
6月中旬以降、一気に30℃を超える地域が増えてきました。
水温の上昇には若干のタイムラグがありますが、それでも海の中はもう夏モード。
そして、夏のシーバスゲームといえばトップが熱い!
このページでは、夏本番を迎えるにあたり、トップウォーターの使いどころについてご紹介します。

最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
夏=トップウォーターの理由

アングラーにとって、トップウォータープラグの出番が最も多い季節といえば夏です。
これには3つの理由があります。
ベイトの種類が増える
冬から春にかけてのベイトは、底物やバチといった偏りのあるベイトが中心となります。
しかし、春から夏に差しかかる時期になると海の中の様子は一変します。
ボラやサヨリの稚魚が水面に群れるようになり、カタクチイワシやアジなどの回遊性ベイトも現われます。
また、これらはあくまで代表的なベイトにすぎず、海中では実に多様なベイトを目撃するようになります。
そのため、シーバスの捕食活動も水面から底層まで幅広く行われるようになります。
シーバスが水面を意識するようになる
底物系のベイトがメインの時期は、シーバスの回遊ルートも底層ベッタリという感じです。
しかし、水面系のベイトが増えるにつれて、シーバスの目線も水面を意識するようになります。
そうすると、トップウォータープラグへの反応が桁違いに良くなります。
シーバスの適水温
シーバスの適水温は15~18℃くらいといわれることがあります。
しかし、(公財)海洋生物研究所等の研究によれば、スズキの成魚が好む水温帯は広く、~30℃の水温帯を好んで活動するといわれています。
さすがに水温が30℃にもなると活動量が落ちてくるかもしれません。
ただ、真夏とはいえ、夕マズメ~朝マズメにかけてはだいたい25℃前後の水温の海域が多いでしょう。
つまり、夏というのはシーバスが好む水温にちょうど当てはまる時期といえます。
そのため、シーバスの活動量が増え、積極的にベイトを捕食するようになります。
これらの理由から、夏になるとトップウォータープラグの出番が多くなるのです。
トップウォーターが活躍する条件
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たしかにトップウォーターは夏の定番ルアーですが、夏であればどんなときでもトップウォーターが活躍するのか?といえば、そうではありません。
トップウォーターが真価を発揮するためには二つの条件が必要になります。
②表層系ベイトが豊富
一つめの条件は風がない(弱い)ことです。
水面でアピールするというトップウォーターの特性上、水面が波立っているときはアピール力が半減します。
波立っていても釣れないことはないですが、トップウォーターが活躍するのには水面に波が少ないことが条件になります。
もう一つの条件がベイトの存在です。
いくら夏といっても、表層にベイトが少ない状況ではシーバスの目線も水面を向きません。
シーバスが表層系のベイトを意識しているときこそ、トップウォーターが活躍する条件といえます。
トップウォーターの使いどころ
上記のような条件が揃っていることを前提に、以下ではトップウォーターの使いどころについてご紹介します。
シーバスが水面で捕食しているときに使う
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初夏から晩秋にかけて、シーバスが積極的に水面で捕食するシーンを目撃することがあります。
あるいは、捕食音が鳴り響くこともあります。
このようにシーバスが水面を意識していることが明らかなときは、トップウォーターを使わない手はありません。
シーバスが水面で捕食している状況に遭遇したときは、迷わずトップウォーターを使いましょう。
サーチベイトとして使う

シーバスが水面で捕食していないからといって、必ずしもシーバスが水面を意識していないとは限りません。
むしろ、静まり返った状況でトップウォーターを使っていると、突如、シーバスがバイトしてくることもあります。
トップウォーターのアピール力は絶大です。
そのため、やる気のあるシーバスを探していくためのサーチベイトとしてトップウォーターは効果的です。
根掛かりの多い場所で使う

トップウォーターは水面でシーバスを誘い出すためのプラグです。水中に潜る(沈む)ことはありません。
その点で、トップウォーターは根掛かりとは無縁のプラグで、バイブレーションと対極にあるといえます。
初場所で根が掛かりが怖いときや、根掛かりの多い場所でやる気のあるシーバスを探すのに重宝するルアーです。
ナイトゲームで使う

意外と活用されていないのがナイトゲームです。
シーバスやメバルのような視覚主導型の夜行性の魚は、少ない光量を効率的に取り込んで、夜でも獲物がよく見えるような目の構造をしています。
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ただ、いくら夜に見えるからといって、トップウォーターのアピール力が無駄というわけではありません。
むしろ、ナイトゲームでハイアピールできるルアーというのは、それだけで大きなアドヴァンテージになります。
また、夜行性のシーバスは夜になると活発になり、水面付近で積極的に捕食するようになります。
さらに、夜になると表層水温も下がるため、特に夏の場合には、日中よりも夜の方が表層を意識するようなります。
これらの理由から、トップウォーターは、ナイトゲームでシーバスにアピールするのに特に効果絶大ということができます。
2タイプのトップウォーターを1アクションで使い切る
トップウォーターは、ロッド操作次第で様々なアクションが演出可能です。
それゆえに

