【入門者向け】市販ロッドに1ピースロッドは存在しない?1ピースロッドの真実

最近はロッドの多分割化が進み、4ピース5ピースのロッドも珍しくなくなりました。

ソルトアングラーにとってはロッドは2ピースが当たり前です。

でも、頑なに1ピースロッドにこだわるアングラーたちもいます。

それがバスアングラーとオフショアのジギングアングラー。

1ピース派
バットジョイント?2ピース?
そんな折れそうなロッド使ってられるか!!

という意見(偏見)が根強い。

ショーカラ
もしかしたら、こういう偏見を払しょくするためにあえてオフショアジギングで多分割化を進めているのかもしれません

でも実は、市販のロッドで1ピースと思われているロッドはほとんどがバットジョイントのロッドです。

1ピース派が想定しているところの『1ピース』ロッドというのはとても稀です。

このページでは誤解だらけの1ピースロッドについてご紹介します。

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1ピースロッドとは

ロッドの仕舞方法

ロッドの仕舞方法には大きく分けて3種類あります。

・1ピース
・バットジョイント or マルチピース
・テレスコピック(振出)

1ピースロッドとは竿先(ティップ)から竿尻(グリップエンド)まで分割できない1本でできたロッドをいいます。

これに対して、バットジョイントとは、ブランクス部分とグリップパートで2分割にできるロッドです。

また、マルチピースとは2分割以上に分割できるロッドの総称です。

2ピースロッド(2分割)、3ピースロッド(3分割)、4ピースロッド(4分割)、5ピースロッド(5分割)などがあります。

マルチピースは基本的には全ピースが均等分割のものが多いですが、マルチピースの中には変則的にグリップ+均等分割というようにグリップはグリップで分割できて、グリップ以外のブランク部分が均等分割になっているものがあります

真の1ピースロッドとは

上↑で1ピースロッドとはティップからグリップエンドまで分割できない1本のロッドという説明をしました。

でも、1ピースロッド派が想定している1ピースロッドという実はちょっと意味合いが違います。

1ピースロッド派が想定している1ピースロッドとは、「分割できない」ということよりも、ティップからグリップエンドまでが1本のブランクスで貫かれたロッドを想定している場合がほとんどです。

1ピース派は、ティップからグリップエンドまでが1本のブランクスで貫かれたロッドをことを『1ピースロッド』と呼ぶことが非常に多いです。

ところが、ロッドビルダーの人たちは、分割できないロッドをさらに2種類に分けて呼ぶことがあります。

・ブランクスルー
・グリップ接着タイプ

これが1ピースロッドを2種類に分類した呼び方です。

呼び方からもわかるとおり、ティップからグリップエンドまで1本のブランクスで貫かれたロッドのことをブランクスルータイプと呼びます。1ピース派のアングラーが想定している「1ピースロッド」とはブランクスルーのロッドを想定していることがほとんどです。

もう1つは、ブランクスとグリップパートという別々のパーツを接着して1本の非分割ロッドに仕上げたものがグリップ接着タイプです。

わかりやすくいえば、バットジョイントロッドのブランクスとグリップを接着して抜き差しできなくしたものがグリップ接着型1ピースロッドです。

要するに実質的には2ピース(バットジョイント)ロッドです。

市販の1ピースロッドの9割はグリップ接着型

ワンピース派アングラーの大多数は「ワンピース=ブランクスルー」を想定するところです。

よもや自分のワンピースロッドが実質バットジョイントロッドであると考えたことはほとんどないでしょう。

でも実際は、市販のワンピースロッドの大半はグリップ接着型ワンピースロッド(実質バットジョイント)です。

写真のようにブランクスとグリップの継ぎ目部分を接着して非分割のワンピースロッドが作られています。

もともとがセンターカット2ピースの場合、#2のブランクスとグリップパートが接着タイプになっているものが多いので、2ピースロッドは実質は3ピース(or2ピース+グリップ)ロッドということができます

どこで見分ける?

ちなみに余談ですが、ブランクスルーかグリップ接着タイプかをどうやて見分けるか…?

