【ゼロから始める】間違いだらけ!ナイロンとフロロの違いを理解する!!【第3回】

シーバスフィッシングのメインラインの主流はPEです。

PEをメインラインとして使用する場合、PEのデメリットをカバーするためにリーダーと呼ばれるラインを接続します。

このリーダーに使われるラインはナイロンまたはフロロです。

両方の特性をきちんと理解していれば、どちらを使ってもかまいません。

でも、釣り糸というのは、ロッドやリールと違って、メディアやメーカーやプロスタッフの大雑把な説明をそのまま鵜呑みにされることが少なくありません。

そのため、大雑把な説明に基づいて誤った理解(誤解)をしているビギナーも見受けられます。

このページでは、間違いだらけのナイロンとフロロの基礎知識をご紹介します。

ナイロンとフロロのそれぞれの特徴

ナイロンとフロロのそれぞれの特徴はつぎのとおりです。

◆しなやか
◆擦れに強い
◆とにかく扱いやすい
◆引っ張るとけっこう伸びる
◆吸水する
◆太い・硬い・張りが強い
◆擦れに強い
◆光の屈折率が水に近い(水中で見えにくい)
◆引っ張るとやや伸びる
◆比重が重くて沈みやすい
◆吸水しない

両者の違いのうち、釣りに関係のあるものをまとめるとこんな感じです。

引張強力はナイロンが強い

フロロカーボンの登場

フロロが登場したのは1970年代初頭です。

それまでは、化学繊維のラインといえばナイロン一択でした。

ところが、ナイロンには

  • 傷に弱い(耐摩耗性能が低い)
  • 吸水する
  • 紫外線により劣化する

という弱点がありました。

そこで、これらの弱点を克服したラインとして登場したのがフロロカーボンです。

1970年代後半には「フロロ=強い」という図式が定着してたそうです。

引張強力はナイロンのほうが強い

「フロロ=強い」という図式が定着したため、なんでもかんでもナイロンよりフロロが強いと誤解されがちです。

でも、引張強力はナイロンのほうが強いというのが正確なところです。

たとえばコチラ↓のライン。

同じ30ポンドのラインですが、ナイロンの太さは7号(0.435mm)であるのに対し、フロロの太さは8号(0.470mm)あります。フロロのほうがやや太いです。

つまり、フロロは、ナイロンよりも太く作らないと30ポンドの引張強力にならないということです。

逆にいえば、ナイロンと同じ7号の太さにすると、フロロは28ポンドとか25ポンドほどの引張強力しかないということです。

耐摩耗性能はフロロが『安定』している

昔のナイロンは傷に弱かった

ナイロンラインは1930年代に世に誕生しました。

ナイロンが登場した当時からナイロンの弱点として指摘されていたのが「傷に弱い(耐摩耗性能が低い)」ということです。

特に、ストラクチャーに付く魚を狙う場合に、ナイロンの耐摩耗性の弱さはネックになっていたそうです。

そこで、ラインの表面に傷がつきにくく、耐摩耗性に非常に優れたラインとしてフロロカーボンが登場しました。

フロロの耐摩耗性能は『安定』している

かつてのナイロンは耐摩耗性能の弱さがネックになっていました。

しかし、現在のナイロンの耐摩耗性能はそれほど弱くはありません。というより、普通に強いです。

単純に比較はできませんが、フロロと遜色はありません。

ただ、フロロの耐摩耗性能のすごいところは安定して強いということです。

「安定して強い」とはどういう意味か?

たとえば、ナイロンも硬いものにラインを擦ってもそう簡単には切れません。ラインの表面は傷だらけになりますが、場合によってはフロロよりも長持ちすることもあります。

でも、ナイロンは、硬いものに擦っている最中に、硬いものが傷口に引っ掛かるとあっけなく切れることがあります。

ナイロンは、ラインの寿命を全うする前に不意に切れてしまうことがあるのです。

では、フロロはどうか。

フロロも、ナイロンと同じように硬いものに擦るとラインの表面に傷がつきます。でも、フロロはこの傷口がとても小さいです。

ナイロンは目に見えてラインの表面が傷だらけになりますが、フロロはライン表面に細かくて小さい傷がたくさんできます。

そのため、硬いものが傷口に引っ掛かるということがほとんどありません。

ラインを擦り続けても、ラインの寿命を全うするまでなかなかラインが切れません。

この耐摩耗性能の安定感はフロロカーボンは抜群に優れています。

伸び率はたしかにナイロンの方が上だけど…

ナイロンとフロロの違いとしてよく語られるのがラインの伸び率です。

どちらのラインも引っ張ると伸びます。でも、ナイロンの方が伸び率はやや高いです。

フロロの伸び率が15~20%、ナイロンは25%くらいといわれています。

そのため「ナイロンはショックの吸収に優れている」とか「フロロは伸びないため感度に優れている」と説明されます。

一般論として、これくらい伸び率に違いがあります。

でも、条件が変わると、この数字はあまり意味をなさなくなります。

長さが変わると伸びる余地も変わる

たとえば、50cmのナイロンリーダーと80cmのフロロリーダーではどちらが伸びるか?

50cmのナイロンリーダーは、伸び率を25%とすると、12.5cm伸びる計算になります。

80cmのフロロリーダーは、伸び率15%とすると、12cm伸びる計算になります。

つまり、ほぼ同じくらい伸びます。

リーダーの長さ次第では、フロロのほうが伸びる余地が大きくなります。

たしかに、伸び率からいえばナイロンの方がよく伸びます。

でも、「現実にどちらの方が伸びるか?」という問題になると、「リーダーの長さ次第」というのが答えになります。

太さが変わると伸びる余地も変わる

ラインの伸びというのは、ラインの太い細いでも変わります。

これは数字で表すことは難しいですが、感覚的に理解はできると思います。

太いラインのほうが引張強力が強いので伸びにくいです。

たとえば、500gのウエイトを同じ長さの4号のラインと7号のラインで持ち上げたとき。

どちらがラインが伸びるか?

当然、細い4号のラインのほうが伸びやすいです。

つまり、4号のフロロと7号のナイロンではどちらがよく伸びるか?というのは、実際に伸ばしてみないとわかりません。

条件が同じであれば、たしかにフロロよりナイロンのほうがよく伸びます。

しかし、条件が異なれば、一概にナイロンのほうがよく伸びるとはいえないということは覚えておきましょう。

ライン特性の理解は適切なライン選びの第一歩

メインラインにPEを使用する釣りでは、ほとんどの場合にナイロンかフロロのリーダーを接続します。

そのため、ナイロンとフロロの特性に関する理解も不可欠となります。

最近のメディアではナイロンとフロロに関する正確な情報が語られることがずいぶんと少なくなりました。

しかし、それぞれのラインの特性を正確に理解することは、適切にラインを選ぶための第一歩です。

大雑把にしか語られなくなったラインの特性を正確に理解できるように心掛けましょう。

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