雑誌や動画などのメディアで、プロアングラーが
とか
といった宣伝をすることが少なくありません。
でも、いろいろカラーを揃えてみたけど、実釣ではその3分の1くらいしか使わない、ということは普通にあります。
そこで、このページではカラーに関する基本的な考え方と効率的なカラーセレクトをご紹介します。
カラーに関する基礎知識
ルアーのカラーは大きくカテゴライズすると4色+αの種類に分けられます。
それぞれのカラーの特徴はつぎのとおりです。
シルバー系
シルバー系はナチュラルカラーといわれています。要するに「魚っぽい」ということです。
シーバスのベイトになるような小魚の大半は、体色の大部分が銀色に光り輝いています。
メジャーどころではイワシ・ボラ・サッパ・コノシロ・サヨリなど。
シルバー系はこれらベイトの体色に近いので、ナチュラルカラーとして説明されます。
また、ナチュラルカラーといってもアピール力が低いわけではありません。ルアーに貼り付けられたホログラムが光を反射してギラッギラッと輝きます。
シルバー系も瞬間的に光でアピールすることができます。
ゴールド系
ゴールド系は濁りに強いアピールカラーといわれます。人間の目から見てもゴールド系はかなり目立つカラーです。
濁ったエリアだとシルバー系やホワイト系よりもゴールド系のほうが目立ちます。
そのため、水の色がもともと濁ったエリアがメインフィールドの場合は必携のカラーです。
また、水の色がクリアなエリアでも、雨が降れば水は濁ります。田園地帯から田植えに伴う排水があれば水は濁ります。
どんなエリアで釣りをする場合であっても、ゴールド系は活躍するカラーです。
ホワイト系
ホワイト系は膨張色といわれ、暗闇でもよく目立つカラーです。
ナイトゲームがメインのシーバスフィッシングにおいてはなくてはならないカラーです。
また、魚のお腹が白いのと同じように、デイゲームで保護色として使うこともできます。
ホワイト系のルアーは、上から見下ろすとかなり目立つ色です。でも、明るい場所でルアーを下から見上げるとそれほど目立つ色でもありません。
ブラック系
ブラック系はアピールカラーともナチュラルカラーともいわれています。使う場面によって性格の変わる面白いカラーです。
たとえば、デイゲームやナイトゲームのときに表層で使うとき。このとき、魚がルアーを見上げると、ルアーのシルエットがハッキリと見えます。このようなときはブラック系はアピールカラーであると説明されます。
一方、光量の少ない場所で使うと意外に水に馴染みます。このようなときはブラック系はナチュラルカラーとしても使えると説明されています。
ブラックは不人気カラーの代表格ですが、とても使い勝手のいいカラーです。
ルアーのカラーの重要性
ルアーのカラーの重要性については第13回と第16回の記事でご紹介したとおりです。
魚は目がいい生き物で、しかも、魚がルアーを発見するときに効果的に機能するのが『視覚』です。
そのため、ルアーのカラーというのは魚の視覚に働きかけるうえではとても重要なファクターといえます。
第12回までの記事でルアーの基本的な種類や特徴、使い方をご紹介しました。このページでは、魚が水中においてどのようにルアーを感知・認識しているのか?「魚がルアーを見つける方法」についてご紹介します。なお、この[…]
シーバス用のルアーには実に多くのカラーがラインナップされています。そのため、ビギナーの頃には確実にカラーで迷うことがあるでしょう。どのカラーが釣れるのか?似たようなカラーでもいろいろ揃えた方がいいのか?[…]
カラーローテーションの重要性
自然の海や湖沼で魚を狙う場合はひとまず置いておいて。
日本には管理釣り場における『エリアトラウトフィッシング』というジャンルがあります。
平たくいえば、釣り堀でマス(トラウト)を狙う釣りです。
自然の魚ではなく、人為的に放流されたトラウトを閉鎖水域で狙う釣りです。
エリアフィッシングの場合、トラウトの反応が目に見えるので、スプーンのカラーチェンジの効果とトラウトの反応の違いがとてもよくわかります。
ということが普通にあります。
トラウトがカラーを選り好みするからといって、シーバスがカラーを選り好みするとは限りません。
ただ、魚種によっては、カラーの違いで反応がまるで違うことがあるということです。
魚によって好みのカラーに違いはある?
