ルアーの飛距離と立ち上がりの早さを競う昨今、初心者におすすめできるルアーが本当に減ってきました。
動画サイトやSNSでは流行りの売れ線ルアーの紹介をしたメディアで溢れ、初心者に必要なルアーの性能がないがしろにされています。
このページでは初心者に本当に必要なルアーの基本性能についてご紹介します。
初心者に必要なルアーの基本性能とは?
ルアーに求められる性能は様々です。
10年ちょっと前からルアーの飛距離競争が過熱していますが、ここ数年はルアーの立ち上がりの速さも重視されるようになりました。
他にも、魚を惹きつける能力であったり魚をスレさせない性能、スレた魚に口を使わせる性能など、アングラーがルアーに求める性能はたくさんあります。
その中でも、初心者にとっては特に重要というべき性能があります。
それはルアーがよく泳ぐことです。
ブリブリ泳ぐこと。
抜けるような弱々しい動きではなく、アングラーのロッド操作に機敏に反応したり、アップからダウンにルアーを引いてもしっかりと泳ぐということ。
これこそ初心者が重要視してほしいルアーの基本性能です。
昨今のルアーの特徴は?
フィッシュイーターといわれる捕食者たちは、ベイトフィッシュのロール系の動きによく反応するといわれています。
ブリブリと尾ヒレを振った強い動きというより、弱々しく、時折お腹を「ギラッ」っと光らせるような動きに好反応です。
この「ルアーの弱々しい動き」というのはルアーの開発者側にとっても好都合の事情になります。
なぜなら、リップを小さくしてもロール系の動きを出すことが可能だからです。
ルアーをブリブリ泳がせるためには、水の抵抗をしっかりと捉えるためにルアーのリップをある程度大きくする必要があります。
こういうルアーは、水の抵抗をしっかりと受けるようになりますが、同時に空気の抵抗もしっかりと捉えるようになってしまいます。
ルアーが空気を捉えるようになるとどうなるか?
当然、ルアーの飛距離が落ちます。
飛距離偏重の近年のルアー事情から考えれば、飛距離が出ないルアーというのは売れません。
よく釣れるとしても、売れません。
そこで、飛距離を確保しつつ安定した釣果を残すために何が必要かを考えると、空気抵抗・水の抵抗の少ない小さなリップにして、ロール主体の弱々しいルアーアクションにするということが手っ取り早い方法です。
実際にロール主体のルアーでもよく釣れるので、ブリブリとボディを動かす強めのアクションである必要はありません。
そのため、近年発売されるルアーは、泳ぎのおとなしい・泳ぎの控えめなロール主体のよく飛ぶルアーが主流になっています。
なぜ初心者にはよく泳ぐルアーが必要か?
初心者であろうがベテランであろうが「よく飛んでよく釣れるルアーなら、それでいいじゃないか」って考えもあるでしょう。
でも、僕からすれば
って感じです。
って思うかもしれません。
あながち間違いではありませんが…(笑)
もう少しこの話にお付き合いください(´ω`)
水中の情報はアングラーの生命線
釣りにおいて、より手っ取り早く簡単に魚を釣る方法をご存知でしょうか?
それは…
魚のいるところで釣りをすること
です。
魚がいるかどうかわからない場所ではなく魚がいる場所で釣りをするのが最良の選択肢です。
なので、ボートフィッシングでは魚探を見ながら魚を探して、魚のいる場所で釣りをします。
じゃあ
といえば、必ずしもそうではありません。
オカッパリアングラーはオカッパリアングラーなりに、ロッド・リール・ライン・ルアー・フック・偏光レンズなどから伝わる情報を総動員して、水の中の様子を把握するように努めます。
初心者であれベテランアングラーであれ魚探のないオカッパリアングラーの生命線はタックルを通して得られる水の中の情報です。
タックルを通してなるべく多くの水中の情報をキャッチして、魚に最適なアプローチ方法を模索します。
水の中から得られたヒントに「コレッ!」といった決め手がない場合にはポイントを移動します。
オカッパリアングラーはタックルから伝わる情報を手掛かりに魚へのアプローチ方法を絞っていきます。
高感度ロッド・ハイギアリール・PEラインなど、昔では考えられないくらい現代のタックルは進化しています。
タックルの進化によって、昔とは比べものにならないくらい多くの水中の情報を知ることができるようになりました。
ところが、昔と比べると得るのが難しくなってしまった情報もあります。
それがルアーを通して得られる水中の情報です。
昨今の飛距離偏重の泳ぎのおとなしいルアーでは、ルアーから伝わってくる水中の情報がずいぶんと減ってしまいました。
釣りに手慣れた経験豊富なプロアングラーであれば、泳ぎの弱々しいルアーから伝わってくるかすかな感触でも水中の情報として自分のものにできることでしょう。
でも僕みたいな下手くそにとっては、かすかな感触を手掛かりにしようと思っても、その感触が何の感触だったのかわからないことが多い。
オカッパリアングラーにとって生命線であるはずの水中の情報を、あまり多く伝えてくれないのが現代のプロフェッショナル仕様のルアーたちです。
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なぜ泳ぎが弱いと釣りが上手くならない?