ということですが、実際は見慣れたら一瞬でわかります。

ロッドはテーパー構造と呼ばれる先細り構造になっています。竿先にいくほど細く、竿尻に行くほど太くなっています。

テーパーとアクションが混同されて使われることがありますが、基本的には「テーパー」とはロッドの先細り構造のことで、アクションとは竿の曲がり、つまりは調子のことです。
ロッドは、調子に変化をつけるときにテーパーの角度(先細りの角度)を変えることで調子を変えることができます。そのため、ファーストアクション(先調子)を出すためのテーパーのことを「ファーストテーパー(=ファーストアクション=先調子)」と呼ぶことがあります。

そこで市販のロッドをよ~く観察してみると、あることに気が付くことができます。

セパレートグリップの上の部分と下の部分の外径がまったく同じ

ということ。

写真でいえば①と②の外径の太さです。

ここの外径が同じ場合、グリップ部分がテーパー構造(先細り構造)になっていないということです。

つまり、グリップ部分はブランクスとは別のカーボン素材ということになります。

ブランクスにはテーパーがついているので、ブランクスルータイプのワンピースロッドであれば①よりも②の方が太くなるはずです。

市販のロッドはセパレートグリップのカーボンむき出しの部分(写真①と②の部分)の外径を測ってみるとグリップの①の部分も②の部分も同じ外径のものがほとんどです。

つまりグリップ部分にテーパーがないということです。

テーパーがないということは、ブランクス部分とは別のカーボンパーツである可能性が高いということです。

セパレートじゃないグリップでは区別できませんが、↓の理由を考慮するとほぼすべてのロッドがグリップ接着タイプと思われます。

ちなみに写真のロッドのグリップでは①も②も外径が13mmです

なぜ1ピースロッドはグリップ接着か?

配送コスト

市販のワンピースロッドの多くが、製造段階ではブランクスとグリップパートに分けられています。

本当にジョイント部分のないブランクスルーのロッドなんてごくわずかだと思われます。

少なくとも僕が今までバラした市販ロッドの中にブランクスルーのワンピースロッドはありませんでした

その理由の一つが配送費用の問題です。

ワンピースロッドをブランクスルーで製造すると、ブランクを形成した最初の段階から200~cmほどものとして配送する必要があります。

でもグリップと別々に製造できれば160cm前後のブランクスとして配送できるので配送コストを抑えることができます。

パーツコスト

ワンピースロッドをブランクスとグリップに分けて製造する一番の理由は実はパーツコストだそうです。

たとえばブランクスルーのセパレートグリップのロッドを製造する場合、セパレートになっているグリップとグリップの間にはほとんどの場合アルミパーツで装飾されています。

ゴールド、シルバー、レッド、ブルー、パープルなど。

ブランクスルーのロッドを製造する場合、ロッドのモデル(66Lとか66MLとか70XH)ごとにブランクスの太さ(外径)が違うので、モデルごとにブランクスの外径に合うサイズのアルミパーツを準備する必要があります。

ところが、グリップパートを別に製造できるとなると、66Lのロッドも66MLのロッドも70XHのロッドもすべて同一のグリップサイズに統一することができます。

たとえばバットジョイントのロッドの場合、グリップの長さが違うだけでどのモデルもグリップの太さは共通です。アルミパーツのサイズも共通です。

グリップパートをブランクスから分けて製造することで装飾用のパーツを全モデル(もしくは大半のモデル)で共通のものを利用できることになります。

そうすると、そのアルミパーツは新たなモデルのロッドにも流用できるので、パーツのコストを抑えることができるようになります。

1ピースの強度不足って感じる?

ワンピースロッドとして売られている多くのロッドが(実質的には)バットジョイントのジョイント部分を接着したものです。

誤解を恐れずにいえば

市販のワンピースロッド≒バットジョイント

です。

ワンピース派のアングラーの中には

1ピース派
継ぎ目があると強度不足が心配

と言われる方もおりますが、ワンピース派のアングラーが使っているワンピースロッドの多くは継ぎ目の部分を接着した(もともと継ぎ目のある)ロッドです。

ご自身の使っているワンピースロッドが

1ピース派
グリップから折れるかもしれない

っていう強度不足を感じることはあるのでしょうか?

