第1回の記事ではシーバスフィッシングに使われるルアーの種類と、ルアーの選び方についてざっくりとご紹介しました。
このページでは、シーバスフィッシングで使われるルアーである【バイブレーションプラグ】の種類についてご紹介します。
バイブレーションプラグとは
バイブレーションプラグ(以下『バイブレーション』)とは、小刻みなピッチで振動してシーバスにアピールするずんぐり体型のルアーの総称です。
バイブレーションは主に中層~底層でシーバスにアプローチするときに使用します。
また、軽めのバイブレーションであれば水深1.5mくらいの浅めの場所でも使うことができます。
その使用範囲はけっこう広いといえます。
バイブレーションの種類
バイブレーションはミノーの次に種類が多いルアーです。
それだけ、現在のシーバスフィッシングにおいては欠かせないルアーということです。
バイブレーションは形状・素材・機能面・姿勢においていくつかの種類に分けられます。
以下では、バイブレーションの大まかな種類の違いについてご紹介します。
形状の違い
バイブレーションの形状にはさまざまあります。大別すると2タイプに分けられます。
一つはずんぐり体型のクラシカルな形状のもの。バスカテゴリーのバイブレーションに多い形状です。
写真一番上のレッドヘッドがこのタイプです。
もう一つはレンジバイブのナイフエッジ構造に代表されるようなシャープな体型のものです。シーバスカテゴリーのバイブレーションに多い形状です。
写真真ん中のキャンディカラーがこのタイプです。
素材の違い
バイブレーションの素材も大別すると2タイプあります。
一つは樹脂(プラスチック)製のボディに鉛のウエイトが搭載されているもの。
写真一番上と真ん中のバイブレーションがこのタイプです。
もう一つはボディ全体が鉛、金属プレート、合金ダイキャスト等の金属でできているもの。俗に『メタルバイブレーション』と呼ばれています。
写真一番下のバイブレーションがこのタイプです。
そのほかにもボディ全体がシリコンできているものもあります。ただ、これはかなりレアなタイプです。
アクションの違い
クラシカルな形状のバイブレーションはヘッドの部分で水を受けて振動します。
水の抵抗を受ける面が広いので、やや強めの振動になります。
反対に、シャープな形状のバイブレーションのヘッド部分はこんな形↓
水を受けるというより、水を左右に逃してやることで細かいピッチの振動を発生させます。
音の違い
バイブレーションには『ラトル』と呼ばれるボールが内蔵されているものがあります。
このラトルがボディ内部でガラガラと音を立ててアピールします。
さらにラトルボールの素材にもいくつか種類があります。
鉛・スチール・ブラス(真鍮)・ガラス・タングステンなど。
あるいは、これらの素材を組み合わせたものが搭載されていることもあります。
一言で『音』といってもさまざまなバリエーションが考えられます。
ラトルの搭載されていないバイブレーションはサイレントとかノンラトルと呼ばれます。
シーバス用のバイブレーションはほぼ100%に近いくらいサイレントモデルです。なので、あえてサイレントとかノンラトルとは表示されません。
姿勢の違い
バイブレーションの泳ぐ姿勢も大別すると2タイプに分けられます。
一つは、頭を下げてお尻を上げて泳ぐ前傾姿勢になるタイプです。
ずんぐり体型のクラシカルなバイブレーションは、やや空気抵抗があります。そこで、飛距離を伸ばすために、頭を下げて進行方向に腹部を向けて腹部で空気を切り裂いて飛んでいくように設定されています。この姿勢がもっとも飛距離が安定するといわれています。
前傾姿勢で飛ぶように設定されているため、ルアーが泳ぐ姿勢も前傾姿勢です。
もう一つは水平姿勢で泳ぐタイプです。
ナイフエッジタイプのシャープな形状のものは水の抵抗を受け流す構造です。なので、ヘッドを持ち上げて水平姿勢を保持しやすくなっています。
ただ、泳ぐ姿勢は実際にはウエイトとラインアイの位置のバランスで決まります。
バイブレーションにも不遇の時代があった
かつて、日本でシーバスがルアーフィッシングの対象魚として認知され始めた頃、
というのが通説でした。
あるとき、釣り雑誌の企画で
「バイブレーションでシーバスを釣る」
というテーマがあったそうです。
その企画の結果は…
と、従来の通説をまるっきり覆すことになりました。
そこからシーバスフィッシングにおけるバイブレーションの時代が始まりました。
「固定観念があると釣りの可能性って全然広がらないんだな」
という印象をもった記憶があります
実は相性が良かった!シーバスとバイブレーション!
