最近、SNSでよく目にするのがスピニングリールのライントラブル。
バックラッシュと呼ぶ人もいます。
しかし、ベイトリールのバックラッシュとは原因がまったく異なります。
また、『backlush』の意味からしてもまったく別物です。
とはいえ、スピニングリールのライントラブルをなんとかしたいと思う気持ちはみんな同じです。
このページではスピニングリールのライントラブルの原因と対処法についてご紹介します。
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
スピニングリールで起こるライントラブルとは?
ベイトリールにはバックラッシュと呼ばれるライントラブルが付きものです。
バックラッシュを警戒するあまり、スピニングリールしか使わない人もたくさんいます。
シーバスフィッシングではベイトリールを使う必要性は高くはありません。
なので、「スピニングリールしか使わない」という選択肢でも特に問題はありません。
ところが、スピニングリールにはスピニングリール特有のライントラブルが発生します。
これが『エアノット(結び玉)』と呼ばれるスピニングリールのライントラブルです。
キャスト時に意図せずにできる結び玉なのでエアノットと呼ばれています。
ほかにも『ゴップ』と呼ばれる、PEラインのかたまりがダマになって一気に引き出されることで起こるライントラブルもあります。
個人的には『ゴップ』って呼び方はほとんど使わないです
22ステラが発売されて以降、特にゴップに関する投稿を見かけるようになりました。
では『エアノット』や『ゴップ』を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?
エアノットやゴップが発生する原因は?
対処法を知るためには、まずはエアノットやゴップができる原因を知る必要があります。
エアノットやゴップの原因になるのは主に下記の三点です。
②糸ヨレ
③ラインの巻き過ぎ
とりわけ大きなウェイトを占めるのは①と②です。
フカフカ巻きはライントラブルの最大の原因!
そもそもフカフカ巻きとはどのような状態のことをいうのでしょうか?
フカフカ巻きとは、ラインがスプールに巻きつけられているように見えて実際にはスプールのうえにラインが乗っかっているだけの状態をいいます。
ややわかりにくいですが、この写真↓のような状態です。
ラインがスプールから少し浮いています。
これはテンションを掛けずにラインを巻き取ったときに発生します。
このように浮いている状態で30周も40周もラインを巻き取ると、かなり危険です。
「30周も巻き取ることあるの!?」と思うかもしれませんが、ハンドルを5回転ほど回すと30周以上巻き取ることになります。
このフカフカ巻きの部分は、ラインがスプールに軽く乗っかっているだけの状態です。
そのため、このフカフカ巻きの部分が、次のキャストの時に勢いでゴポッとまとまって放出されます。
糸ヨレもライントラブルの原因になる
スピニングリールは、構造上、必ず糸ヨレが発生します。
この糸ヨレは、放置するとライントラブルのもとになります。
糸ヨレは思いもよらない大きなトラブルを発生させることがあります。
糸ヨレは甘く見ないようにしましょう。
ラインの巻き過ぎにも要注意
ラインは、放出されるときにスプールエッジに触れることで抵抗が生まれます。
この抵抗がラインの過度な放出を抑えています。
ところが、ラインをスプールエッジのギリギリのところまで巻いたりすると、最初に放出されるラインがスプールエッジにほとんど引っ掛からない状態で放出されてしまいます。
そのため、ラインの巻き過ぎもゴップやエアノットの原因になります。
ライントラブルは『過放出』+糸ヨレが原因で起こる!
フカフカ巻きにしろ、ラインの巻き過ぎにしろ、放出されるラインに適度なテンションが掛かっていないことが原因で大量のラインが一気に放出されてライントラブルが起こります。
つまり、ラインにテンションが掛かっていないことによる『ラインの過放出』によってゴップやエアノットが発生するのです。
ここに糸ヨレまで加わると最悪のトラブルに見舞われます。
では、ラインの過放出や糸ヨレを抑えるのにはどうしたらいいのでしょうか?
フカフカ巻きを抑えることが最重要!
ゴップやエアノットの原因のほとんどはフカフカ巻きです。
そのため、とにかくフカフカ巻きをしないようにしなければなりません。
では、フカフカ巻きはどのような場合に発生するのでしょうか?
