第15回の記事で、「食わせるためにルアーのスピードを変える」ことをご紹介しました。
エサではない、ルアーでシーバスを釣るということを考えたとき、レンジの次に重要になるのがルアーを動かすスピードです。シーバスを釣るための重要なファクターとして昔からいわれているのが潮 ベイト レンジ(タナ)ルアーの[…]
この記事に関して、ビギナーの方から
という質問…というか指摘を受けました。
これは、とてつもなく的を射た指摘です。
でも、ルアーのスピードにこだわるのは、実は「食わせ」のためだけではありません。
このページでは、ルアーのスピードにこだわる理由について深堀りします。
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
スピードの変化が釣果につながる実感がないのは当たり前
ルアーのスピードでシーバスの反応は変わる?
スピードの変化でシーバスが食ってくると説明しつつ、スピードの変化による釣果は実感できないというのは矛盾しているようにも思えます。
そもそも、ルアーのスピードの変化でシーバスの反応が変わる、というのは本当なのでしょうか?
答えは…わかりません!
これは、実際にシーバスに聞いてみないとわかりません。
それでも「ルアーのスピードでシーバスの反応は変わる」という定説は今後も残るでしょう。
ルアーのスピードと魚の関係
ルアーフィッシングの中には、ルアーのスピードによって魚の反応が変わることを実際に体感できる釣りがあります。
たとえば、バスフィッシング。
バスフィッシングでは、サイトフィッシングといって、見えているブラックバスを目視しながら狙う釣り方があります。
このとき、ルアーのスピードによって、見えバスの反応が変わることから、バスフィッシングでは当然のように「ルアーのスピードでブラックバスの反応が変わる」と考えられています。
ほかにも管理釣り場のトラウトフィッシング。
狭い池の中に数百匹という数のトラウトがいます。
これだけ魚影が濃いと、ルアー(スプーン)のスピードの変化によってトラウトの反応が変わることを実際に体感することができます。
バスフィッシングやエリアトラウトフィッシングのように、ルアーのスピードの変化によって魚の反応が変わることを実際に体感できる釣りがあります。
スピードの変化が釣果につながる実感がないのは当たり前
では、シーバスフィッシングではどうでしょうか?
シーバスフィッシングでは、バスフィッシングのように見えているシーバスの反応を目視しながら狙うスタイルはほとんどありません。
多くのアングラーがルアーを40~60mくらいフルキャストするスタイルです。
また、管理釣り場のトラウトのように、数百匹単位でシーバスがいて、シーバスのアタリ(反応)を確認しながら釣りができるわけでもありません。
シーバスフィッシングは、シーバスがいるかもしれないポイントにルアーを何度もキャストしてアタリを待つ釣りです。
なので、たとえシーバスが釣れたとしても、「なぜシーバスがルアーに食いついてきたのか?」という理由を特定するのはとても困難です。
そのため、シーバスフィッシングでは、スピードの変化が釣果につながっている実感がないのは当たり前といえます。
帰納的に導き出された定説
では、「ルアーのスピードでシーバスの反応が変わる」というのは本当でしょうか?
上記のとおり、実際にはシーバスに聞いてみなければわかりません。
ただ、ルアーフィッシングの対象魚であるブラックバスやトラウトには、ルアーのスピードで反応が変わるという傾向が見られます。
そこで、(魚種は違うけど)ルアーで同じように狙えるシーバスも、ルアーのスピードによって反応が変わる(だろう)と考えられているのです。
このように、直接には確認できないけど、他魚種の行動を考慮すると、シーバスも同じような習性があるだろう、と帰納的に考えるわけです。
それでもルアーのスピードが重要なわワケ
多くのシーバスアングラーにとって「ルアーのスピードが釣果に与える影響」を実感することは難しいでしょう。
それでも、ルアーのスピードをコントロールすることはルアーフィッシングにおいてとても重要なスキルです。
ルアーのスピードで何が変わる?
