冬から夏前にかけてのシーバスフィッシングのお祭りパターンといえば【バチ抜け】。
この時期はビギナーでも比較的簡単にシーバスを釣ることができます。
その反面、中・上級者アングラーであっても
というアングラーは少なくありません。
と聞かれると…
という感じです。
そう、僕も以前はバチパターンはそれほど好きではありませんでした。
ただ、釣り場で出会ったベテランアングラー(というより老齢アングラー)の一言でバチパターンに対する認識が大きく変わりました。
このページではビギナーにありがちなバチパターンに関する誤解ともっと釣れるバチパターン攻略法をご紹介します。
冬から初夏にかけてのシーバスフィッシングのお祭りパターンの中に【バチ抜け】と呼ばれるパターンがあります。この時期になるとビギナーでも簡単にシーバスを釣ることができるようになります。このページでは【バチ抜け】の基本に[…]
バチパターンで釣れない人の特徴
バチパターンはタイミングさえ合えばビギナーでもとても釣りやすいパターンです。
でも、中級者の中にも
と苦手意識の塊のような人もいます。
何も考えていなくても、釣れるときは釣れる。
深く考えても、なかなか釣れない人もいる。
その違いはなんでしょうか?
表層にこだわりずぎる
(おそらく)これが一番大きな問題です。
バチパターンの釣りで常にクローズアップされるのが『表層の釣り』です。
水面~水面直下~30cmくらいのレンジを流れに乗せて漂わせるのがバチパターンの釣りです。
…と思い込んでいるビギナーが実はとても多い。
これはある意味しょうがない誤解というか、避けられないゴカイというか…
なにせ、プロアングラーがやたらと表層系ルアーを紹介するので
と完全に思い込んでしまいます。
実はこの点については、僕も以前は↑のように思い込んでいました。
バチパターンのときは、ず~っと表層を流す釣りに終始していました。
ところが、釣り場で出会った初老のアングラーに
表層におるとは限らんで。
この一言は、僕のバチパターンに対する認識を一変させました。
たしかに、表層バチパターンというのはシーバスの捕食が水面に現れるので把握しやすいです。
また、(流れの少ないエリアで)バチがスゲー勢いで泳いでいる動画を見たこともあります。
もう何も出来ませんでした。 pic.twitter.com/qV2deucCPY
— こばっち (@seabass_2015) February 4, 2022
でも、流れてくるバチを見ていると、そんなに泳ぎまくっているわけではありません。
むしろ、「流されている」と表現がストレートに当てはまるといってもいいくらい。
つまり、初老のアングラーが言いたかったのは
バチは泳力が弱くて、ほぼ「流される」という感じなので、表層に集まるとは限らない
ということです。
表層の流れが強ければバチも表層付近に集まります。
逆にボトムの流れが強いときは、ボトム付近にバチが集まることも当然あり得ます。バチは海底から抜けるので、バチ抜けしたときの底潮が効いていれば、バチはボトム付近に集まります。
バチ抜けをしたタイミングでの流れの強さ等の状況によって、「バチがどのレンジに集まるか?」というのは変わってきます。
実際にバチは中層やボトムにも居ます。これはプロアングラーでも共通認識です。
では、2m~より深いレンジ攻略のためのバチ抜けルアーってどんなものがありますか?
思い浮かばない人がかなり多いと思われます。
中層やボトムのバチパターンについても一応の説明はされています。
でも、このレンジのバチパターンがクローズアップされることはほぼありません。
一応は「バチは泳ぐ力が弱い」「流されてくる」と説明しながら、釣り方やメソッド、ルアーの紹介になると『表層系』をやたらとクローズアップする。
これがビギナーの誤解を生む原因になっています。
このときは表層(というよりむしろ水面系)にこだわった方がいいでしょう。
でも水面にバチが見えない、とか、シーバスが水面でバチを捕食していない場合には全レンジを探る必要があります。
引き波にこだりすぎる
これは「表層にこだわりすぎる」という誤解に密接に関連しています。
バチパターン定番のマジックワードといえば『表層』と『引き波』です。
この2つのマジックワードが支配しているのがバチパターンです。
だからこそ、ベテランアングラーでもバチパターンを誤解する原因になっています。
たしかに、春先~初夏に現れる水面を滑るように泳ぐバチを捕食しているシーバスを狙うとき。このときは、水面の引き波にシビアになる必要があります。
このバチが現れたときはメインラインやリーダーにバイトが出ることが頻発します。
それくらい『引き波』というのは重要になります。
あるいは、膝くらいの水深のシャローエリアでバチ抜けを狙うときは、普通に水面付近でバチを見かけることがあります。
こういうエリアのバチパターンのときも『引き波』によって釣果が変わり得ます。
でも、流されてくるバチを待ち構えて捕食しているシーバスを狙う通常のバチパターンのとき。