フカフカ巻きは主に下記のような場合に起こります
・引き抵抗の小さいルアーを使うとき
・ルアーをアクションさせるとき
これらの動作を行う場合に、フカフカ巻きが発生しないように注意しておく必要があります。
フカフカ巻きを防ぐために心掛けること
ラインスラックはフカフカ巻きの原因になる
ラインスラックとは、ラインの弛みのことです。つまり、キャスト時に放出された余分なラインです。
適度にブレーキが掛かっているベイトリールと異なり、スピニングリールでは、風がある日にはかなりラインに弛みが発生します。
たとえば、ルアーは40mしか飛んでいないのに、ラインは50mくらい出ている場合など。
この場合、10m分はラインの弛みです。ルアーを引っ張らずにラインだけを回収できる部分が10mもあります。
この10m部分を回収するときにラインにテンションが掛かっていないと、フカフカ巻きが発生します。
PEラインはフカフカ巻きになりやすい
ナイロンやフロロと比べるとPEはとても軽いラインです。
そのため、テンションを掛けずに巻き取ると簡単にフカフカ巻き状態になってしまいます。
ナイロンやフロロよりもはるかにフカフカ巻き状態になりやすいです。
このPEの特性からも、フカフカ巻きにならないように常に気を配っておく必要があります。
必ずフェザーリング(ブレーキング)を行う!
スピニングリールでは、ルアーの飛行中に人差し指で軽くスプールエッジに触れることでラインの放出量をコントロールします。
羽毛で触れるように軽く触れるだけでOKです。
これをフェザーリングと呼んでいます。
スピニングリールでシーバスを狙う場合、まったくの無風状態でない限り、フェザーリングは必須動作であり、基本中の基本の動作です。
キャスト時に人差し指でスプールを触れるクセは必ず身につけておきましょう。
それでも発生してしまったスラックを回収するときは?
フェザーリングをしていてもラインスラッグが出てしまうことはあります。
その場合には主に二通りの方法でラインにテンションを掛けます。
まず一つは、ラインとブランクスを一緒に持って、手で直接テンションを掛けながら巻く方法です。
原始的でアナログな方法ですが、一番確実です。
もう一つの方法が、ラインを水に浸けて、潮の流れ(水)を抵抗として利用する方法です。
潮の流れが強いときは、ビギナーでも、ラインに抵抗が掛かっていることが伝わってきます。
でも、慣れないうちはラインに直接テンションを掛ける方法をおすすめします。
引き抵抗の小さいルアーを使うときは要注意!
シンキングペンシルやシャローランナーをスローで使う場合には、もともとラインにテンションが掛かりにくいので、フカフカ巻きが発生してしまうことがあります。
デイゲームであればスプールを目視してフカフカ巻きが発生していないか確認することができます。
でも、ナイトゲームではフカフカ巻きが発生しているかどうか、わかりにくいものです。
そこで、ナイトゲームでは、4~6投に1回くらいは早巻きを織り交ぜるなど、テンションが掛かるような巻き取り方をしてやると良いでしょう。
ルアーをアクションさせるときも要注意!
