耐摩耗性能が高く低伸度の フロロ カーボンリーダー。
でも、硬さや太さといった点からビギナーにはPEとの結束がやりづらく、ノットに不慣れな入門者は多くの場合、結束強度がかなり落ちてしまいます。
なので、初心者がリーダーに使うのは「扱いやすさ」という点から圧倒的にナイロンリーダーがおすすめなのはいうまでもありません。
でも
という疑問があることでしょう。
このページでは、フロロカーボンリーダーの使い道をご紹介します。
フロロは根ズレに強い?
フロロカーボンという素材は、この世に登場した半世紀前から「耐摩耗性」を売りにしていました。
半世紀以上前のナイロン素材は耐摩耗性能が低かったため、フロロカーボン素材は登場してすぐに根ズレ対策のための強いラインとして周知されるに至りました。
ところが、現在のナイロン素材の中にはフロロカーボンとは比較にならないくらいとてつもなく耐摩耗性能が高い商品が存在するため、もはや「擦れに強い」という観点からフロロカーボンを使うことはほとんど意味をなさなくなりました。
フロロが擦れに強いというのは今でも変わりませんが、半世紀前のナイロンとフロロの耐摩耗性能の違いのような差は全くないので、「擦れに強い」という理由でフロロカーボンを選択する理由は特にありません。
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魚から見えにくい?
小学生の頃に理科で習いますが、空気と水では光の進む速さが異なるため、空気と水の境界では光の屈折が生じます。
真空における光の屈折率を1.00とした場合、水中における光の屈折率は1.33〜1.34くらいと言われています。
小難しい話は僕もよくわかりませんが、ある物質の光の屈折率が、水中における光の屈折率(1.33〜1.34)に近いほど、水の中でその物質は見えにくいそうです。
そこで、素材ごとの光の屈折率がどうなっているか…
実はナイロンが1.5くらいであるのに対して、フロロカーボンは1.42といわれています。
なので、水の中にあるラインは、屈折率が水の1.33〜1.34に近いフロロカーボンの方が水中の中では魚から見えづらいと言われています。
なんですが…
(個人的には)魚ってフロロカーボンであろうがナイロンであろうが水中に入っても普通にラインをつついてきます。
3ポンドとか2ポンドくらいまで細くしても同じです。
僕には、魚からは普通に見えているようにしか思えない(笑
また、仮に魚から見えにくいとしても、(たぶん)それはラインがすごくキレイな状態(透明度の高い状態)の話です。
でもラインって3時間も釣りをすればナイロンもフロロも徐々に白っぽくなってきます。
この透明度が失われたときの光の屈折率でも魚から見えにくいのか?って言われると、僕にはけっこう疑問があります。
このような「魚からの見えにくさ」って話になってくるとオカルトみたいな曖昧さになってくるので、ラインを選択するする基準としては「気分で選ぶ」といったレベルに近いです(と個人的には思っています)。
って感じ。
気分で選んでもらって全然イイんですけど、「気分的な理由」から、結束しづらいフロロをあえて初心者に勧める積極的な理由はありません。
わかりやすい特性で使い分ける
結局、根ズレ耐性とか光の屈折みたいな机上の数字より、誰にでもわかりやすい特性を生かすためにフロロを使った方がシンプルだよねってのが僕の考えです。
誰にでもわかりやすい特性とは、フロロカーボンの比重や伸度です。
ラインの比重とか伸度の違いって、数字で見るよりも実際に水に落としてみたり引っ張ってみると
って体感できるくらい違いがあります。
でも耐摩耗性能だとか屈折率なんかだと、数字だけを見て
って納得するしかないのが現実。
体感できる違いがないというわけではなく、どちらかといえば、ナイロンもフロロもどちらの素材も普通に問題ないレベルで強いよって感じでした。
小難しいことを考えるのは悪いことではありませんが、ビギナーの頃にはシンプルにわかりやすく割り切った方が釣りに集中できるってのが経験上感じていることです。
シンプルな思考で釣行を重ねて、「もうちょっと〇〇したい」っていう不都合が出てきたときに初めて小難しいことを考えた方が効率的です。
なので、ナイロンとフロロの使い分けについても、体感的にわかりやすい特性で使い分けた方が両素材の違いが明確になります。
比重を生かす
具体的にどういう使い道があるかといえば、僕の場合は主に3つ。
一番多い使いどころがフロロカーボンの比重(糸の沈みやすさ)を使う場合です。
この使い方がフロロを使う場合のだいたい50%くらい。
水の比重を1.00としたとき、ナイロンの比重は1.14ですが、フロロカーボンの比重は1.78です。
1.00よりも数字が大きくなるほど水に沈みやすくなります。
ちなみにPEは0.98なので水に浮きます。
フロロの比重はナイロンの比重よりも1.5倍以上重いので、ナイロンよりもはるかに速く沈みます。
まぁ細かい数字は置いといて、浴槽に水を張って実際ラインを落としてみると違いがわかります。
フロロは沈みが速いです。
つまり、フロロカーボンの比重の重さをシンカー代わりに利用して、ルアーの浮き上がりを抑えるときに使用します。
たとえば、細身のシンキングペンシルを流れの速い中で使う場合、ルアーが簡単に浮いてしまって水面を滑って帰ってくることがあります。
こういう場合で、水面よりも皮一枚から二枚分ルアーを沈めたいってときにフロロカーボンリーダーを少し長めにとって、リーダーをシンカー代わりに利用してルアーの浮き上がりを抑えます。
フロロをシンカー代わりに使うと、ルアーの浮き上がりは抑えられますが、ルアーによっては動きを阻害してしまうものもあります。
なので、この使い方の時はワイドスナップを使うこともあります。
伸びの少なさを生かす
フロロカーボンはナイロンラインに比べて伸び率がやや少ないです。
ナイロンは100mのラインの両端を力いっぱい引っ張ると(計算上は)25mくらいは伸びると言われます。
それくらいよく伸びます。
これがフロロカーボンの場合は15m〜20mくらい伸びるそうです。
それほど違いはないように思えますが、やはり実釣すると体感的にけっこう違います。
たとえば、船釣りで80〜100号(300〜380gほど)くらいのコマセカゴを長〜いナイロンリーダーで使っていると、ナイロンがビヨンビヨン伸びてカゴの動きがすごくわかりにくい!
