【入門者向け】スタイルで決める!自分に合ったライフジャケットの選び方

毎年、日本全国で多くの釣り人が水難事故で命を落とします。

釣りは常に水難事故の危険と隣り合わせのレジャー。

そんな楽しくもあり、危険でもある釣りというレジャーを思う存分に楽しむためには、大切な命を守る最低限の備えをしておく必要があります。

このページでは、危険から身を守るためのライフジャケットの選び方についてご紹介します。

ライフジャケットとは

ライフジャケットは落水したときに水に浮いて命を守るための道具です。

救命胴衣ともいいます。

ライフジャケットが必要かどうかは、釣りをする場所やシチュエーションによって異なります。

自分が釣りをする場所が、落水してもおよそ溺れる心配のないような場所である場合にまでライフジャケットが必要か?…といえば、全然そんなことはありません。

煩わしいだけです。

(たとえば水深が100m先まで膝下しかないような遠浅の海岸など)

ただ、どんな場所でライフジャケットを着用するべきか自分で判断できない場合には、なるべく着用するように心がけましょう。

ライフジャケットを着用していなかったために困ることはあっても、ライフジャケットを着用していて困ることはありません(煩わしさというのはありますが…)。

ライフジャケットの種類

浮力体入りタイプ

浮力体入りタイプとは、ベストの内側に発泡樹脂の浮力体が入ってるライフジャケットです。

着用しているだけでそのまま浮くことができます。

浮き輪を着けているのと同じ感覚です。

浮力体入りタイプのメリットは、着用するだけで浮くことができるということ。

他に煩わしい操作は必要ありません。ただ着用するだけです。

浮力体入りタイプのデメリット胸と背中に厚みができて煩わしいことです。

ベストの中に浮力体が入っているので、浮力体の分だけ体に厚みができて動きづらくなります。

膨張式タイプ

膨張式タイプは着用しているだけでは浮くことができません。

落水した後に気室(浮き輪)が膨らむことで浮くことができます。

膨張式のメリットかさばらないことです。

浮力体は入っておらず、落水時に、気室(浮き輪)をガスボンベで膨らませるので、小さなガスボンベ分だけしか厚みがありません。

膨張式のデメリットとしては、いざとなった時にガンボンベが正常に動作するかどうか…という心配が常につきまとうことです。

ガスボンベが正常に動作しなければ、まったく意味がありません。

なので、膨張式ライフジャケットのガスボンベは1~3年で交換することを推奨しているメーカーがほとんどです。

子どもに着用させる場合には浮力体入りタイプが安心です。

大人の場合には膨張式タイプでもいいでしょう。

浮力体入りの2タイプ

ライフジャケット(救命胴衣)

浮力体入りの最も典型的なモデルがライフジャケット(救命胴衣)タイプです。

海のレジャーで使用したり船舶に備え付けられているものです。

カラーも海の上で目立つようにオレンジ色や黄色のものが多いです。

フローティングベスト

フローティングベストは、救命胴衣を釣り仕様にカスタマイズされた浮力体入りライフジャケットです。

胸ポケットにルアーボックスを入れたり、ハサミや予備のショックリーダーを入れたりできるので、バッグを持たなくても釣りができるようになっています。

桜マークのある真のライフジャケット(救命胴衣)とは区別してフローティングベスト(ゲームベスト)と呼んでいます。

桜マークとは国土交通省の安全基準を満たしたライフジャケットにプリントされた国交省承認マークです。(こんなマーク
ライフジャケット(救命胴衣)という場合、一般的には国土交通省の安全基準を満たした「国土交通省型式承認品」のことをいいます。
海のレジャーで使用されるライフジャケットには桜マークが入ったものが多く、船釣りをするときには桜マークのあるライフジャケットの着用が法律上義務付けられています。
しかし、オカッパリの釣りではライフジャケットの着用義務はないので、機能性の面から、国土交通省の安全基準を充足したライフジャケットよりもフローティングベストの方が好んで使われます。

ライフジャケットかフローティングベストか

釣りのために着用するのにはライフジャケットがいいか? それともフローティングベストで十分か?

