年始企画…というか、年始コラムです。
中学生の頃に片足を突っ込んだシーバスフィッシング。
大学受験などで2年くらい遠ざかった期間もありますが、20年ちょっとの期間をこの釣りに費やしてきました。
その20数年間で、シーバスフィッシングに関する様々な進化・深化・変化を体感してきました。
このページでは、シーバスフィッシングを通じて体感してきたこれまでの釣りの進化・深化・変化と、今後への期待についてご紹介します。
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
この20年で劇的に進化したこと
まず、ここ20年間で劇的に進化したものといえば、なんといってもタックルです。
ロッド・リール・ライン・ルアー
他にも、フィッシュグリップやプライヤー etc…
すべてのタックルが大幅に進化しました。
ロッドは軽く・強く・しなやか・高感度に
ロッドに関しては「どこまで進化するの?」という青天井のような印象さえありました。
軽く、強く、しなやかで高感度になり、20年前のハイエンドクラスの感触のロッドが、10000円を切る価格で手に入るようになりました。
また、ガイドも軽量・高感度のトルザイトリングが開発されるなど、ロッドの軽量化・高感度化に大きく貢献しました。
8000~9000円で必要十分なロッドが手に入るようになったことで、シーバスフィッシングの入口が大きく開かれました。
リールは軽く・ブレのないシルキーな巻き心地へ
リールも最上位機種の進化が止まりません。
2022年に発売されたステラは、スプールの上下運動の回数を大幅に抑えたことで、劇的にブレの少ない至極の巻き心地になりました。
また、ザイオンやci4といった高強度の樹脂素材が開発されて進化したことで、金属ボディのリールよりも大幅に軽量化されたリールが登場しました。
そして、金属素材と樹脂素材とを適材適所組み合わせることで、ハイエンドクラスのリールは至高のリールへと進化しました。
さらに目を見張るのが、エントリークラスのリールの進化です。
と思えるほど、実釣においてはまったく不満を持たないような入門機種が続々と登場しました。
ハイエンドモデルは各パーツや機構がどんどんと研ぎ澄まされました。
エントリーモデルはハイコスパリールとしてしのぎを削るようになりました。
ラインはPE全盛時代へ
個人的には、シーバスフィッシングの進化に最も大きく貢献したのがファイヤーラインとPEラインだと思ってます。
僕がシーバスフィッシングを始めた頃には、ナイロンの道糸にフロロカーボンのリーダーを結束するというスタイルでした。
2000年代に入ると、ファイヤーラインを使ったり、F0(東レ)というPEを使ったり…
ノットの結束やエアノットと格闘する日々でした。
2010年以降は、PEの低価格化が進み、かつては150m巻で3000~4000円していたPEラインが、1500円くらいで買えるようになりました。
そして、PEは、引張強度・ルアーの飛距離・感度という面でシーバスフィッシグの可能性を大きく伸ばしました。
シーバスフィッシングの進化はラインの進化とともにあるといっても過言ではありません。
ルアーは画期的な重心移動システムが次々と誕生
タックルの中で大きく進化したのは、ロッドやリール、ラインだけではありません。
ルアーもまた、大幅な進化を遂げたタックルの一つです。
大昔のルアーは、移動重心といえばK-TEN(タックルハウス)でした。
ウエイトのボール球がルアー内部のレールを移動して、キャスト時とアクション時の両方において適切なウエイト配置になるように設計されたシステムです。
そして、移動重心システムは、ボール球がルアー内部のレールを転がる構造から、筒状のウエイトがルアー内部をまっすぐに移動する構造が登場しました。
さらには、後方へ移動したウエイトを前方へ戻すシステムも改良されました。
バネの力や磁力によって元の位置に戻るもの。
ウエイトそのものにベアリングが搭載され、わずかな傾斜で元に戻るもの。
最新の技術を搭載した様々なギミックが登場しました。
これにより、上手く投げればすごくよく飛ぶルアーから、誰でも安定してすごくよく飛ばせるルアーへと進化しました。
タックルの進化によりアプローチ方法が深化した
ラインやルアーの進化により、シーバスへのアプローチ方法も多様化しました。
アプローチ方法の中でも特に目を見張るのがバチ抜けパターン。
軽量で飛距離の出るルアーが数多く開発されたことに加えて、比重0.98の水に浮くPEラインが主流になったため「表層を漂わせるように流す」というアプローチ方法の可能性が格段に広がりました。
また、細くて強いPEライン+飛距離の出るルアーによって、今まで未踏の領域であった沖のポイントまでアプローチできるようになりました。
さらには、シャローランナーやシンキングペンシルなど、シーバスフィッシングに適したカテゴリーのルアーが数多く登場したことで、シーバスが好むフィーディングレンジ(就餌層)に的確にアプローチすることが可能になりました。
タックルの進化によって、シーバスへのアプローチ方法は劇的に深化し、アングラーとシーバスとの距離が大幅に縮まりました。