普通は強度不足を感じることはないと思います。

要するにワンピースだろうがバットジョインだろうが、緩みなくしっかりとジョイントされている限り強度に違いはほとんどありません。

継ぎ目のないワンピースだからバットジョイントより強いということはありません。

市販のワンピースロッドは実質はバットジョイントがほとんどなのですから。

2ピース以上はどうよ?

ワンピース≒バットジョイントだとしても、これが2ピースロッドになると話が別じゃないか?とも思えます。

ショーカラ
ワンピース派の中には
「バットジョイントまでは許せるけどセンターカットは無理」
って人いるよね

確かに、継ぎ竿は太い部分でジョイントする方が強度を出す設計がしやすいそうです。

なのでバットジョイントと比べると2ピースロッドは強度を出すための特殊な設計が必要になります。

ただ、「特殊な設計が必要になる」というだけで、「強度が出ない」という話とは別次元の問題です。

つまるところ、2ピース以上であっても、強度を十分に発揮する設計がなされていて、使用中に緩みなくしっかりとジョイントしている限り、ジョイント部分から折れるという心配はほぼ不要ですが、特殊な設計が必要な分、2ピースの方が値段が高くなります。

ジョイントじゃない部分(ロッドティップ等)で折れるリスクの方がはるかに高いですが、ロッドティップで折れるリスクに関しては2ピースであろうがブランクスルーの1ピースであろうがほとんど違いはありません。
継ぎ目があるなしの問題ではないからです。

1ピースの最大のメリットは?

結局のところ1ピースロッドといっても、市販の1ピースロッドはバットジョイント(接着型)方式なので継ぎ目があることに変わりありません。

そして、継ぎ目があったところでしっかりとジョイントできている限り強度不足を感じることはありません。

ちなみに、一番しっかりジョイントする方法は、市販のワンピースロッドのようにブランクスとグリップパートを接着剤で接着してしまうことです。
その点で、市販のワンピースロッドは継ぎ目が緩むことがないので強度的にはブランクスルーの次に安心です。

じゃあ、ワンピースロッドのメリットって何なのか?といえば、

設計上の価格を抑える(安く仕上がる)

ことができるということです。

ワンピースロッドは2ピースのような「継ぎ目の強度を出す」という設計が不要になるため、その分設計が安く仕上がります。

ワンピースロッドは2ピースよりも安く製造することができるのです。(その代わり配送費用は高い)

ワンピース派の中には「ワンピースの方が感度が~」という人もいますが、感度に関していえば正直僕にはよくわかりません。
もしかしたら振動の伝わり方を数値化したときにはワンピースの方が優れているのかもしれません。
でも、それが体感できるほどの違いでなければあまり意味はありません。
ところで、釣りビジョンでプロアングラーの釣りを見ていると、魚のアタリ根掛かりが区別できないようなときも多いです。
そういうシーンを見ていると、感度の違いなんて実釣になればほとんど差はないんじゃないかって思っています。

1ピース≒バットジョイント

1ピース派の中には、1ピースロッドはブランクスルーのロッドだと思っている人もいます。

でも、それは誤解です。

市販の1ピースロッドのかなり多くがブランクスをグリップパートに接着したグリップ接着型1ピースロッド(≒バットジョイント)です。

なので1ピースロッドとバットジョイントロッドは強度的にも感度的にもほとんど違いはありません。

また、2ピースロッドと比べると確かに1ピースロッドの方が強度を出す設計が容易です。

でも「強度を出す設計が容易」かどうかと「強度がある」かどうかは別の問題です。

実際は1ピースであろうがバットジョイントであろうが2ピースであろうが強度や感度にたいした違いはありません。

あるいは、違いがあるにしても、体感できるほど大きな違いではありません。

わずかな差異は気にせずにニーズに合ったロッドを選びましょう。