【ゼロから始める】ルアーの『本質』を正しく理解する!【第15回】

近年、転売ヤーの暗躍によるルアーの価格高騰が問題になっています。

小売価格2000円ほどのルアーが6000円とか…。

それでも買おうと思うアングラーが居るからこそ成り立つ商売ともいえます。

でも、本当にそんなにお金を出してまで買う必要があるのか…?

結論からいえば…もう少し冷静になったほうがいいです(笑

そもそも、あなたが何千円もお金を払っている『ルアー』とはなんなのか?

このページでは『ルアーの本質』についてご紹介します。

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いったい『ルアー』とはなんなのか?

シーバスフィッシングでは魚の形に似せたルアー(lure)を使ってシーバスを釣ります。

この『ルアー』と呼ばれるモノはいったい何者なのか?

それは

『樹脂(or金属)の塊』で、魚を釣るための『道具』

です。

それ以上でも、それ以下でもありません。プラスチック(or鉛)の塊です。

そして、ロッド・リール・ラインと同じく、魚を釣るためのただの道具です。

小売価格2000円のルアーに6000円を払うということは、プラスチックの塊に通常の3倍の値段を支払っているということです。

ルアーは『魔法の道具』ではない

よくロッドやリールは「道具の値段が高いから釣れるわけではない」ということが語られます。

たしかに10000円のナスキーでも80000円のステラでも、釣果という点ではそれほど大差はないでしょう。

場合によってはナスキーを使っている人の方がはるかによく釣る…ということも普通にあり得ます。

でも、なぜかルアーに関しては

某プロ
コレでしか釣れないときがある

という魔法の道具のように語られることがあります。

しかし、本質はロッドやリールと同じです。ただの道具の一つです。

そして、それは、ただのプラスチック(or鉛)です。

『ルアー』の役割ってなに?

ルアーに求められる3つの役割

シーバスフィッシングで使われる『ルアー』と呼ばれるプラスチックの塊。

その役割について考えてみます。

ビギナー
魚を釣ることじゃないの?

という考えもあるでしょう。

もちろん、最終目標はそこです。魚を釣ることです。

でも、その「魚を釣る」という目標へ到達するまでにクリアしなければならないハードルがあります。

具体的には

①魚のいる場所に投げる
②魚に気づいてもらう
③魚に食いつかせる

というハードルです。

ルアーは、この三つの役割を果たして、最終的に「魚を釣る」という目標へたどり着きます。

「魚のいる場所に投げる」のが最重要条件

繰り返しになりますが、ルアーと呼ばれる道具はエサではありません。ただのプラスチック(or鉛)です。

魚のいない場所でルアーを投げていても魚の方から寄ってくることはありません

ルアーは、魚のいる場所に投げることで、ルアーとしての第一歩を踏み出します。

「魚のいる場所に投げる」ことを考えるうえで、以下の三つは常に意識しておく必要があります。

  • 距離
  • 左右
  • 上下

まぁ、全方位ということです笑

「魚のいる場所に投げる」ためには、上記のほかにも、知識や経験則として「そもそも魚がいそうな場所」を知っておく必要があります。
ただし、これはルアーの機能とは別の問題なので、この記事では割愛します。

距離というのは飛距離のことです。

遠くへ飛べばいいというわけではありません。

潮目が岸近くに寄っているのであれば、潮目付近を短距離で撃っていった方が効率的です。

左右というのは、潮の流れに対して潮上(しおかみ)に投げるか?潮下(しおしも)に投げるか?あるいは、正面に投げるか…という問題です。

潮の流れに対して上流側へ投げるか、下流側へ投げるか、というのは、やや難しい問題があります。

それは、風も計算しないといけないということです。風が強いと、その分キャストのときの糸フケが多くなります。つまり、ラインが大きくたるみます。

そうすると、「潮の上流側へ投げて、こういう感じでこのコースを引いてこよう」とイメージしても、ラインのたるみのせいで実はイメージどおりのコースを引いてこられない、ということもあります。

いずれにしても、風が強いと格段に難易度が上がってしまいます。

上下というのは、レンジのことです。

どの水深を狙うかによって使うルアーも変わってきます。

魚の移動というのは、直進や左右の移動に比べると、上下の移動はそれほど多くありません。

シーバスが回遊している水深に的確にアプローチすることはとても重要な要素です。

「魚に気づいてもらう」ためのルアーの機能とは?

