ロッド選びというのはロッドの長さと硬さ選びです。
この二つの要素でだいたい7~8割を占めます。
また、シーバスに限らず、あらゆる釣りジャンルにおいて
河川で狙うなら〇フィート前後
という定型化されたロッドの長さの基準というものがあります。
ところで、なぜ、このようなロッドの長さの基準が生まれたのか?
もちろん、実際に使ってみて「これくらいの長さが一番使いやすい!」という実践から得られた答えです。
しかし、「これくらいが使いやすい!」という理由を理解するためには、ロッドの長短によるメリットを知っておくことはとても有用です。
このページでは、ロッドの長短によるメリットをご紹介します。
ロッドの役割を理解する
第1回の記事で、ロッドの役割というものをご紹介しました。
結論だけいえば、ロッドの役割は
・魚がバレるのを防ぐ
・ラインが切れるのを防ぐ
といったところです。
このようなロッドの機能を十分に発揮できるのは長いロッドか? 短いロッドか?
こういった点から、ロッドの長さによるメリットを考えてみます。
逆に、長いロッドのメリットは、短いロッドのデメリットともいえます。
ロッドの長短と、メリットデメリットは表裏の関係になります。そのため、あえてデメリットはご紹介しません。
長いロッドのメリット
長いロッドのメリットは、具体的には次のとおりです。
・曲がり代(まがりしろ)が大きい
・高い足場、遠浅のポイントでも魚やルアーを操作しやすい
長いロッドは飛距離が出しやすい
飛距離については想像しやすいと思います。
ロッドが長いと、その分だけ遠心力が大きくなります。
遠心力が大きくなった分だけ、ルアーを飛ばす力が大きくなります。
長いロッドが飛ばしやすい、というメリットは理解しやすいところです。
曲がり代=ショックの吸収性
ロッドの曲がり代(まがりしろ)が大きいと、それだけ魚の引きや突っ込みを吸収できる幅が大きくなります。
よく曲がるロッドほど、魚の力を吸収できます。
つまり、魚をバラしにくくなります。
典型的なのがコアマン代表の泉裕文プロ。泉さんの釣りは、よく曲がるロッドでバラシを極限まで抑えようとするスタイルです。
ロッドは、曲がれば曲がるほど魚の力を吸収し、魚の動きに追従できます。
そのため、長ければどんなロッドでも魚の引きを吸収できるか?といえば、必ずしもそういうものではありません。
足場の高い場所等で魚をコントロールしやすい
高い足場、遠浅のポイントで魚をコントロールしやすいというのは、実際に経験してみないとわかりにくいかもしれません。
足場が高い場所で釣りをしていると、足元まで寄せた魚をコントロールするときに、どうしても長いロッドのほうが有利になります。
また、自分の立ち位置から近い場所の水深が浅い場合、短いロッドでは、手前でルアーが根掛かりするおそれがあります。
このようなポイントでは、ロッドが短いとけっこう釣りがしづらいです。
経験しないとピンとこないかもしれませんが…
足場の高い場所、遠浅のポイントでは長いロッドのほうが釣りがしやすいことは覚えておきましょう。
短いロッドのメリット
短いロッドのメリットは、具体的には次のとおりです。
・抜群の操作性・取り回しの良さ
・ロッドの力を魚に伝えやすい
ロッドのバランスとは?
短いロッドが軽いというのは当然といえば当然の話です。
ただ、ロッドが30cm短くなったところで、軽くなるのはせいぜい20gや30gほど。
じゃあ、たった20~30gでどれほど違うのか?
