シーバスフィッシング黎明期の1998年。
シャローランナーというカテゴリーの道を切り開いたkomomo(コモモ)。
小櫃川のシーバスアングラーを中心に話題になり、その後、全国各地で大きな釣果を叩き出しました。
komomoは、2010年に一度モデルチェンジが行われました。
そして、2022年。
そのコモモがさらなら大型アップデートを経て、新たな伝説に挑戦します。
このページでは、二度目のアップデートが行われた三代目komomo SF-125をご紹介します。
komomo(コモモ)とは
伝説のシャローランナー
komomoとはima(アムズデザイン)からリリースされているシャローランナーです。
シーバスフィッシングの黎明期。
まだシャローランナーというカテゴリーがほとんど注目されていなかった時代。
小櫃川や盤州干潟をメインフィールドとするシーバスアングラーを中心に、komomoというルアーが注目されるようになりました。
その後、コモモは全国各地で多くのシーバスの釣果をもたらし、シーバスフィッシグシーンを席巻しました。
「シーバスはシャローランナーが大好き」という定説を確立するのに絶大な貢献をした伝説のシャローランナーがkomomoです。
コモモが登場する前は、(僕の場合)シーバスハンター(ダイワ)などのリップを削ってシャローレンジの攻略に挑んでいました。
シーバスフィッシングの20年選手以上になると、シーバスハンターを使ったことのない人はほとんどいないのでは?そう思えるくらい、入門ルアーの代名詞として君臨するのがダイワのシーバスハンターです。このページでは、ビギナー[…]
そこに「激浅レンジをしっかり泳いで引き切れる」というシャローランナーとして登場したのがコモモです。
今年で二度目のアップデート
1998年に誕生したkomomoですが、誕生から12年後の2010年に一回目のフルモデルチェンジが行われました。
2010年のモデルチェンジのときは、ボリュームがあり気室の大きいシャローランナーでありながら、50mを超える飛距離を叩き出すなど、コモモユーザーを驚かせる内容のものでした。
そしてkomomoは、2010年からさらに12年後の2022年。2010年のときを超える大幅なアップデートが行われました。
以下では、二度目の大型アップデートが完了した三代目komomoについて見ていきます。
外観上の変更点
ヘッドがくぼんだ
従来からコモモは「リップレスミノーの代名詞」というべき存在でした。
初代・二代目komomoのヘッド部分は、斜めにスパッと切り落とされた形状です。
これに対して、新生komomoはヘッドがくぼんだ形状になっています。
これをコンケーブ形状と呼ぶそうです。
このくぼみのおかげで水掴みが良くなり、スローに引いてもしっかり泳ぐようになりました。
また、MRDと相まってリトリーブ直後からしっかりと泳ぐようになりました。つまり、泳ぎ出しの無駄がなくなりました。
ボディがわずかにファットになった
上が三代目komomo。下が旧モデルのkomomoです。
写真ではかなりわかりにくいですが…。三代目の方がボディがややファットに仕上がっています。
手に取ってみると違いは明白です。
公表のルアーウェイトでは三代目が18g。二代目が16gです。
2gですがウェイトが増しています。
後記しますが、MRDシステムを搭載したことで大型のウェイトが積めるようになったためと思われます。
内部構造の変更点
ウエイトにMRDを搭載
次にルアーの内部構造の変更点について。
重心移動システムがタングステン球からMRDシステムに変わりました。
これにより、ウエイトがより大きく、よりスムーズに移動できるようになりました。このMRDシステムにより、ルアーの飛距離が格段に伸びました(後記のとおり)。
また、MRDによりウエイトの戻りもスムーズになりました。
そのおかげで、ルアー着水後から移動距離のロスなくしっかりと泳いでくれるようになりました。
浮力が高くなった
三代目komomoの説明には記載されていませんが、浮力が確実に上がっています。
たとえば、僕がよく釣りをする宍道湖は、塩分濃度が外洋の10分の1ほどです。
そのため、旧モデルのkomomoではサスペンド気味になっていました。巻いている途中に海藻を拾うことも多々ありました。
しかし、同じポイントにおいて、同じ速度で三代目komomoを巻いても海藻を拾うことはほぼありません。
つまり、ウエイトが重くなっているのに、浮き上がりが速くなったということです。
コンケーブ形状のヘッドと相まって、さらに浅いエリアで、さらにゆっくりと大きいアクションで泳がせることができるようになりました。
komomoのウェブサイトを見ると「浮力設定の見直し」としか書いてありません。そのため、詳しいことはわかりませんが、間違いなく浮力がかなり高くなっています。
使用感
爽快な飛距離!安定した飛行姿勢!!
ファットなシルエットでここまで爽快に飛ばせるのはMRDならではの恩恵といえます。
旧タイプのコモモは、ボディのサイズ・形状のわりにはやや軽めの設計でした。
そのため、旧タイプはキャスト時のスイートスポットがやや狭いと感じていました。
つまり、旧タイプは、キャストのタイミングが合えば綺麗に飛んでいきます。でも、タイミングがズレるとバランスを崩しやすく、飛ばしにくかったのです。
しかし、三代目komomoは、そのスイートスポットがかなり広くなりました。
キャスト時に指を離すタイミングが少々ズレても、スコーーーンと飛んでくれます。
また、タイミングバッチリのときはかなり爽快に飛んでいきます。
飛距離も(感覚的に)10%以上は伸びている印象があります。
と思っていた人でも、三代目コモモの飛距離の安定感は充分に満足できるものでしょう。
浅瀬をさらにゆっくり引き切れる
二代目コモモは、初代コモモよりも飛距離をアップさせることに重点を置いたためか
という評価がありました。
ウエイトが大型のタングステン球になったことで、「シャローレンジをよく動いて引き切れる」というコモモの性能がややスポイルされてしまった部分があったのです。
これに対しては、
という(僕の個人的な)願望がありました。
この点、三代目komomoは、コンケーブ形状ヘッド+高浮力設定のおかけで
ゆっくり引いても水を掴んで大きく動く。けど、それほど潜らない
という、激浅エリアでゆっくり引いてもルアーを大きく動かせる設計になっています。
旧コモモでは海藻を拾って釣りにならなかったポイントで、同じスピードで巻いても海藻を拾わない!
