【ゼロから始める】偶然を「待つ」だけがルアーフィッシングじゃない!魅せて、誘って、惹きつける「アクション」を理解する【第14回】

シーバスフィッシングにおいては、(おそらく)8割くらいのシーバスがタダ巻きで釣ることができます。

最近のルアーの開発は「タダ巻きアクション」に重点を置いて行われることがほとんどです。

でも、ルアーはエサではなく樹脂(プラスチック)の塊にすぎません。

そのため、タダ巻きアクションだけでいつも釣れるとは限りません。

その場合に重要になるのがシーバスに魅せて、誘って、シーバスの興味を惹きつけるためのタダ巻き以外の「アクション」です。

このページでは、タダ巻きによって漠然とバイトを「待つ」のではない、シーバスの興味を惹きつけるための「アクション」についてご紹介します。

「タダ巻きアクション」こそ至高のアクション

シーバスフィッシングにおいては、ほとんどのアングラーがタダ巻きメインでシーバスを釣り上げています。

アクションをさせる人の方が圧倒的に少ないといえるでしょう。

それは、ルアーには、タダ巻きだけでシーバスの興味を惹きつける「機能」が組み込まれているからにほかなりません。

ルアーの動きと本物の小魚の動きを見比べてみると一目瞭然ですが、ルアーのタダ巻きの動きというのはとても単調で、本物の小魚のような生命感はまるでありません。

それでもシーバスはルアーのタダ巻きに反応して食いついてくる。

これは、シーバスが単純な魚で、本物の小魚とルアーを見分けることができないから…というわけではありません。

ルアーのタダ巻きアクションにはシーバスに間違いを起こさせる道具としての「機能」が備わっているからと説明されています。

ルアーのタダ巻きが本物の小魚に似ているから見間違えるわけではなく、小魚に似ていないのにシーバスに間違いを起こさせる機能がルアーには備わっているので、本物に似ていないタダ巻きアクションでシーバスが釣れるのです。

タダ巻きアクションで釣れないときにどうする?

問題は、

タダ巻きではシーバスが間違いを起こしてくれないときにどうするか?

ということです。

一つはスピードの変化によってシーバスに間違いを起こさせることです。

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そしてもう一つがアクションによってシーバスに間違いを起こさせることです。

単調なタダ巻きではシーバスが間違いを起こしてくれないときのセカンドアプローチ、サードアプローチの方法が、スピードの変化やアクションです。

アクションの種類

ルアーのアクションに決まりは一切ありません。思い思いにルアーを動かしてもらえればOKです。

ただ、一般的には、使うルアーによってアクションを分けて説明されることがほとんどなので、以下では一般的な分類によってご紹介します。

トップウォーター

シーバス用のトップウォーターは主に2種類あります。

ペンシルベイトポッパーです。

これらのルアーを使ったメインのアクションがドッグウォークポッピングです。

動画を参考にしてもらえればOKですが、この動画どおりに動かせるように練習したりする必要はありません。

ルアーをアクションさせる目的は、タダ巻きに興味を示さないシーバスにタダ巻き以外のアクションで「変化点」を作ってシーバスに間違いを起こさせることです。

ぎこちない動きでもシーバスに間違いを起こさせることは十分に可能です。

ミノー(ジャークベイト)

シーバスフィッシングで最も一般的なルアーがミノーです。

シーバスではタダ巻きで使うことがほとんどですが、ミノーは一般的にはジャークベイトと呼ばれ、バスフィッシングでは「動かして使う」のがむしろ通常です。

もちろん、シーバスであってもミノーのアクションの効果は絶大です。

ただ、シーバスはバスフィッシングと違ってミノーを引いてくる距離がとても長いので、動かし続けて使うと大変です。

ミノーのアクションはあくまでタダ巻きで釣れないとき…と考えて差し支えありません。

ミノーのメインアクションはトゥイッチングジャーキングリッピングの3種類です。

動かす距離によって演出している内容が違うと説明されています。

トゥイッチ(アクション幅10~20cm)
水面に現れる小魚の波紋の演出

ルアー1個分程度アクションさせるのがトゥイッチ(トゥイッチング)です。

水面で痙攣する弱った小魚を演出…と説明されることが多いですが、僕個人的には、水面付近に時折り現れる、じゃれた小魚の波紋を演出しているイメージてアクションさせています。

