シーバスは日本全国の沿岸部で釣れるといっても、闇雲に海に向かってルアーをキャストしたところで釣れる可能性は高くありません。
港湾にしろ干潟にしろ河川にしろサーフにしろ、釣り場は広いのでポイントを絞ってシーバスを狙う必要があります。
とはいえ、シーバスを釣った経験の少ない入門者やシーバスフィッシングを始めたばかりの超入門者は、どこでシーバスを狙えばいいか分からないのが当たり前です。
このページでは、シーバスを狙うための釣り場の選び方についてご紹介します。
基本は釣具屋の情報
SNS全盛の現代。
SNSでのやりとりの中で「いま、釣れている釣り場」を探すという人も少なくありません。
僕もその中の一人です。
SNSで釣果情報を検索するとHOTの情報を発見することができます。
その反面、発見した情報に信用性の担保がないという問題も含んでいます。
つまり、SNSに投稿された情報の裏付けがないということ。
情報を盛ったり、投稿時期をずらしたり、最悪、虚偽の釣果情報だったり…
そんな現代の釣り事情の中において信頼の置ける情報といえば、やっぱり、釣具屋さんの持っている情報です。
釣具屋さんから教えて貰える情報であれば、基本的に虚偽の情報というのはあり得ません。
ネットで簡単に釣り具が買える現在、釣具屋にとって、釣果情報というのはお店に足を運んでもらうための生命線のようなものです。
釣具屋さんから教えて貰える情報というのはSNSと違って安心して受け入れることができます。
SNSと違って、釣具屋と釣り人の情報交換ってお互いの信頼関係のうえに成り立っている部分が大きいので、虚偽の情報が流れるリスクはそれほど大きくはないでしょう。
逆に一般のアングラーによるSNSへの投稿は基本的には一方通行の情報なので、投稿者側にとってみれば虚偽の情報を発信するハードルが低いといえます。
なので、超入門者が「釣れるポイント」を探すとき、場所がわからなければとりあえず釣具屋で聞いてみましょう!
ポイント選びのための3大要素
じゃあ、釣具屋の情報をもとにポイントへ行ったとして、どこに向かって、どうやってキャストして、どうリトリーブすればいいのか?
海に向かって漫然とキャストを繰り返すよりも、もっと効率的にシーバスを探す必要があります。
そこで、シーバスを効率的に探すために重要な要素になるのが
②ベイトの有無・ベイトの量
③シーバスのいるタナ(レンジ)
です。
これらの情報を一つ一つ手がかりにしてシーバスに迫っていくことになります。
②と③については別の記事でご紹介するとして、この記事では①についてご紹介します。
シーバスを狙うときに参考になるのがプロの解説です。でも、あるプロと別のプロでは「言ってることが全然違う!」ってこともしばしば。ビギナーの頃にはアングラーどっちが本当なの!?と悩むことも多い[…]
すべての海の魚が”潮の動き”に従う
ルアーに限らず、餌釣りから漁師まで、海の魚を相手にする人たちにとってとても重要な情報になるのが【潮の動き】です。
潮の動きを無視して海の魚にアプローチするのは、灯りなしで洞窟を探検するようなものです。
それくらい、潮の動きというのは重要なファクターです。
なぜ”潮の動き”が重要なのか
海水域や汽水域には、潮の満ち干きによる潮汐があります。
潮の満ち干きは月の引力によって発生するので、その変動は周期的でとても規則正しく起こります。
海水域や汽水域の魚たちは、この潮の満ち干きとともに生活をしていて、食餌行動もこの潮の満ち干きに合わせて行われます。
原因は諸説あるようですが「潮が動くことによって海中のプランクトンが流され漂い、これをきっかけに食物連鎖に従って捕食者側の食餌行動が起こる」というのが一般的な考え方です。
いずれにしても『潮が動かなければ魚は釣れない』というのが釣り人のコンセンサスです。
まぁ、厳密にいえば「魚は釣れない」ってのは大袈裟ですが、言わんとしていることは
それくらい潮の動きというのは重要だよ
ということです。
2つの”潮の動き”
釣りにおいてとても重要といわれる【潮の動き】ですが、【潮の動き】にも2つの意味があります。
1つは、潮の満ち干きによる海域全体の潮の動きです。
満潮時刻や干潮時刻になると、その海域全体の潮の流れが止まります。
それからしばらくした後、今度はそれまでとは逆の流れで潮が動き始めます。
これは、潮汐によって起こる海域全体の潮の流れです。
もう1つは、部分的な潮の流れです。
潮の流れというのは海域全体で同じ方向に流れつつ、水質や水温の違う水がぶつかる場所では部分的な潮の流れの強弱が発生します。
その代表的なものが潮目と呼ばれる部分的な潮の流れです。
潮目とは、水面に部分的に現れる帯状の筋です。
この部分的な潮の流れの強い場所が重要なのは、泳力の弱いプランクトンは部分的に強く潮が動いている場所へ向かって引っ張られるように流されていくからです。
つまり、部分的に潮の流れが効いている場所ばプランクトンが集まりやすい場所といえます。
そうすると、今度は、その部分的に潮の流れが効いている場所で食物連鎖が起こるようになります。
