リールを巻くとき、右手と左手のどちらで巻きますか?
なんとなく巻きやすい手で巻き始めて、そのままその手で巻いている人もたくさんおられます。
慣れてしまえばどちらでも構いません。
でも、リールの構造上の特性を理解してリールの巻き手を選んだ方が、リールの性能を最大限に発揮できます。
このページでは、リールの巻き手の基本についてご紹介します。
ベイトは利き腕 スピニングは利き腕と反対の腕
結論からいえば、見出しどおりです。
右利きの人であれば、ベイトは右巻き スピニングは左巻き。
左利きの人であれば、ベイトは左巻き スピニングは右巻き。
これが基本です。
ベイトは巻き上げパワーを最大限に活かす!
巻き上げパワーこそベイトリールの最大の利点
第2回の記事でご紹介しました。
ベイトリールの一番大きな利点は何でしょうか?
それは巻き上げパワーが強いことです。
構造上、ベイトリールはスピニングリールよりも力の伝達に優れています。
ベイトリールは構造がシンプル
ベイトリールは、ハンドルを回すとスプールが回転します。
このときのハンドルとスプールの回転運動というのは、回転する向きは反対ですが、回転軸の方向は同じです。
歯車を考えると、こんな感じ↓のシンプルな歯車で回転させることができます。
また、ベイトリールは回転軸を左右から挟み込む構造なので、回転軸が安定しています。
そのため、ベイトリールはハンドルを回すときの力の伝達がスムーズに行われます。
スピニングリールは構造が複雑
ベイトリールと比べると、スピニングリールの構造はやや複雑です。
スピニングリールは、ハンドルを回すとローターが回転します。
このハンドルの回転とローターの回転は回転軸の向き違います。
スピニングリールでは、ハンドルを前に向かって回します。でも、ローターは横に向かって回転します。
ハンドルとローターの回転軸は垂直に交わっているイメージです。
歯車を考えると、こんな感じ↓のネジ型歯車が必要になります。
もう一つ、スピニングリールの構造が複雑な理由がスプールです。
スピニングリールは、ハンドルを回すとローターだけではなくスプールも上下します。
ハンドルを回すときに加えられる力が、ローターだけではなく、スプールを上下に動かす力にも変換されます。
スピニングリールは、ハンドルを回すことで様々なパーツが駆動する仕組みになっています。
でも、レベルワインダーも、ハンドルやスプールと同様に回転軸の方向は同じです。また、レベルワインダーは駆動する仕組みも単純です。
パワーを最大限に活かすために利き腕で巻く
ベイトリールの最大のメリットは、力の伝達に優れているということです。
抵抗の大きなルアーを巻いたり。
掛かった魚をリールでゴリゴリ巻いたり。
重い仕掛けを巻き上げたり。
ベイトリールの「力の伝達に優れている」という特性を考えると、ベイトリールは利き腕で巻いてこそ特性が最大化できるということです。
スピニングは扱いやすさを活かす!
正直なところ、どっちの手で巻いてもOK
スピニングリールの大きな利点として扱いやすさが挙げられます。
豪雨であろうが強風であろうが、難しい設定はありません。ビギナーでも扱うことができます。
それがスピニングリールのいいところです。
なので、(個人的には)巻きやすい方で巻けばいいと思っています。
たとえば、フカセ釣りのような撒き餌をする釣り。
僕の場合、マキエ杓を右手(利き腕)で持つので、竿は左手で持ちます。
そうすると、必然的にリールを巻くのは、竿を持っていない右手で巻くことになります。
ルアーフィッシングでは利き腕と反対の手で巻いた方がスムーズ
撒き餌杓を持つときには利き腕で巻くスピニングリール。
でも、ルアーフィッシングでは、利き腕と反対の手で巻いた方がスムーズに釣りができます。
ルアーフィッシングでは投げて巻いて…を繰り返す釣りです。
投げるのは当然利き腕で投げるので、利き腕と反対の手でリールを巻いた方がスムーズに釣りができます。
利き腕は常にロッドを持ったままです。
オートリターンの活用
スピニングリールを利き腕と反対の手で巻いた方がいいもう一つの理由が
オートリターンの活用
です。
スピニングリールは、ベールが開いた状態でハンドルを勢いよく回すとベールが戻る仕組みになっています。
こういう感じです↓
リールのオートリターン。
— ショーカラ(y-nax)(村長) (@y_nax_tw) August 5, 2022
ウェブサイト共有用にTwitterのサーバーにアップ。 pic.twitter.com/JXmC1E1EGq
これをオートリターンと呼んでいます。
ハンドルを回せばベールが戻る機能が組み込まれているのがスピニングリールです。
しかし、たとえば右利きの人が、右手で投げて右手で巻く場合、通常、左手でベールを戻してからロッドを左手に持ち替えます。
左手に持ち替えてからベールを戻す人はほとんどいないでしょう。
そうすると、せっかく備わっているオートリターンを使う機会がありません。
必ず使わないといけない機能ではありませんが…
使うために組み込まれているので、積極的に活用しましょう。
巻き上げパワーのロスはどう補う?
