冬から初夏にかけてのシーバスフィッシングのお祭りパターンの中に【バチ抜け】と呼ばれるパターンがあります。
この時期になるとビギナーでも簡単にシーバスを釣ることができるようになります。
このページでは【バチ抜け】の基本についてご紹介します。
冬から夏前にかけてのシーバスフィッシングのお祭りパターンといえば【バチ抜け】。この時期はビギナーでも比較的簡単にシーバスを釣ることができます。その反面、中・上級者アングラーであっても中級者バチパターンは苦[…]
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。
バチ抜けとは?
そもそも『バチ』とは?
バチとはゴカイやイソメといった環形動物(かんけいどうぶつ)の総称です。
最もポピュラーなのがアオイソメやイシゴカイです。
石ゴカイのことを『砂虫』と呼びます
これらの虫エサがあれば大抵の魚は釣り上げることができます。
エサ釣りのときは、魚種によってアオイソメよりイシゴカイのほうが食いがいい魚がいたり、その逆もあります。
シーバスフィッシングではイソメとゴカイを区別する必要はありません。
ただ、バチの種類によって産卵期(バチ抜けの時期)や行動パターンに若干の違いはあるようです。
『バチ抜け』とは?
バチは通年で存在するベイトで、通常は泥や砂の中に生息しています。
そのバチが、12月前半から翌年6月頃の一定の時期になると、産卵のために一斉に泥の中から水中に出てくるようになります。
このようなバチの産卵行動を【バチ抜け】と呼んでいます。
シーバスフィッシングにおけるバチ抜けパターン
バチは泳ぐ力(泳力)がとても弱いベイトです。
流れのないエリアでは、バチは、気持ち悪いくらいに縦横無尽に泳ぎまくっています。
もう何も出来ませんでした。 pic.twitter.com/qV2deucCPY
— こばっち (@seabass_2015) February 4, 2022
これを見て
と誤解する人もいます。
バチは、流れのあるエリアでは、流れに逆らって泳いだり、表層~ボトムを自由自在に行き来するようなことは(基本的には)できません。
流れのあるエリアでは流れに身を委ねて流されるままです。
産卵のために水中に出てきて流れに乗って漂ってくるバチを、待ち構えて捕食しているシーバスを狙うのがバチ抜けのパターンです。
バチ抜けはいつ起こる?
上記では「バチ抜けは一定の時期に起こる」ということをご紹介しました。
バチ抜けの起こる一定の時期というのは
が最も良いといわれています。ただ、大潮であれば新月のときにも起こります。
潮が大きく動く大潮の満潮のときにバチが水中に現れて産卵行動を開始し、満潮後の潮の動き始めのときに潮に乗せてより多くの卵を運ぶことができるためだそうです。
満月の大潮の日の日没後に満潮を迎えるエリアでは、そのタイミングでバチ抜けを狙うのがベストです。
なお、日没後に満潮を迎える時間帯というのはエリアによって違います。
満月の大潮の日の日没後の満潮が、明け方5時前になるエリアも普通にあります。
たとえば、これは同じ日の大阪(大阪府)と晴海(東京都)のタイドグラフです。
大阪では日没後に満潮を迎えます。しかし、晴海では日没より一時間早く満潮を迎えます。
大阪ではバチ抜けが発生する可能性がありますが、晴海でバチ抜けする可能性は大阪ほど高くないとも考えられます。
こういうエリアでは、大潮の日にこだわる必要はありません。
大潮前の中潮や、大潮後の中潮の方がバチ抜けが起こりやすいこともあります。
バチ抜けのシーズンは普段以上にタイドグラフを確認するようにしましょう。
バチ抜けはどこで起こる?