と苦手意識を持つアングラーも少なくありません。
でも、たった一つの基本のアクションさえ覚えてしまえば、ほとんどのシチュエーションでトップウォーターを使うことができます。
基本はドッグウォーク
トップウォーターのアクションの基本となるのはドッグウォーク(ウォーキング・ザ・ドッグ)です。
ロッドティップを一定のリズムで軽く弾くことで、トップウォーターの首を左右に振らせることができます。
ロッドティップを左右に動かすわけではありません
このアクションがある程度できるようになれば、ほとんどの状況でトップウォーターを使うことが可能です。
2タイプのトップウォーターを使い分ける
一言でペンシルベイトといっても、ルアーに組み込まれた基本性能は異なります。
しかし、これらをすべて理解する必要はありません。
トップウォーターは、移動距離によって大きく2タイプに分けられることだけ覚えておきましょう。
トップウォータープラグは、短い移動距離でネチネチと泡や音でアピールできる縦浮きタイプと、大きいスライド幅でワイドにアピールできる水平浮きタイプに分けられます。
ショーカラ流のざっくりとした使い分けは次のとおりです。
まず、一般論として、縦浮きタイプの方が移動距離を抑えてスローに誘いやすいですが、素早い動きが苦手です。
水平浮きタイプはスピーディーに誘ってもワイドにアピールしてくれてバランスを崩しにくい反面、ゆっくり動かすと上手くスケーティングしないものがあります。
これを前提に
という感じです。
それほど緻密に使い分ける必要はありません。
ルアーの特性に合わせてざっくりと使い分ければ問題ありません。
2タイプのトップウォーターを1つのアクションで使い分けるだけで、かなり多くのシチュエーションをカバーすることができます。
奥の手の『タダ巻き』
どうしてもトップウォーターのアクションが難しそうだと感じたそこのアナタ。
トップウォーターを使うのをあきらめかけたそこのアナタ。
小難しいアクションがなくてもトップウォータープラグを使うことができます。
それがトップウォータープラグの『タダ巻き』です。
トップウォーターは「動かしてなんぼ!」というイメージの強いルアーですが、必ずしもそういうわけではありません。
実はトップウォーターは、タダ巻きだけでもシーバスに気づいてもらうことのできるアピールの強いルアーなのです。
ルアーが水中で動いたときに発生する水粒子の振動は、物理的にルアーのわずか周辺にしか伝播しないといわれています。
これに対して、水面で発生する波・航跡というのは、水中の水粒子と違って水面に広く伝播します。
そのため、ルアーが発生させた波・航跡というのは、たとえタダ巻きであっても、アピール力の高いものとなってシーバスの視覚に働きかけることができます。
アクションするのが難しそうと感じたときは、タダ巻きからトップウォーターを始めてみてもいいでしょう。
おすすめのトップウォータープラグ
最後に、おすすめのトップウォータープラグをご紹介しておきます。
モアザンソルトペンシル
シーバスフィッシング界のキング・オブ・ペンシルベイトがモアザンソルトペンシルです。
『エサ』といわれるほどの釣れっぷりに、ビギナーからベテランアングラーまで幅広く支持されています。
縦浮きタイプのペンシルで何か一つ揃えるのであれば、まずはコレでしょう。
モアザンソルトペンシルは短い移動距離でネチネチ誘うことができます。
また、高レスポンスのため、スピーディーにアクションさせてもバランスを崩すことはありません。
これ一本でかなり多くのトップウォーターシーンをカバーすることができます。
スーパースプーク Jr.
水平浮きタイプでおすすめなのがスーパースプーク Jr.です。
誰が操作してもしっかりドッグウォークして、ワンノッカーの低周波音を組み込んだそのボディは、ドッグウォークするたびに水中にいるシーバスにまで広くアピールします。
世界で最も有名なペンシルベイトであるザラスプークの正統な進化版がスーパースプークです。
スーパースプークには、オリジナルサイズとジュニアサイズがありますが、シーバスロッドで扱いやすいのはスーパースプーク Jr.になります。
なお、スーパースプークには釣具店であまり売っていないという大きなデメリットもあります…
デイでもナイトでも!今年の夏はトップウォーターに挑戦しよう!

表層系ベイトの増える夏。
デイゲームでもナイトゲームでもトップウォーターが活躍する季節になりました。
今まで

とトップウォーターを敬遠していたビギナーにとっても、夏はトップウォーター入門にうってつけの季節です。
今年の夏は、ぜひトップウォーターシーバスに挑戦して、苦手意識を払拭しましょう!