ぶっちゃけ、泳ぎの弱い超ロール主体のルアーでも魚はバンバン釣れるので、「釣れれば結果オーライなんじゃね?」とも思えます。
でも、ルアーを通して得られる水中の情報が少ないと釣れた原因や状況をフィードバックできないっていう大きなデメリットがあります。
よく泳ぐルアーを使っていれば把握できたであろうわずかな流れのヨレや強弱を、泳ぎの弱いルアーでは捉えることができないってことになってしまうと、
ってことを自分の経験として蓄えることができない。
たとえば、流れの変化に付いていたシーバスが食ってきたのなら「もう一度流れの変化を狙ってみよう」というふうに普通は考えます。
でも、そもそも流れの変化を敏感に感じとることができないルアーに食ってきたってなると、このとき「なぜ釣れた?」のかわからないので、釣れた経験を生かすことができません。
そうすると結局、別の釣行のときに、そのとき釣れた状況を再現したり生かしたりすることができなくなってしまって、「たまたま釣れた」っていう結果だけが残ってしまいます。
これでは次回の「偶然」に期待するしか他に手立てがありません。
釣り番組や釣り動画を見ていると、プロと呼ばれる人たちは、手を替え品を替えあの手この手で目の前のフィールドの情報をキャッチしながら魚へのアプローチ方法を絞っていきます。
そうして行きついた先に1匹の魚との出会いが待っています。
プロと呼ばれる人たちは、タックルを通して得られる情報を過去の経験と照らし合わせながら徐々に魚に迫っていくのです。
でも、初心者がプロと同じような泳ぎの弱いルアーで釣りをしてもプロのように多くの情報は得られません。
仮に魚が釣れたとしても、情報の乏しい中での釣果であればその経験を次に生かすこともできません。
泳ぎの弱いルアー(情報量の少ないルアー)で釣れた魚は、泳ぎの強いルアーで釣れたときのような多くの情報と経験をもたらしてくれるものではありません。
そのため、初心者に圧倒的に不足している経験値をあまり多く増やしてはくれないのです。
これに対して、泳ぎのおとなしいルアーで、水中の情報なんてほとんどわからない状況で釣った魚はメタルスライムほどの経験値しか得られません。
初心者にとって「魚を釣る」ということ自体が大きな経験といえるので、その点では無意味というわけではありません。
でも、得られた情報をフル活用してたどり着いた魚からは、うっかり釣れた魚よりもはるかに大きな経験値を得ることができます。
泳ぎの強いおすすめルアー
最近はよく泳ぐルアーってのが本当に減ってしまって、なかなかおすすめできるルアーが多くないのが現状です。
その中でも「これはまあまあ泳ぎが強い」ってルアーを厳選してピックアップします。
サイレントアサシンF(シマノ)
サイレントアサシンは10年前のルアーですが、今でも超一線級で、
「これがパイロットルアー!」
というアングラーはとても多いです。
サイレントアサシンにはフローティングモデル(F)とシンキングモデル(S)がありますが、よく泳ぐのはフローティングモデルです。
そのうえサイレントアサシンは飛距離(投げやすさ)も抜群なので、初心者にもっともおすすめのルアーです。
ワールドミノー(シマノ)
ワールドミノーは2020年に発売された新しいルアーです。
カテゴリー的にはバス用のジャークベイトなので、よく泳ぐし、ロッドワークへの反応も抜群です。
スローリトリーブでは弱いロール主体ですが、左右への倒れ込み(モタつき)が大きいので水の流れをとても感知しやすいです。
欠点らしい欠点といえば名前がとてもダサいこと。
でも中身は超一級のルアーです。
発売された当初から話題で若干入手しにくいです。
形はサイレントアサシンに似ていますが、サイレントアサシンほどは飛びません。
ただし、不満が募るような飛距離ではないので、見かけたら即買いです。
GXウルトラブレード(ラパラ)
GXウルトラブレードも新しいルアーです。
これはご覧のとおり鉄板系なので、もともと泳ぎが強い部類のルアーです。
泳ぎの強い鉄板の中でも特にブリブリ泳ぎます。
サイズ展開も豊富なので、オカッパリのソルトゲームでは大活躍のルアーです。
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もちろんバスにも使えます。
ジャークソニック(ウォーターランド)
シンキングミノーの中で抜群に動きがイイのがジャークソニックです。
人気商品過ぎてほとんど入手困難なのでリンクは載せられません。
発売当初は普通に買えたのに、なぜ入手困難な状況になっているのかわかりませんが、とにかくよく泳いで、よく釣れるルアーです。
サイズ展開も豊富で、淡水からソルトまで幅広く使えます。
ただし、フローティングの110F以外はすべて固定重心なので、キャストに少々慣れが必要です。
飛距離も過度な期待はしないでください(笑)
もっと水の中を知ろう!
このウェブサイトでも何度も取り上げていますが、「水の中を知る」ということはアングラーが魚に近づくためのより確実で、かつ、近道といえる方法です。
そこで得られた情報を元にして釣れた魚は、さらに別の釣行においても「経験」となって生きてきて、蓄積されていきます。
(残念なことに)近年リリースされるルアーは、飛距離重視の泳ぎの大人しいルアーばかりです。
これでも魚はたくさん釣れますが、こういうルアーで釣った魚では自分の経験となって蓄えられるものがそんなに多くありません。
でも、経験値が圧倒的に不足している初心者にとっては、なによりも「魚を釣る」経験、特に「どういう状況の中でどうやって釣れたのか」という経験がとても大切になります。
せっかく、はぐれメタルを倒すチャンスがあったのにメタルスライムしか倒せなかったってなると本当にガッカリしてしまいます。
水中の情報をより多く把握して次なる1匹につながるように、なるべく水中の情報を捉えやすいルアーで釣りに挑みましょう。
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