ビギナーとおっしゃる方からとても興味深い御質問をいただきました。
という趣旨の。
なるほど。
確かに、魚とのやりとりのシーンになるとドラグを緩めるアングラーを動画で見たことあります、僕も。
このページでは、ファイト中にはドラグを緩めた方がバラシが少なくなるのか?ということについてご紹介します。
バラシ軽減目的で緩める必要はない
結論からいえば
『バラシを軽減する』という目的のためにファイト中にドラグを緩める必要はない
僕はそう考えています。
理由はいくつかあります。
以下では、順を追ってご紹介します。
ファイト中に魚がバレる原因は?
ファイト中に魚がバレる原因は様々です。
・フッキングが甘かった
・針1本しか掛かっていなかった
・ファイト中にラインがたるんでしまった
など。
おそらく、もっとたくさんあります。
ファイト中に魚がバレるのを防ぐためには、バレる原因に合わせて対処する必要があります。
たとえば、フッキング段階で掛かりが甘いのであれば、ファイト中にドラグを緩めることよりも、フッキング段階でしっかりフッキングできるようにタックルバランスを見直すのが先決です。
・フックを新しいものに交換する
・柔らかいロッドに伸びやすいナイロンリーダーを使用している場合、リーダーを伸びの少ないフロロに変更する
・アワセの瞬間にドラグが滑るようならドラグ設定を見直す
など。
ファイト中にいかにバラさないかを考えるよりも、まずは、しっかりフッキングできなかったことに対処する方が先です。
魚がバレた原因は特定できてる?
問題なのは、ファイト中に魚がバレた原因を本当にきちんと特定できてるか?ってこと。
実はこれはけっこう難しい問題。
だって、フッキングしてから魚がバレるまでの一連の流れは基本的には水の中の出来事です。目視できるようなものではありません。
そうすると「いま魚がバレた原因が本当にきちんと把握できてますか?」って疑問があります。
もちろん、想像することはできます。あるいは、きちんと把握できることもあるでしょう。
でも、多くの場合は『想像することしかできない』ってのが実情。
少なくとも僕程度のレベルだと、ほとんど想像です。
ほとんどの場合が「かもしれない」「だと思う」ってレベルでしか把握できません。
僕の場合、そんな曖昧な状況でドラグを弄るようことはまずありません。
そもそもドラグを緩めるとバラシは減るのか?
次に、具体的なバラシの原因は置いといて、一般論として『ドラグを緩めて魚とやりとりした方がバラシが減るのか?』っていう問題があります。
これについても、「ドラグを緩めた方がバラシが減る場合もあるかもしれないし、逆に、ドラグを緩めた方がバラシが増えるよね」って場合もあります。
ドラグを緩めたら常にバラシが減らせるというものではありません。
バラシが増える場合とは?
ドラグを緩めた方がバラシが増える場合とは、1つにはファイト時間が長くなる場合です。
ドラグを緩めると魚を寄せにくくなるので、ファイト時間が長くなることが想定されます。
ところで、シーバスの口の周りの皮って膜のように薄いので、フックが刺さったまま長時間引っ張り合いをしていると口の周りの穴が簡単に広がってきます。
そこへきてエラ洗いでもされようものなら、簡単にルアーが外れてしまいます。
フックが掛かる場所によっては、ファイト時間が長くなるとアングラー側にかなり不利な状況が生まれることがあります。
もう1つがラインスラッグが出やすくなるということです。
ルアーフィッシングに限らず、およそ全ての釣りにおいてファイト中にはラインをたるませてはいけないというのが鉄則です。
ラインにテンションが掛かっている状態ではそう簡単には針は外れませんが、針の掛かり方次第ではラインがたるむと本当に呆気なく針が外れてしまうことがあります。
ファイト中にドラグを緩めてむやみにラインが出やすい状態にしていると、魚をコントロールしにくくなって、ふとした瞬間にラインがたるみやすくなります。
魚のコントロールに不慣れなビギナーであればあるほどそういう状況になります。
ラインブレイクの心配がない限り、ラインが出やすくなるという状況は好ましいことではありません。
バラシが減る場合とは?
ファイト中にドラグを緩めることでバラシが減るのはどんな場合か?
