気温が下がってくると巣篭もりをはじめるアングラー諸君。
実は冬場は『魚のことを知る』絶好のチャンスなのです。
たとえいま、魚が釣れなくても、寒い時期に得た情報はのちの釣果アップに必ずつながります。
このページでは釣りにおける水温計の重要性についてご紹介します。
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アクアリストの必需品
僕は長年、熱帯魚やメダカを飼っています。
ブリーディングするほどではありませんが、個人的な趣味で毎日魚を眺めています。
【魚】って食べるのも釣るのも好きですが、やっぱり魚のフォルム(ビジュアル)に惹かれて釣りやアクアリウムしてるってのが大きいです。
で、個人的な趣向の話は置いといて…
熱帯魚にしろ日淡(日本淡水魚)にしろ、魚を飼ううえで外せないグッズが2つあります。
ひとつはカルキ抜き。
水槽の水換えをするときには水道水を使うので、水道水に含まれる塩素によって水槽中の微生物(水質を浄化してくれる頼もしいヤツら)が死滅するのを防ぐためにカルキ抜き(塩素中和剤)を使います。
ほかにも、水道水に含まれる重金属から魚のエラを保護する水質調整剤なんかもあります。
もうひとつ。とても重要なものがあります。
それが水温計です。
水温計を持っていないアクアリストはいません。
屋内で日本淡水魚を飼っている程度であれば水温計がない人もいるかもしれませんが、日本淡水魚でも屋外で飼う人は必ずと言っていいほど水温計は持っています。
それだけ水温の変化というのは魚にとって重要な情報といえます。
アクアリスト目線で水温を考える
(魚の種類にもよりますが)魚の体調に負担を掛けないという意味では水温は変動しないのが理想です。
アクアリストであれば常に水槽の水温に気を配って、水槽内の水温を一定に保つように心掛けています。
もちろん、産卵を促したりする場合にはあえて水温が変化するように調整することもあります。
その場合であっても、ものすごく時間をかけて緩やかに水温が変化するように調整します。
丸1日かけて0.5℃上げる(下げる)とかね。
そうでない限りは、水温はなるべく上下しないように細心の注意を払って魚を飼っているのがアクアリストです。
水換えのときには、水槽内の水温と水道水の水温が違っているので、少しずつ時間をかけて急激な水温の変化が起こらないように注意しながら水換えをします。
それほど水温の変化というのは魚の活性にとって影響の大きいファクターなのです。
釣り人目線で水温を考える
変温動物である魚にとって、水温の変化というのは体のコンディションに大きな影響を与える超重要なファクターです。
アクアリストからすれば、目の前に広がるポイントの水温を計らないで自分が釣ろうとしている魚のことを知ることなんてできるわけないって感じです。
アクアリストにとってはそれだけ重要な情報が【水温】なんですが…
釣り人って毎回計ってます??
水温を計らない釣り人って案外多いですよね?
むしろ水温計を持ってないってアングラーさえいます。
近所のおじちゃんが安い竿とワゴンリールで釣りに出かけて行くっていう程度の趣味であれば別にそこまで気にする必要はないかもしれません。
屋内で金魚すくいで掬った小赤(金魚)を飼っているようなもんです。
でも、『ロッドもリールもスティーズ』とか『エクスセンスのロッドにステラ』っていう出で立ちのアングラーが
って感じだと
って本気で思います。
目の前の魚を知ろうとしないのが釣り人です。
アクアリストも釣り人も【魚】という動物を対象にしているのに、水温に対する認識がまるで違います。
もちろん『魚を死なせてはいけないアクアリスト』と『魚に遊んでもらう釣り人』の違いというのは大きいので、水温に対する認識に違いがあるのは仕方ありません。
でも、釣り人もアクアリストのように、魚と水温の関係を知ろうとするれば、釣りに対して今までとは違った世界が見えてくるのはいうまでもありません。
水温を計るとなにがわかる?
