シーバスアングラーの中で最も攻略が難しいといわれるのがハクパターンやアミパターンなどのマイクロベイトパターン。
ベイトが小さすぎて手持ちのルアーでなかなか食わせることができない!
そんな経験をしたことのあるアングラーも少なくないでしょう。
でも実はマイクロベイトにはマイクロベイトなりの攻略法があって、間違った攻略法ではなかなかシーバスを釣ることができません。
このページではシーバスのマイクロベイト攻略法をご紹介します。
なぜマイクロベイトは難しい?
アミとは超小型の甲殻類のことです。極小エビのようなものです。
ハクとはボラの稚魚のことで。だいたい2~3cmくらいのものをいいます。
ボラの幼魚はイナッコといいます。
どちらもフィッシュイーターの捕食対象となる極小ベイト(マイクロベイト)です。
ルアーフィッシングの世界ではターゲットが捕食しているベイトのサイズにルアーのサイズを合わせるマッチ・ザ・ベイトというメソッドが主流です。
ところがベイトがアミやハクのようなマイクロベイトの場合にはルアーのサイズを合わせることが困難or不可能です。
そのため、マイクロベイトパターンではベイトのサイズに合わせることができなくてルアー選択に困ったり、狙い方に困ったりしてなかなか釣果を伸ばすことができないといわれています。
マイクロベイト攻略法
サイズを合わせるという概念を捨てる
『ベイトの大きさ・形・カラーにルアーを合わせる』ことだけマッチザベイトだと考えているアングラーにありがちなのが、ルアーのサイズをベイトに合わせて小さく小さくしようとする傾向です。
そんなアングラーの要望(?)に応えるように最近では2~3cmサイズのシーバス用ルアーまで販売されるようになりました。
でもそれは木を見て森を見ずという状態で、『ルアーで魚を釣る』という行為のほんの一部分(ルアーのサイズ・形・カラー)にこだわり過ぎています。
本当はルアーフィッシングにはターゲットの魚を釣るためにもっと色んなファクターが存在していますが、ルアーのサイズ・形・カラーをベイトに合わせることだけがマッチザベイトだと思い込んでいる場合に陥りがちなミスです。
詳しくは↓の記事もご参考ください。
ルアーフィッシングに限らず釣り全般において、魚に少しでも近づくために必要なのは、釣りの対象魚が今の時期どんなエサを食べているかを知り、そのエサに合わせる マッチザベイト だといわれます。ルアーフィッシングにおいては特にマッチ・ザ・[…]
マイクロベイトパターンを攻略するためにはルアーのサイズ・形・カラーをベイトに合わせるという概念を捨てることが重要です。
フィッシュイーターの捕食方法を考える
バスにもシーバスにもいえることですが、20~30cmの大型ベイトを捕食しているときの捕食方法と、2~3cmのマイクロベイトを捕食しているときの捕食方法って同じでしょうか?
いえ、同じということはありえません。

アユやウグイやコノシロのような大型ベイトを捕食しているときは、ベイトを襲う瞬間、特定の1匹に狙いを定めて襲い掛かります。
当たり前の話です。狙いを定めずに襲い掛かって口に入るほどベイトは小さくありません。
では、アミやハクのようなマイクロベイトを捕食しているとき、ベイトを襲う瞬間、特定の1匹に狙いを定めて襲い掛かるでしょうか?
それはありえないですよね。
バスやシーバスのような吸い込み系のフィッシュイーターはマイクロベイトの群れを目がけて襲い掛かります。
そして、口に入ったマイクロベイトを捕食します。
決してマイクロベイトの群れの中の1匹に狙いを定めて襲い掛かるわけではありません。
フィッシュイーターの捕食方法が違えば、ルアーの選択方法が違ってくるのも当然です。
大型ベイトを捕食する魚を狙う時にベイトにソックリなルアーを使うからといって、マイクロベイトを捕食する魚を狙う時にまでルアーをベイトにソックリにしなくちゃいけないなんてことはありません。
捕食方法が違うのであれば、その捕食方法の特徴に合わせてルアーを選んでやればイイのです。
外観以外をベイトに合わせる
サイズや形、カラーといった外観だけをベイトに似せることがマッチザベイトと思われがちです。
でも実際のところ、マッチザベイトを考えるにあたってはルアーの外観以外のファクターというのもあります。
そのファクターの一つが『襲われ方・捕食され方』です。
ベイトは種類やサイズ、エリアや地形によって襲われ方・食われ方が様々です。
たとえば僕のよく行く中海のエリアでは、サヨリパターンになると、ひざ下水深(すねの水深)ほどの岸際までサヨリが追い詰められて捕食されるのをよく見かけます。
こういうときはサヨリが岸際で襲われるパニックアクションを演出するために、9cmほどのペンシル(トップウォーター)で岸際をトレースします。
(よく使うのがモアザンソルトペンシル95)
あるいはベイトがハクのときは、シーバスは、水面近くでスクールしているハクの群れを下から襲います。
シーバスは下からハクの群れを見ています。
こういうときにハクの大きさにルアーのサイズを合わせようとして小さめのメタルバイブを使ってもなかなか結果は出ません。シーバスの意識は表層にあります。
シーバスはメタルバイブの水深ではなく、それよりもずっと上を見ています。
そのため、シーバスに襲われるハクの水深に合わせたルアー選択が必要になります。
マッチ・ザ・ベイトとは、なにもルアーの外観だけをベイトに似せることだけではありません。