シーバスフィッシングは「待ちの釣り」へ変化
タックルの進化によって多様なアプローチ方法が可能になった反面、シーバスフィッシングのスタイルは、「魚を探して仕掛ける釣り」から「待ちの釣り」へと変化していきました。
魚を探して、仕掛けて、食わせる
僕がシーバスフィッシングに興味を持ち始めた頃に第一線で活躍していたのが村越正海さん。
村越さんを見て「身近な海でスズキがルアーで釣れる」ということを知りました。
その後、村岡昌憲さんらがX-80(トリックダーター)などを駆使して、シーバスを探して、仕掛けて、食わせるという釣りを披露してくれました。
それを見たショーカラ少年も、手元にあったLive-X(マーゲイ)を駆使…しているフリをして、見よう見まねでシーバスにアプローチしていくスタイルを覚えました。
その当時メディアで見ていたシーバスフィッシングは
シーバスを探す・仕掛ける・食わせる
という、ザ・スポーツフィッシングのようなスタイルが多く、ショーカラ少年はワクワクしたものです(懐古)。
仕掛ける釣りから「待ちの釣り」へ
そして、月日は流れ、タックルの進化によって、以前では到底アプローチできないような沖の沖までルアーを届けられるようになりました。
このようなタックルの進化のおかげ…かどうかわかりませんが、これに伴ってシーバスフィッシングのスタイルも変化してきました。
それが、現在の待ちの釣りスタイルです。
というスタイルがスタンダードになりました。
もちろん、「待ちの釣りスタイル」は大昔からありました。
でも、それは、シーバスを探して、仕掛けて、食わせるというスタイルと並列的に存在していました。
どちらも、シーバスを釣るための手段の一つであり、それが唯一のスタイルということはありません。
ある場所では、シーバスを探して、仕掛ける。
また、ある場所では、シーバスの回遊を待つ。
という感じ。
最近では多くのアングラーが
「飛距離の出るルアーを(シーバスが居るかどうか分からない)沖に向かってフルキャストして、シーバスが食ってくるのをひたすら待つ」
というスタイル一辺倒で釣りをしているように見えます。
そのため、「シーバスの居そうなスポットで仕掛けて食わせる」というスタイルは、ずいぶん少なくなったように感じています。
向こう20年へ期待すること
絵空事のように聞こえるかもしれませんが、僕が向こう20年のシーバスフィッシングに期待することが2つあります。
カウントダウンを超えるルアーを使ってみたい
僕が今後のシーバスフィッシングに期待することの1つが
カウントダウンを超える日本製ルアー
の誕生です。
僕がシーバスフィッシングに傾倒した頃はカウントダウンラパラ全盛でした。
『カウントダウンラパラ』
と呼ぶ人がかなり居ました
ショーカラ少年にはカウントダウンでも高価だったので、シーバスハンターを使っていました。
今でも「カウントダウンで釣ったシーバスが一番多い」というアングラーもいるでしょう。
それくらい、シーバスルアーといえばカウントダウンという感じでした。
ルアーがどんどん進化した現在でも、僕の中では「カウントダウンより釣れる!」というインパクトのあるルアーはありません。
もちろん、現行のルアーを世界に向けて売り出したところで、カウントダウンより売れるルアーがあるとは思えません。
でも、技術力的には決して不可能だとは思えないので、カウントダウンより売れて、カウントダウンより釣れる和製ルアーというの使ってみたいです。
エサ(ライブベイト)を超えるルアーを見てみたい
もう1つの僕の期待(野望)が
ということです。
これは、もちろん、リアルさ…ということではありません。
「エサよりもよく釣れるルアー」という意味です。
ゼロから始めるシリーズのルアー編第20回の記事で「シーバスがルアーを感知(発見)するうえで、『波動』と呼ばれる水粒子の動きがどれほど影響があるのか?」ということについて記載しました。この記事では、シーバスがルアーを発見する[…]
この記事でも少し触れていますが、自然界の魚というのは、必ずしも「空腹になったから捕食する」というわけではないそうです。
自然界には、実は、空胃(胃が空っぽ)の魚の割合はかなり多いらしいです。
これは、捕食が下手でなかなか捕食が成功しないからではありません。
自然界の魚は捕食できる時には常に捕食するわかけではなく、警戒心によって捕食する時機を見計らっているそうです。
つまり、本物のエサであっても捕食されない、という状況が普通にあるようです。
しかし、ルアーはエサではありません。エサの代替物でもありません。
ルアーはプラスチックの塊であり、魚の捕食を引き出すための道具です。
そして、シーバスの捕食を促すような水の振動の周波数などが解明されれば、道具であるからこそ、エサよりも安定して捕食を促せるようになる…かもしれません。
将来、ルアーの存在に気づいたすべてのシーバスに、捕食行動の信号刺激を与えられるルアーができるかもしれない、ということを妄想しています。
それでは、2024年も良いフィッシングライフをお送り下さい!