まぁ、イメージはあくまでただのイメージなので、どちらでも構いません。

ジャーク(アクション幅30~50cm)
突発的に逃げる小魚を演出

トゥイッチより少し長めの幅でミノーを踊らせるのがジャーキングです。

シーバスロッドのような長めのスピニングロッドを使う場合、エギをシャクる動作を横方向にするイメージでアクションさせるとやりやすいです。

リッピング(アクション幅100~150cm)
フィッシュイーターから長い距離を逃げる小魚を演出

ラインを張った状態でロッドを1ストローク分くらい長めに引っ張るのがリッピングです。

フィッシュイーターから逃げ切る小魚を演出していると説明されています。

ショーカラ
僕は勝手に「逃走アクション」と呼んでいます

バイブレーション

バイブレーションもシーバスフィッシングではメジャーなルアーです。

バイブレーションのメインアクションはリフトアンドフォールダートです。

どちらも、ミノーをアクションさせる要領で動かせば、ある程度きちんと動いてくれます。

リフトアンドフォールは

ルアーを持ち上げる→フリーフォールさせる

を繰り返すアクションです。

ミノーのリッピングの際に長めの距離ルアーを引っ張りますが、同じ要領でルアーを「引っ張り上げる」のがリフトです。

ダートとは、竿先でバイブレーションを弾き上げるイメージでアクションさせる方法です。

ミノーをトゥイッチさせるイメージに近いです。

バイブレーションの中にはダートが得意なものと不得意なものがあるので注意が必要です。

美しくアクションさせる必要はない

ルアーのアクションを「テクニック」としてご紹介すると、途端に難しく感じたり、「動画のように美しくアクションさせないと釣れないのでは?」と身構えてしまいます。

でも、心配する必要はありません。

アクションの最終目的は「ルアーを美しく動かすこと」ではありません。

アクションの最終目的は「タダ巻きでは反応しないシーバスの興味を惹くこと」です。

その目的を達成するための方法の一つがアクションなのです。

アクションさせること自体を最終目的にしないようにしましょう。

何が言いたいかといえば、「アクションは美しくなくてもシーバスの興味を惹くことができる」ということです。

足元でのバイト

たとえば、シーバスフィッシングを長く続けていると頻繁に遭遇するのが足元でのバイトです。

バイブレーションを長い距離引いてきたのに、結局、バイトがあったのが足元だったということが意外に少なくありません。

でも実は、足元バイトというのは偶然起こるわけではなく、足元バイトが起こりやすい理由があると言われています。

その理由が無意識的なアクションです。

バイブレーションは遠くにキャストするほど、リトリーブ中はボトムを這うように泳いできます。ボトムを這うようにアングラーの方へ向かって泳いできます。

それを足元まで引いてきてアングラーがルアーを回収しようとした瞬間、バイブレーションは急に上方向に向かって引っ張られます。

バイブレーションが振動するピッチも細かく速くなります。

ずっと一定のスピードでボトムを這うように泳いできたバイブレーションが、回収する瞬間、細かく速いピッチで急浮上することによってバイブレーションのアクションに変化が生まれます。

この動きの変化によってシーバスのバイトが誘発されると言われています。

回収し始めた瞬間のバイト

もう一つの無意識的なアクションが「逃走アクション」です。

ルアーを足元まで巻いてくるのではなく、リトリーブ途中であってもルアーをいったん回収して次のキャストに移行しようと、ルアーを回収し始めた瞬間にシーバスがバイトしてくることがあります。

ルアーを回収するためにリトリーブ速度を上げた瞬間にルアーがバランスを崩して不規則なアクションが起こったり、スピードの変化が生まれて、これがシーバスのバイトを誘発するきっかけになると言われています。

これを「逃走アクション」と勝手に呼んでいます。

いずれにしても、意図的に起こしたアクションではなく、意図せずに生じた動きの変化によってシーバスのバイトが誘発されるケースです。

これらのケースからアングラーが理解しなければならないのは、シーバスは意図的な美しいアクションだけに反応するわけではなく、無意識的な動きの変化でも十分に反応するということです。