ベイトの捕食され方に合わせてルアーを選ぶこともマッチザベイトです。
ハク攻略のためのルアー選び
群れを散らさないおとなしさ
シーバスがハクを襲うときはある特定の1匹のハクに狙いを定めて襲うわけではなく、ハクの群れを目がけて捕食します。
なので、ルアーのサイズやアクションのせいでハクの群れが散ってしまってはシーバスもハクを襲うに襲えません。
ハクの群れが塊っていれば塊っているほどシーバスは襲いやすくなります。逆にハクの群れが散ってしまうとシーバスの襲うタイミングがなくなってしまいます。
ハクパターンを攻略するためにはハクの群れを散らさないためにおとなしいアクションのルアーを選びます。
また、ハクパターンのときは基本的にシーバスは下から水面付近のベイトの群れを見ています。
なのでハクパターンでは表層をゆっくりとおとなしく引けるルアーをチョイスします。
それとアクションのさせ方にも注意が必要です。
ミノーを群れの中でトゥイッチさせるとハクがビックリして群れが散ってしまいます。
青物のようにベイトの群れを襲ったときにパニックになったベイトに狙いを定めて捕食するのと違い、群れの塊を目がけて捕食するシーバスのマイクロベイトパターンではなるべく群れを散らさないようにします。
吸い込みに追従するサイズ・軽さ
シーバスがマイクロベイトを捕食するとき、ある特定の1匹に狙いを定めて捕食するわけではなく、ベイトの群れを目がけて襲い掛かります。
このときシーバスは必ずしもルアーを目がけて襲うわけではありません。
群れを襲うのです。
そうすると、シーバスの吸い込みに追従するようなルアーのサイズ・軽さであれば、仮にシーバスがルアーを外してバイトしてきても、シーバスの口にルアーがうっかり入るかもしれません。
吸い込み系のバイトのフィッシュイーターの吸い込む力は想像以上に強いので、ルアーへのバイトを外してもウッカリ口に入ってくれることを期待してルアーを軽くします。
ここでいう『軽いルアー』とは、ルアーのウェイトというよりも水流の変化に柔軟に反応するルアーという意味です。
ルアーのウエイトが軽ければ水流の変化を受けやすいですし、ある程度ルアーの重量があってもシンキングペンシルのようなルアーであれば水流に敏感に反応します。
なにせルアーを目がけてのバイトを引き出しにくいハクパターンなので、うっかり口に入ってくれることにも期待してルアーを選びましょう。
狙われやすい目立つカラー
これは気休め程度ですが…でもいつも気にしています。
群れを目がけてバイトする捕食方法の場合、ルアーへのバイトを引き出すのはなかなか難しいものです。
こういうときには群れの中でのバイトマーカー的な役割を期待してルアーのカラーを派手なものにしたりします。
バイトマーカーとはルアーのテールの部分や横っ腹に描かれた●のことです。
『ここ目がけてバイトしてくださいよ~』という目印です。
効果があるのかないのかわかりませんが、昔からルアーにはよく描かれています。
群れの中でのバイトマーカーの役割を果たしてくれれば…という期待を込めてマイクロベイトパターンのときには目立つカラーを使います(あくまで僕の場合)。
アクションにも要注意
シーバスがハクの群れに襲い掛かっているときには、なるべく群れを散らさないようにするのが鉄則です。
なのでベイトの群れの中でミノーのトゥイッチをしたり、水面でトップウォータープラグをガチャガチャ動かすのは基本的には避けるべきです。
ただし、人間は十人十色、魚も千差万別。
シーバスの中にも、群れの塊を襲う個体がいれば、群れがパニックになった瞬間にスイッチが入るシーバスもいる
…かもしれません。
こればっかりはシーバスに聞いてみなければわからないので、おとなしいアクションではどうしてもバイトが少ないときは、あえて群れを散らすようなアクションをしてみるのも選択肢です。
とにかく答えは
魚に聞け
です。
ルアーフィッシングに限らず釣り全般において、魚に少しでも近づくために必要なのは、釣りの対象魚が今の時期どんなエサを食べているかを知り、そのエサに合わせる マッチザベイト だといわれます。ルアーフィッシングにおいては特にマッチ・ザ・[…]
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まとめ
アミパターンやハクパターンといったマイクロベイトパターンのとき、アングラーはどうしてもルアーのサイズをベイトに近づけようとルアーを小さく小さくしがちです。
でも、そもそもの問題として、マイクロベイトパターンのときとその他のベイトのときでは、フィッシュイーターの捕食方法が異なります。
特定のベイトに狙いを定めて襲い掛かる捕食方法と、不特定多数のベイトの群れを目がけて襲い掛かる捕食方法の違いです。
マイクロベイトパターンでは明らかに後者(群れに対するバイト)です。
このような違いを無視してルアーのサイズだけを合わせよう合わせようとしても、なかなか思うように釣果は伸びません。
そういうときは、無理やりルアーのサイズを合わせるよりも、ベイトの襲われ方・捕食され方に着目してルアーをベイトに合わせることもマッチザベイトの重要なポイントであり、釣果を伸ばすことにもつながります。
難攻不落といわれるマイクロベイトパターンですが、視点を変えて攻めてみると今までとは違った発見があることでしょう。