基本的には水温がわかるだけ
初心者に水温を計ることの大切さを説明しても、アクアリストでない限りはピンとくる人はほとんどいないというのが僕の印象。
なので、水温を計ることの重要性ってあまり語られることがないのかもしれません。
じゃあ、いま目の前のポイントの水温を生まれて初めて計ったとして、いったい何がわかるのか?
基本的にはなにもわかりません。
水温が視覚化される
ってことだけです。マジで、それだけ。
ただ、「今日は寒いから魚の活性が低いかも…」って漠然と想像してたのが、とりあえず数字で把握できます。
とはいえ、魚の活性が高いか低いかということまではわかりません。
水温測定は積み重ねが必要
正直なところ、たま〜に水温を計ったところでその測定結果が釣果に結び付くということはありません。
水温を計るという行為そのものに即効性はありません。
それでも水温を計るということは魚を知るためには必要不可欠な行為です。
水温は釣行毎に計り続けてこそ効果が発揮されます。
釣れた日の水温、釣れなかった日の水温を知ることで
『この時期のこのエリアなら水温が15℃以上はないと(自分なりの)実績がない』
とか
『あっちのエリアよりこっちのエリアの方が水温が1℃以上高いから、今日はこっちのエリアの方がいいかも』
って情報がすべて自分なりの引き出しとなって蓄積・整理されていきます。
今まで漠然と
っていう偏見で動いていたところ、水温を計るようになると
っていう情報の捉え方に変わっていきます。
水温を視覚化する作業は、それ単体ではまったく意味はありませんが、水温の視覚化と釣果を積み重ねて、これをリンクさせることで、今まで知ることのできなかった魚の生態や行動パターンに気づくことができるようになります。
情報が立体的になる
アクアリスト目線でいえば、水温が上下すればベイトの動きに変化があるってことはまったく不思議なことではありません。
というより、水温に合わせてベイトの動きも変わるって考える方が自然な考え方です。
たとえば、コノシロパターン一つを考えても「水温が〇〇℃以下になるとコノシロがやや沈んでしまう」ってときは、使うルアーが表層系の大きめのルアーからややレンジの深いルアーに変わってくることでしょう。
ひとことで〇〇パターンといっても、水温によって使うルアーが変わってくるってのは普通にあり得る話です。
水温を視覚化することで、いままでは
って感じで平面的に捉えていた情報を
って感じで立体的に捉えることができるようになります。
冬は特に水温計が必携
水温を計るという作業は一年を通してやった方がいいです。
釣行毎にポイントごとの水温を計って、そのデータと釣果をリンクさせる。
そのデータを蓄積することで、今まで見えていなかった情報が視覚化されるようになります。
そんな水温の計測ですが、僕が個人的に特におすすめするのは冬の水温の計測です。(釣り物にもよりますが…)
たとえばシーバスの場合だと『冬は水温低下によってシーバスの活性が下がるから釣れにくくなる』と言われることがあります。
でも、具体的に何℃くらいから釣れにくくなるか…ということが語られることはほぼありません。
おおざっぱですが「適温23~26℃」とか「18℃を下回るとほとんど動かなくなる」とかって感じで魚の特性を表示します。
それだけ魚と水温の関係は密接なのです。
こういう冬の時期こそ、まさに水温を計測した結果が活きてくるときです。
自分がよく行くエリアでは、だいたい水温が〇〇℃くらいまでならシーバスが釣れる。〇〇℃を下回るとほとんど釣れなくなる。
という感じでね。
それは水温をいつもチェックできるあなたにしかわからないことなのです。
漠然と
って考えるよりも
とか
ってことを考えた方がよっぽど釣果アップにつながります。
偏見や漠然とした情報に釣果を左右されやすい冬だからこそ、きちんとした水温を計測してデータを蓄積していくと釣果アップにつなげることができるようになります。
なぜ水温が語られないのか?
