メーカーのウェブサイトでロッドの説明を見ると、ガイドに関する記載を目にします。
ステンレスSiCのKガイドだとか、チタンフレームのトルザイトガイドだとか…。
正直なところビギナーにとっては
という感じでしょう。
このページでは、ロッドの『ガイド』の種類と違いについてご紹介します。
ガイドの構造
ガイドリング+フレーム
ロッドに取り付けられた糸を通す穴をガイドと呼びます。
このガイドは、ラインが実際に触れる内側の黒いリング(ガイドリング)と、それを支えるフレームで構成されています。
Kガイドとは
ガイドフレームは、その形状の違いによって、いくつかの種類に分けられます。
現在、最も主流の形状がKガイド(KRガイド)と呼ばれるフレーム形状です。
従来はYガイドと呼ばれるフレーム形状が主流でした。
2009年にKガイドと呼ばれるフレーム形状のガイドが登場して以来、現在ではKガイドがほとんどです。
PEラインが主流となり、PEラインのガイド絡みを軽減するために生まれた形状がKガイドです。
フレームの材質には2種類ある
チタンとステンレス
近年主流となったKガイドと呼ばれるフレーム形状。
形は同じでも、フレームに使われる材質には2種類あります。
一つはチタン。もう一つはステンレスです。
チタンフレームの特徴
チタン製のガイドフレームには次のような特徴があります。
・錆びにくい
・高価
大きなメリットとしては軽量で錆びにくいという点が挙げられます。
その反面、ステンレス製のガイドよりもかなり高価な素材です。
そのため、主にハイエンドクラスのロッドに採用されています。
ステンレスフレームの特徴
ステンレス製のガイドフレームの特徴は次のとおりです。
・錆びる
・チタンよりも安価
ステンレスフレームの最大の特徴は安価ということです。
たとえば、シーバスロッドの一番大きな口径のガイドをチタン→ステンレスに変更するだけで、ガイドの価格が4000円以上安くなります。
ガイド全体でみると6000円以上の差になるでしょう。
ステンレスフレームはロッドの価格を抑えるのにとても有用です。
その反面、チタン製ガイドよりもやや重く、また、海水で使用するとガイドフレームに錆びが浮いてきます。
エントリーモデルのロッドはすべて、価格を抑えるためにステンレスフレームが採用されています。
ガイドリングの種類と特徴
SiCとトルザイト
上記では、ガイドを構成するパーツのうち、ガイドフレームの形状・材質についてご紹介しました。
そして、ガイドを構成するもう一つのパーツがガイドリングです。
ガイドフレームの内側に付いているセラミックのリング部分のことです。
エントリーモデル以上のロッドに採用されているガイドのガイドリングには2種類あります。
それが、SiCリングとトルザイトリングです。
SiCリングとは
SiCリングとは、炭化ケイ素(化学式:SiC)でできたガイドリングのことです。
SiCリングには次のような特徴があります。
・超低摩擦抵抗
・超硬度
・軽量
SiCリングは、熱や摩擦からラインを保護するというガイドに求められる性能を、どれも超高次元で満たしています。
そのため、登場から40年近く経った今でも、SiCリングはガイドの中では圧倒的なシェアを誇っています。
また、放熱性や低摩擦性に並んで特徴的なSiCリングの性能が硬度です。
炭化ケイ素の硬度はモース硬度で9.5といわれています。
SiCは、地球上で最も硬い鉱物であるダイヤモンド(モース硬度10)に次ぐ硬さを誇ります。
そのため、ガイドリングにルアーのフックを引っ掛ける程度ではまったく傷はつきません。
トルザイトリングとは
トルザイトリングとは、史上最高のライン保護性能を謳う極薄型・極軽量の最新のガイドリングです。
トルザイトリングの特徴は次のとおりです。
・極・軽量
・極・ライン保護性能
・極・耐磨耗性能(削れにくさ)
・極・感度
トルザイトリングの大きな魅力の一つが、極薄型にしたことで実現できた極軽量という点です。
とにかく軽い
ロッド1本あたりで、ガイドの重量が2~3gほど軽量化できます。
と思ったそこのあなた!