プランクトンを捕食するために小魚が集まり、小魚を捕食するためにシーバスが集まる
という構図が生まれます。
「海域全体の潮の動き」も「部分的な潮の流れ」も、シーバスを狙ううえではとても重要なファクターになるので、釣り場に着いて最優先で把握するべき情報といえます。
“釣れる潮の動き”と”釣れない潮の動き”
潮は動いていればいつでも釣れる可能性があるか?といえば、実は、この点についても釣り人の間で古くから語られる通説があります。
古くから釣り人の間で語られる表現として
という言い方があります。
これは、潮が動いている間であっても「釣れる時間帯」と「釣れない時間帯」があるということを説明した表現です。
「上げ」とは干潮から満潮に向かって潮位が上がってるくる時間帯、つまり「上げ潮」のことです。
「下げ」とは満潮から干潮に向かって潮位が下がってくる時間帯、つまり「下げ潮」のことです。
三分とか七分というのは「潮位を表している」という話や「時間帯を表している」という話を聞いたことがありますが、正直よくわかりません。
三分とか七分なんて現在では野球の打率くらいでしかな使わないくらい古い表現なので、ここからも、上げ三分や下げ七分という言葉がいかに古いかというのがわかります。
僕の感覚というか経験で今風にザックリと表現するなら、上げ三分とか下げ七分のは
潮が止まる前の1時間半
のあたりの時間帯が釣れやすい、という感じ。
細かい意味にこだわる必要はありません。
釣り人の通説的な見解からすれば
潮は動いてさえいればいいというわけではなく、潮が動く時間の中でも特に釣れやすい時間がある
ということです。
それが、止まっている潮の動き始めと、潮止まりの直前の時間帯と言われています。
上げ潮と下げ潮はどちらが釣れる?
僕がシーバスを始めた頃によく迷っていたのが、
上げ潮と下げ潮のどちらを狙うべきか?
ってことです。
端的にいえば、「上げ潮と下げ潮ってどっちが釣れるの?」ということです。
この点については、
どちらがいいかは場所によって全然違う
というのが一応の答えです。
というより、釣り人のコンセンサスと言った方がいいかもしれません。
説明できる明確な理由があるわけではありませんが、エサ釣りを含め、いろんな釣り人に教えてもらった結論としては上げ潮が釣れるか下げ潮が釣れるかは、釣り場によって違うということです。
太平洋側と日本海側の潮汐の違い
太平洋側と日本海側の潮汐の違いについてもご紹介しておきます。
太平洋側と日本海側では干満差に大きな違いがあります。
太平洋側の干満差は大きいところで3.5mくらいの潮位差があります。
満潮と干満で3.5mも潮位が変わるのです。
じゃあ、日本海側は…というと、僕の住んでいる地域だと干満差はだいたい30cm前後。
満潮〜干潮の6時間で30cmくらいしか潮位が動きません。
日本海側は干満差の大きいところでも1〜1.5mくらいでしょう。
そうすると、太平洋側と日本海側では、満潮時刻と干潮時刻を確認する理由が変わってきます。
日本海側では満潮時刻と干潮時刻を知るのは、単に潮の動き始めと潮止まりの時間帯を把握する程度の意味しかありません。
でも、太平洋側では潮位差が3m以上もあれば、釣りのできるエリアが大きく変わってきます。
満潮には足場が全然なくなるエリアというのもあります。
逆に、干潮になると潮が引いてしまってシーバスの回遊ルートが狭まって狙いやすくなるというエリアもあります。
太平洋側では満潮と干潮では釣り方が激変する場所も少なくありません。
太平洋側では釣りができる場所そのものが変わることがあるので潮汐表(タイドグラフ)で満潮時刻と干潮時刻を確認するのは必須です。
また、干満差のほとんどない日本海側であっても、潮の動きのあるなしでは釣果にずいぶん影響します。
タイドグラフを確認するのは釣り人にとってとても重要な作業といえるでしょう。
タイドグラフとの”ズレ”を把握する
“潮の動き”について最後に、タイドグラフを確認するときの注意点をご紹介しておきます。
タイドグラフを確認するときは、ほとんどの場合が釣り場から近い地点のタイドグラフを参考にすることになります。
島根・鳥取の両県でいえば、気象庁のウェブサイトに掲載されている観測地点は4カ所です。
鳥取県:田後・境
最近では、気象庁のウェブサイトよりも多くの観測地点がアプリでお手軽に確認できるようになりました。
問題は、アプリで確認できるエリア以外で釣りをする場合に、タイドグラフの満潮・干潮時刻と、実際の満潮・干潮時刻のズレを計算する必要があるということです。
たとえば、僕がよく釣りに行く釣り場では、「境」の観測地点の時刻から1時間半~2時間遅れで上げ止まり(または下げ止まり)を迎えます。
こういう場所で釣りをする場合、タイドグラフの時刻に合わせて釣り場に行ったとしても、ベストな時間帯よりも1時間半~2時間くらい早く釣り場に着くことになります。
地形によってはもう少し時間帯が遅れることもあるでしょう。