という問題があります。

船釣りをするときにはフローティングベストはあり得ません。法律上、救命胴衣の着用義務違反になるので、桜マーク入りのライフジャケットを着用する必要があります。

※なお、ひと言で「船釣り」といっても、釣りをする海域や乗船する船の構造によって、求められる桜マークのタイプが違うので、詳しくは国土交通省のウェブサイトをご覧ください。

オカッパリのみの場合には機能性の面からフローティングベストで十分です。

ライフジャケットほどの安全性の保障はありませんが、普通に考えれば、メーカー側としても最低限の安全性は確保していると捉えて差し支えないでしょう。

どうしてもフローティンベストに不安のある人は、一度、フローティングベストを着用して海に入ってみることをおすすめします。

ほとんどの人にとって

釣り人
あ、これなら大丈夫かも

と思える程度の安心感は得られるはずです。

膨張式の3タイプ

膨張式のライフジャケットは着用方法の違いにより3タイプに分けられます。

サスペンダータイプ

1つは首に掛けるように羽織るサスペンダータイプです。

↑の写真でいえば青いカバーの内側に浮き輪が収納されていて、落水時にその部分から浮き輪が飛び出します。

浮き輪といってもドーナツ型の浮き輪ではなく、ジェットコースターの肩に掛ける安全バーのような形の浮き輪です。

イメージ写真

ベルトタイプ

2つめは腰に巻くベルトタイプです。

このタイプのライフジャケットは、落水時に、みなさんがよくご存じのドーナツ型の浮き輪が飛び出します。

イメージ写真

ウエストポーチタイプ

3つめはウエストポーチのように腰に巻くタイプです。

ベルトタイプとよく似ていますが、浮き輪の構造が全然違います。

このタイプは、落水時にポーチの中からサスペンダータイプの浮き輪が飛び出します。(※イメージ写真①

この浮き輪を水中で自分で掴んで首に掛ける必要があります。(※イメージ写真②

ウエストポーチタイプは非常にコンパクトですが、落水・浮き輪膨張後に釣り人自身が浮き輪を拾って首に装着する必要があるので、着用状態のまま浮くことができるサスペンダータイプやベルトタイプと比べると難易度がやや高めです。

また、釣りをするうえでポーチが邪魔なため、ポーチを腰側に装着している人もいますが、イメージ写真②からもわかるとおり、基本的にはポーチはお腹側に装着しなければなりません。

なので、ポーチタイプはコンパクトで見た目もスタイリッシュですが、実は使いにくい部分もあります。

自動膨張と手動膨張

膨張式タイプのライフジャケットには、落水したら水を感知して自動で浮き輪が開く自動膨張式と、自動では浮き輪が開かずに落水後に自分でヒモを引いて浮き輪を膨張させる手動膨張式があります。

落水時のことを考えると自動膨張式のライフジャケットが安心して使用できます。

ただ、自動膨張式のライフジャケットは洗えないという欠点があります。洗おうとして水をかけるとライフジャケットが水を感知して浮き輪が開いてしまうので、基本的にはボンベ交換の時でなければ洗うことはできません。

反対に、手動膨張式のライフジャケットは落水しても浮き輪は勝手には開かないので自分でヒモを引く余裕がある人でなければおすすめできません。

でも、水で洗っても浮き輪が開くことはないので、潮を被ってカバーの生地が白っちゃけてきてもガンガン洗うことができます。

どちらがいいということはありません。

自分の泳ぎに対する自信や、普段自分が釣りをするポイントと相談しながら選びましょう。

たとえば、ほとんど汚れることのないような場所でのオカッパリメインの場合には自動膨張式でいいでしょう。

反対に、海のボート釣りメインの人は、落水時にスムーズにヒモが引けるかわからないので自動膨張タイプの方が安心です。

ちなみに、僕は以前は自動膨張式を着用していました。

でも、水辺を歩いているときに水際で転んでライフジャケットが開いたことがあるので、それ以来、手動膨張式をメインに着用しています。

スタイルに合ったライフジャケット選び

ボートシーバスをする場合

遊漁船に乗船してボートシーバスをする人は国の安全基準に適合したライフジャケットを着用する義務があります。

なので、桜マーク付ライフジャケットから選ぶ必要があります。

ただし、桜マーク付であっても浮力体入りのライフジャケットはボートの上で釣りをするには少々窮屈(煩わしい)ので、膨張式から選ぶと良いでしょう。

膨張式タイプであればサスペンダー・ベルト・ポーチのどれでも構いません。

(僕は経験ありませんが)落水時の浮き姿勢サスペンダータイプが楽なようです。

僕の場合、プライヤーとフィッシュグリップを腰からぶら下げたいので、ボートに乗るときはベルトタイプのライフジャケットを着用して、マグネットリリーサーでプライヤーとフィッシュグリップをぶら下げています