これまで、シーバス目線でルアーのスピードの重要性についてご紹介しました。
しかし、シーバス目線の理由は、結局のところシーバスに聞いてみなければ答えはわかりません。
と言われるかもしれません。
でも、ルアーという道具目線で考えると、ルアーのスピードが変わることで確実に変化が生じる部分があります。
それがルアーのアクションとレンジです。
アクションとレンジは、ルアーのスピードが速いか遅いかによって、けっこうな違いが生じます。
ルアーのスピードが変わるとアクションも変化する
ルアーのスピードが速いか遅いかによって、ルアーのアクションそのものが変化します。
スピードを速くすると、ルアーのアクションは素早く・大きく・ワイドになります。
スピードを遅くすると、ルアーのアクションはゆったり・小さくなります。
これは、ほぼすべてのルアーに共通していえることです。
大きくワイドにルアーを動かしたいときは、ルアーを巻くスピードを速くします。
ゆったりと小さくルアーを動かしたいときは、ルアーを巻くスピードを遅くします。
このように、ルアーのスピードをコントロールすることで、ルアーのアクションを変えることができます。
ルアーのスピードが変わるとレンジも変わる
ルアーのスピードが速いか遅いかによって、ルアーのレンジもコントロールすることができます。
このレンジコントロールは、フローティングタイプかシンキングタイプかによってコントロールの方法が異なります。
まず、フローティングタイプの場合。
フローティングタイプのルアーは、スピードを速くすることで深いレンジに到達できます。
反対に、スピードを遅くすることで、浅いレンジを引いてくることができます。
次に、シンキングタイプの場合。
シンキングタイプのルアーは、スピードを速くすることで浅いレンジをキープしやすくなります。
反対に、ルアーのスピードを遅くすることで、より深いレンジを引いてくることができます。
ルアーのスピードをコントロールすることで、同じルアーでもレンジを調整することができるようになります。
『道具としてのルアー』を使いこなす
ルアーのスピードの重要性というのは、シーバス目線で語られることが多いです。
「このスピードだと食いやすい」とか「このスピードでは反応しない」というふうに。
でも、もっとシンプルでわかりやすいスピードの使い分けが方法があります。
それが道具としての機能に着目した方法です。
ルアーという道具は、スピードの速い遅いでアクションが変わります。
スピードが速くなればなるほど、ルアーのアクションは素早く・大きく・ワイドになります。
また、スピードの速い遅いによって狙えるレンジも変わります。
ルアーのレンジ・スピード・アクションを組み合わせることで、少ないルアーでも様々なアプローチが可能になります。
ビギナーにおすすめのデジ巻きとは?
最後に、ルアーのスピードの変化によってシーバスを誘う方法として、ビギナーにおすすめのテクニックをご紹介します。
ルアーのスピードの緩急によって、簡単にルアーのアクションにメリハリをつけるテクニックとしてデジ巻きと呼ばれるリトリーブ方法があります。
↓
止める
↓
また素早く1回転(または半回転)
というリトリーブを繰り返します。
ゴーとストップを繰り返すことで、規則的にルアーのアクションに大きな変化点を生じさせるテクニックです。
テクニックといっても、「リールを巻く→止める」を繰り返すだけなので、ビギナーでも簡単に実践できる方法です。
コツとしては、リールの巻き始めの段階から、できるだけ素早くハンドルを回すこと。
デジ巻きのようにルアーのスピードを規則的にコントロールすることで、タダ巻きとは違ったアクションでシーバスにアピールすることができるようになります。
スピードをコントロールしてルアーの機能を引き出そう!
シーバスの視点に立ってルアーのスピードを語ろうと思っても、結局のところ、シーバスの気持ちを想像することしかできません。
本当のところは、シーバスに聞いてみなければわかりません。
ただ、ルアーのスピードに関して、「道具としてのルアー」という視点から捉えると、ルアーの機能をさらに引き出すことができるようになります。
ルアーは、スピードによってアクションが変わります。
また、ルアーは、スピードによってレンジも変わります。
ルアーのスピードをコントロールすることで、一つのルアーからたくさんの使い道が生まれます。
ルアーのレンジ・スピード・アクションの要素を組み合わせて、いろんなアプローチ方法を考えてみましょう。