トップウォータープラグを操作したり、キャストしたメタルジグをシャクったりするときも、ラインスラックが発生しやすいです。
この点に関しては、正直なところ『慣れ』以外に避ける方法がありません。
強いて言えば、フカフカ巻きが発生していないか、スプールを目視したり手で触ってチェックしながら釣りをするよりほかに方法がありません。
ルアーをアクションさせるときは常にスプールに気を配っておくようにしましょう。
糸ヨレもライントラブル発生の要因になる
スピニングリールは糸ヨレする構造になっている
第2回の記事でも少し触れました。
そもそもスピニングリールというのは、その構造上、糸ヨレが発生します。
これは不可避的に発生します。
この糸ヨレをわずかながら和らげてくれるパーツがラインローラーです。
ラインローラーが固着していないか釣行毎にチェックする
ラインローラーは糸ヨレを緩和してくれます。
しかし、ラインローラーが固着して正常に動作しないと、糸ヨレの原因になります。
ラインローラーが正常に動作しているかどうかは、爪などで回してみるとわかります。
指が太いなどの理由により爪で回しにくい場合、ドライバーの胴部分で動かしてみると良いでしょう。
異音等の症状がなく、軽い力で動く場合は、ラインローラーが正常に動作しています。
逆に、キーキーと音が鳴ったり、動かすときに抵抗を感じる場合にはラインローラーに異常があるといえます。
その場合には、ご自身でメンテナンスしてみるか、最寄りの釣具屋に相談しましょう。
オートリターンを活用する
キャスト後にベールを手で戻す人に起こりがちなのがベールがラインを拾う現象です。
ラインローラーではなく、ベールがラインを拾って、そのままラインを巻き取ってしまうことがあります。
この場合、ラインローラーがまったく仕事をしていないので、糸ヨレが発生しやすくなります。
そこで、ベールがラインを拾ってしまう現象を防ぐためにリールに備わっているオートリターン機能を活用します。
実は、オートリターンを活用することで、ラインローラーにきちんと仕事をさせることができるようになります。
リールのオートリターン。
— ショーカラ(y-nax)(村長) (@y_nax_tw) August 5, 2022
ウェブサイト共有用にTwitterのサーバーにアップ。 pic.twitter.com/JXmC1E1EGq
僕の感覚では、オートリターンでベールを戻すと100%ラインローラーがラインを拾ってくれます。
ベールがラインを拾うことはありません。
アングラーの中には、「ベール下がりの原因になる」とか「ベールが壊れそう」という理由でオートリターンの使用を推奨しない人もいます。
でも、ちょっと待って!!
もちろん使うためです。
使うことを想定した機構なので、ちょっとやそっとで壊れることは(普通は)ありません。
オートリターンを活用することで、ベールがラインを拾ってしまって糸ヨレが発生する、という不測の事態を防ぐことができます。
ラインの巻き過ぎの場合の対処法は簡単
ラインを巻き過ぎたことで、スプールエッジによる抵抗が掛からないためにゴップが発生するのであれば、ラインを巻く量を減らしましょう。
下巻きを減らしてメインラインを巻き直してもいいです。
あるいは、メインラインを減らして短くするのもいいでしょう。
気持ちラインを少なめに巻くことでスプールエッジが機能するようになります。
ラインの消耗も気にしておく!
最後に、PEラインの消耗についてのお話です。
PEラインは複数回使用すると、ライン表面のコーティングが剥がれて毛羽立ってきます。
ラインの表面が毛羽立ってきたとしても、(個人的には)それほど強度低下を感じたことはありません。
なので、「ラインの毛羽立ち=即交換」と考える必要はないでしょう。
ただ、注意しておかなければならないのが、
ラインが毛羽立つことでさらにフカフカ巻きしやすくなる
ということです。
表面がコーティングされたラインと毛羽立ったラインを同じテンションでスプールに巻きつけたとき、どちらがよりしっかりと巻きつけることができるでしょうか?
これは、想像するのはそれほど難しくはないでしょう。
表面がコーティングされているほうがしっかりと巻くことができます。
逆に、表面が毛羽立ったラインだと、フワッと巻かれてしまいます。
ラインの表面が毛羽立ってきたとしても、即交換する必要はありません。
でも、ライントラブルを抑えるためには、ライン用のコーティングスプレーでラインの表面をコーティングした方がストレスなく釣りをすることができます。
基本動作を身につければライントラブルは怖くない!!
本来は、フェザーリングやオートリターンの活用というのは、スピニングリールを使うための基本中の基本といえる動作です。
しかし、釣りに関する情報が中・上級者向けのテクニック・メソッド重視で発信されるようになった昨今、基本動作をすっ飛ばすことで予期せぬトラブルに見舞われるアングラーも少なくありません。
ブレーキのあるベイトリールと異なり、ライン放出量のコントロールはスピニングリールを使うための基本動作です。
この点を疎かにしてライントラブルが発生したときは、基本動作を見直してみましょう。