【ゼロから始める】シーバスの釣果を左右する!タダ巻きの重要性を理解する!!【第13回】

以前、友人と2人で釣行に出かけたとき、隣りで釣りをしていた友人だけが立ち話をしながら魚を掛けたということがありました。

しかも、僕はゼロなのにその友人は6匹も。

あとで話を聞いてみたところ、魚を釣った友人と僕の間には決定的な差があることがわかりました。

それが

ただ巻きの質の違い

です。

このページではシーバスフィッシングにおける”ただ巻きの重要性”についてご紹介します。

タダ巻きは基本中の基本の”アクション”である

シーバスフィッシングでより多くのシーバスを釣るために最も重要なアクションはタダ巻きです。(ルアーフィッシングではステディリトリーブと呼んだりもします)

これは断言できます。

タダ巻きが丁寧にできるかどうかで釣果を大きく左右します。

それはなぜか?

「タダ巻きアクション」がシーバスの興味を惹きつけるからです。

最近では、単に「タダ巻き」という場合、アクションをさせずに一定のスピードで”ただ巻く”だけというイメージを持たれることが多いです。

でも、古くからあるルアーフィッシングの考え方はそうではありません。

ルアーフィッシングにおいてタダ巻きというのは、リールを一定のスピードで巻いてルアーを動かす「アクション」として考えられています。

簡単にいえば「タダ巻きアクション」という考え方です。

第5回の記事で書きましたが、「ルアー」というのはエサでもなければエサの代替物でもありません。

ルアー」というのは釣りに必要な「道具」の一つであって、樹脂の塊にすぎません。

第12回の記事では、本物のベイトがシーバスから逃げるときの動きは生命感に溢れていて、お世辞にもルアーのタダ巻きに似ているとはいえない、ということをご紹介しました。

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それでも、シーバスは樹脂の塊に興味を持って喰いついてくる。

本物のベイトには似ても似つかないルアーのタダ巻きに、なぜシーバスが興味を惹かれるのか?

それは、ルアーには「タダ巻きアクション」という「機能」が備えられているからと一般的には説明されています。

ルアーという道具に備えられた「タダ巻きアクション」という機能のおかげで、シーバスの興味を樹脂の塊に惹きつけることができるのです。

規則性と不規則性

捕食スイッチを入れる不規則なアクション

シーバスに限らず多くのフィッシュイーターにとって「捕食スイッチが入る瞬間」というのがあります。

一見してエサを探し回っているようには見えないほど悠然と泳いでいるシーバスが、ふとした瞬間にベイトにロックオンして襲い掛かるようなときです。

この”ふとした瞬間”が訪れるときに「捕食スイッチが入った」と表現されます。

ルアーという道具を使ってシーバスの捕食のスイッチを入れる基本的なアプローチ方法がルアーの不規則な動き(イレギュラーアクション)です。

イレギュラーアクションというのは、たとえば、一定のスピードで巻いてからのスピードアップ(あるいはスピードダウン)だったり、一定のスピードで巻いてからのストップだったり。

あるいは、真っ直ぐに泳いでいたルアーが急に横にスライドしたり、急にクイックでトリッキーな動きをしたり。

パターンは様々です。

多くのフィッシュイーターは、この不規則な動きが起こったときに捕食のスイッチが入ってベイトに狙いを定めます。

ここで注意しなければならないのがアクションの不規則性というもの。

不規則なアクションというのは、その前提として「規則的なアクション」があるからこそ際立って活きるアクションなのです。

いつも不安定なスピードでルアーを巻いてしまうと、それはいつも不規則な動きをしているというだけです。

ただの不安定・不自然な動きでしかありません。

優れたチェンジアップがあればスピードの遅いストレートでも速球に見えてしまうように、安定した規則的なアクションがあるからこそ、イレギュラーなアクションが際立って見えます。

このときのイレギュラーアクションこそがフィッシュイーターの「捕食スイッチ」をONにすることができるのです。

フィッシュイーターの捕食スイッチを入れる不規則な動きは、その前提となる規則的な動きがあって初めて生まれるものなのです。

この規則的な動きは、安定したタダ巻きがきっちりできて初めて出せる動きです。

そのため、タダ巻きというのは、タダ巻きアクションで食わせるときだけでなく、「捕食スイッチ」を入れるためのイレギュラーアクションを引き起こす前提としても重要になるスキルといえます。

不規則な動きは意図的に起こす必要があるか?

