【入門者向け】汎用ロッドブーム!?フリースタイルロッドのメリット・デメリット

ここ数年、パックロッドブームが到来しています。

各メーカーから競うようにマルチピースロッドやテレスコピックのロッドがリリースされる昨今。

ロッドのモバイル化と並んで目を引くのがロッドのボーダレス化

つまり【なんでもロッド】ブームです。

汎用ロッドブームに火をつけたのはシマノのワールドシャウラ

ショーカラ
ワールドシャウラの登場が10年ちょっと前なので、ワールドシャウラから10年遅れて汎用ロッドブームが到来しました。

ところが、釣りビギナーにとってはありがた迷惑という部分も否めません。

ビギナー
結局、専門ロッドと汎用ロッドどっちがいい?

ロッドの選択肢が増えるほど迷いの幅が広がります(笑

このページでは汎用ロッドのメリット・デメリットをご紹介します。

汎用ロッドとは?

汎用ロッドとは平たくいえば魚種を特定していないロッドのことです。

シーバスロッドとかエギングロッドみたいな。

こういうカテゴライズがされていないロッドのことを広く汎用ロッドと呼んでいます。

最近では魚種の垣根をなくしたということから『ボーダレス化』と呼んだり『フリースタイル』と呼んだりします。

どっちもシマノ的な表現ですが、的を射た表現になっています。

ショーカラ
的を射た…というより、オシャレな言い回しですね

これに対して「シーバスロッド」とか「エギングロッド」のようにターゲットを特定してカテゴライズされたロッドを専門ロッドと呼んでいます。

専門ロッドってどんなロッド?

汎用ロッドを知る前に、そもそも専門ロッドとはどんなロッドか…?

一番大きな特徴は『尖ったスペック』であるということ。

専門ロッドは専門分野ごとに最適化された『尖ったスペック』のロッドです。

たとえば、エギングロッド。

エギングは使うラインの太さがだいたいPE0.8号くらいなので、それを前提に口径の小さいガイドが使われます。

また、エギをシャクったときにガイドが大きいとラインが絡むことがあります。

そのため、エギングロッドのガイドは小さいです。

そうすると、エギングロッドでシーバスをやろうとした場合、(できなくはないですが)シーバスで使うようなPE1.5号にリーダー25ポンドみたいなラインセッティングはラインの抜けがとても悪い。

ルアーの飛距離がだいぶ落ちます。

それからエギングロッドの調子(アクション・曲がり)。

エギングはエギをシャクってシャクってシャクる釣りなので、ロッドの先の方しか曲がらない設計になっています。

ロッドの胴部分まで曲がってしまうと、ロッドの曲がりがシャクリを吸収してしまうのでキレの良いダートアクションが出しにくくなります。

なので、シーバスのバイブレーションゲームのような重めのルアーにアクションを付けるのには使いやすいですが、軽いシンキングペンシルをスローなゲーム展開で使う場合、エギングロッドを使っているとシーバスの小さいアタリをけっこう弾いてしまいます。

専門ロッドは、ある特定の魚種を獲るためだけにロッドの性能(アクションや調子ガイド設定ガイドの数や大きさなど)を最適化させたロッドといえます。

汎用ロッドの特徴

汎用ロッドの特徴は(良い意味でも悪い意味でも)ロッドのパラメーターを平均的に割り振ったロッドです。

その特徴の一つがガイド

細いPEを使ってイカだけを狙うような場合には小口径ガイドを使った方が感度や操作性が抜群です。

でも、ナイロンやフロロの12ポンドや14ポンドといったラインを使う可能性のある汎用ロッドでは、小口径ガイドではラインの抜けがとても悪く飛距離がガクンと落ちます。

なので、汎用ロッドでは極端な小口径ガイドは使われることはありません。

小口径ガイドが使われない分、ロッドの感度や操作性は落ちますが、様々なラインの使用に対応できるようになります。

汎用ロッドのもう一つの特徴としてアクションがあります。

エギングではロッドが胴まで曲がってしまうとエギのアクションを吸収してしまうので、竿先よりも下はあまり曲がらない設計になっています。

また、ハードロックフィッシュではロッドが胴まで曲がってしまうとボトム感知能力が減退してしまうので、エギングロッドと同じく先調子のロッドが好まれます。

これに対して汎用ロッドの場合には、ユーザーがどんな釣りに使うかわからないので、極端な先調子や胴調子のロッドよりも、平均的な調子(レギュラーアクション)が採用されることが多いです。