ルアーの存在に気づいてもらえなければ、魚のいる場所にルアーを投げたとしてもルアーは所詮プラスチックです。

魚の方から寄ってくることはありません。

そこで、ルアーの二つめの役割として

魚にルアーの存在に気づいてもらう(魚の興味を惹きつける)こと

が求められます。

魚がルアーを見つける方法については、第13回の記事で、魚の習性に関する魚類学的見地をご紹介しました。

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ルアーを発見するための魚の器官は

①視覚
②内耳(耳)
③側線

です。

このうち、魚類学的見地からは①視覚→②内耳→③側線という順で重要性を語る考え方があります。

つまり『視覚』がもっとも重要ということです。プラスチックの塊を『道具』たらしめるためには、視覚的に魚の興味を惹きつける必要があります。

視覚的に魚の興味を惹きつけるための要素としては、

カラーアクションの大小強弱アクションの不規則性

といった要素が考えられます。

ちなみに、科学的な根拠は乏しいですが、アングラーの経験則からは③側線が重要視される傾向にあります

「魚に食いつかせる」のは最終段階

プラスチックの塊が果たすべき役割の最終段階が「魚に食いつかせる」ことです。

第14回の記事では「魚に間違いを起こさせる」ということでご紹介した内容です。

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この段階まできてようやく、ルアーは『プラスチックの塊』から『道具としてのルアー』へと変わります。

魚のいないところにいくらルアーを投げても、プラスチックの塊を投げているだけです。仮に、魚がいたとしても、魚に気づいてもらえなければ 相変わらずプラスチックの塊です。

魚のいるところにルアーを投げて、魚に興味を持ってもらったその先に「魚に間違いを起こさせる(魚に食いつかせる)」という作業が待っています。

そして、第14回の記事でもご紹介したとおり、この「魚に間違いを起こさせる」という行為の本質は特定されていません。

なにが決め手になるのかわかりません

しかし、この段階までくると、ルアーの機能だけではなく、ルアーの機能を最大限に引き出すためのアングラーの腕も求められることになります。

「魚に食いつかせる」ことだけをむやみにクローズアップしない

巷では、魅力的な売り文句と動画メディアによる宣伝のおかげで、プラスチックの塊が売り切れ続出で入手できないという状況があります。

カゲロウであったり、ブローウィンであったり…

たしかに、これら「釣れる」といういわれるルアーには、魚に間違いを起こさせるための『強力な機能』が備わっているのかもしれません。

でも、いくら強力な機能が備わっていたところで、魚のいないところに投げていたのでは、それはただのプラスチックです。

魚がいたとしても、魚に気づいてもらえなければ、やっぱりただのプラスチックです。

ルアーに備わっている『強力な機能』の出番はありません。

上記で紹介したルアーの三つの役割は、すべてが重要な要素であり、どれも欠くことはできません。

でも、メーカーの売り文句は

某プロ
ナチュラルな微波動が激スレのシーバスにも口を使わせる!

という「魚に食いつかせる」機能に関するものがほとんど。

あるいは

某プロ
強烈な音と波動が深場のシーバスも惹きつける!

という「魚に気づいてもらう」ことに関する売り文句が少々。

しかし、ルアーの最も基本的な役割は「魚のいる場所に投げる」ことです。

これがクリアできなければ、すべてのルアーがただのプラスチック(or鉛)です。

ある特定の機能だけに期待してルアーを選ぶと、魚を釣る前にメーカーに釣られます。

間違いなく。

プラスチックの塊をルアーへと変えていくのがアングラーの役割

魚は目のいい生き物です。人間に区別できないような形状の違いやコントラストの違いも見分けることができます。

そのため、ルアーには「魚に間違いを起こさせる」ための機能が備わっています。

だからこそ、本物を再現できないプラスチックの塊で、目のいい魚に間違いを起こさせることができます。

しかし、この機能は、魚のいる場所にきちんと投げて、ルアーの存在に気づいてもらったあとでなければ発動することはありません。

どれだけ強力な機能が備わっていても、魚がいなければ、あるいは、その魚がルアーに気づかなければ、ルアーはただのプラスチックです。

ルアーを使うとき、「魚に間違いを起こさせる」機能だけに着目していたのでは魚は釣れません。

魚がいる場所に投げる」ことも「魚に気づいてもらう」ことも、常に意識しておかなければなりません。

むしろ、事が起こる順番から考えると「魚に間違いを起こさせる」機能以上に意識を向けるべき要素といえます。

そして、魚に気づいてもらえたら、最後のハードルになるのが「魚に間違いを起こさせる」ことです。

この段階では、ルアーの機能とともに、アングラーの腕も求められます。

ルアーの本質は『プラスチック(or鉛)』です。ルアーに何千円費やそうが、本質はプラスチック(or金属)です。

そのプラスチックの塊をルアーへと変えていくことがアングラーに与えられた役割です。

以前からルアーフィッシングにおいては、「魚に間違いを起こさせる」機能だけがクローズアップされて一人歩きすることが少なくありません。

でも、ルアーの本質・ルアーの機能・アングラーの役割に至るまできちんと理解しておくと、あやしい宣伝に躍らせることも少なくるでしょう。

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