規則的なタダ巻きの中に時折り生まれる不規則な動き。

捕食スイッチを入れるこのイレギュラーアクションはアングラー側で意図的に生じさせることもあります。

タダ巻きからのトゥイッチ・ジャーク・リッピング。

あるいはタダ巻きからのストップ。

ストップからの急な逃走アクション…

などパターンは様々。

でも最近のルアーはとても優秀なので、オートマチックに不規則な動きが起こるような仕組みをルアーの基本性能として備えているものが多いです。

なので、アングラーはとにかく安定して一定のスピードでタダ巻きすれば、あとはルアーが水流の変化に反応してオートマチックに不規則な動きを起こしてくれます。

もちろん、アングラーがジャークなどで意図的にイレギュラーアクションを起こしても構いません。

でも、通常はタダ巻きをしていればOKです。

ただ巻きが最高に効いた経験

ある船長の金言

僕が人生初の東京湾ボートシーバスに行ったときのことです。

一昔前まではシーバスのデイゲームといえば、ブレード系ルアーの早巻きやルアーアクションによってシーバスに口を使わせるってのが通説的な釣り方でした。

また、当時ボートシーバスでメジャーだったのが、ビーフリーズやX-80のようなシャッドタイプのミノーを使ったダートアクションによってアプローチをする方法です。

僕個人的にも、トップウォータープラグを操ったりするような、いかにも「ルアーを操作してる」って釣り方が大好きです。

「これぞルアーフィッシング」という自己満足が大きい釣り方です。

なので、ボートシーバスでも「ルアーのアクションで釣る」というイメージを持って乗船しました。

でも、そんなイメージは秒で崩れました(笑)

僕が具体的なアクションを船長に聞いたところ、メディアの趨勢に反して、船長は自信を持って

船長
ただ巻き。
シーバスは昼でも夜でもオープンでもストラクチャーでもただ巻きが基本。

と言い切りました。

僕としては今日初めて出会った船長の話よりメディアの影響の方が強かったので、(失礼ながら)内心では「…は!?」という思いがあり、半信半疑で色々な釣り方を試してみました。

その結果…

ただ巻きのコールド勝ちみたいな釣果でした。

もちろん、アクションによっても多少は釣れましたが、イージーに釣れたのはただ巻きでした。

「お前のルアーのアクションが下手なんだろ!」と言われたら否定はできませんが、その日以来、デイゲームやストラクチャー狙いに関する認識が一変しました。

メディアではまだまだ「デイゲームはブレード系の早巻き」「ストラクチャー付きは小型ミノーをダートさせて口を使わせる」なんて語られている時代のことです。

友人との釣行にて

月日は流れ、山陰に帰ってきて友人と2人で釣りに行ったときのことでした。

僕にとって久しぶりに連れ立った釣行だったので、色んな雑談をしながらルアーをキャストしていました。

そんな雑談をしながらも、隣にいる友人は次々とシーバスを釣っていきます。

同じルアーの同じカラーを使ってるのに僕は0匹。

結局、雑談しながら友人が釣ったシーバスは6匹。僕は0匹。

2人の間に何らかの差があったことは明らか。

ルアーは同じ。リールのメーカーも番手も同じ。リーダーまで同じ(僕が貸したから)。

ルアーのフックサイズ…まではわからない。

明らかに違うのは立ち位置。

確かに、立ち位置によって釣果が全然違うってことはシーバスフィッシングではよくあることです。

シーバスが群れているときは立ち位置が10mも離れると10対0みたいな釣果のときがあります。

でも、それはシーバスが群れているときに起こりやすい。

群れていないシーバスをオープンエリアで回遊待ちで狙っているときに、立ち位置によって釣果に天地の差が出るってことは(なくはないだろうけど)ほとんどない。

…何が違う?

と考えてみてもわからなかったので、友人に聞いてみました。

ショーカラ
話をしながら何を意識して釣りしてました??

すると返ってきたのは意外な答え。

Mさん
一定のスピードで巻くってことくらいやな

確かに雑談しながら釣りをしてるときに一番疎かになる部分って「一定のスピードで巻くこと」なんです。

リールを巻くスピードやリズムがいい加減に(雑に)なってしまう。

この話を聞いたときに、改めて船長の「シーバスはただ巻きが基本」って言葉が頭をよぎりました。

ただ巻きこそ釣果に直結する基本中の基本のテクニックと実感させられた釣果でした。

リールのギア比とタダ巻きの関係

ローギアの方がタダ巻きしやすい?

