シーバスフィッシングで盛んに用いられる●●パターンという言葉。
普段から当たり前のように使う言葉ですが、その本質を理解しているビギナーは少ないように感じます。
このページではパターンフィッシングについてご紹介します。
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
パターンフィッシングとは
パターンフィッシングの意義
ルアーフィッシングには『パターンフィッシング』や『●●パターン』という言葉があります。
この言葉について明確な定義があるわけではありません。
ただ、概ね次のような意味で説明されています。
僕がルアーフィッシングを始めた頃(約30年前)にはすでに存在していた言葉です。
●●パターンは戦略(ストラタジー)の一つ
パターンフィッシングの本質は
その時の魚に効くルアーやアプローチ方法を効率的に絞り込む戦略
という点にあります。
これはどういうことか?
たとえば、パターンという概念をまったく無視してシーバスを狙うとします。
この場合、すべてのレンジに対して、考えられる手持ちのルアーすべてを駆使してアプローチを試みることになります。
ざっくりと言えば手持ちのルアーをすべて試してみるという方法です。
これは、ルアーフィッシング経験の少ないアングラーでも確実に実践できる方法です。
でも、このようなアプローチ方法は時間と労力がとても掛かります。
そこで、限られた時間で効率的にターゲットに迫るために、パターンフィッシングという(ターゲットに近づくための)戦略があります。
このパターン化された戦略のことを●●パターンと呼んでいます。
そして、戦略の一つにすぎない以上、ターゲットからの答えがなければ、その戦略を見切って別の戦略を考えなければなりません。
『●●パターン』と『マッチザベイト』の違い
『●●パターン』と『マッチザベイト』の混同
たとえば
と説明されることがあります。
この説明自体は、それほど違和感を覚えるものではありません。
ただ、こういう大雑把な説明が浸透してくると『●●パターン』と『マッチ・ザ・ベイト』という言葉の違いが曖昧になってきます。
『戦略』と『手段』の違い
では、『●●パターン』と『マッチ・ザ・ベイト』という言葉の違いはどこにあるのでしょうか?
●●パターンというのは、上記のとおり、様々な条件からターゲットの捕食パターンを割り出して、その時の魚に効くルアーやアプローチ方法を効率的に絞り込む戦略全体のことです。
ルアーをベイトに合わせて、あとは投げて巻くだけ…というわけではありません。
あくまで「ルアーを絞って、ターゲットにどう迫っていくのか?」という戦略をパターン化したものが●●パターンです。
これに対して、マッチザベイトというのは、様々なファクターを取捨選択して、ルアーをベイトに合わせていく個別のアプローチ方法です。
つまり、マッチザベイトというのは、パターンフィッシングを実践していく過程で試みるアプローチ方法(手段)の一つにすぎません。
釣り全般において、使用するエサ(またはルアー)を対象魚が食べているエサに近づけることは重要です。これをルアーフィッシングでは マッチ・ザ・ベイト と呼んでいます。ルアーフィッシングにおいては、特にマッチ・ザ・ベイト[…]
「●●パターン=マッチザベイト」だけではない
シーバスフィッシングに関するSNSや配信動画を見ていると、しばしば「●●パターン=マッチザベイト」と受け取られかねない説明をされることがあります。
たとえば
ハクパターンだから、この極小スピンテールで狙ってみます
という感じ。
ベイトがハクだから極小のスピンテールを使う。
これは、パターンフィッシングの過程の一つのマッチザベイトです。
そのうえで、そのルアーをどう使って、どういうアプローチ方法を戦略立てていくのか。
この戦略をパターン化したものこそが『●●パターン』と呼ばれるものです。
サヨリやハクが捕食されている状況だけをもって、サヨリパターンとかハクパターンと呼んでいるわけではありません。
これがパターンフィッシングです。
サヨリを捕食するシーバスを狙ってみた
浅瀬でサヨリを捕食するシーバスを狙ってみた
この動画は、サヨリを捕食するシーバスを狙った釣行動画です。
この釣行時の具体的な狙い方・状況は
②シーバスがサヨリを捕食するために流れのない岸際の方へ時々入ってくる
③シーバスが岸際に入ってきた気配があれば岸際で狙い撃つ(本命の食わせ方)
という感じです。
本命の狙い方は③です。
イメージはこんな感じです↑。
基本的な狙い方は、ストライクゾーン以外のエリア(イラストの水色ゾーン)での回遊待ちです(①)。
そして、シーバスが岸際に入ってきた気配を察知した時に、岸際のストライクゾーン(イラストの黄色ゾーン)で食わせる(③)というのが本命の狙い方です。
右のショアラインも左のショアラインも、立ち位置からだいたい25~30°くらいの範囲をストライクゾーンに想定していました。
シーバスが岸際に入ってきた気配を察知した時に、このストライクゾーンで食わせます。
シーバスの気配がないときは、正面の範囲を狙います。
サヨリの群れがルアーに驚いて散ってしまわないように、ストライクゾーンを狙うのはシーバスの気配を察知した時だけです。
これが、この釣行時に実践していたサヨリパターンです。
参考動画
こちらは、まさっち釣りチャンネルの一コマです。
この動画の序盤で、止水域においてベイトがフィッシュイーターに追われているときの狙い方が紹介されています。
↑のイラストでいうところの「岸際のストライクゾーンで食わせる」ということが動画で説明されているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
多用化する●●パターン
最近では、なんでもかんでも●●パターンという呼ばれ方をするようになりました。
ヒイラギパターン、サヨリパターン、ハタハタパターン etc…
他にも、増水パターン、台風パターンなど。
これらは、必ずしもパターンフィッシングが多様化していからではありません。
むしろ、戦略として成り立っていないものにまで●●パターンと名付けられているだけにも思えます。
つまり、『●●パターン』という言葉が多用されているだけです。
と言われることもあります。
しかし、これは順序が逆です。
まず「●●を捕食している難しい状況」があります。
そして、これを攻略するための戦略をパターン化したものが●●パターンです。
また、●●パターンは戦略の一つであり、その戦略は一つとは限りません。
ベイトが同じであっても、水深・地形・潮の流れの強弱・その日のターゲットの動きなどによって戦略(パターン)は変わります。
要するに、同じベイトを捕食していたとしても、釣りをするエリアなどの条件次第で、パターン化される戦略は変わる可能性があるということです。
●●パターンという言葉に振り回されずに、目の前の釣り場に合った戦略を立ててパターンを見つけましょう。