実は、ロッドが短くなると軽くなった重量分以上の快適さを感じることができます。
というのも、ロッドが30cm長くなったとしても、竿を持つ位置はほぼ変わりません。リールシートが数cmほど竿先側に移動するだけです。
そうすると、ロッドというのは、長くなれば長くなるほど竿先に先重りを感じるようになってきます。
反対に、ロッドは、短くなるほど手に持ったときのバランスがよく、軽快に扱えます。
短いロッドというのは、自重が軽いのに加え、バランスの良さというメリットがあります。
短いロッドは操作性がいい
ロッドの操作性というのはルアーを意図的に動かしたり、狙ったところへキャストするときに重要になります。
取り回しの良さというのは、ロッドを継いだまま移動したり、ルアーを交換したり、竿先に絡んだラインを解いたりするときのロッドの扱いやすさのことです。
これらは、長いロッドよりも短いロッドのほうが圧倒的に有利になります。
短いロッドはパワーの伝達に優れている
ロッドの力を魚に伝えやすいという性能は、フッキングの場面や、魚の動きをコントロールするときに求められます。
稀にですが、長いロッドのほうが魚にパワーを掛けたり魚の動きをコントロールしやすいと誤解しているビギナーがいます。
しかし、ロッドは、長くなればなるほど、曲がり代(まがりしろ)が大きくなります。
曲がり代が大きくなればなるほど、力を吸収しやすくなります。
ところで、ロッドが吸収する力は魚のパワーだけではありません。ロッドが曲がれば、魚のパワーだけでなく、釣り人のパワーも吸収してしまいます。
逆に、短いロッドというのは、曲がり代が小さい分、パワーの伝達に優れています。
一般的に大物釣り用のロッドが短めの設定になっているのは、釣り人のパワーを魚に伝達しやすくするためです。ロッドが長いと、引きの強い魚に振り回されてしまうのです。
大場所では長めになる傾向がある
これらのロッドの長短によるメリットを理解したうえで、定型化されたロッドの長さについて考えてみます。
まず、河口・沖堤防・サーフなど、ひらけた大場所。
これらの場所がメインフィールドの場合、9フィート以上の長めのロッドが推奨される傾向にあります。
これはなぜか?
一つには、これらのフィールドではポイントが広範なため、飛距離が求められることが多いからです。
もう一つの理由として、ロッドの操作性があまり要求されないということがあります。
これらのフィールドでは、とにかく遠くまでルアーを飛ばして、回遊待ちのタダ巻きスタイルで釣りをすることが多くなります。
障害物を狙って投げたり、ルアーを積極的に動かして誘うというスタイルをメインで釣りをする人は稀です。
また、サーフでは、遠浅の地形になっていることが少なくありません。
沖堤防では、足場が高くて水面までの距離が離れていることが多いです。
そのため、ロッドの操作性よりも、飛距離を稼ぐため、あるいは足元でのルアーや魚のコントロールのしやすさから、長めのロッドが好まれる傾向にあります。
小場所では短めになる傾向がある
港湾エリア・都市型河川・中小規模河川など、対岸のあるような小場所。
これらのフィールドでは、9フィート以下のやや短めのロッドが推奨される傾向にあります。
これはなぜか?
一つには、これらのフィールドでは狙った場所(障害物)に投げる機会が多くなることが挙げられます。
狙った場所にピンポイントでルアーを投げようと思うと、(ルアーが届くのであれば)短いロッドのほうが圧倒的に投げやすくなります。
もう一つの理由として、ショートキャストを繰り返して移動しながら釣りをする機会が増えることが挙げられます。
いわゆる小場所と呼ばれるポイントでは、フルキャストをして回遊待ちをすることもあれば、短いキャストで数を撃っていったほうが効率的にシーバスを探せる場合も少なくありません。
さらには、障害物を狙う場合、タダ巻きよりもルアーを動かしたほうがシーバスの反応がいいことがけっこうあります。つまり、ルアーを意図的に動かす機会が増えます。
これらの理由から、操作しづらい長めのロッドより、バランスと操作性の良い短めのロッドが好まれる傾向にあります。
ロッド選びは足し算と引き算
ロッド選びというのは、ルアーフィッシングにおいてはけっこう難問です。
上記でご紹介した長いロッドのメリット、短いロッドのメリットを正確に理解しておく必要があります。
そのうえで、メインフィールドや釣りのスタイル、自分の体格や腕の力などに合わせて、長いロッド・短いロッドのメリットを足し算・引き算しながらロッドを選ぶ必要があります。
シーバスフィッシングでは
メインフィールドが〇〇のときは8.6~9.0フィート
という感じでロッドの長さを画一的に説明されることが少なくありません。
たしかに、右も左もわからないビギナーの頃には、画一的な長さの基準は有用です。
基準が明確ですから。
しかし、釣りを続けていくと、いずれはロッドに関する不満が大なり小なり生じてきます。
そのときは、この記事のことをもう一度思い出してみてください。
ロッドの長さは(本来は)画一的に決まるものではありません。
ロッドの長短によるそれぞれのメリットを把握したうえで、そのメリットの足し算・引き算によって、自分に合ったロッドを探してみましょう。