高弾性ロッドの扱いには要注意!

ロッドの「弾性」っていう言葉を聞いたことはありますか?

たとえば

「このロッドは高弾性ロッドだ」

というような使われ方をします。

高弾性ロッドは一昔前は高価で扱いにくいということもあって、初心者・入門者にはオススメされていませんでした。

しかし、ここ近年はずいぶんと価格が落ち着いてきたこともあり「初心者であっても高弾性を使うべき!」というメディアの紹介もあります。

一理あるとは思いますが管理人はオススメしません。

このページでは、聞いたことあるけど、わかるようでわからない「ロッドの弾性」について紹介します。

ロッドの「弾性」ってなに?

ロッドの素材

ロッドは炭素繊維で織ったカーボン布(カーボンシート)鉄芯にクルクルと巻き付けて焼き固めて作られます。

(ボールペンにコピー用紙をクルクルと巻き付けていくイメージ)

このカーボンシートごとの特性として素材の伸び率(トン数)の違いというものがあります。

素材の伸び率(トン数)の違い

カーボンシートのトン数とは、1mm×1mmの正方形のカーボンシート2mm×2mmの大きさに引き伸ばすのに必要な力のことをいいます。

↑実にわかりにくい!

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要するに、

「正方形のカーボン布を引っ張って4倍の大きさにするのに、どのくらいの力が必要ですか?」

ということです。(大雑把)

たとえば、2種類のカーボンシートがあったとします。

24t(トン)カーボン布
40t(トン)カーボン布

①のカーボンシートは4倍の大きさに引き伸ばすのに24tの力が必要なカーボンシートです。

②のカーボンシートは4倍の大きさに引き伸ばすのに40tの力が必要なカーボンシートです。

②のカーボンシートの方が、カーボンシートを引き伸ばすために大きな力が必要になります。

これがどういうことを意味しているかというと

②の素材の方が復元力(元に戻ろうとする力)が強い

ということです。

元に戻ろうとする力が②のカーボン布の方が強いため、①のカーボン布よりも大きな力を加えなければ4倍の大きさまで引き伸ばすことができません。

高弾性ロッドとは?

高弾性ロッドとは、復元力の強いカーボンシート(カーボン布)で作られた反発力の強いロッド

カーボンシートでロッドを作った場合、40tカーボン布で作ったロッド(40tカーボンロッド)の方が、24tカーボンシートよりも曲げるときに大きな力が必要なロッドになります。

40tカーボンロッドの方が曲がった後に元に戻ろうとする力(復元力)が強いので反発力の強いロッドに仕上がります。

釣り業界ではこの復元力・反発力のことを【弾性】と表現しています。

高弾性ロッドのメリット・デメリット

メリット

キャストされるルアーにキレが生まれる
シャープにキャストできる
軽量
高感度
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高弾性ロッドは曲がったあとに戻ろうとする復元力・反発力の強いロッドです。

この復元力・反発力がキャスト時にルアーを飛ばすための力を与えてくれます。

つまり、キャストしたときのルアーの放出にキレが生まれます。

ルアーを飛ばしやすくなるという意味であって、必ずしも高弾性ロッドの方が飛距離が出るという意味ではありません

また、ロッドが曲がってから戻るまでの復元力が強いとロッドが曲がってから戻るまでの動作の間にロッドのブレが生じにくくなるというメリットがあります。

バックスイング→キャストまでの一連の動作の中で、ロッドに余計なブレが生じにくいため、バックスイング→キャストまでの一連の動作を非常にスムーズに行うことができるのです。

これを「シャープにキャストできる」と表現をすることがあります。

たとえば、柔らかいコピー用紙と硬いコピー用紙を、同じ回数だけボールペンに巻いた場合、どちらの紙筒の方が硬くなるでしょうか?

もちろん硬い紙で巻いた紙筒の方が硬くなります。

そうすると、どちらも同じ硬さに仕上げようとした場合、硬い紙で巻くときは巻く回数を減らすことになります。

たとえば、柔らかい紙では6回巻くところ、硬い紙では4回で巻くとか…

すると、どうなりますか?