これをフロロカーボンリーダーにすると、手元に伝わる情報がナイロンよりもだいぶ分かりやすくなります。
それくらいフロロカーボンの方が体感的にも伸びが少ないです。
柔らかいロッドでシーバスを狙う場合には、ナイロンよりも伸びの少ないフロロカーボンを使用して、しっかりとフッキングできるようにタックルを構成することがあります。
ナイロンからフロロにするだけでどれだけフッキングに違いが出るんだよ?っていう疑問はあるかもしれません。
確かにそれは明確な数字で表すことはできません。
ただ言えることは「フッキングって多くの人が思ってるよりもはるかにパワーが伝わってない」ってことがあります。
自分では「ガツン!!」とアワセたつもりでも、1kgほどの力も伝わっていないってことはよくあります。
こういうのはフィッシングショーで実演をしていますが、Youtubeにかなりの良動画がアップされていたので参考のために載せておきます。
↑これくらい力いっぱい鬼アワセしてようやく2kgくらいのフッキング力です。
なので、柔らかいロッドでナイロンリーダーを使うときはかなりフッキングが甘くなるかもしれないって認識しておいてください。
ちなみに、僕が柔らかいロッド+フロロカーボンの組み合わせで釣りをするときはどういう時か…といえば『バチパターン』のときです。
流れの緩い港湾エリアではバチってけっこう水面を泳いでいますが、河川を流れてくるバチって基本的には泳いでいるというより流されているので、水面から皮一枚二枚くらいのレンジにいます。
こういうときはバチルアーで引き波を立てて引くよりも、水面から皮一枚二枚下を引きたいので、フロロカーボンをシンカー代わりに使用します。
また、吸い込み系のバイトの多いバチパターンではなるべくバイトを弾かないように柔らかいのロッドを使います。
なので、タックルバランス的にナイロンラインだとフッキングに不安が残ります。
そこで、バチパターンのときは僕はフロロカーボンを多用します。
この使い方がフロロを使う場合のだいたい45%くらい。
ルアーのフックがラインを拾ってしまう!
これはシーバスフィッシングでは主にトップウォーターを使うときの話です。
トップウォーターを使うときってアクションエラーが起きないように沈みの遅いナイロンを使うことがほとんどです。
ポーズ中にリーダーが沈んだ状態からアクションをさせると、最初のアクションのときにルアーが水中に向かって引っ張られます。
なのでトップウォーターを使うときってポーズ中にリーダーが沈んでしまわないようにナイロンラインを使うのが基本です。
というのが基本ではありますが…
いかんせんナイロンラインってしなやかなので、アクション中にルアーのフックがリーダーを拾ってしまうことがあります。
頻繁に起こる事態ではありませんが、ルアーのアクションと自分のアクションのやり方の相性によってはまぁまぁ起こる事態です。
こういうときは硬くて張りのあるフロロカーボンリーダーを短めにして使います。
なぜ短めか…というと、水中に沈んでいる部分を少しでも減らしてポーズ後のルアーのファーストアクションに影響が少ないように短くしています。
意外と多いフロロの使い道
僕がフロロカーボンリーダーを使う場合のほとんどはここで紹介したような状況です。
でも、アングラーによっては、フロロの特性をもっと生かせる別の使い方もあることでしょう。
重要なのはフロロカーボンの特性を理解してその特性を生かすということです。
なんでもかんでも「リーダーはフロロ」とか、逆に「ビギナーにはナイロン」と固定してしまうのではなく、ラインの特性に合った使い方をすれば釣りの幅がもっともっと広がります。
ビギナーにとっては結束しづらさは付きまといますが、ぜひそれを乗り越えてフロロカーボンの特性のスゴさを体感してください。