しかも、ルアーがかなり動いてくれる!!
シャローエリアの釣りを開拓したkomomoが、シャローエリアの釣りの幅をさらに大きく広げるルアーとしてアップデートされました。
安定して飛ばすにはやや慣れが必要かも…
二代目komomoよりも格段に飛ばしやすくなった三代目。
そうは言っても、コモモは125mmクラスのファットボディです。広くなったスイートスポットを把握できるまでは飛距離が定まらないこともあり得ます。
僕が三代目を使い始めたときに抱いた感想がそうでした。
じゃあ、どうすればいいか?
これは、投げて投げて投げまくるしかないですね。
実際には、投げまくる…というほど投げる必要はありませんよ。
二代目に比べるとスイートスポットはかなり広いので、だいたいのリリースポイントが把握できれば、あとは気持ちよく飛んでくれます。
巻き始めがスローすぎると動かない
コンケーブ形状のヘッドになったことで初代komomo以上に動きが良くなった三代目。
しかし、巻き始めのときにあまりにもスローすぎると、水面をスーーーッとまっすぐ戻って来ます(笑
いったん泳ぎ始めると、かなりスローでもヨタヨタと動きます。
でも、巻き始め(水の掴み始め)のリトリーブスピードが遅すぎると水を全然掴みません。
動き出しが良くなったといっても、どのくらいのスピードなら動くか?というのは目視で確認した方がいいです。
三代目コモモの不満点
太軸スナップが外しにくい
水掴みを良くするために採用したコンケーブヘッド。ところが、コンケーブ形状にしたことでラインアイがくぼみの中に入ってしまいました。
このヘッド形状のため、太軸スナップを外すときにとんでもなく開けにくい。
僕は普段スーパースナップ(ウォーターランド)を使っています。このスーパースナップがかなり太軸の高強度スナップなので、開けるときに一苦労です。
元々指で開けにくいくらいに高強度のスナップなのですが、おそらく、ほかの高強度スナップでも同じだと思います。
太軸スナップ、短いスナップ、複雑にロックするタイプのスナップは、(おそらく)脱着に苦戦するでしょう。
スタンダードなカラーがラインナップにない
まぁ、これは好みの問題なのですが…
ルアーのカラーの基本ともいえるゴールド系やピンクバックがラインナップにない!
もともとコモモにはアカキンのようなゴールド系の基本カラーがありました。
ただ、三代目komomoにはゴールド系がほとんどありません。
釣れるカラーというより『売れるカラー』を中心にラインナップしているという印象です。
三代目komomoの使い方
タダ巻き
コモモの最もスタンダードかつ効果的な使い方はタダ巻きです。
タダ巻きでも非常によく泳いでくれます。
二代目と比べるとタダ巻きで使用できるスピード幅が格段に広くなりました。
その反面、トゥイッチングのような細かいロッドワークに対するレスポンスはそれほど良くはありません。
ボディがファットであるのに対して水を受ける面が(相対的に)狭いので、せめてジャーキングくらいの幅で動かさないと綺麗に泳いでくれません。
大きなロッドワークをしないのであれば、タダ巻きで使うのがベストです。
タダ巻きで様々なスピード領域を試してみて、ご自身のフィールドで一番「これは使える!」と思えるスピードを見つけてみてください。
ダイビング
ベイトが多い場所でシーバスがルアーに気づいてくれにくいときは、ダイビングさせて使うのも〇です。
それほど大きな音や泡は出ませんが、高浮力なので比較的連続してダイビングさせることもできます。
また、ダイビング後にタダ巻きを入れてバイトを誘うこともできます。
僕が三代目コモモで初めてシーバスのバイトを得たのが、ダイビングさせた後の水面に浮いているルアーでした。
ダイビングの動きを確認している最中に「ドプンッ!」という低い捕食音とともにバイトがありました。
ベイトを追いかけてスイッチの入っているシーバスに気づいてもらうために水面系ルアーとして使うことも一応可能です。
メーカーの宣伝に偽りなし!大幅に進化した三代目komomo!
20年以上も前にシーバスフィッシングシーンに登場し、その後、シーバス業界を席巻したkomomo。
ただ、昨今は、後発ルアーの性能に押され気味になっていました。
そして、2022年。
MRDとコンケーブヘッドという新性能を搭載し、新たに三代目コモモとして大型アップデートが行われました。
komomoは、シャローエリアを「釣れるエリア」に変えた伝説のシャローランナーと言っても過言でありません。
そんなimaを代表するルアーであるコモモが、満を持してMRDを搭載して生まれ変わりました。
実際に使ってみると、メーカーの宣伝が誇大でないことが秒でわかります。
それくらい、メーカーの思いと意地の詰まった渾身の仕上がりになっているといえます。
店頭で見かけた際には、ぜひ、大きく進化した伝説のルアーを手に取ってみてください。