このときは、シーバスが水面付近で捕食している状況でない限り、ルアーの『引き波』にこだわる必要はありません。
どのレンジにバチが集まるかは、その時の潮の流れや状況によって変わります。
定番のマジックワードに固執するアングラーは、バチパターンが苦手と感じる人が多いようです。
バチが流れているとバチルアーしか投げない
これもよくある『釣れない原因』です。
僕も昔はそうでしたが…
バチがどんどん流れてくると、バチルアーしか投げなくなるんですよ。
これはアングラーの性(さが)といえるかもしれません。
この記事↓でもご紹介しましたが、目の前がバチだらけだと、目の前にいるシーバスがみんなバチを食べていると思い込んでしまうアングラーは少なくありません。
釣りは自然が相手のレジャーです。どれだけ人間目線で考えたところで、どんなアプローチ方法が正解か?ということを1つに絞ることはできません。仮に魚が釣れれば、そのアプローチ方法は、いくつかある答えのうちの一つ…という可[…]
たしかに、シーバスは『偏食傾向の強い魚』といわれることがあります。
でも、目の前にいるシーバスが「バチを偏食している」かどうか。これは、実は別の問題です。
バチ抜けが起こる前からハゼを偏食しているシーバスは、バチ抜けが起こっても相変わらずハゼを偏食しているかもしれません。
バチ抜けが起こる前からボラの幼魚を偏食しているシーバスは、バチ抜けが起こっても相変わらずボラの幼魚を偏食しているかもしれません。
偏食の対象になるベイトはバチだけに限られません。
バチパターンというのはシーバスフィッシングの中でも特殊なベイトパターンです。
偏見に基づいてベイトをバチに絞ってしまうと、バチ以外を捕食しているシーバスを狙うのが難しくなります。
「あえて」大潮を外す
バチパターンの時合としてもっとも成立しやすいのは
といわれています。
潮が大きく動く大潮の満潮のときにバチが水中に現れて産卵行動を開始し、満潮後の潮が動き始める頃に、潮に乗せてより多くの卵を運ぶことができるためだそうです。
満月の大潮の日に日没後に満潮を迎えるエリアでは、そのタイミングでバチ抜けを狙うのがベストです。
これは従来から今日に至るまで通説的な見解として考えられています。
ところが、釣り場で出会った若いアングラーにこういう説明されたことがあります。
たしかに、大潮後の中潮のときに日没直後に満潮を迎えるエリアであれば、下げ始めから干潮までの時合が一番長いといえます。
でも、これはエリアによる差がとても大きい問題です。
たとえば、これ↓は大潮後の最初の中潮のタイドグラフです(2021年2月14日)。
場所は晴海(東京都)と広島(広島県)。
どちらも同じ日のタイドグラフですが潮の動きが一山(6時間)もズレています。
晴海では中潮の日没直後に満潮を迎えます。でも、広島では日没頃には干潮を迎えます。
晴海では「大潮後の中潮の日没直後の満潮が一番タイミングいい」といえるかもしれません。でも、広島では必ずしもそうとは言い切れません。
全国各地で満潮干潮の時刻は大きく異なるので、一律に「大潮後の中潮の日没直後の満潮が一番タイミングいい」ということはありません。
エリアによっては
というところもあるかもしれません。
大潮をあえて外した前後の中潮のほうが「釣りをするうえで時合がいい」ということはあり得る話です。
でも、それはエリアによる差が大きい問題です。
バチ抜けのシーズンは普段以上にタイドグラフを確認するようにしましょう。
これで釣れる!バチパターン攻略法!!
全レンジ+遠距離をカバーする
これはバチパターンで安定した釣果を上げるための必須条件です。
バチパターンの釣りというのは『表層系』の『引き波』パターンだけではありません。
バチは、その日その時その場所の流れの強さ次第で集まるレンジが変わります。
表層の流れが強いときは表層にバチが集まります。逆に、ボトムの流れが強いときはボトムを流されていくことでしょう。
あるいは、表層からボトムまで一定の流れの強さのときは、全レンジにいるかもしれません。
潮の流芯が遠ければ、かなり沖のほうに集まることもあります。
バチの集まるレンジは状況によって変わるので、必ず全レンジかつ広範囲のバチを狙えるルアーを準備しましょう。
よく泳ぐバチもいる
バチの多くは潮流や川が流れるままに流されていきますが、春先頃から水面を滑るように泳ぐバチが現れます。
バチパターンの中心がこのバチになったときは、シーバスが水面で盛んに捕食するようになります。
このバチパターンのときは「表層系」の「引き波」にこだわったルアーをセレクトします。
シーバスの目線が水面を向いているので、少しレンジが入っただけで驚くほどバイトがなくなります。
シーバスが水面で盛んに捕食しているときは、水面~10cm以内で勝負するくらいの気持ちで表層・引き波にこだわりましょう。
レンジコントロールはシビアにする
バチ抜けの基本の記事↓でもご紹介したとおり、バチパターンのシーバスの捕食方法は独特です。