硬い紙で巻いた紙筒の方が2回巻き少ない分だけ軽くなるのです。

ロッドでも同じことが起こります。

復元力の強いカーボンシートと復元力の弱いカーボンシートで同じ巻き数でロッドを作ると、復元力の強いカーボンシートで作ったロッドの方が硬くなります。

そのため、復元力の強い(高弾性)カーボンシートでロッドを作る場合には、復元力の弱いカーボンシートの巻き数よりも巻き数を減らして作ることで、同じ硬さに仕上げます。

高弾性ロッドカーボンシートの巻き数が少ない分、中・低弾性ロッドと比べると軽くなるのです。

さらに、巻き数や伸びの少ない高弾性カーボンシートでロッドを作った場合、中・低弾性ロッドと比べると、かなり金属的な感触のロッドに仕上がります。

巻き数が少なく素材自体も伸びの少ない素材であるため、ロッドが受けた振動が竿先から手元までスムーズに伝達されることになります。

つまり非常に感度に優れた(高感度の)ロッドになります。

デメリット

やや高価
傷に弱い
投げ慣れていないとキャストしづらい

最近はずいぶんと価格が落ち着いてきたようですが、一般的に高弾性カーボン布は、中・低弾性カーボン布に比べて素材そのものの価格がかなり高いそうです。

素材そのものの価格が高いので出来あがったロッドの価格も高価になります。

高弾性のカーボン布は反発力の強い素材であるため、鉄芯に巻きつけてロッドを作るときに、中・低弾性カーボン布に比べて、1~2巻きくらい少なく巻きます。

つまり、高弾性ロッドは中・低弾性ロッドに比べてカーボンシートを薄巻きにしてあるのです。

高弾性ロッドはカーボン布が薄巻きのため、傷に弱く傷が入ると折れやすくなるといったデメリットもあります。

さらに、高弾性ロッドは復元力・反発力が強いため、キャスト時のスイングスピードが遅いと上手く投げられないといったデメリットもあります。

バスロッド(スピニング)のような軽量ルアーを投げるためのロッドであれば、高弾性ロッドでもよく曲がるため、投げづらさはそれほど感じません。

しかし、シーバスロッドのように30g前後まで投げるような硬いロッドの場合、高弾性ロッドの復元力はなかなかのものです。

キャスト慣れしていない入門者・初心者のうちは高弾性ロッドは非常に投げづらいロッドです。

中・低弾性ロッドのメリット・デメリット

メリット

それほど高価ではない
粘りがある
✔ 傷に強く折れにくい
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中・低弾性カーボンシートは高弾性カーボンシートと比べると素材そのものの価格がやや安価です。

素材そのものの価格が安いため出来あがったロッドの価格も安価になります。

また、中・低弾性ロッドは素材そのものが伸びやすいため、よく曲がるロッドになります。

これを業界的に「粘りがある」と表現します。

さらに、中・低弾性ロッドを高弾性ロッドと同じ反発力にする場合、カーボンシートを巻く回数を増やして厚巻きにします。

カーボンシートの巻き数を増やして厚くすると、同じ反発力の高弾性ロッドと比べて、傷に強くなります。

また、ロッドが厚巻きになる分、ロッドの曲がりに対しても折れにくいロッドに仕上がります。

ジギングロッドなどの大物用ロッドがこのパターンです。

デメリット

重い
感度が悪い

中・低弾性ロッドは高弾性ロッドに比べてカーボンシートの使用量が増える分だけ(厚巻きのため)、やや重いロッドに仕上がります。

また、素材自体が高弾性カーボン布に比べて伸びやすい素材のため、ロッドが受けた振動が竿先から手元まで伝達されにくくなるというデメリットがあります 。

俗にいうところの「感度が悪い竿」になります。

高弾性・中低弾性の区別

高弾性ロッドと中・低弾性ロッドは具体的に何t(トン)くらいの伸び率で区別されているのでしょうか?

区別基準はない

管理人はこの記事で何度も何度も「高弾性」「中・低弾性」と書いていますが、実のところ

カーボンの弾性率の高い・低いというのは、特に基準があるわけではありません

おそらくは、ロッドメーカーが「従来使われていたカーボン布よりも伸び率の少ない(トン数の高い)カーボン布」を使って軽量・高感度ロッドを作り、それを販売するときに、「販売戦略上の広告表現」として用いた表現が【高弾性ロッド】の最初ではないかと管理人は考えています。

一応の目安

とはいえ、今後インターネットや釣り雑誌などのメディアで情報を得ていくうえで、一応の目安があった方が良いと思うので、管理人の独断で区別基準を下記のように設定しておきます。

低弾性 24t
中弾性 30t
高弾性 35t、40t、45t
あくまで管理人の独断による区別です

現在の主流は?どれを選ぶ?

