近年のシーバスフィッシングではメインラインにPEを薦められることが圧倒的に多いです。
しかも、最近は安価で高品質なPEがたくさん登場してきたことで、ビギナーでも気軽にPEを使えるようになりました。
でも、一口にPEといっても、いくつも種類があり、人によって扱いやすさやトラブルの起こりやすさが異なります。
このページでは、PEの種類と選び方についてご紹介します。
PEの種類
シーバスフィッシングのメインラインとして主流なのはPEラインです。
しかし、PEといっても種類が豊富で、どれを選んでいいか迷うこともあるでしょう。
しかも、PEはナイロンやフロロと比べると特徴の違いや製品差が大きいラインです。
そこで、下記ではPEの種類や特徴をご紹介します。
PEはヨリ糸の本数で区別される
PEのパッケージをみると×4や×8という記載があります。あるいは、4とか8とか12という数字だけが記載されていることもあります。
これは編み込んでいる糸の本数を表しています。
×4や4と記載されているのは、4本の細糸を編み込んで作られたPEラインです。
×8や8と記載されているのは、8本の極細糸を編み込んで作られたPEラインです。
×12や12と記載されているのは、12本の超極細糸を編み込んで作られたPEラインです。
引張強度の違い
引張強度はヨリ数が多いほうが強い傾向にあります。
という感じ引張強度が強くなります。
糸の太さの違い
と思えるかもしれません。
でも、実際にはヨリ数が多いほうがやや太い傾向にあります。
という感じで太くなります。
ただし、触って比べてギリギリわかる程度の差です。
糸の断面の形の違い
PEはヨリ数が多いほうが糸を密に編むことができます。
糸を密に編み込むことで糸の断面の形が真円に近くなります。
逆に、編み込む糸が少ないほど糸の断面の形が扁平気味になります。
という順に真円に近くなります。
糸鳴りについて
PEを使用していると『糸鳴り』という現象が発生することがあります。糸を巻き取るときに糸とガイドが擦れて音が発生します。
この糸鳴りというのは糸の断面の形↑に由来する現象です。
糸が扁平なほどガイドとの接触面が大きくなります。そのため、糸とガイドの接触面で糸鳴りが起きやすくなります。
逆に、糸が真円に近づくほどガイドとの接触面が小さくなり、糸鳴りがしにくくなります。
糸鳴りの大きさでいうと
という感じで糸鳴りが大きくなります。
糸のハリ・コシの違い
PEはもともとハリやコシのないフニャフニャなラインです。
編み込む本数が多くなればなるほど、ヨリ糸1本あたりの糸が細くなるので、ハリやコシもなくなります。
一般的には、4本よりも8本、8本よりも12本の方がフニャフニャです。
ただ、PEにはライン表面にコーティングをしてある製品もあります。コーティングのあるPEは撚り数が多くてもハリ・コシが強いものがあります。
逆に、コーティングのないPEは4本撚りでもフニャフニャなものもあります。
ハリ・コシはメーカーや商品の差が大きい部分です。
ラインの価格の違い
ラインが消耗品であることを考えると、ラインの価格はとても重要度の高い項目です。
同じメーカーの同じシリーズであれば、通常は編み込む本数が多いほど値段も高くなります。
という感じで値段が高くなります。
これは性能差というよりも、単純に製造コストの問題です。製造に手間がかかるほど、コストも高くなります。
PEラインは太さで選ぶ!
PEの『太さ』はわかりにくい!
すべてのPEのパッケージに太さ(号数)が表示されています。
ここで注意しなければならないのがPEは同じ号数でも同じ太さとは限らないということ。
つまり、PE1号と記載されていれば全部のPEが同じ太さ…とは限らないということです。
では、なぜこのような現象がおこるのか?