オカッパリのみの場合

オカッパリでシーバスを狙う場合、国の安全基準を充たすことよりも、とにかく身の安全を守ることが最重要です。

桜マークが付いた高価なライフジャケットである必要はありません。

また、「桜マークがなければ安全でない」というわけでもありません。

桜マークがないものでもいいので、できる限り着用するようにしましょう。

おすすめはフローティングベストサスペンダータイプです。

フローティングベストは(安全面の保障という点を除いて)オカッパリの釣りではそこそこ万能です。

プライヤーやフィッシュグリップといったフィッシングギア(釣り用小物)を機能的に収納できるので両手がフリーに使えるようになります。

ただ、フローティングベストには浮力体が入っているのと、ルアーボックスを上半身前面部分に収納するので、上半身前面部分に厚みができます。

慣れないととても釣りがやりづらいです。

そのため、自分の上半身の前部分に浮力体とルアーボックスがあっても釣りができる人がフローティングベストを選びましょう。

サスペンダータイプを選ぶ場合、ルアーボックスなどを持ち歩くためのバッグが別に必要になります。

僕の場合、サスペンダータイプのライフジャケットを着用して、ヒップバッグにルアーボックスやフィッシングギアを入れて釣りをするというスタイルが一番多いです。

僕は上半身がなるべくフリーな方が釣りがしやすいのでこのスタイルでやっています。

フローティングベストではどうも釣りがやりにくい…という人にはおすすめのスタイルです。

ルアーボックスやフィッシングギアを入れるバッグがメッセンジャーバッグ(ショルダーバッグ)である場合には、ベルトタイプのライフジャケットがおすすめです。

メッセンジャーバッグがベルトのライフジャケットに干渉して膨張の邪魔になりそうに思えますが、万が一の落水時にはバッグを放棄すればいいので(緊急時には道具よりも命を優先しましょう)、バッグによる干渉をそれほど心配する必要はありません。

膨張式ライフジャケットを選ぶときは、ライフジャケットが膨張したときに、ルアーボックスなどを入れているバッグと干渉しにくいタイプのものを選びましょう。

ウェーディングをする場合

ウェーディングといっても、膝くらいまでしか浸からない場合には膨張式でも構いません。

その場合であっても手動膨張式を選びましょう。

自動膨張式は水を感知すると簡単に膨張するので、水辺で転んだだけでもライフジャケットが開いてしまいます。

いったん浮き輪が開いてしまうとボンベを交換する必要があるので、ウェーディングのときに自動膨張式を使うのはリスクが大きいです。

腰まで浸かったウェーディングをする場合にはフローティングベストほぼ一択といえます。

腰まで浸かる場合にはルアーボックスなどをバッグに入れて持つことができないので、フローティングベストにルアーボックスやフィッシングギアを収納します。

釣りのスタイルに合わせたライフジャケットを選ぼう

不幸にも水難事故に遭い、命を落とした人はみんな、事故に遭いたくて遭ったわけではありません。

意図せずして事故に遭い、命を落としてしまった人たちなのです。

事故はいつ、誰の身に起こるかわかりません。

それが水難事故です。

不幸にも事故に遭ってしまったときに「何も準備していなかった」では取り返しのつかない結果になってしまうかもしれません。

そうならないために、万が一の事故に備えてライフジャケットを着用しておくことはとても重要です。

ライフジャケットを着用していれば必ず助かるというわけではありません。

でも、ライフジャケットを着用していない釣り人に比べると、ライフじゃッとを着用している釣り人は救助される確率が2倍以上高いそうです。

また、一言でライフジャケットといっても様々なタイプのものがあります。

それらの特徴を踏まえながら自分の釣りのスタイルに合ったライフジャケットを選びましょう!