そうなると、汎用ロッドでエギングをしようとした場合、エギングロッドを使うよりも汎用ロッドの方がやりづらさを感じます。その反面、汎用ロッドでルアーの巻物の釣りをしようとした場合、エギングロッドよりもよく曲がるためロッドの食い込みがよく、エギングロッドよりもアタリを弾きにくくなります。

良くも悪くも曲がりにクセがないのが汎用ロッドです。

あまり語られることのない汎用ロッドの特性としてブランクスの素材に中弾性カーボンが使われることが多いことが挙げられます。

バスロッドやアジングロッドでは繊細なアタリを取るために軽くて高感度な高弾性カーボンが好んで使われます。

エギングロッドにはエギをシャクったときにキレのあるアクションを与えるために復元力の高い高弾性カーボンが使われます。

これらのロッドの場合、ある程度ターゲットが限定されているので、ロッドの粘りを犠牲にしてでも軽さ・高感度・高反発といった高弾性ロッドの特性が重要視されます。(高弾性カーボンは中弾性カーボンに比べて粘りという点で劣る)

でも、魚種不問の汎用ロッドでは、軽さ・高感度・高反発といった特性を犠牲にしてでも、大物が掛かったときの折れにくさや強度といった、いわゆる『頑丈さ』が要求されます。そのため、汎用ロッドでは高弾性カーボンよりも粘りのある中弾性カーボンが使われることが多いです。

魚種不問の汎用ロッドは、パキパキ・キンキンの高弾性ロッドのような軽さや感度といった部分をやや犠牲にした分、折れにくさやロッドの粘りが備わったロッドといえます。

汎用ロッドのメリット

汎用ロッドの最大メリットは、なんといっても魚種ごとにロッドを揃える必要がないという点です。

様々な釣りにオールマイティに対応できるようになっているので、長さと硬ささえマッチすれば魚種にとらわれることなくいろんな釣りに使用することができます。

午前中はこの河川でシーバスを狙って、夜は近くの漁港でイカを狙う。

そういった釣りを1本でこなすことができるのが汎用ロッドの最大のメリットです。

汎用ロッドのデメリット

操作性が劣る

汎用ロッドのデメリットとして挙げられるのが操作性です。

先にも述べたとおり、汎用ロッドはガイド設計や調子(曲がり)が良くも悪くもクセがありません。

言い換えれば、汎用ロッドは特定の魚種を獲るために最適化されているわけではありません。

そのため、ロッドの操作性に関しては汎用ロッドは専門ロッドに劣ることになります。

実はそれほど汎用でもない

汎用ロッドといえば「その釣りにもあの釣りにもこの竿1本で挑んでみたい!」と考えて購入されるアングラーがほとんどです。

でも、いざ蓋を開けてみると

購入者
えっと…使えなくないけど微妙だよね…

ってことはよくあります。

それは、操作性もそうですが、ロッドの長さや硬さが「どんな釣りにもジャストフィット!」ってことは案外多くないものです。

これはフリーススタイルロッドのパイオニアであるワールドシャウラのラインナップを見ても明らかです。

ワールドシャウラのラインナップを見ると派生モデル(テクニカルエディション・BG)を除いても30機種近くあります。

売れ筋モデルでまだ発売されていないモデルがあることを考えると、ワールドシャウラは30機種を超えるのは確実です。

見方を変えれば30機種くらいないと様々な釣りには対応できないということです。

最近もロッドでいえばダイワのセブンハーフ

「あらゆるフィールドを自分流に楽しもう!」をコンセプトに究極のオールラウンド・パックロッドを謳っているセブンハーフですが、7.6フィートのロッドを何機種出すの?ってくらいにモデル数が多い。

ワールドシャウラですら同じ長さはせいぜい3機種くらいなのに、セブンハーフは7.6フィートのロッドが全部で12機種(2021年4月現在)。

要するに12機種揃えたらオールラウンドが完成されるってことです。

ショーカラ
えっ、違う?

