【ゼロから始める】ルアー縛りのススメ!「今日はこの釣りしかしない」と決める強さ【第37回】

釣り場に立って、最初に何を投げるか。

ルアーボックスを開けると、そこにはずらりと並んだルアーがあります。

アングラー
とりあえずこれから…
アングラー
いや、こっちの方が無難かもしれない

そんな思考が頭をよぎった時点で、実はすでに釣りが少し難しくなっています。

このページでは、「選択肢を増やすほど釣れなくなる理由」と「今日はこれしか投げない」と決めることで得られる経験についてご紹介します。

執筆者
ショーカラ(y-nax)
『釣り』の翻訳家
最近の釣りメディアでは、釣りに関する情報がメーカーのために中・上級者目線で発信されるようになりました。ナチュラルリリースでは、ビギナー目線で語られることが少なくなった「釣りに関する『キホンのキ』」をビギナー目線で発信しています。

FAQ(よくある質問)

ルアーを縛ると千載一遇のチャンスを逃しませんか?
逃す可能性もあります。
ただし、得られる経験値はむしろ増えます。
たとえ釣れなかったとしても、「この釣りではダメだった」という明確な答えは、次の釣行に必ず繋がります。

初心者でも“ルアー縛り”は有効ですか?
有効です。
むしろビギナーほど効果があります。
選択肢が少ないほど、一つのルアーの性能や、そこから得られる情報に意識を向けやすくなります。

釣れないまま終わったら意味がないのでは?
意味はあります。
「釣れなかった理由」を考えられる釣行は、再現性のない偶然の一匹より価値が高いこともあります。

選択肢の数だけアングラーは迷う

ルアーの選択肢が増えれば、できることは確実に増えます。

しかし、同時に、「判断しなければならない回数」も確実に増えます。

反応がない
ベイトの気配もない
流れもほとんどない

こういうとき、釣り人はだいたい

アングラー
ルアーを替えれば状況が変わるかもしれない

と考え始めます。

手持ちのルアーが多ければ多いほど、このような思考に陥りがちです。

しかし実際には、釣れない不安の解消気分転換のためにルアー交換する場合がほとんどです。

これは、(ビギナーに限らず)おおよそ釣り人にとってよくある話です。

ビギナーにとって、選択肢の多さは、アプローチ方法の多さとイコールではありません。

むしろ、不安解消のためのルアー交換に悩む回数の多さといえるでしょう。

「今日はこの釣りしかしない」と決めた瞬間に起きる変化

最初に使うルアーを縛ってしまうと、釣り場で迷う時間が驚くほど減ります。

ルアーを交換するという逃げ道が消えると、代わりに別のことを意識し始めるようになります。

アングラー
あれ?ここ流れてると思ってたけど意外と流れが弱いな
アングラー
ルアーを通すコースをちょっとズラしてみようか
アングラー
同じコースなのに今の巻きスピードだと海藻を拾ったな

これまで「なんとなく」で理解していた情報が、少しずつ明確になっていきます。

つまり、ルアーを縛るということは、自分を追い込むことではなく、余計な迷いを排除して必要な情報を収集・明確化する行為といえます。

同じルアーを投げ続けて初めて見えてくる“差”

ぶっちゃけ、同じルアーを投げ続けるのは飽きる行為です(笑

アングラー
やっぱりルアーを替えてみようか…

という気持ちが、何度も顔を出します。

しかし、それでも続けていると、「どうでもよかったはずの差」がだんだん気になるようになってきます。

巻きスピードをわずかに遅くしただけでルアーが海藻を拾うようになったこと
 ➡想像よりも浅いかもしれない
ルアーを通すコースを少しズラしただけでボトムを擦るようになったこと
 ➡部分的に浅い(背になっている)場所があるかもしれない

ルアーローテーションしていると、なかなか気づけなかった差です。

このような明確化された情報の中で釣れた一匹であれば「たまたま」で片付けにくくなります。

そこで今度は、釣れた一匹の理由を考えるようになります。

つまり、同じルアーを投げ続けることで、そのルアーが持っている性能や他のルアーとの違い、地形の変化など細かい違いに気づけるようになります。

ルアーを縛ることで“釣れない言い訳”が減っていく

釣れないとき、釣り人は自然と釣れない理由をルアーに求めます。

しかし、ルアーを縛って釣りをすることで、ルアー以外の動作を試行錯誤するようになります。

アングラー
スピード(orレンジ)が合ってないかも…
アングラー
立ち位置(通すコース)が違ってるかも…

その結果、釣れない理由をルアー以外の動作から考えるようになります。

つまり、釣れない状況に誠実に向き合えるようになります。

釣れなかった日に得られるもの

ルアーを縛った結果、ノーバイトで終わる日もあります。

ただ、あとになって考えてみると

 
ショーカラ
今日はいつもよりベイトの量が少なかったかも…
 
ショーカラ
今日はいつもより水位が低かったな…

など、ルアー以外の要素に関して頭の中が意外と整理されていることがあります。

つまり、ルアー縛りによるノーバイトは、失敗ではなく経験値の獲得です。

シーバスフィッシング(ルアーフィッシング)は、釣れる可能性を積み重ねていくゲームです。

それは言い換えれば、可能性の低いアプローチ方法を削っていくゲームでもあります。

そのため、ルアーを縛るのは覚悟と勇気が必要かもしれません。

ただ、この経験の積み重ねが、あとから必ず効いてきます。

地味な方法ですが、この経験値のおかげで、釣れる可能性を積み重ねていく作業が格段に捗るようになります。

 
ショーカラ
「坊主でもいいや」と割り切る勇気も身につきます(笑

迷いを減らすと見えてくるものがある

ルアーを縛るということは、決して自分を縛ることではありません。

迷いを減らすための選択です。

迷いが減ると、キャストの一投一投にいままで以上の意味が生まれます。

その意味あるキャストの積み重ねが、そのまま自分の経験値として蓄積されます。

次にポイントに立ってルアーボックスを開くとき、一度だけこう決めてみてください。

アングラー
今日はコレしか使わない

と。

目の前のポイントやそのルアーに対して、今まで以上に理解が深まります。

その経験値は、あとで必ず自分の釣りのスタイルに影響を与えることになるでしょう。

関連記事