高弾性ロッド至上主義

現在のルアーロッド業界は、一部「怪魚」系ロッドと呼ばれる分野を除いて、

高弾性ロッド至上主義

のような状況になっています。

その一番の理由はロッドを軽量高感度に仕上げることが出来るからです。

この恩恵は非常に非常に大きいです。(強調しておきます)

高弾性ロッドの苦手分野

メバルやアジのようなウルトラライトゲーム、バスやシーバス、エギングのようなライトゲームにはロッドの軽量化・高感度化は非常に恩恵が大きいです。

しかし、高弾性ロッドが向いていない釣り分野もあります。

それは引きの強い魚を釣るためのロッドです。

中・低弾性ロッドのメリットで説明したとおり、中・低弾性ロッドはカーボン布を厚巻きにしても素材自体が伸びやすいため、硬いロッドになりにくく、よく曲がるロッドに仕上げられます。

よく曲がるといっても決して折れやすいではわけではなく、カーボンシートが厚く巻かれている分むしろ折れにくくなります。

そのため、引きの強い魚を釣るためのロッドは高弾性よりも曲がって魚の引きを吸収しなおかつ折れにくい中・低弾性ロッドの方が向いていることになります。

初心者にはどれがオススメ?

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最近では高弾性ロッドもずいぶんと安くなってきたこともあり「初心者でも高弾性ロッド!」といわれることもあります。

上手にロッドを扱える人であれば高弾性ロッドでもかまいません。

しかし、以下の点で、管理人は高弾性ロッドをオススメしません。

「無理な」曲がりに弱い
キャスト時に変な癖がつく
折れたら凹む

第1に、ロッドには「ロッドのアクション」と呼ばれるそのロッド特有の曲がり方があります。

これは、そのロッドが本来もっている曲がり方であり、その曲がり方をしている限りロッドはなかなか折れません。

ところが、入門者や初心者の場合「ロッドが持っている本来の曲がり方」がわからないためロッドを無理な曲げ方をすることがあります。

一番多いのが、魚を取り込むときに慌ててしまってロッドが「し」の字になることがあります。

磯竿であれば「し」の字でも折れませんが、キャスティングロッドは「し」の字になると簡単に折れることがあります。

本来予定されていない曲がり方だからです。

入門者の頃のはこの「曲がり方の加減」がわからないので、曲がりに強い中弾性ロッドの方がオススメです。

第2に、高弾性ロッドは復元力が強いため、キャスト時にロッドをシャープに振り切らなければルアーが上手く飛びません。

テイクバックでロッドをしっかり曲げて、テイクバックからキャストまでの間に無駄な動作をなくし、速いスイングスピードでロッドを振り抜く。

この一連の動作に慣れていないと上手く投げられません。

また、そもそも、ロッドの復元力が強いため、ロッドが曲がってから戻るときの「ロッドにルアーの重さが乗る感触」というのがけっこうわかりにくいです。

この「ルアーの重さをロッドに乗せる」という感触に慣れなければキャストは上手くなりません。

それどころか、力任せにスイングスピードを上げようとして無理してキャストすると、かえって変な癖がつくかもしれません。

第3に、(入門者・初心者に限らず)ロッドが折れると非常に凹みます

「さあ、これから釣りにハマっていこう!」と意気込んでいる初心者であればなおさらです。

しかし、高弾性ロッドは、中弾性ロッドと比べると傷に弱く、無理な曲がりにも弱いです。

そのため、高弾性ロッドは中弾性ロッド以上に扱いに気を付けなければいけません。

初心者の頃は、ただでさえ動作の一つ一つに不慣れでいろいろなところに気を遣わなければいけません。

それに加えて、ロッドを腫れもののように扱わなければならないとなると釣りをすることがストレスになってしまうかもしれません。

まとめ

ロッドはアングラーの右腕になるべき道具なので、ガンガン使いこなせてこそ効果を発揮します。

腫れものを扱うようにロッドを扱っていても釣りは面白くありません。

釣りが上手くもなりません。

中弾性ロッドを使うことはまったく恥ずかしいことではありません。

中弾性ロッドには中弾性ロッドの良さ、高弾性ロッドには高弾性ロッドの良さがあります。

ベテランアングラーであっても中弾性ロッドを使う人はたくさんおられます。

入門者・初心者がロッドの良さを活かして釣りを楽しむためには、高弾性ロッドより中弾性ロッドの方がより向いています

初心者は高弾性ロッドを使うなということはまったくありませんので悪しからず。
管理人個人的にあまりオススメできないという意味です。



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