プロは水温を計っている
プロと呼ばれるアングラーであれば、まず間違いなく水温は計っています。
逆に、たったそれだけの作業もしないプロがいるとすれば「プロフェッショナルのあり方としてどうなの?」って感じでプロとしての姿勢を疑うレベル。
プロであれば水温と魚の活性等の関係をよく知っています。
バスフィッシング(ボートフィッシング)の釣り番組を見ていると、プロアングラーが魚探を見ながら水温を確認してエリアを選択しているのを頻繁に見かけます。
プロアングラーにとって水温を確認してポイントを絞る作業はとても日常的なことなのです。
にもかかわらず、なぜ水温との関係で『釣れるシチュエーション』や『釣れるルアー』が語られないのか?
水温を計っているアングラーが少なすぎる
それは、実際に水温を計っているアングラーが少なすぎるからにほかなりません。
いくらプロアングラーが水温との関係で『釣れるシチュエーション』や『釣れるルアー』を語っても、一般アングラーがピンとこないってことが大きいです。
釣り場で出会った人に『今日の水温は何℃くらいですか?』って聞いて『今日は〇〇℃くらいです』って返ってくる確率はどのくらいだと思います?
実際にデータ取ったことはないですが、たぶん1割未満だと思いますよ。
9割以上のアングラーは水温は計ってないじゃないかな。
なので、水温を計らないこと自体はおかしなことではないですが、せっかく釣り場に立ってるのにすごくもったいないなって思います。
お金にならない
プロアングラーの仕事のうち大きなウェイトを占めるのが製品を売ることです。
ロッドやリールやラインやルアーをたくさん売りつけてナンボです。
で、問題は
みたいな売り方がユーザーに響くかどうか。
たぶん、ユーザーに対してそんな攻め方をしても売れないと思う(笑
オカッパリアングラーで水温を気にして釣りをしてるアングラーって、実際にはあまりいないから。
だから具体的に水温を示してルアーをアピールしたところで「のれんに腕押し」という状態になることでしょう。
つまり、売れない。
これではプロとして飯を食っていくことができないので、もっと手っ取り早くユーザーにアピールできる方法でルアーを売りつけます。
たとえば、〇〇パターンのローテーションの一部に組み入れてみたり、〇〇メソッドを提唱してみたり。
プロアングラーたちはユーザーに受け入れられやすい方法でルアーを紹介するようになり、ユーザーに受け入れられにくい(でも実際には釣りの本質的な)水温の話は避けられてしまいます。
プロにとって、一般アングラーに馴染みのない水温の話題でルアーをアピールしてもお金にならないのです。
水温を視覚化してデータを立体的に把握
水温を計るという作業は、それ自体が釣果に直結するものではありません。
でも、水温と釣果を結びつけてデータとして把握することで、
『12月にこのポイントでこのルアーで釣れた』
↓
『12月のこのポイントで水温〇〇℃のときにこのルアーで釣れた』
っていうデータとして蓄積できるようになります。
そうすることで、同じ12月であっても、水温が違えばまるで違う状況として釣り場の状況を把握できるようになります。
まるで違う状況であれば、たとえ去年と同じ12月に同じポイントで釣りをしたとしても、違う釣果になることは十分に予想できることになります。
ただ単に『12月』という把握の仕方をするよりも、はるかにデータに深みが生まれます。
冬は『水温が下がるから魚の活性も下がる』と漠然と語られることが多い季節です。
でも、気温が低いからといって必ずしも水温も低いとは限りません。
また、水温はエリアごとにも違うので、そもそも一概に『冬だから水温が低い』ということはできません。
釣行毎に水温を計測してデータを蓄積することで、冬でもより精度の高い釣りができるようになります。
ぜひ水温計を携えて冬の釣り場に出掛けましょう。
ぶっちゃけ水温計なんておすすめもなにもありません。
水温が計れればなんでも同じです。
なので、別に熱帯魚の水槽用の水温計(ジェックス)で構いません。ホームセンターにも売っています。しかも安い。
ただし、釣り用の水温計↑(スミス・パズデザイン)はデザインがオシャレなのでタックルバッグやフローティングベストにぶら下げておくのにはけっこうカッコイイです。