釣具屋さんでバチ抜けの情報を聞くと
というふうに特定のエリアを教えてくれることがあります。
そのため、ビギナーの中には「特定のエリアで抜けたバチが、潮に乗って流れてくる」と思い込んでいる人もいます。
でも、実際にはバチ抜けは、海底が砂地や泥地であればどこでも起こり得ます。
釣り場に着いて水面を観察していると、けっこういろんな場所でバチがフワフワしているのを見かけることがあります。
釣行中は極力水面をライトで照らさないようにしているガチ勢もいますが、僕は、どちらかといえば現場を観察したいタイプのアングラーです。
水面をライトで観察してみると、バチを見かけることは意外にも多いものです。
キス・ハゼ・ヒイラギがよく釣れるような場所であればバチ抜けが起こり得ると思ってもらってOKです。
バチパターンでよく使うルアー
基本は「動きの弱い」細身のルアー
バチ抜けで多用されるルアーの特徴を一言でいえば
動かない
ということ。
言うまでもありませんが、プラスチック製のルアーでウネウネと動くゴカイ類をイミテイトすることはほぼ不可能です。
そこで、「ルアーに組み込まれた機能のうち、どんな機能をバチに近づけるのか?」を考えたとき、バチパターンにおいては「動きの弱さ」をバチに近づけるのがセオリーです。
上記のとおりバチは泳力が弱いベイトです。小魚のようにキビキビと泳ぐことはありません。
このバチの「泳ぎの弱さ」に着目してルアーをセレクトするのが一般的です。
バチ抜けのときによく使用されるのが、動きの弱い細身のルアーです。
ルアーから発せられる波や振動を極力抑えられるルアーセレクトをするのがバチ抜けパターンの特徴です。
カラーはホロ以外が好まれる
バチ抜けパターンでアングラーから好まれるカラーは、ブラックのような地味で濃いめのカラーです。
あるいは、チャート・パールホワイト・グローといった視認性のいいものも定番です。
さらには、クリア系といったナチュラルカラーも人気です。
逆に、バチ抜けのときに不人気なのがホロ系のカラーです。
とはいえ『不人気』というだけです。
ビックリするくらいホロ系が効くこともあれば、ホロ系にまったく無反応なこともあります。
別系統のカラーをお好みで何色か準備しておきましょう。
バチパターンの釣り方
流す:巻く=8:2
バチ抜けの釣りは、シーバスフィッシングのパターンの中でも特殊な釣り方といえます。
基本的なイメージはこんな感じ↓
潮の流れの上流側に投げて、潮に乗せて下流に流していく釣り方です。
バチは小魚のようなベイトと異なり、泳力が弱く、流れに乗っているときに積極的に泳いで逃げていく…ということはありません。
流れに身を委ねて、水中を漂います。
バチを捕食するシーバスも、バチを追いかけて捕食するわけではありません。
潮に乗って流れてきたバチを軽い力で吸い込むという捕食方法です。
そこで、アングラーも、このようなシーバスの捕食方法に合わせて「潮に乗せて流す」というアプローチをする必要があります。
「潮に乗せて流す」というのは、大雑把に言えば、ルアーの着水後も「リールを巻かない」ということです。
潮の上流側にキャストして、着水後、ラインのテンションを少しだけ張りながら、あとはリールを巻かずに潮の流れるままにルアーを委ねる方法です。
ただ、リールをまったく巻かないとルアーがどんどん沈んでしまいます。
ルアーが沈まないようにするためにはほんの少しだけタダ巻きする必要があります。
『流す』ことと『リールを巻く』ことの割合は8:2くらいのイメージです。
レンジコントロールはシビアに行う
なにげにこれが最重要。
バチパターンのシーバスは、流れてくるバチを待ち構えて捕食するという捕食方法です。
積極的にバチを追いかけ回して捕食するという捕食方法ではありません。
バチはどんどん流れてくるので、あえてバチを追いかけるようなことはしません。
そのため、バチが流れているレンジから少しでも外れると、途端に食いが悪くなります。
バチパターンのシーバスを狙うときはレンジコントロールにシビアになりましょう。
8:2から微調整する
上記で、『流す』ことと『リールを巻く』ことの割合は8:2とご紹介しました。
とはいえ、潮の流れには強弱があります。使うルアーによっても沈下速度が異なります。
レンジをシビアにコントロールするために、8:2から微調整することを常に意識しましょう。
潮の流れが速いときはルアーが浮きやすいので9:1くらいでもOKです。しかし、いくら潮の流れが速いといっても、使うルアーが沈みやすいものであれば8:2くらいの割合で流したほうがいいでしょう。
逆に、潮の流れが遅いときはルアーが沈みやすくなるので、7:3くらいの割合にして「巻く意識をやや強め」に持ちましょう。あるいは、潮の流れが遅くても使うルアーが浮き上がりやすいものであれば、ベースどおり8:2でOKでしょう。
レンジをシビアにコントロールするために、8:2というベースから微調整をする意識は常に持っておきましょう。
バチ抜けの基本を押さえて釣果アップを目指そう!
バチ抜けは比較的イージーにシーバスが釣れるパターンです。
しかし、バチ抜けパターンのシーバスの捕食方法や狙い方についてきちんと理解していないと
というモヤモヤした状況になることも少なくありません。
バチ抜けのときは、シーバスはベイトを追いかけ回しません。
流れてきたバチにタイミングがあったときにだけ捕食します。
バチ抜けのときはシーバスがルアーを追いかけてくれないので、シーバスの捕食レンジから少しでもズレると途端に食わなくなります。
シーバスの捕食方法を理解してバチパターンの釣果アップにつなげましょう。