知っておいて損はなし!漁港における釣りのルールを理解する!

漁港における釣りについては、一部の釣り人により、漁船への釣り糸の巻き込みなど漁業活動への支障が発生しています。

また、無断駐車やゴミの放置などのマナー違反によるトラブルも発生しています。

そのため、場合によっては、漁港における釣りが全面的に禁止される場所も増えてきています。

ところで、漁港における釣りに関するルールというの、釣り人の間でもあまり認知されていない内容もあります。

このページでは、漁港における釣りのルールの基本についてご紹介します。

執筆者
ショーカラ(y-nax)
『釣り』の翻訳家
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。

意外に多い誤った認識

そもそも『漁港』とは何か?

漁港における釣りのルールを理解する前提として、そもそも『漁港』というのはどこのことでしょうか?

よくある誤解が、●●港とか▲▲漁港と呼ばれていれば漁港だと勘違いしているパターン。

漁船や遊漁船が係留されていれば漁港だと思っている人は意外に多い。

でも、これは誤りです。

漁港というのは

天然又は人工の漁業根拠地となる水域及び陸域並びに施設の総合体であつて、(漁港漁場調整法)第6条第1項から第4項までの規定により指定された港

のことをいいます。

実はわかりにくい『漁港』の区別

ここに港の写真が2枚あります。

1枚目の写真は漁港ですが、2枚目の写真は漁港ではありません。

パッと見ではわからないですよね。

ショーカラ
僕も見た目ではわかりません

漁港かどうかは、漁業根拠地となる水域にある公共施設のうち、行政庁が名称と区域を指定したものかどうかにより区別します。

漁業根拠地となる水域にある公共施設であっても、行政庁に第●種漁港という形で指定されていなければ、漁港ではありません。

漁港はすべて釣り禁止?

次によくある勘違いが、漁港であればすべて(原則として)釣りが禁止されるというものです。

僕もSNSで

SNSユーザー
全ての漁港は基本的に関係者以外立入禁止(釣り禁止)ですよ

と説明しているものを見かけたことがあります。

でも、これは大袈裟…というか、いい加減な説明です。

この点については、詳細は後述します。

漁港の利用について

たまにSNSで話題になりますが、漁港であればすべての漁港が釣りが禁止される、というわけではありません。

これについては、水産庁による漁港における釣り利用・調整ガイドライン(案)に詳細に記載されています。

かいつまんで言えば

①漁港は漁業活動による利用が最優先される
②漁港は公共用行政財産である
③漁業活動の利用上支障とならない限度で使用させることができる

というものです。

①については、ごくごく当たり前の話です。

問題は②と③についてです。

公共用行政財産というのは住民の一般利用に供される施設のことです。

たとえば公園や図書館のような施設がこれに当たります。

図書館というのは、本を借りる人だけが出入りできる場所というわけではありません。

利用時間内であれば、(本来の図書館利用者の支障にならない限度で)待ち合わせ場所に使ったり休憩場所として利用したりすることも許容されるでしょう。

これが公共用行政財産の役割です。

つまり、漁港という公共施設も、定められたルールの範囲内において、漁業関係者の支障にならない限度で利用が認められるということです。

ショーカラ
「漁業関係者の利用が優先すること」
「ルールが定められているときはその範囲内で利用すること」
がポイントです

漁港以外の港の利用について

上記のとおり、漁港というのは、港の中でも特に行政庁に指定された施設のことを指します。

ショーカラ
鳥取県内には18港の漁港がありますが、境港市にあるのは2港のみです

じゃあ、「漁港以外の港については自由に使うことができるのか?」といえば、もちろんそんなことはありません。

漁港以外の港であっても、公共施設として整備されている以上、本来の目的に沿った利用者が最優先されることは言うまでもありません。

また、定められたルールがあれば、それにも従う必要があります。

ルールの範囲内において、本来の目的以外の利用も許容されるというのは、漁港と同じといえます。

ショーカラ
漁港漁場調整法の適用を受ける港かどうか、という点では大きな違いがあります
ショーカラ
ただ、「本来の目的に沿った利用者が最優先されること」「定められたルールに従うこと」という点では、漁港か漁港以外の港かで違いはありません

ちなみに、管理者が「関係者以外立入禁止」というルールを定めているのであれば、ルールに従うことになるのは言うまでもありません。

境港市を例に考えてみる

ここでは、僕の地元である境港市を例に考えます。

まず、境港市にある漁港を調べると境漁港渡港が存在します。

その他にも船舶が係留されている港がいくつかあります。でも、それは漁港ではありません。

そして、鳥取県のウェブサイトによれば、鳥取県内の漁港はすべて関係者以外立入禁止だそうです。

ショーカラ
法令等の根拠はわかりませんが、県のウェブサイトに記載がありました
ショーカラ
これはあくまで鳥取県内の『漁港』に関するルールです

そこで、境港市にある境漁港と渡港は、(漁港ルールに従って)関係者以外立ち入ることができません。

しかし、境港市には他にも中浜港外江港中野港潮見港と呼ばれる港があります。

これらは漁港ではないため、県内の漁港のように、関係者以外の立ち入りが一律に禁止されているわけではありません。

ショーカラ
「漁港以外の港についても関係者以外の立ち入りは禁止される」
という情報は確認できませんでした

とすると、各港について、個別に立入禁止(釣り禁止)のルールが定められていないのであれば、本来の目的に沿った利用に支障を生じさせない限度で、一般住民も利用することができます。

ショーカラ
いずれにしても、ルール確認は必要です

意外に細かい漁港のルール!

漁港にあたるかどうか
・漁港は、行政庁が指定し、第●種漁港という形で分類される
・漁港であれば漁港漁場調整法の適用を受ける
・行政庁の指定がなければ、漁船が係留されていても(法律上は)漁港ではない
公共施設の本来的利用が優先される
・漁港であれ、その他の港であれ、行政庁が港を整備した目的がある
・その目的に沿った利用が最優先される
公共用行政財産としてのその他の利用
・漁港やその他の港は、公共用行政財産として、一般住民の利用にも供される施設
・法律や管理者の定めたルールの範囲内で一般住民も利用することができる
・漁港にあたるかどうか、漁港ルールがあるかどうか、その他各港ごとにルールがあるかをチェックする

港で釣りをする場合において、その港が『漁港』かどうかという判断は重要です。

漁港に該当すれば、鳥取県のように一律に「関係者以外立入禁止」とされている場合もあります。

また、漁港であろうと、漁港以外の港であろうと、その港の本来的な利用者による利用が最優先されます。

さらには、管理者によって、各港ごとに個別にルールが定められていることも考えられます。

とはいえ、港が公共用行政財産である以上、法律や個別ルールの範囲内であれば、一般住民による利用が禁止されるわけではありません

港に関する正しい知識をもって、決められたルールの範囲内で釣りを楽しみましょう。

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