アクション使用上の注意点

アクションはタダ巻きを補完するテクニック

アクションの重要性をご紹介すると、常に必ず絶対にアクションさせなければいけないと誤解する人もいます。

釣りに正解はないので、常にアクションさせてシーバスを狙っても別に構わないのですが、バスフィッシングと違ってシーバスフィッシングはアクションさせてルアーを引いてくる距離が圧倒的に長いので、常にアクションさせて釣りをするのは正直しんどいです(´-ω-`)

そもそも、ルアーの機能としてはタダ巻きでも十分にシーバスの興味を引きつけることができるので、タダ巻きで釣れないときにバイトを引き出すためのテクニックとして考えておく程度で良いでしょう。

もちろん、ルアーをアクションさせることに慣れてきて、それが楽しくなってくれば、どんどんアクションさせてもらって構いません。

でも、ゼロから始めるビギナーが積極的にアクションをさせる必要はありません。

あくまで基本中の基本テクニックは「タダ巻きアクション」です。

アクションの呼び名や細かい動かし方にこだわらない

釣りを長く続けていると、アングラーの中には必ずマウントポジションを取ろうとしてくる上級者がいます。

上級者
どんなアクションで釣れました?
ショーカラ
こんな感じで強めにトゥイッチしてたら水面に出てきました
上級者
そこまで動かすとトゥイッチっていうよりジャークですよね?
ショーカラ
(いや、僕が説明したいのそこじゃないねん…アクションやねん…)

って感じで、知識で優位に立とうとしてくるアングラーがいます。

こういう人に対しては変に対抗せずに

ショーカラ
確かに、おっしゃるとおりですね

と大人の対応をしてスルーしましょう。

真面目な話をすれば、トゥイッチングやジャーキングやリッピングといった呼び方は、釣り業界で統一された呼び方というわけではありません。

もともとルアーのアクション方法が先に存在して、呼び名は、それを説明するために便宜的に後で名付けられたにすぎません。

トゥイッチのことを「ジャーキング」と呼んで100cmくらいの動き幅でアクションさせたところで、シーバスには1mmも影響はありません。

ただ、その時その場で100cm幅の急な動きの変化にシーバスが興味を持ってくれるかどうか…

それだけのことです。

そのアクションをどんな名前で呼ぶかはシーバスに一切影響はありません。

釣りの所作をレクチャーする立場のアングラーでない限り、ルアーの動かし方の細かい部分やアクションの呼び方に意味はありません。

一般アングラーとしては、ルアーにはいろんな動かし方があって、どんな動かし方がシーバスの興味を惹くかは季節や場所や時間や潮によって様々なので、思い思いにいろんな動かし方を試してみる必要があるということを理解しておきましょう。

釣りに正解はないので、ビギナーであろうとアクションに不慣れであろうと、まったく関係ありません。

とにかく、タダ巻きで釣れないときは「待つ」のではなく「誘ってみる」ということを意識しましょう。

ルアーフィッシングは”偶然を待つ”だけじゃない!

ルアーは本物の小魚と比べると生命感のない樹脂の塊でしかありません。

それでも、ルアーには、シーバスの興味を惹きつけるための機能が備えられています。

その最大の機能が「タダ巻きによるアクション」です。

これを「アクション」と呼ぶべきかどうかは置いといて…

ルアーという樹脂の塊はタダ巻きだけでシーバスの興味を惹きつけることができます。

でも、どこまでいってもルアーは生命感のない樹脂の塊でしかありません。タダ巻きではシーバスがまったく興味を示さないということもあります。

そんなとき、タダ巻きを続けてシーバスが食ってきてくれる偶然を待っていても面白くはありません。

シーバスは、タダ巻きのような一定の動き以外にも興味を持ってくれることがあります。

それがスピードの変化や動きの変化(=アクション)です。

そして、ルアーにも、タダ巻きだけではなく、ルアーを動かすことによってシーバスの興味を惹きつけるための機能が搭載されています。

ルアーのタダ巻きでどうしてもシーバスが釣れないとき、タダ巻きを続けて偶然を待つのではなく、ルアーを意図的に動かしてアングラーのほうからシーバスを「誘ってみる」こともシーバスフィッシングの面白さの1つです。