シーバスフィッシングを始めると頻繁に耳にするようになるのが『●●パターン』という言葉。
最近は、なりふり構わず●●パターンと呼ばれる傾向にあります。
パターンフィッシングはルアーでシーバスを狙うのにはとても効果です。
でも、パターンフィッシングの役割を理解して使わなければ、かえって自分の釣りの可能性を狭めることになります。
このページでは、セオリーやパターンの役割についてご紹介します。
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
釣りにおける『セオリー』や『パターン』について
セオリーとは
シーバスフィッシングにおけるセオリーとはシーバスの習性や行動パターンに着目した合理的アプローチ方法です。
たとえば、シーバスは橋脚などの暗い影に身を潜め、明るい方から暗い方へ泳いでくるベイトを待ち伏せして狙います。
そのため、明暗のある場所では、明るい方から暗い方へルアーを送り込んでシーバスを狙います。
これが、シーバスの習性や行動パターンを利用して狙うセオリーです。
パターンとは
シーバスフィッシングにおけるパターンとは季節・水温・ベイトなどの条件に合わせてシーバスの行動やそのときのシーバスに効くルアーを絞り込んでいく戦略的なアプローチ方法です。
たとえば、春先になるとバチと呼ばれるゴカイ類が産卵のために一斉に水中へ現れます(バチ抜け)。
そして、シーバスはバチの産卵パターンを知っているので、春になるとバチの産卵を狙って捕食するようになります。
このゴカイ類の習性と、シーバスの捕食方法に着目したアプローチ方法がバチ抜けパターンです。
セオリーとパターンの違いは?
セオリーは、シーバス全般の習性や行動に着目したアプローチ方法です。
そのため、セオリーは、一年中、日本全国どんな場所へ行ってもだいたい当てはまります。
これに対して、パターンフィッシングが成立するのはけっこう限定的な場合です。
たとえば、新潟や秋田の方ではハタハタ(白ハタ)を捕食しているシーバスを狙うハタハタパターンというのがあります。
しかし、日本全国でみると、ハタハタパターンのシーバスが狙えるのはかなり限定的な地域です。
あるいは、バチ抜けパターン。ゴカイ類の産卵というのは一年のうちでも期間が限定されています。そのため、バチ抜けパターンがハマるの時期もだいたい限定されます。
セオリーは汎用性の高いアプローチ方法
であるのに対し、
パターンはハマれば爆発力があるけどパターンが成立するためには諸条件を満たさなければならない
という違いがあります。
セオリーやパターンの役割とは?
セオリーにしてもパターンフィッシングにしても、なぜ、そういうアプローチ方法が存在しているのか?といえば、もちろん「シーバスを釣るため」です。
この点についてもう少しだけ掘り下げます。
シーバスは一匹一匹性格が違う
シーバスに限らず、およそ魚というのは一匹一匹に個体差があります。
同じ魚種であっても個々の魚の性格が違うということは第1回の記事でご紹介しました。
犬種が同じ犬であっても、一匹一匹性格が違うのと同じです。
魚にも一匹一匹に性格の違いがあります。
【ゼロから始める】魚の性格の違いを知ればシーバスはもっとたくさん釣れる!【第1回】
ルアーを通してシーバスと向き合うとき、シーバスの習性や性格を理解することはとても重要です。・どういう餌を食べているのか?・どういう場所に生息しているのか?・どういう性格の魚なのか?でも、セオリーやパターンついて知って『[…]
そのため、シーバスをルアーで狙う場合、目の前にいるシーバス一匹一匹の個性に合わせたアプローチをするのが理想的な狙い方です。
アプローチを効率化・合理化する
とはいえ、目の前にいる(であろう)シーバスのそれぞれに合わせたアプローチ方法を模索するなんて、いくら時間があっても足りません。
持ち歩けるルアーの数には限りがあります。釣りができる時間にも限りがあります。
潮の流れが変わってしまった途端に、シーバスが、それまでとは違った行動を始めることも少なくありません。
そうすると、また別のアプローチ方法を模索することになります。
つまり、シーバス一匹一匹に照準を合わせたアプローチ方法を考えると、とてつもなく効率の悪い狙い方になります。
そこで有効なのがセオリーやパターンにあてはめたアプローチ方法です。
セオリーやパターンというのは、シーバス一匹一匹の性格に着目するのではなく、多くのシーバスに共通する習性に着目してアプローチする方法です。
セオリーやパターンを構築することで、シーバスという魚の多数を一定の枠に当てはめて、効率的に、一度により多くのシーバスにアプローチをすることが可能になります。
セオリーやパターンというアプローチ方法は個体差のあるシーバスに効率的・合理的にアプローチするという役割を担っているのです。
アプローチ方法の優先順位
まずはセオリーから!
シーバスを狙うための主なアプローチ方法としては
②セオリーに沿ったアプローチ
③パターンフィッシング
が考えられます。
この中で最も優先順位が高いのは
②セオリーに沿ったアプローチ
です。
上記のとおり、セオリーやパターンというのはシーバスへのアプローチ方法を効率化・合理化した狙い方です。
なので、当然、①よりも効率的な②や③の方法でシーバスにアプローチすべきです。
では、最初にセオリーで攻めるべきか?パターンに当てはめるべきか?