ということですが…
それは、PEは太さを表すために『重さ』を基準にしているからです。
よくわからない話ですが、日本釣用品工業会のウェブサイトによればこういうこと↓だそうです。
d(denier)とは、長さ9000m当たりの質量をグラム単位をもって表したものである。
(200d=200g)
ナイロンやフロロの太さはラインの標準直径(mm)で表されます。なので、太さは同じになります。
でもPEは、太さを表すのになぜか質量(グラム)を用います。そのため、同じ1号でも直径(mm)が同じとは限りません。
PEの太さがわかりにくいのには理由がある
なぜ、こんな↑わかりにくい方法で太さを測定するのか。
これには一応の理由があります。
ナイロンやフロロのような単糸構造のラインは、ラインの断面が真円に近い形状です。そのため、ラインの直径を測ることが可能です。
でも、PEは細糸を複数本編み込んだ撚り糸です。どれだけ密に編み込んでも、糸と糸の間にどうしても隙間ができます。そのため、PEはライン自体が真円になりにくいです。
そこで、単糸構造のように直径を測れないPEの太さを表すために、質量を用いて計測しているのです。
引張強力(lb)のばらつきは大きい
PEの太さは各メーカーにバラつきがあります。
じゃあ、引張強力を基準にPEを選べばいいのか?といえば、それもなかなか難しいです。
というのも、引張強力は太さ以上にバラつきの大きい指標です。
たとえば、よつあみのXブレイド。
X4の1号は引張強力が18ポンドありますが、X8は22ポンドもあります。
同じメーカーの同じ太さ(重さ)のラインなのに4ポンド(約2kg)の差があります。
PEの引張強力は各メーカーの各製品ごとにバラつきが大きいです。
そのため、リールに巻くラインの指標としてはかなり微妙です。
わかりにくいけど『太さ』で選ぶ
「PEの太さはわかりにくい」と言いながら矛盾しているようですが、PEを選ぶときは『太さ』を基準にしたほうがいいでしょう。
なぜ、バラつきのある『太さ』を基準にするべきか?
ということですが、理由は単純です。
リールに巻ける糸の量(糸巻量)が号数表記になっているからです。
たとえばシマノの場合「PE:1-400」というふうに記載されています。これは、PE1号が400m巻けるという意味です。
もちろん、PEの太さにはバラつきがあります。395mしか巻けないPEもあれば、405m巻けるPEもあるかもしれません。
多少のバラつきは生じてしまいますが、リールに標記された糸巻量が号数基準なので太さを基準にするのが基本です。
PEの太さは何号を選べばいい?
ラインの太さと飛距離の関係
道糸(メインライン)は、細ければ細いほどルアーがよく飛びます。
ラインが太いとライン放出中に空気抵抗や風の影響を受けやすくなるので、飛距離が伸びにくくなります。
ラインの太さの差なんてほんのわずかなように思えますが…。
でも、飛距離には確実に影響が出ます。
そのため太すぎるラインはNGです。
細いラインのデメリット
じゃあ、飛距離を伸ばすためにラインは細ければ細い方がいいのか?
といえば、そんなことはありません。
細いラインのデメリットは主に二つあります。
ラインブレイクのリスク
細いラインのデメリットの一つはラインブレイク(糸が切れること)のリスクです。
一言でラインブレイクといっても、いくつかの場面で問題になります。
たとえば、魚が掛かってから魚を取り込むまでの場面。ラインが細い場合と太い場合で、どちらが糸がが切れるリスクが高いか。いうまでもなく、ラインが細い方がラインが切れるリスクが高いです。
あるいは、ルアーが根掛かりをした場面。ラインが太い方が根掛かりしたルアーを回収できる可能性が高くなります。ラインが細いとルアーを回収できずにラインが切れてしまうことがあります。
ほかにもキャストの場面。いわゆる『高切れ』という問題です。
ルアーをキャストする瞬間というのはラインに大きな負荷が掛かります。6kg(14lbくらい)の引張強力のあるラインであっても、28g程度のルアーをフルキャストすると、投げた瞬間にラインが切れることがあります。
と思うかもしれません。でも、普通に切れることがあります。
扱いにくさ
細いラインのもう一つのデメリットとして扱いにくさがあります。
1.5号のPEと0.8号のPEを比べると、触っている感触がまるで別物です。
これは触ってみると明らかです。
ラインの扱いに慣れていないビギナーが0.8号を使うと、ラインを指に引っ掛けたつもりでもラインを拾い損なうことがあります。
あるいは、指に引っ掛けた糸がスルッと指から落ちて、ルアーを地面にぶつけてしまうこともあります。
シーバスフィッシングは1号からはじめる
シーバスフィッシングの場合、PE1号を基準にするのがおすすめです。
もちろん、シチュエーションは様々なので一概に決めることはできません。
ただ1号くらいの太さが最も適応範囲は広いです。
1号、1.2号、1.5号あたりで扱いづらさを感じないラインの太さを選びましょう。
PE1号以上あれば、魚とのやりとりに慣れていないビギナーでもシーバスにラインを切られることはそれほど多くはないでしょう。
根掛かりしたルアーの回収まで視野に入れると1.5号くらいの太さがあったほうがより可能性が高くなります。
ちなみに僕は1.5号がメインです。
僕は立ち位置が限定的な足場の悪い場所で釣りをすることもあります。こういう場所では、かなり強引に魚を寄せることがあります。
また、そういう場所ではラインを手で持って強引に魚を抜き上げることもあります。
そのため、やや太い糸を好んで使います。
PEの種類の選び方
上記のとおり、一口にPEといっても、太さ以外にもいくつかの考慮要素があります。
ビギナーがPEを選ぶうえで重視すべきなのはハリ・コシと価格です。
ビギナーにはハリ・コシがある程度必要
そもそも、糸というのは、フニャフニャしていると穴に糸を通したり結んだりしようとするときにけっこう難しいものです。
これは、裁縫糸を針の穴に通すときのことを想像してもらうとわかりやすいと思います。
と思った経験はありませんか?