『釣り人』が好むカラーはある
次に、魚種によって好みのカラーに偏りがあるのかどうか?
少なくとも、その魚を狙うアングラーが好んで使うカラーはあります。
たとえば、根魚を狙う場合、膨張色よりもオレンジ系や赤系が好んで使われます。
シーバスを狙う場合、チャート系カラーやレッドヘッドが好まれます。
バスを狙う場合、プラグであればナチュラル系。ワイヤーベイトであればアピール系。ワームであればグリーンパンプキンなどの濃いめのカラーが好まれます。
タチウオを狙う場合、パープルやレッドが好まれます。
実際、カラーによる釣果の違いはあるか?
じゃあ、本当に魚種によって好みのカラーがあるのかないのか…?
これについてはこちらの記事に面白い情報が載っていました。
エサやルアーは、魚にハリに食いついてもらうための最も重要な釣り具といえます。書籍『釣りエサのひみつ』の著者・長岡寛さんは…
詳細はそちらの記事に譲りますが、簡単に説明すると次のとおりです。
でも、2年間にわたって(100回以上)いくつかのカラーを使って実験調査した結果、カラーの違いによる優位性は見られなかったということです。
魚が『好む色』について
上記の記事にある実験のとおり、たしかに、2年間の結果をトータルでみてみると、カラーの違いによる優位性は見られないかもしれません。
でも、だからといって、一日単位、時間単位でみたときのカラーの違いによる優位性が否定されるわけではありません。
たとえば、今日は赤系、昨日はオレンジ系、一昨日はピンク系。その前の日はブラック系に反応が良かったとします。
4日間のトータルで見ると赤・オレンジ・ピンク・黒と満遍なく釣れています。
でも、日ごとに見てみると…
赤系に反応がいい日もあれば、オレンジ系に反応がいい日もあります。ただ、4日間のトータルでみると、「赤・オレンジ・ピンク・黒のどれでも同じくらい釣れる」という結論になります。
このように、「(一般論として)ある魚には好みの色があるか?」という問題と、「釣りの現場において、そのときその瞬間、その魚が好む色があるか?」という問題は別次元の問題です。
ルアーのカラーはどう選ぶ?
数多くあるカラーの中から、最適なものをどうやって選べばいいのか?
ルアーの種類を少なくして、すべてのルアーについてシルバー・ゴールド・ホワイト・ブラックの4色を揃える方法もあります。
でも、それだとタックルボックスに入れるルアーの種類がとても少なくなります。
4種類のルアーを入れるとすると4種類×4色で16個になってしまいます。
カゲロウとブローウィンとジグザグベイトとアイアンプレートだけで16個になります。
16個のルアーともなると、全部バイブレーションでない限り、一つのタックルボックスに入れることはほぼ無理です。
そうすると、実はルアーのカラーをシンプルに4色にカテゴライズしたところで、なお、カラーを選ぶ難しさが付きまといます。
本当にカラーは大切なのか?
管理人の場合
どれだけルアーのカラーをシンプルに分類したとしても、持ち歩けるルアーの数に限界がある以上、『選ぶ難しさ』は常に問題になります。
では、現実問題として、一般アングラーがどれほどカラーを気にしているのか?
これは僕の場合ですが…
カラーはほとんど気にしていません!!
「カラーは重要!」という考え方と矛盾するようですが、これが現実です。
なぜカラーを気にしないか?
一番大きな理由は実釣ではカラーローテーションの効果が体感しづらいことです。
エリアフィッシングの場合、魚が目の前にいるのが確実です。それどころか、スプーンを追いかけてくるトラウトも見えています。トラウトの反応を見ながらカラーをチェンジしていくことで、当たりのカラーを探っていくことができます。
でも、自然の魚(シーバス)を狙う場合、魚が見えているわけではありません。目の前に魚がいるかどうかさえわかりません。
そのため、仮に、ルアーのカラーをチェンジした直後にシーバスが釣れたからといって、釣れた理由が「カラーチェンジの効果なのか?」それとも「その他の要因なのか?」を特定することはかなり困難です。
ルアーのカラーが重要であることはいうまでもありません。
でも、持ち歩けるルアーの数に限りがあるうえに、カラーローテーションの効果が体感しづらいとなると、必然的にカラーローテーションの優先順位が下がってしまいます。
自然の魚を狙う場合、カラーローテーションよりも、レンジや潮の流れの強弱といったシチュエーションに応じてルアーの種類を合わせることの方を優先してしまいます。
そのため、実釣においてはルアーのカラーはほとんど気にしていないというのが現実です。
たとえば、どんなカラーを使う?