最近はハイギアのリールが主流になってきているので、多くのアングラーが最大巻上長が85cm以上のリールを使っています。

ギア比6.2:1とか6.4:1とかっていうハイギア比のリール。

ハイギアリールが主流の昨今ですが、「タダ巻きを安定させる」という点においては、多くのアングラーにとってローギア(ノーマルギア)の方がタダ巻きが安定します。

理由は以下のとおりです。

ローギアの方が心地良いテンポで巻ける

ハイギアリールとローギアリールにはそれぞれ違いやメリット・デメリットがあります。

ハイギアリールとローギアリールの違いで一番わかりやすいのがハンドル1回転あたりのラインの巻き取り量です。

ハイギアリールではハンドル1回転あたり85cm以上巻き取れるものが多いです。ローギアリールの巻き取り量はハンドル1回転あたり70cm台後半です。

ハンドル1回転あたり10cmくらい巻き取り量が違うと思ってもらってもいいです。

ここで問題になるのが、シーバスフィッシングにおいてはリールを遅巻きすることが多いということです。

ハイギアリールでもローギアリールでも、ゆっくり巻こうと思えばどちらのリールでもゆっくり巻くことができます。

でも、ハイギアリールを使用する場合には、ローギアリールで巻くよりもさらにゆっくりとリールを巻かなければなりません。

この「とてもゆっくり巻かないといけない」ということにストレスを感じるアングラーが意外に多いようです。

僕自身は、リールを巻くときには周囲をけっこうキョロキョロして、いろんなことを考えながら巻くことが多いので、手元がゆっくりな方が思考もゆっくりできて自分のリズムに合っています。

手元をせかせか動かさないといけないとなると、思考もせっかちになって考えやアイディアがまとまらないからです。

でも、リールはある程度リズミカルに巻かないと、ゆっくりのテンポだとイライラして一定のスピードで巻きにくい…というアングラーもけっこういるようです。

確かに、「超絶スローに巻け!」といわれると、ハイギアリールを使うと手元がプルプルしそうな気もします。

ショーカラ
文字だってゆっくり書こうと思うと手がプルプル震えるからね

そういう意味ではローギアの方が心地良いテンポで巻けるというのは理解できます。

ハイギアはルアーの移動距離のブレ幅が大きくなる

これはごくごく簡単な算数の話です。

Hギア:ハンドル1回転100cm
Lギア:ハンドル1回転50cm

のリールがあったと仮定します。

どちらのリールも1秒間に1回転のスピードで巻くとすると、ルアーの泳ぐ速さは秒速…

Hギア:100cm/秒
Lギア:50cm/秒

となります。

これをタダ巻きとします。

じゃあ、タダ巻きをしてるつもりだった僕ですが、雑談をしながら釣りをしていたため、1秒間に1回転半のスピードでリールを巻いたり、逆に1秒間に半回転のスピードでリールを巻いていたりと、リーリングのテンポが不安定だった場合どうなるか?

1秒間に1回転半のスピードで巻いた場合のルアーの泳ぐ速さは秒速…

Hギア:150cm/秒(+50cm)
Lギア:75cm/秒(+25cm)

1秒間に半回転のスピードで巻いた場合のルアーの泳ぐ速さは秒速…

Hギア:50cm/秒(-50cm)
Lギア:25cm/秒(-25cm)