ガイドの軽量化はロッドの性能(フィーリング)にとでも大きな影響を及ぼします。
最近だいぶ巷に浸透してきたKRコンセプト設計のロッドですが「そもそもKRコンセプトにすると何のメリットがあるんだよ?」とガイド設計を気にしているアングラーってどのくらいいるでしょうか?正直なところほとんどいないと思[…]
トルザイトリングのもう一つの大きなメリットは極感度です。
トルザイトリングは反響しやすい素材でできています。
そのため、SiCと比べると、ロッドから手元に伝わる情報量がとても多くなります。
トルザイトのその他の特徴であるライン保護性能とは、ラインに加わるガイドの圧力(接触圧)が小さいという意味です。
トルザイトリングは、リングとラインとの接触面が大きくなるように設計されています。
どういうことかといえば…
SiCは、リングとラインの接触面が小さく、リングとラインが『点』で接します。
これに対して、トルザイトは、リングとラインとの接触面が大きく、リングとラインが『面』で接します。
結果としてトルザイトは、ガイドからラインに加わる圧力が『面』に分散されるため、ラインに加わるガイドの圧力が小さく、ライン保護性能に優れているといわれています。
トルザイトリングこそ至高なのか?
ここまではガイドのフレームの形状と材質、ガイドリングの材質の違いについてご紹介しました。
上記のようなトルザイトの特徴を考慮すると、トルザイトガイドを採用したロッドがもっと増えてもいいように思えます。
しかし、2013年に富士工業がトルザイトリングを発表した以降も、それほど大きな広がりは見られません。
では、トルザイトはなぜいまいち流行らないのか?
けっこう高価
ガイドは、フレームの材質がチタンかステンレスかでずいぶん価格が変わります。
加えて、ガイドリングの材質がSiCかトルザイトでも価格がやや変わります。
フレーム材質ほどの違いはありませんが、ロッド一本分のガイドをSiC→トルザイトにすると、2000円程度は価格が上がります。
また、富士工業のカタログによれば、トルザイトリングを採用したガイドはすべてチタンフレー厶のものになります。
ステンレスフレームのトルザイトガイドの型番は見当たりません。
つまり、現状では、高価なチタンフレームのガイドしか選択肢がありません。
これが、エントリーモデルへ採用することの障害になっています。
糸鳴りが大きい
トルザイトが浸透しないもう一つの大きな理由として
糸鳴りが大きい
ということが挙げられます。
トルザイトリングは、ガイドの接触圧を分散するために、ラインとガイドリングが『面』で接触する設計になっています。
ラインとガイドリングとの接触面が増えたことで、逆に、ラインの糸鳴りがするようになりました。
4本編みPEラインの糸鳴りが気になるような繊細な人にとっては、トルザイトリングから発生する糸鳴りはかなりストレスになるでしょう。
シーバスであればトルザイトがおすすめだけど…
かなり高価で糸鳴りも激しいトルザイトガイド。
それでも僕がトルザイトをオススメしたい理由は
超絶な感度の良さ
です。
コチラ↓は、トルザイトガイドの感度を体験したジャストエースの動画です。
僕も同じものを体験したことがありますが、言葉にならないくらいの違いがあります。
シーバスのような巻きがメインの釣りでは、トルザイトガイドで拾える情報量はとても有益です。
糸鳴りに目をつぶれるのであれば、トルザイトガイドのロッドを選んだ方がメリットが大きいです。
ただ、選べるロッドが限りなく少ないという難点はあります。
今後、シーバスのようなライトゲームのロッドに積極的にトルザイトガイドが採用されることになるんでしょうか…
どうなるんでしょうね、トルザイト…
すべてのロッドにトルザイトが適しているわけではない
感度がいいのであれば、ハイエンドクラスのロッドはすべてトルザイトにすればいいのか?といえば、そうではありません。
上↑の動画でも語られていますが、SiCとトルザイトを比べるとSiCの方が放熱性能(摩擦熱の放熱)に優れているそうです。
つまり、ラインがガンガン出ていくような海の釣りの場合には、ラインの摩擦熱を放出しやすいという点でSiCガイドの方が向いているそうです。
たとえばマグロとか…
また、ジギングのように動きの中でアタリをとるような釣りの場合、それほど感度が問題になりません。
そのため、ライトショアジギングくらいまでであればトルザイトの方がいいでしょうが、ソルトのビッグゲームではSiCの方が適しているといえるでしょう。
ガイドはリング+フレームの種類・材質を理解する
メーカーのウェブサイトを見ると、ロッドの説明の中で、ガイドに関するわかりにくい記載を目にすることがあります。
SiCだのKガイドだのチタンフレームだの…
ガイドは、ガイドリングの材質+フレームの形状・材質の組み合わせでいくつかの種類に分けられます。
これを理解すると、ガイドの説明がグッとわかりやすくなります。
また、材質の違いによって、ガイドそのものの特性も変わってきます。
ガイドの違いを理解してロッド選びに活かしてみましょう。