といわれると、確かにあります。
・目立つカラー
これを基本に考えています。
好きなカラー
ルアーのカラーというのは、魚を釣るために必要であると同時に、釣り人のモチベーションを保つうえでとても重要です。
「これはあんまり釣れそうにない」というネガティヴな印象を持つカラーをどんどん使い込んでいける鉄のハートの釣り人はほとんどいないでしょう。
普通は、ほとんど使わなくなります。
そうすると、結局のところ、好きなカラーかどうかということは釣果にも影響を及ぼします。
また、まったく根拠はありませんが、自分で「釣れなそう」って思えるカラーって、どれだけ投げてても釣れないんですよね、不思議なことに。
細かく分析すれば「リーリングが雑になる」とか「レンジキープが雑になる」という理由があるかもしれません。
いずれにしても、とにかく釣れないんです(笑
好きなカラーのルアーで釣りをするというのはルアーフィッシングではけっこう重要なことです。
目立つカラー
これは、「魚がルアーを発見するときに視覚が効果的に機能する」という理由に着目したセレクトです。
どれだけ「これは釣れる!」といわれるルアーであっても、魚に見つけてもらえなければただのプラスチックです。
ここで、やや話は逸れますが、水中のシーバスの映像を見たことあるでしょうか?
水中のシーバスの映像を見ていると、遊泳しているシーバスの数って意外に多いんですよね。
でも、ルアーに気付いていないのか、興味がないのかわかりませんが、案外ルアーに反応しないんです。
もちろん、最終的には、ルアーに興味を持って食いついてもらえなければ魚は釣れません。
でも、そのスタート地点は、まずはルアーを魚に見つけてもらって、興味を持ってもらうことです。
そこで、僕の場合は(人間の目から見て)目立つカラーを選ぶようにしています。
こういう説明をすると、上級者から
と指摘されることがあります。
確かにそれは否定しません。
しかし、水中には意外に多くの魚がいるということを前提にすれば、スレている魚を相手に粘るよりも、やる気のある魚にアピールするスタイルを選びます。
カラーセレクトに困ったときはどうする?
最後に、どうしてもカラーセレクトに困ったときにどうするか?ということをご紹介します。
実は、これが一番言いたかったことでもあります 笑
ルアーを買うときでも、ルアーを持ち歩くときでも、どうしてもカラー選びに困ることはあります。
そのときにどんなカラーを選べばいいのか。
僕の場合はシルバー系を選びます。
理由は、一番魚っぽいからです(*’▽’)
どれだけ水が濁っていても、どれだけ光量の少ないナイトゲームでも、そこらへんを泳いでいる魚って『魚の色(シルバー系)』ですよね?
たしかにアピールは弱いかもしれません。
でも、一番「自然から距離が離れていない色」であれば大きく当たり外れがあるわけではないので、シルバー系を選ぶようにしています。
あえていうならば、背中やお腹に目立つカラーが入っているものを好んで使います。ピンクとかチャートとか。
つまり、一つだけカラーを選ぶとするなら、
を選ぶようにしています。
カラーは重要だけど少なくまとめる!
魚の『視覚』に働きかけるためには、ルアーのカラーはとても重要になります。
でも、持ち歩けるルアーの数は限られている反面、可能な限りカラーを持ち歩いたところで、カラーローテーションの効果というのは実感しづらいものです。
これらのことを考慮すると、ビギナーの段階で、多くのカラーを揃える優先順位は高いとはいえません。
好きなカラーや目立つカラーを中心にタックルボックスを埋めておけばいいでしょう。
カラーローテーションもたしかに大切です。
しかし、機動力と収納力の限られるオカッパリでは、ローテーションとは別の視点からカラーについて考えてみることも大切です。