ルアーフィッシングにおいて王道のアプローチ方法であるマッチ・ザ・ベイト。
ルアーのサイズや形を、捕食されるベイトに合わせることを言います。
でも、マッチザベイトにこだわりすぎると、かえって釣りの選択肢を狭めることにもなります。
そもそも、マッチザベイトを無視するとシーバスは釣れないのか?
ベイトのサイズや形を無視するとルアーに食いついてこないのか?
このページでは、マッチザベイトの必要性と問題点についてご紹介します。
マッチ・ザ・ベイトの必要性
このウェブサイトでは何度もご紹介してますが、ルアーはエサではありません。
しつこいようですが、ルアーはただのプラスチックの塊です。
最近のルアーフィッシングシーンでは、多関節のクネクネ動くルアーや、本物のベイトフィッシュのカラーを追求したリアル系カラーが話題を呼んでいます。確かに、リアル系ルアーはアングラーの購買意欲をかき立てます。しかし、実際[…]
もともと、魚にとっては異質な存在です。
それがルアーです。
そのため、ルアーの違和感を排除するために、マッチザベイトという考え方が必要になります。
また、魚には偏食の傾向があり、いま捕食しているエサ以外のエサにはあまり見向きもしない、といわれることがあります。
これらの理由から、ルアーのサイズや形をベイトに合わる必要があります。
マッチ・ザ・ベイトから生じる問題点
プラスチックという異質な道具に食いつかせるシーバスフィッシングにおいて、マッチザベイトという考え方はとても重要です。
シーバスに「ルアーが異物である」と認識されてしまうと元も子もありません。
しかし、だからといって、ベイトに似せることを追求すればシーバスに近づけるのか?といえば、そうとは限りません。
マッチザベイトにこだわることから生じる問題として
選択肢の幅が狭まる
という弊害が挙げられます。
たとえば、ルアーボックスに20個のルアーが入っていたとします。
その中で、ベイトにマッチしているサイズ感のルアーは5個です。
こういう状況で、マッチザベイトにこだわり過ぎると、マッチしている5個のルアーを集中的にローテーションすることになります。
でも、実は、残りの15個の中にもっと状況に合ったルアーがあるかもしれません。
それにもかかわらず、サイズ感や形だけで5個のルアーに選択肢を限定してしまうことは、弊害しかありません。
マッチ・ザ・ベイトを無視するとシーバスは釣れないのか?
そもそも
マッチザベイトを完全に無視してしまうとシーバスは釣れないのか?
という疑問があるところです。
そこで、典型的なサヨリパターンの中海で、マッチザベイトをガン無視してシーバスを狙ってみた動画がコチラです。
状況としては、僕の立ち位置周辺でシーバスがサヨリをバンバン追いかけて捕食音を響かせている中、サヨリとはフォルムの異なるシンキングペンシルでシーバスを狙ってみた、という感じです。
この時は、シーバスがサヨリを追いかけつつ、BANQに気づけばBANQを食ってくるというような感じでした。
つまり、サヨリに似ていないシンキングペンシルでも普通に釣れました。
しかも、難攻不落といわれるサヨリパターンのときです。
要するに
捕食対象になっているベイトに似ていなければ絶対に釣れない、というわけではない
ということです。
マッチ・ザ・ベイトの正しい理解
マッチ・ザ・ベイトの本質
ベイトに似ていなくても釣れるってなると、もう一度原点に戻って、マッチザベイトの意義や有用性を考えてみる必要があります。
ベイトに似ていなくても釣れる。でも、マッチザベイトという考え方が必要である。
そうすると、マッチザベイトの本質はどこにあるのか?
それは、ベイトのマネをすることではありません。
マッチザベイトの本質は
・適切な就餌層(フィーディングエリア)にルアーを送り込むこと
です。
ルアーの違和感を排除
繰り返しになりますが、ルアーというのはエサではありません。
ただのプラスチックの塊です。
ルアーをエサに似せられるだけ似せて、エサと間違えて食いついてもらう…という受け身の釣り方がシーバスフィッシングではありません。
プラスチックの塊を操作して、シーバスの興味を惹いてバイトを引き出す。
それがシーバスフィッシングの醍醐味です。
そのためには、最低限、ルアーを捕食可能なターゲットと認識させる必要があります。
そこで、プラスチックの塊という違和感を和らげるために、ある程度はベイトに似せる(ベイトっぽくする)必要があります。
誤差程度のルアーのサイズは気にしない
マッチザベイトにこだわろうとすると、ルアーのサイズをベイトに近づけようとする傾向になります。
でも、誤差程度のサイズの違いはそれほど気にする必要はありません。
どのくらいの違いが『誤差』といえるかは人によって意見の分かれるところでしょう。
僕の場合、5cmくらいの差はそれほど気にしていません。
というのも、実際に泳いでいるベイトを見ると、(当たり前の話ですが)同じサイズばかりではありません。
20cmオーバーのサヨリもいれば、15cmに満たないような所謂エンピツサヨリも混在しています。
もちろん、サイズがまとまっているときもあります。
でも、基本的には2~3cmの差は当たり前です。
そんな自然界のベイトの状況を前提にすると、160mmか140mmか120mmか…ということをそれほど神経質に考えることは通常はありません。
ただし、魚種によっては、ルアーのサイズ違いで極端に食いが悪くなる魚もいます。
たとえば、コノシロ。
コノシロパターンのときに60mmとか70mmクラスの小さいルアーを使うと、シーバスより先にコノシロがルアーを食ってきます。
そこで、100mmクラスにルアーのサイズを上げると、コノシロのバイトが極端に減ります。
魚種や状況によってはルアーの細かいサイズ違いでアタリに差が出ることはあるでしょう。
ただ、微妙のサイズの違いを常に意識しておかなければならない…ということはないでしょう。
就餌層へルアーを送り込む
ベイトの種類によっては、泳いでいる層が限定される魚種がいます。
ハゼやキスやヒイラギは底物ベイトの代表格です。反対に、サヨリは表層ベイトの代表といえます。
「ベイトに合わせてルアーを選ぶ」ということは、ベイトが捕食されるエリアにキッチリと送り込むことができるルアーを選ぶということでもあります。
たとえば、シーバスが70m先で表層のサヨリを捕食していたとします。
この場合、40mしか飛ばないサヨリそっくりのルアーを投げても意味はありません。70m先まで届くシンキングペンシル・メタルジグ・バイブレーションで狙います。
あるいは、水深5mくらいの河川でシーバスがハゼを捕食していたとします。
この場合、ハゼに近いサイズのシンキングペンシルで狙っても、狙いづらいだけです。バイブレーションのようなボトムをしっかりと引けるルアーで狙います。
このように、シーバスの就餌層(フィーディングエリア)にルアーを送り込むことは、ルアーをベイトに似せることよりもはるかに重要です。
マッチ・ザ・ベイトの本質を理解して適切なルアーを選ぼう!
マッチザベイトという考え方は、「サイズや形がベイトに似たルアーを選ぶ」ということだけがクローズアップされがちです。
でも、マッチザベイトという考え方で重要なのは、ルアーをベイトに似せることだけではありません。
ベイトに似ていないルアーを使っても、シーバスはいくらでも釣れます。
マッチザベイトの本質は、プラスチックの塊であるルアーの違和感を和らげることと、ベイトが捕食されているスポットに的確にルアーを送り届けることにあります。
ベイトに似せることにこだわりすぎず、ベイトが捕食されている状況に合ったルアーを選びましょう。