シャッドと違って、タックルボックスにバイブレーションを1個も入れていないというアングラーはかなり少ないのではないでしょうか?
それくらい、バイブレーションはシーバスフィッシングにとって欠かせないルアーです。
なぜ、かつては「釣れない」といわれたルアーがこれほどまでに浸透したのか?
これは、シーバスフィッシングのスタイルの変化ということができるでしょう。
第8回の記事でもご紹介しましたが、バスフィッシングの延長というスタイルの多かったかつてのシーバスフィッシング。
「ルアーは動かしてなんぼ」というイメージがありました。
ところが、月日は流れ、今では『飛距離重視』『フルキャスト→タダ巻き釣法』『ロッドの長尺化』により、とにかくルアーを遠くへ飛ばして、あとはただ巻いてくるという釣りが主流になりました。
そのスタイルにピタリとハマったのがバイブレーションです。
とにかくよく飛んで、ただ巻くだけでブルブルとアクションして、ボディも一口サイズでよく釣れる。
かつて「シーバスは釣れない」とまでいわれたバイブレーション。
シーバスフィッシングのスタイルの変化に上手くハマることで市場が拡大し、さまざまなタイプのバイブレーションが登場することとなりました。
固定観念で可能性を狭めない
バイブレーションにはほかにも偏見がある
シーバスはバイブレーションでは釣れない
こんな↑固定観念があったバイブレーションですが、バイブレーションに関してはほかにもいくつかの偏見があります。
たとえばラトル音。
バスアングラーには、ノンラトルよりもラトル入りのバイブレーションの方がはるかに売れます。
これとは対照的に、シーバスアングラーにはラトル音は避けられる傾向にあります。
シーバスが避けるのではなく、アングラーの方が避けています。
理由はわかりませんが、最初に「ラトルは無い方がいい」と刷り込まれたら、その偏見をずっと引きずっているからだと考えられます。
もう一つがルアーの姿勢です。
バイブレーションにしろミノーにしろシャッドにしろ、前傾姿勢のルアーというのはシーバスアングラーに避けられる傾向にあります。
これも、特に理由があるわけではありません。
ラトルがあっても釣れるし、前傾姿勢でもよく釣れます。
それでもシーバスアングラーからは避けられます。
偏見で釣りの可能性を狭めない!
バイブレーションに関しては、「シーバスは釣れない」といわれた時代を含めていろんな固定観念や偏見が存在しています。
ただ、基本的にはどれも偏見です。
ラトル音がない方が釣れることもあれば、ラトル音があってもよく釣れることもあります。
泳ぐ姿勢に関しても、バイブレーションは前傾姿勢でも全然問題なく釣れます。
もちろん、水平姿勢の方が効く、ということもあるでしょう。
どちらがいいかはタイミングや状況次第です。
食わず嫌いをせずに、さまざまなバイブレーションを使ってみて、自分のスタイルやポイントに合ったバイブレーションを探してみましょう。
バス用のバイブレーションでシーバスを釣る!
最後に、コチラ↓は参考動画です。
バス用の超前傾姿勢のラトル入りバイブレーション(TN/ジャッカル)でシーバスを釣っている投稿者による動画です。
この動画からもわかるとおり、バス用の超前傾姿勢のラトル入りバイブレーションでもシーバスは普通に釣れます。
使いこなせば大きな武器になる!
一言で『バイブレーション』といっても、そのバリエーションはかなり多いです。
バスフィッシングとシーバスフィッシングで好まれる種類も違います。
でも、シーバスを狙うにあたっては、バス用のバイブレーションであろうとシーバス用のバイブレーションであろうと、特に区別する必要はありません。
バイブレーションにはさまざまな種類があることを理解したうえで、いろんなバイブレーションを試してみましょう。
ラトル入りのバイブレーションを使うことで、いままでラトルなしのバイブレーションに気づかなったシーバスの興味を惹きつけることができるかもしれません。
あるいは、前傾姿勢のバイブレーションを使うことで、水平姿勢の普通のバイブレーションに見向きもしないシーバスに興味を持たせることができるかもしれません。
かつては「シーバスは釣れない」とまでいわれたバイブレーションですが、いまでは「普通に釣れる」ルアーです。
変な固定観念にとらわれず、いろんなタイプのバイブレーションを積極的に試してみましょう。
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