力の伝達に優れたベイトリールは、これを活かすために利き腕でハンドルを巻きます。
では、力の伝達に関してベイトよりも劣るスピニングで、さらに利き腕と反対の手で巻いても大丈夫なのか?
という疑問が生まれるかもしれません。
これについては、昔から
と説明されています。
つまり、こういうことです。
でも、スピニングリールは、扱いやすさを優先する結果、魚が掛かったときのような負荷の掛かる状況では、竿(利き腕)で魚を引っ張る。そして、リールは、糸フケをとるために巻く。
これはかなり極端な表現です。
でも、ベイトとスピニングの竿とリールの使い方の基本的な違いを端的に表現しているといえます。
要するに、スピニングリールの場合、リールの力で寄せるのではなく、ロッドで寄せてリールで糸フケをとるので、巻き上げパワーをそこまで要求しなくてもいいということです。
ベイトを利き腕と反対の手で巻くのはどう?
利き腕じゃないほうでベイトを巻くのはどうよ?
という疑問もあるかもしれません。
これについては、巻き上げパワーを重視しないときは、利き腕と反対の手で巻いても何の問題もありません。
たとえば、シーバスという魚は、たしかに引きは強いですが、利き腕で巻かないと寄せられないほど引きが強いわけではありません。
また、シーバスロッドはバスロッドと違って竿が長いので、右手で投げて左手に持ち替えるときに、グリップエンドが服に当たって煩わしいことがあります。
シーバス用のベイトロッドは長いので、バスロッドのようにスムーズに持ち替えられるわけではありません。
さらに、ビッグベイトを使ってシーバスゲームをするときなどは、巻き上げパワーよりも重いルアーを投げやすいというメリットを重視したタックルセッティングなので、必ずしも利き手でハンドルをゴリゴリ巻くことにこだわる必要はありません。
そうすると、右手で投げて左手で巻くことは、ある程度は理に適っているといえます。
「ベイトは利き腕で巻く」という基本は押さえつつ、自分の釣りのスタイルに合った使い方で問題ありません。
基本は重要だけど最終的には状況に応じて決めればOK
「ベイトは利き腕で巻く」
「スピニングはどちらでもいい。でも、ルアーフィッシングの場合は利き腕と反対で巻くほうがいい」
というのは、昔から語られている一般論です。
また、リールの巻き手を考えるときの基本ともいえます。
左右のラインナップのあるベイトリールが、なぜ右巻きから先行発売されるのか?
大物用のベイトリールにはなぜ右巻きしかないのか?
それは世の中には右利きの人のほうが多いからにほかなりません。
なので、利き腕で巻くのが基本のベイトリールは右ハンドルのものが主流です。
とはいえ、ベイトリールには巻き上げパワー以外のメリットもたくさんあります。
そのため、巻き上げパワー以外のメリットのためにベイトリールを使いたいという人もたくさんいます。
そういうときは、必ずしも利き腕で巻くことにこだわる必要はありません。
利き腕と反対のハンドルのリールを使ってみるなど、柔軟に使い分けてみましょう。