ゼロから始める実釣編で「無意識的な縛り釣行は釣りの幅を狭める」という話をご紹介しました(実釣編第16回)。
釣りは自然が相手のレジャーです。どれだけ人間目線で考えたところで、どんなアプローチ方法が正解か?ということを1つに絞ることはできません。仮に魚が釣れれば、そのアプローチ方法は、いくつかある答えのうちの一つ…という可[…]
しかし、縛り釣行を積極的に活用すると、実は釣りの幅を広げることができます。
このページでは、意識的な縛り釣行のメリットについてご紹介します。
無意識的な縛り釣行は『釣りの幅』を狭める
釣りに『答え』を求めるリスク
ゼロから始める実釣編では
釣りに正解を求めると、無意識的な縛り釣行に陥り、釣りの幅を狭めることになる
というお話をご紹介しました。
釣りは自然が相手のレジャーです。どれだけ人間目線で考えたところで、どんなアプローチ方法が正解か?ということを1つに絞ることはできません。仮に魚が釣れれば、そのアプローチ方法は、いくつかある答えのうちの一つ…という可[…]
釣りは自然が相手のレジャーです。しかも、その相手は魚です。
釣りはそもそも不確実な要素のうえに成り立っています。
とプロアングラーが情報発信したとしても、それは『答え』ではなく、可能性の一つにすぎません。
プロアングラーの発信する情報を『答え』として受け取ってしまうと、その時点で、あなたの釣りの幅はその答えらしきものに限定されてしまいます。
「ベイトが〇〇のときは△△カラーで釣りをする」という縛り釣行を無意識的に行っているようなものです。
という引き出しを閉ざしてしまうことになります。
このように、釣りに『答え』を求めると無意識的な縛り釣行に陥る可能性があり、ひいては釣りの幅を狭めることにつながります。
意識的な縛り釣行で釣りの幅が広がる?
無意識的な縛り釣行は釣りの幅を狭めるおそれがあります。
しかし、縛り釣行を意識的に行うと、逆に釣りの幅を広げる可能性も秘めています。
それはどういうことか?
ルアーの縛り釣行
一個だけルアーを持って行く
一番よくやるのがルアーの縛り釣行です(ルアー縛り)。
ルアーを1個だけ持って釣りに行く、というような方法です。
ルアーを1個だけ持たされたアングラーがどういう心理状態になるか?
その1個のルアーを使ってなんとか魚を釣ってやろうと思って、ルアー1個であらゆる手を尽くすようになります。
スピードに変化をつけたり、ルアーを止めてみたり。あるいは、ストップアンドゴーをしてみたり。
スピードの変化だけでもいろんなパターンを試します。
ほかにも、ジャーキングをしてみたり、リッピングをしてみたり。いろんなアクションを試すでしょう。
さらには、そのルアーが活躍しそうだと思えば、普段行くことのないポイントにも行ってみようと思うことがあります。
そのルアー1個しかないのに「同じスピードのタダ巻きしかしない」という人は、ほとんどいないと思います。
ルアー縛りはルアーへの理解を深める
1個のルアーだけでなんとか魚を釣ってやろうと思ったとき、アングラーは、そのルアーの機能を最大限に引き出すことに努めます。
とにかくいろんな使い方を試みるようになります。
その中で、
とか、
といった感じで、いろんな発見をすることになります。
一定のスピードのタダ巻きだけでは気づかなかったルアーの新たな一面に気づくことができます。
タックルボックスにいろんなルアーが入ってると、普通はこんなことはしないでしょう。
ルアーボックスにルアーがたくさん入っている場合、あるルアーのタダ巻きを試してみて、釣れなければ「はい、次のルアー」となるのが普通です。
ルアーの縛り釣行は、そのルアーへの理解を深め、ルアーに組み込まれた機能を最大限に引き出すという大きなメリットがあります。
潮周りの縛り釣行
これもよくやる縛り釣行の方法です。
長潮や若潮の潮周りは必ず釣りに行く、という方法です。
一般的に長潮や若潮は潮の動きが小さくて釣りにくいと言われます。
タイドグラフを見ても潮位の変化は少ないです。
そのため、長潮や若潮の状況を釣り場で確認することなく、初めから「長潮のときは釣りをしない」というアングラーさえいます。
でも、机上で想像していても
自分なりに納得できる答えは出てきません。
そこで、長潮のときは必ず釣りに行く、という縛り釣行をしたことがあります。
長潮の潮周りのときにじっくり釣りをすることで、初めてわかることがあります。
とか、
とか。
逆に、
と思うこともあります。
特定の潮周りに必ず釣行することで、聞きかじっていた話とは違う状況もたくさん見えてきます。
想像してみよう!
たとえば、この↓ルアー1個でシーバスを狙うことになったとしたら…
このルアーをどんなふうに使いますか?
「一定のスピードのタダ巻きしかしない」というアングラーはほとんどいないでしょう。
多くのアングラーは
どうやって動かせばいい?
そもそも、浮くの? 沈むの?
というところから情報収集することになるはずです。
そして、試行錯誤しながら、
とか
というように、このルアーへの理解を深めていきます。
ルアー1個で縛り釣行をすると、そのルアーでなんとか釣ってやろうと試行錯誤して、トライアンドエラーを繰り返しながらルアーの機能を最大限に引き出すことを考えるようになります。
この試行錯誤こそ、ルアーに対する理解を深める源になります。
縛り釣行をするときの注意点
練習や修行のつもりではやらない
練習や修行のごとく縛り釣行をすると、必ず飽きます。
だって、なかなか釣れないもん。
という人であれば別ですが…
釣りは楽しむための趣味なので、無理に縛り釣行をしないようにしましょう。
たとえば、目的を共有できる釣り友が居れば
みたいにゲーム感覚でやるのがいいでしょう。
そうでない場合には、気が向いたときにやってみる程度でかまいません。
義務的にやる必要はまったくありません。
縛り釣行のデメリットも理解する
縛り釣行には大きなデメリットもあります。
それは、釣れない可能性が低くない、ということ。
魚が釣れないと、フッキングや魚とのやりとりといったスキルは身につきません。
縛り釣行には「自分の頭で考えて、いろんなアプローチ方法を試すようになる」という大きなメリットがあります。
その反面、魚を釣りにくいので、魚が掛からないと習得できないようなスキルが犠牲になる可能性があります。
縛り釣行で『釣りの幅』を広げよう!
道具やシチュエーションを一定の状況に制限すると、普段とは違って、積極的に試行錯誤をして釣りをするようになります。
使うルアーを1個に絞ることで、そのルアーでなんとかシーバスを釣ってやろうと、いろんなことを試すようになります。
このような釣りは、(おそらく)普段とはまったく違った釣りの展開になるでしょう
この試行錯誤こそ、ルアーへの理解や状況の把握に深みを持たせ、釣りの幅を広めるきっかけになります。
今まで試したこともなかったルアーの動かし方に気づいたり、今まで避けていた潮周りの釣れるパターンを発見したりと、新たな収穫が必ずあるはずです。
とはいえ、縛り釣行が練習とか修行のようになってしまうと苦痛でしかありません。
自分のできる範囲でいいので一度試してみると、新たな釣りの楽しさを見つけることができるでしょう。