これについていろいろと考えてみましたが、ぶっちゃけ『コレッ!』っていう状況が思い浮かびませんでした:(´◦ω◦`):
たとえば、ドラグを緩めることでシーバスがエラ洗いをしにくくなる…っこともあるかなぁ?とか考えました。
ラインの放出がスムーズにシーバスの動きに追従すればそれだけシーバスが暴れにくくなるかも…
でも、特にデータがあるわけでもなく、かなり体感とかイメージの問題かなって。
ドラグを緩めることでシーバスがエラ洗いしにくくなるって感じてる人もいるでしょうが、僕は特別そうは感じない。
たぶん気分的な問題です。
「ドラグを緩めてもバラシが減るわけない!」
…とは言いませんが、ドラグを緩めることでバラシが減るというシチュエーションはそれほど多くはなさそうです。
ドラグは何のためにあるのか?
原点に帰って「そもそもドラグは何のための機構か?」を考えたとき、答えはおおむね一つです。
ラインブレイクを防ぐため
これが一番の目的です。
大きな魚を釣り上げるためには、タックルすべて(ロッド・リール・ライン)を駆使して魚の強烈な引きを吸収しながら魚を寄せてきます。
ロッドは曲がることで魚の引きを吸収してラインブレイクを防止します。
ラインは伸びることで魚の引きを吸収してラインブレイクを防止します。
じゃあリールは?
リールはスプールが逆回転してラインを放出することで魚の引きに追従してラインブレイクを防止します。
このスプールの逆回転をコントロールしてラインブレイクを防ぐのがドラグの役目です。
ドラグは、スプールの逆回転を精密に制御するために進化を遂げてきました。
すべては、魚の急な走りや強烈な引きにスムーズに追従するために…。
それがドラグです。
上手い下手を問わず、とりあえず釣り歴が長い人に「ドラグって何のためにある?」って聞くと100%の人が
って答えます、間違いなく。
真っ先に
って答える人は、まず居ないでしょう。
ドラグを緩めてラインを放出することで体感的に「バラシが減る」って感じる人もいなくはないでしょうが、ほとんどのアングラーにとって体感的なレベルの問題であって、特に根拠となるデータがあるわけでもありません。
ファイト中にドラグを緩めることはない?
と聞かれれば、もちろんありますよ。
1つは、大型サイズの擦れ掛かり。
80cmオーバーのいわゆる「鱸」サイズになると、尻尾の方に擦れ掛かりするとスゲー引くんですよ。
魚の頭を自分の方に向けることができないから全然寄ってこないし。
でも、擦れ掛かりとはいえラインブレイクは嫌なので、ラインが切れたりロッドが折れたりしないようにドラグを通常よりも少しだけ緩めます。
もう1つは、足元まで魚を寄せたとき。
魚を足元まで寄せてランディングしようとしたとき、魚が急に走り出したり暴れたりするとアングラー側でそれに反応できなくて、ラインが切れたり、最悪の場合は竿先が折れたりすることがあります。
魚を獲る瞬間にドラグを締めて強引にランディングする人もいますが、僕の場合は万全を期してドラグをやや緩めます。
なので、ファイト中でもドラグを緩めることは少なくないですが、バラシを軽減させるという目的でドラグを緩めることはありません。
ドラグはあまり弄らない方がいい
ファイト中に魚がバレる理由は1つだけではありません。様々な理由が考えられます。
1つの対処法でバラシが激減するということはありません。
魚がバレた理由ごとに対処方法が違います。
でも、魚がバレる原因を特定するのは簡単ではありません。
フッキングからナチュラルリリースされるまで、ほとんど水の中の出来事だからです。
また、そもそもドラグを緩めたからといってバラシが減るというのも、特にデータがあるわけでもなく、また周知の事実として語られるようなものでもありません。
一部のアングラーにとって「ファイト中はドラグが緩い方がバラシが少ない(かも)!」っていう体感的なレベルの話でしかありません。
ドラグはあくまでラインブレイクを防止するための機構なので、ラインの強さや対象魚の引きの強さに合わせて釣り開始前にセッティングをして、あとはあまり弄らないのが基本です。
特に、ビギナーが魚とのやりとり以外に余計な動作をしようとすると、かえってラインテンションが抜けて魚がバレてしまうことも考えられます。
魚をバラさないための基本はしっかりフッキングすることとラインテンションを抜かないことです。
まずはこの部分からしっかりと意識して取り組んでみましょう。
僕は子どもの頃に親父に釣りを教わりました。そのときに親父に教えられた知識の中には、いま思えば『それ、おかしくね?』ってこともたくさんあります。でも、30年以上前に教えられた知識の中には、いまだに当然のこととして実践[…]