シャウラーである僕が言うのもおかしいですが…

ショーカラ
1本で何でもできるというわけではないんだよ…

これが汎用ロッドの現実です。

こんな人におすすめ

ぶっちゃけていうと、汎用ロッドをおすすめできるパターンって限られています。

足場の高さ・使うルアー(エギ・錘)の重さ・狙う魚種のサイズが近い

本当にこの場合くらいです。

僕の場合、シーバスとサクラマスとエギングと外洋ハードロックフィッシュを8.3フィートのロッド1本でやっています。

僕が釣りに行くエリアではこれくらいが限界だと感じています。

特に足場の高さというのはけっこうネックになるファクターです。

足場の2m以上ある堤防で6ftくらいのロッドで釣りをしようと思っても、まともに釣りができる魚種って限られてますからね。

ロッドの長さが足りないから釣れそうなポイントをあきらめるってことになるとマジで本末転倒です。そういうエリアで釣りをしている場合には素直に2本以上ロッドを持っておいた方が賢明です。

こうしてみると汎用ロッドというのは自分がメインで釣りをするエリアのシチュエーションやそのポイントで狙える魚種によって限界が決まってくるということができます。

汎用ロッド<ノ丶`Д´>ノ マンセーではない

近年、猛烈なコンパクトロッドブームとともに汎用ロッド化(フリースタイル化・ボーダレス化)の波が押し寄せています。

1本で何でもできる

そういわれると、専門ロッドを複数本揃えたせいでロッドの置き場に困っていたアングラーにとっては魅力的な言葉に聞こえます。

でも、実際のところ、どんな釣りも1本でこなせるということはありえません。

それどころか、使い始めると「あれ、意外と融通が利かないな」って思うことさえあります。

それは、汎用ロッドの機種の多さからも明らかです。

なぜ汎用ロッドを10機種も20機種も30機種もリリースする必要があるのか?

釣りに対するアングラーのニーズというのは本当に多様で、1本のロッドで多くの釣りにアジャストするのはなかなか難しいという現実があるからです。

また、なぜ専門ロッドが誕生したのかを考えてみるのもいいでしょう。

メバリングという言葉が登場し始めた当時、多くのアングラーがメバリングのためにエリアトラウトロッドやULクラスのバスロッドを流用していました。

でも、これらのロッドでは長さやアクションといった面でメバリングにややフィットしない部分がありました。

そこでメバリングを快適にするために、メバル用に最適化されて誕生したのがメバルロッドです。

流用ロッドでは詰め切れなかった操作性やアクションという部分をメバリングのために最適化していったのです。

タコゲームも同じです。

昔はガチガチのバスロッドを流用してタコゲームをしていました。

でも、ガチガチのバスロッドでは捉えられないタコ独特のアタリがあるので、これを捉えるためのソフトなティップと、石に絡みついたタコを石ごとリフトできるような強靭なバットを持たせて誕生したのがタコロッドです。

専門ロッドとはおおむねこういう経緯を辿って誕生するものです。

この専門ロッドが誕生する流れとは逆向きの流れに進んでいるのが昨今のロッドのボーダレス化です。

僕自身、趣味でロッドビルディングをする手前、汎用ロッドはとても好きです。あるブランクスをこんな釣りに使ったりあんな釣りに使ったり…それを考えるのもロッドビルディングの楽しみの一つです。

でも汎用ロッドには汎用ロッドのデメリットもあります。

それは専門ロッドのカテゴリーが誕生する過程を考えれば明らかです。

汎用ロッドを検討するときは、汎用ロッドのデメリットを理解したうえで、自分がよく釣りに行くエリアや狙う魚種と相談しながら汎用ロッドを検討してみましょう。

ショーカラ
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