冬から初夏にかけてのシーバスフィッシングのお祭りパターンの中に【バチ抜け】と呼ばれるパターンがあります。この時期になるとビギナーでも簡単にシーバスを釣ることができるようになります。このページでは【バチ抜け】の基本に[…]
流れていくバチを追いかけるのではなく、流れてくるバチを待ち受けて捕食します。
捕食しきれなくても追いかけません。
次に流れてくるバチを待って捕食します。
バチパターンのシーバスはこのような捕食方法のため、レンジが少しでもズレると途端にアタリが減ってしまいます。
そのため、レンジコントロールにはシビアになりましょう。
50cmくらいで刻んでいたのであれば、20cmにするとか。あるいは、10cmや5cmでもOKです。
やや大げさに表現していますが、これくらいシビアになった方が釣果が安定します。
リトリーブは超絶スロー
バチパターンのシーバスの捕食方法は独特です。
というのが特徴的です。
バチは小魚系のベイトとは異なり、泳力が弱いのでシーバスから逃げることができません。
シーバスは、流れてくるバチを待ち構えて、軽く吸い込むだけで捕食できます。
そこで、このようなシーバスの弱く吸い込む捕食方法に合わせる必要があります。
具体的には、流れに乗って流れていくバチを意識して、流れに乗せてとにかくゆっくりとリールを巻きます。
通常の2~3倍くらい遅いリトリーブスピードでOKです。
とにかくスローに巻いて流れに漂わせるのがキモです。
泳ぎの速いバチがメインのときは多少早く巻いても構いませんが、その場合であってもスローに巻くのが基本です。
タイドグラフはしっかりと確認する
バチの産卵行動がもっとも活発になるのは満月の大潮の日没後の満潮頃です。
この時間以降がバチパターンの釣りの時合になります。
しかし、地域によっては
夜中の3時頃になっちゃうよ!
というエリアもあります。
そういうエリアでは、タイドグラフを確認しながら大潮前後の中潮を狙ってみるのも面白いでしょう。
バチパターンにおいてアングラーが従うべきなのは、〇〇プロの『ありがたいお言葉』ではありません。
アングラーが従うべきなのはバチの産卵行動(バチ抜け)です。
バチ抜けに合わせて釣りをする必要があります。
このバチ抜けというのは、バチが少しでも子孫を残せるように
に起こります。
たしかに、大潮の日は潮が大きく動きます。でも、満潮からの下げ始めが日没後にタイミングよく到来するエリアばかりではありません。
エリアによっては、大潮の日の満潮からの下げ始めが真夜中や明け方直前になるエリアもあります。
こういうエリアでは、〇〇プロが何と言おうと、もっとバチ抜けにふさわしい潮周りがあるはずです。
バチパターンの時期は、〇〇プロのありがたいお言葉よりも、お住いのエリアのタイドグラフに従いましょう。
ショックリーダーに気を配る
水面を泳ぐバチが現れる頃になるとシーバスはバンバン水面でバチを捕食するようになります。
このバチパターンのとき、ナイロンリーダーを使っているとリーダーにバイトが出ることが頻発します。
普段ナイロンリーダーを使っている人でも、バチパターンのときにリーダーへのバイトが頻発するようなら、この時期だけはフロロリーダーを使ってみるのも良いでしょう。
バチ以外のベイトも常に意識しておく
シーバスは偏食傾向の強い魚です。しかし、偏食の対象になるベイトはバチだけとは限りません。
相当な量のバチが抜けていたとしても、バチ抜け前からほかのベイトを偏食していたシーバスは、相変わらずバチ以外のほかのベイトを偏食することもあります。
目の前に大量のバチが流れているからといって、目の前にいるシーバスはみんなバチを偏食している、というわけではありません。
なので、仮にバチパターンの釣りでシーバスに反応がないときは、バチ以外のベイトを捕食しているシーバスも狙ってみましょう。
バチがバンバン流れているからといって、バチパターンに固執する必要はありません。
全レンジ・広範囲対応でバチパターンを攻略する!
バチパターンは何も考えないでも比較的簡単にシーバスが釣れるビギナーにおすすめなパターンです。
その反面、誤解に基づいて偏った釣りを展開すると、途端に釣れるにくくなるパターンともいえます。
バチ抜けパターンの誤解として一番のあるあるが
表層系にこだわりすぎる
ということ。
流れの効いた場所であれば、(シャローエリアでない限り)泳力の弱いバチは自らの力で積極的に表層に集まることはできません。
流れに身を委ねて流されていくだけです。
その時の流れの強さや状況によってバチの集まる場所は変わります。
表層に集まることもあればボトムを流されていくこともあります。
表層からボトムまで一定の流れの強さのときは、全レンジにいることもあります。
また、沖の潮が効いているときは沖の流芯にバチが溜まることもあります。
全レンジ・広範囲を効率よくサーチできるように工夫すれば、さらに釣果アップを望むことができます。
偏見に基づく苦手意識を払しょくして、バチパターンで爆釣を目指しましょう。
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