできません。
仮に、レンジをまったく気にせずに魚が釣れた場合、それは偶然の釣果といえるかもしれません。
より釣果を残すためにはレンジ(タナ)の攻略が不可欠です。
このページではシーバスフィッシングにおける【レンジの重要性】についてご紹介します。
レンジ(タナ)の重要性
タナは釣りの基本中の基本
シーバスフィッシングに限らず、釣りにおいて『レンジ(タナ)』というのはとても重要なファクターです。
特にタナが重要視されるのがフカセ釣り(ウキ釣り)。
フカセ釣り師の間で釣果情報交換をするときに「どれくらいのタナで釣れたか?」ということをスルーすることはあり得ません。
フカセ釣りにおいてタナは、安定した釣果を残すための生命線です。
ここで考えてほしいのが、エサの匂いやアミノ酸などの成分が拡散するエサ釣りでさえ、タナが重要とされている事実があるということです。
フカセ釣りの経験がない人からすると、
と思うかもしれません。
そうではありません。
フカセ釣りにはタナ取りという言葉があります。
それくらい、就餌層へエサを送り込むことは重要な作業です。
じゃあ、ルアーフィッシングにおいてどれだけレンジ(タナ)が重要か?
これを考えたとき、フカセ釣りとの対比において理解できると思います。
匂い成分やアミノ酸を拡散できるエサ釣りですらレンジが重要なのです。
そうだとすると、匂いやアミノ酸なんて発しないプラスチックの塊で狙うシーバスフィッシングにおいては、エサ釣り以上にレンジにシビアになるべきです。
演繹的な説明になってしまいますが…
ルアーは、エサ釣りよりも魚を惹きつける能力が劣ります。
そのため、ターゲットの就餌層となるレンジにルアーを送り込むことはとても重要なことです。
しかし、それは、『魚を惹きつける能力』とは別次元の問題です。
想像してみよう
ここで、なるべくリアリティを持って想像してみましょう。
たとえば、学校のプールに入っているところを想像してください。
あなたの足元(プールの底)にシーバスが泳いでいるとします。
このプールの底にいるシーバスが、水面を泳いでいるベイトを捕食するために瞬発的に急浮上してくるか?
学校のプールの水深なんて、せいぜい1.3mくらいです。
おそらく
と感じる程度の距離感があるはずです。
でも、メタルバイブレーションだと2秒あれば余裕で沈んでしまうほどの水深しかありません。
広くて深い海の中の1.3mなんて大したことないように思ってしまいがちです。
でも、実際はバイブレーションを1秒長く(短く)沈めてしまうだけで「食わないかも」って思えるほどの距離があります。
レンジというのはそれくらいシビアになるべきファクターです。
レンジの分け方
ルアーフィッシングにおいてはレンジを3つに区分するのが一般的です。
◆ミドルレンジ(中層)
◆ディープレンジ(底層)
この3つです。
特別な決まりはありませんが、この3つは下記のように区分することが多いです。
◆ミドルレンジ :1.5~3.0m
◆ディープレンジ:3.0m~ボトム
これらレンジごとにアプローチ方法やアプローチの難易度が異なります。
そのため、それぞれのレンジの特徴やアプローチ方法については別の記事でご紹介します。
『レンジ』というワードに関する注意点
シーバスフィッシングにおいて、レンジはやや軽視されがちなファクターです。
釣果情報を交換する場合などでも「どんなルアーで釣れたか?」は必ずと言っていいほど聞かれます。
でも、「どのレンジ(深さ)で釣れたか?」が聞かれるかどうかは半々くらいです。
もちろん、釣れたルアーが分かれば釣れた水深も明らかというときもあります。
でも、そうでないこともかなり多いのが実際のところです。
レンジに対するこのような大雑把な認識は、『レンジ』という言葉使いそのものにも表れています。
「絶対的なレンジ」と「相対的なレンジ」
『レンジ』というワードには2つの意味があります。
それは「絶対的な意味のレンジ」と「相対的な意味のレンジ」です。
「絶対的な意味のレンジ」とは、「水深〇〇mまでがシャロー」とか「水深〇〇~〇〇mまでが中層」というように、水深〇mという絶対的基準を用いて表現されるレンジのことです。
僕が↑で記載したレンジの区分がまさに「絶対的な意味のレンジ」です。
「相対的な意味のレンジ」とは、(目の前の)釣り場の深さごとにレンジを区分した説明方法です。
たとえば、水深1.5mのエリアで釣りをするとします。
「絶対的な意味のレンジ」からいえば、このエリアは全体がシャローレンジなので、普通はシャローエリアと表現します。
でも、相対的な意味のレンジという言葉を使う場合、この1.5mの水深を3つに区分して表現することがあります。
水面~50cmが表層、50cm~1mが中層、1m~ボトムが底層と。
たぶんね…
確かに、このエリアだけをみたときに水深1.5m付近はディープレンジといえるかもしれません。
でも、水深1.5m付近をディープレンジと表現するのは僕にとってはけっこう違和感を覚えます。
逆に、水深が12mくらいある場所だと、水面~4mが表層、4m~8mが中層、8m~ボトムが底層ということになると思います。
これについても、フローティングミノーでは狙えないような水深3mラインを『表層』というも違和感があるし、ほぼバイブレーションでしか狙えない水深7mラインを『中層』と表現されるのもちょっと微妙な感じです。
とはいえ、目の前に広がる水深12mエリアに限定して考えると、確かに水深6mとか8mくらいでも中層ということになるでしょう。
『レンジ』という言葉は便利なので多用されますが、こう考えると、表層とかミドルレンジという言葉が指す『深さ』はバラバラの場合がけっこうあるということです。
また、こういうふうにレンジという言葉を大雑把に多用しているあたりも、レンジに対するこだわりのなさということもできます。
どちらが正しいということはない
「絶対的な意味のレンジ」と「相対的な意味のレンジ」は、どちらが正解でどちらが間違っているということはありません。
「絶対的な意味のレンジ」も「相対的な意味のレンジ」も、意味としてはどちらも理解できるところです。
そのうえで気をつけておかなければならないのが、動画やウェブサイトなどで情報を得る側のアングラー(視聴者、閲覧者)は、レンジについて説明しているアングラーがどちらの意味で使っているかをきちんと理解しておかなければならないということです。
たとえば、動画のプロアングラーは水深10mくらいのエリアを想定して水深6mくらいのミドルレンジの説明をしているのに、その動画を視聴している一般アングラーが「ミドルレンジ=1.5~3m」と受け取ると、話が噛み合わなくなってしまうということです。
レンジの重要性を理解してアプローチ方法を考える!
レンジは、シーバスがエサを捕食するための層であり、その層を外れるとまったくと言っていいほど魚が反応しなくなるほど重要なファクターです。
エサ釣りではタナとも呼ばれており、「タナ取り」はチヌやグレを狙うのには必須といわれる項目です。
もちろん、シーバスフィッシングにおいてもレンジを定めてその層を狙うことはとても大切な作業です。
レンジは、大きく「表層」「中層」「底層」に分けられますが、それぞれのレンジでアプローチの難易度やアプローチ方法が変わります。
そのため、それぞれのレンジの特徴を理解して、それぞれのレンジに適したアプローチ方法を知る必要があります。
第9回以降では、それぞれのレンジの特徴と、アプローチ方法についてさらに細かくご紹介します。