釣り糸も同じです。
柔らかすぎる糸よりも、ハリ・コシ(復元力)のある糸の方が扱いやすいのが普通です。
また、ハリ・コシのない糸というのは思いもよらないところで絡まることがあります。
コチラ↓はエアノットと呼ばれる現象です。
自分で結んだわけでもないのに、キャストした瞬間にコブのような結び目が勝手にできてしまいます。
くそ〜、雨予報じゃなかったのにめちゃ降ってきた…
— 伯山 (@seabass54681379) May 22, 2021
Newライン&PEにシュッをしたのに、ノガレ投げたらやはりエアノットが😭 pic.twitter.com/cAGgjmMc6h
このようなライントラブルは、ライン操作に慣れた中・上級者でも、ちょっと油断すると発生してしまいます。
ライン操作に不慣れなビギナーがハリ・コシのない糸を扱ったときには、なおさら起こりやすいです。
そのため、ビギナーの頃はある程度ハリ・コシ(復元力)のあるラインがおすすめです。
価格は安いものでOK
これは僕の経験上のお話です。
とにかく僕は不器用なので、フェザーリング(ブレーキング)と呼ばれるラインコントロールがなかなか上手くできませんでした。
ナイロンをメインラインに使用していた頃にはライントラブルはそれほど起きませんでした。
でも、PEを使い始めた頃は、けっこう頻繁にライントラブルが起きてしまいました。
多いときではライントラブルが原因で年に4回ほどラインを交換したことがあります。
って感じでした、マジで。
しかも、当時は今のようにPEの種類が多くありません。価格も当時は3000円台が普通です。
皆が皆…というわけではありません。
でも、釣りにおいてライントラブルはかなり大きなストレスになります。
しかも、癖が原因なのかわかりませんが、人によってはけっこう頻発してしまいます。
さらにいえば、高価であればライントラブルを起こしにくいというものでもありません。ラインの価格に関係なく、ライントラブルは起こります。
そのため、ラインの扱いに慣れるまでは安いPEの方がベターです。
最近は安価でもかなり高品質のPEもあります。
まずは、ストレスのないフィッシングライフを目指しましょう。
ビギナーにおすすめのPEライン!
PE難民のビギナーのために1つだけおすすめのPEをご紹介します。
(個人的に)ダントツでおすすめするのはラピノヴァX(ラパラ)です。
ラピノヴァXは適度にハリ・コシがあって、硬すぎず、柔らかすぎず。
しかも値段も1300円ほど。
最近は安価で高品質のPEで溢れているのでお得感がなくなりましたが、発売当時は圧倒的なコストパフォーマンスでした。
そして何よりも心強いのがライントラブルの少なさ。
中・上級者はもちろん、ビギナーでもライントラブルが少ない!(はず)
正確にいえば、他のPEでもライントラブルの少ないものはたくさんあります。
でも、価格帯を考えると、ビギナー向けにおすすめできるラインとしてはぶっちぎりでNo.1です。
欠点らしい欠点といえば、コーティングが剥がれるのがけっこう早いです。
リールにラインを巻くときからすでに剥がれ始めます。剥がれたコーティングがラインローラー部に溜まってきます。
10回くらい釣行すると新品のときのハリ・コシは失われます。
そうなると、いつライントラブルが起こってもおかしくありません。
…おかしくはないですが、それはそういうものだと思って、ライントラブルが起こったときに巻き替えましょう。
ライントラブルが起こらなければそのまま使っても問題ありません。
PEは『扱いやすさ』を最優先で選ぶ!
ルアー釣りのビギナーにとって、『ライントラブル』というのは釣りが長続きしない原因の堂々の2位に挙げられる理由です(管理人調べ)。
PEがグチャっとなってコブができると、ほぼ、その場所から切らないといけなくなります。
PEは細いうえにハリがないため、ラインにコブができるとコブをほどくことが容易ではありません。
それを繰り返していると、だんだんと釣りが面倒になっていきます。
そうならないためにも、ビギナーがPE選びで重視すべきなのは扱いやすさです。
トラブルの少なさといってもいいかもしれません。
ラインといえば引張強度や耐摩耗性に目が行きがちです。
でも、糸が扱いにくくて、そもそも釣りにならないようでは本末転倒です。
まずは、トラブルの少ないラインから始めて、ラインの扱いを指先や体で覚えていきましょう。