となります。

どちらもルアーの泳ぐ速さが1.5倍(もしくは半分)になっただけだろって言われると、そのとおりです。

そのとおりなんですが…

シーバスにとって問題なのはそこじゃなくて(笑

問題なのは、実際のルアーの泳ぐ速さがHギアでは50cm/秒も速くなってしまったことです。

Lギアでは25cm/秒しかルアーの泳ぐ速度が速くなっていないのに、Hギアでは50cm/秒も速くなっています。

ショーカラ
逆に1秒半回転の場合は、Lギアではルアーの泳ぐ速さは25cm/秒しか遅くなっていないのに、Hギアでは50cm/秒も遅くなっています

平たくいえば…

リールを巻くテンポが不安定なときのルアーの泳ぎのブレ幅はハイギアの方が大きくなってしまう

ということ。

タダ巻きが不安定な人がハイギアリールを使うと、ルアーの泳ぐスピードのブレ幅がローギアよりも大きくなってしまうのです。

巻きスピードの小さな誤差が、ルアーの泳ぐ速さ(移動距離)の大きな差となって現れてしまうのがハイギアです。

なので、タダ巻きをより安定させるためには、ローギアリールの方が向いているといえるでしょう。

ショーカラ
とはいえ、最終的には超入門者にもハイギアをおすすめしますが、それはまた別の記事で
この具体例は趣旨が伝わりやすいように数字を大袈裟に設定しています

実は簡単!タダ巻きのスキルアップ

ハンドルの回転数を数えるのを習慣にする!

じゃあ、「タダ巻きを安定させるにはどうしたらいいか?」ということですが、実はこれはそれほど難しいことではありません。

常にハンドルの回転数を数える

これをするだけでタダ巻きの速度がかなり安定するようになります。

シーバスフィッシングの場合、ミノーやシンキングペンシルであればフルキャストしてだいたい50〜70回転くらいでルアーが戻ってきます。

バイブレーションであればだいたい70回転~くらい。

ルアーをフルキャストした場合、ハイギアリールだとだいたいこれくらい↑巻くとルアーが戻ってきます。

これをいつも同じテンポで数えることで、ハンドルを回転させるテンポを体と頭で覚えることができます。

〇回転という巻き数が大切なのではなく、〇回転を数えるテンポを体と頭で覚えることが重要です。

ハンドルの回転数を数えることには、「タダ巻きのテンポを覚える」ことの他にもメリットがあります。

それは魚がヒットした(アタリがあった)場所を、ハンドルの回転数によって把握できるようになることです。

「着水後〇〇回転の場所でアタリがあった」ということが分かれば「着水後〇〇回転の付近を集中的に狙う」というように、狙うポイントを絞ることができます。

もちろんキャスト毎の飛距離に誤差はありますが、闇雲に投げて巻くよりもよっぽど生産的です。

管理人の場合

僕は今でも、ルアー着水後からリールを巻くときのハンドルの回転数をいつも数えるようにしています。

このとき、数を数えるテンポをいつも同じスピードにするように心掛けます。

ハンドルを巻くスピードと②ハンドルの回転数を数えるテンポをリンクさせることで、体と頭でタダ巻きのテンポを覚えます。

そうすることで

ショーカラ
あっ、いま数えるスピードが少し速かったな

とか

ショーカラ
今のテンポだと反応がないから、もう少しテンポをゆっくりにしてみよう

という感じでタダ巻きに変化をつけることもできます。

ハンドルの回転数を同じテンポで数える習慣をつけるだけで、タダ巻きのテンポがかなり安定します。

その他にもメリットがあります。

僕がよく行くポイントのなかには、シーバスがヒットするエリアがかなり狭く、ルアー着水後10巻き〜20巻きの間でのヒットが圧倒的に多い、というポイントがあります。

なので20巻き以降は思い切ってルアーを回収して、再度キャストする…

ということをします。

ヒットする可能性の高いエリアを絞ることで、効率的にシーバスを探すことができるようになりました。

これはいつもハンドルの回転数を数えているからこそ得られる情報です。

ショーカラ
もちろん、10~20巻き以外のところでヒットすることもあるので、その魚は無視することになってしまいますが…

タダ巻きを安定させて釣果アップへ

本物のベイトには似ても似つかない、樹脂の塊にすぎないルアーをタダ巻きすること。

これでも十分にシーバスが釣れます。

いえ、むしろ、タダ巻きこそ最も確実にシーバスのバイトを引き出す方法といえます。

それは、ルアーという「道具」には、シーバスの興味を惹き付ける(タダ巻きアクションとも呼べる)機能が備わっているからです。

また、シーバスをはじめとしたフィッシュイーターの多くは、ルアーの不規則な動きに反応して捕食のスイッチが入ります。

その不規則な動きは、規則的な動き(安定したタダ巻き)があるから生み出せるアクションです。

タダ巻きが不安定だとフィッシュイーターに捕食のタイミングを与えることができません。

このタダ巻きを安定させるには、普段からハンドルを巻く数を数えることによって体でリズムを覚えることができます。

タダ巻きのスキルを磨いて釣果アップを目指しましょう。

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