あるいは、タイドグラフの時刻よりも早く満潮・干潮を迎える釣り場もあり得ます。
自分がよく行く釣り場の満潮時刻・干潮時刻と、タイドグラフ上の時刻との微妙なズレをきちんと把握して、これを計算に入れて動くようにしましょう。
“水の動き”もポイント選びの重要なファクター
“潮の動き”と並んで重要なのが河川や工場排水などの【水の流入】です。
水は「動く」ことによって良好な環境が保たれます。
湖・池・沼よりも海水の方が新鮮といわれるのは、海水は潮の満ち引きにより絶えず動いているからです。
ただ、いくら海といっても、部分的に閉鎖水域のようになっている場所もあります。
閉鎖水域では、開かれた水域に比べると水の動きがずいぶん少なくなります。
あるいは、同じ海域であっても地形によっては水の動きの少ないエリアというのができます。
湾のような場所の最奥エリアは水の動きの少ないエリアといえます。
こういうエリアは外洋から入ってくる潮の影響を受けにくいエリアです。
潮の動きや水の動きの少ないエリアにおいて、水に動きを与えてくれるのが河川や工場からの水の流入です。
水の流入のあるエリアは、(変な物が混ざっていない限り)比較的良好な環境が保たれているエリアといえます。
プランクトンや小魚やシーバスも、何の変化のないエリアよりも水質が良好な環境を好みます。
水の流入のあるエリアというのはシーバスを狙ううえで重要な目印になります。
目ぼしい地形の変化のない海岸線をランガンする場合でも、水門付近や超小規模河川の流れ込みのある場所は水に動きのあるエリアなので、積極的に撃っていく価値があるポイントといえます。
注意すべきなのは、工場や水門からの排水に「変な物」が混入している場合です。
こういうエリアはいうまでもなく「釣りをするのを避けるべき場所」です。
たとえば、農薬などが水門からの排水に混入しているときは、水門付近で小魚が大量死しているのを見かけることもあります。
逆に、工業排水には一般排水基準等が定められているので、農業排水と比べると一応の安全性は担保されているといえるでしょう。
いずれにしても、水は「動く」ことで良好な環境が保たれるので、閉鎖水域よりも水の動きのあるエリア(流れ込みのあるエリアや潮通しの良いエリア)を積極的に攻めてみましょう。
雨による水の動きは一長一短
最後に【降雨による水の動き】についてご紹介しておきます。
雨が降ると水中の溶存酸素量が増えます。
酸素は水に溶けにくい物質ですが、雨が降ると、わずかばかりですが雨が空気中の酸素を巻き込んで海に降り注ぐので、水中の酸素量が増加します。
水中の魚にとっても酸素は必要な物質なので、雨によって水中の酸素量が増えることは歓迎されるべきことです。
ただし、雨が降ると「釣り」をするうえで厄介な問題も生じます。
1つは、河川等から枯葉や枝などの自然ゴミが海に流入してくることで、釣りそのものがやりづらくなります。
キャストするたびにルアーやラインがゴミを拾って釣りにならないということも普通にあります。
もう1つは、雨が降ることでシャローエリアでは水温が大きく下がることがあります。
高すぎる水温のときに水温を下げてくれるのはプラス要因のようにも思えます。
でも、魚は変温動物なので、たとえ適水温まで下がるとしても急激な水温の変化は魚の体にとっては負担になります。
急激な水温低下はシーバスの活性を下げる要因になります。
3つめは濁りです。
雨によって水に濁りが入ることで、ルアーがシーバスから見つけてもらいにくくなります。
シーバスは目だけでベイトを探しているわけではないので、真っ暗な夜であろうが水が濁っていようが釣れることは釣れますが、それでも、やはり濁りが入るとシーバスからルアーが発見されにくくなる(ような気がします)。
人によっては、濁りがある方がシーバスの警戒心が緩むと言う人もいます。
以上のとおり、濁りに関していえばメリット・デメリットの両方が考えられます。
降雨による水の動きは、水中の溶存酸素量を増えて魚の活性が上がる可能性がありますが、他方で、河川から自然ゴミが流入することで釣りがやりづらくなったり、あるいは、急激な水温の低下によって魚の活性を下げることもあります。
雨が降ると「釣れる場所」と「釣れない場所」がはっきり分かれることがあるので注意が必要です。
ポイントは”潮”を意識して選ぶ!!
潮の動きというのは、海水域や汽水域で生活をするすべての生き物の行動を左右する重要な要因です。
潮の動きを無視して魚を探すのは、灯りなしで真っ暗な洞窟を探検するようなものです。
潮の動きを知れば必ず魚が釣れるわけではありませんが、そうであっても、魚に一歩でも近づくための絶対条件です。
もちろん、ここで記載した情報は一般論なので、これら↑の説明に当てはまらない地域もあるかもしれません。
ただ、右も左も分からない超入門段階においては、潮の動きに関する基本は押さえておくべきファクターといえるでしょう。
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