この点について、まずは、より汎用的なアプローチ方法であるセオリーに沿ったアプローチ(②)で攻めます。
パターンというのは、ハマれば爆発力があるアプローチ方法ですが、パターンが成立するためには諸条件を満たさなければなりません。
つまり、セオリーと比べると、パターンは「多くの場所でハマる」とはいえないのです。
なので、まずは一般的なシーバスの習性に合わせたセオリー通りのアプローチ方法で攻めるのが効率的といえます。
セオリーでダメなら?
次に、セオリー通りのアプローチではシーバスが反応しなかった場合にどうするか?
この場合、2つの方法が考えられます。
1つは、セオリーやパターンという枠を取っ払って、手持ちのルアーをフル活用して様々なアプローチを試してみるという方法です。
つまり、シーバスの個体差に問いかけてみることです。
もう1つは、目に見えていないだけで、水中では●●パターンが成立しているかもしれないという期待のもとにパターンフィッシングを試してみる方法です。
とりあえずパターンフィッシングを試してみてダメなら、シーバスの個体差に問いかけてみます。
これはどちらかが優先するというものではありません。
例外的にパターンから攻める場合
基本的には【②→①】か【②→③→①】の順番でアプローチします。
でも、例外的に③からアプローチをする場合もあります。
これはいうまでもなく、パターンがハマりそうなヒントが目に見えているときです。
明らかにコノシロが追われているとか、バチがバンバン流れてきて水面で小さな捕食音があちこちから聞こえてくるような場合。
このようなヒントがあれば、パターンフィッシングがハマる可能性は高いでしょう。
この場合には③→②→①の順番でアプローチしてみます。
セオリーやパターンでアプローチするときの注意点
セオリー通りにアプローチをする場合でも、パターンに当てはめてアプローチする場合でも、絶対に忘れてはいけないことがあります。
それは
シーバスは一匹一匹に個体差があって、性格が全然違う
ということ。
いくらシーバスの習性に着目してセオリーやパターンを構築しても、それに当てはまらない(そこから漏れる)個体というのは必ず存在します。
魚は、アングラーが考えているほど単純ではありません。
セオリーやパターンで釣れないときにどうするか?
としてあきらめるのではなく、せっかくルアーフィッシングを通じてシーバスと向き合う以上、自分の手元にあるルアーを駆使して様々なアプローチを試してみましょう。
セオリーやパターンに反応しなかったシーバスでも、別のアプローチ方法であれば反応するという個体もきっと居るでしょう。
それくらい、それぞれのシーバスには個体差があって性格が違うものです。
セオリーやパターンの役割を理解して適切に使い倒す!
シーバスフィッシングにおいてセオリーやパターンに沿ったアプローチというのは、テクニックや裏技的な攻略法ではありません。
セオリーやパターンは、シーバスの習性や行動から導き出された効率的かつ合理的なアプローチ方法です。
そのため、これらを駆使してシーバスにアプローチをすることは王道かつ正攻法です。
経験や情報の少ない入門者であればあるほど、セオリーやパターンというアプローチ方法は大切にするべきです。
それと同時に「なぜセオリーやパターンというアプローチ方法が必要なのか?」ということも合わせて意識をしておくことも入門者にとっては重要です。
シーバスには個性があって一匹一匹の性格が違うので、一匹一匹のシーバスに合わせたアプローチ方法は無限に考えられます。
そこで、シーバス全般に共通するような習性や行動に基づいてアプローチ方法を効率化・合理化したものがセオリーやパターンです。
逆に、そもそも個々のシーバスの性格が違う以上、セオリーやパターンに当てはまらない個体というのも必ず存在しています。
しかも、その数は決して少なくありません。
セオリーやパターンでシーバスにアプローチしても答えが得られないときにどうするか?
それは、原点に帰って、それぞれ性格の違うシーバス一匹一匹に答えを問いかけてみることです。
シーバスフィッシングは、セオリーやパターンを知っていればシーバスが釣れるというようなヌルゲーではありません。
でも、セオリーやパターンにシーバスが反応しないからといってあきらめる必要もありません。
セオリーやパターンに反応しないときこそ、その他のアプローチ方法の差や経験の差が釣果に現れます。
シーバスを狙うときは、「セオリーやパターンに当てはまらない性格の違う個体が必ずいる」ということを常に意識して、別のアプローチ方法も選択肢として持っておきましょう。
セオリーやパターンに当てはまらなくてもアプローチ方法はたくさんあり得るということを意識するだけで、釣りの幅が大きく広がってきます。
セオリーやパターンはシーバスを効率的・合理的に狙うためにとても有効なアプローチ方法なのでどんどんと試してみるべきです。
しかし、それには限界もあります。
さらには、その限界を突破するためのアプローチ方法も必ず存在します。
そのことを常に意識して釣りをすることが釣果を伸ばすうえで、また、釣りの幅を広げるうえでとても大切なことです。
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