ワンタックルでお手軽に始められる冬のライトゲーム。
第3回の記事では、モノフィラメントラインをメインラインに選ぶとき、ラインの伸度はあまり基準にならないことをご紹介しました。
といえば、まったくそんなことはありません。
このページでは、各モノフィラメントラインの特性に基づくメインラインの選び方(ライトゲームのライン選び―モノフィラメントライン編(後編)―)をご紹介します。
ワンタックルでお手軽に始められる冬のライトゲーム。しかし、最近はアジングやメバリングというふうに強制的にカテゴライズされたため、タックル選びに迷うようになりました。特に意見が錯綜(殺伐と)しているのがメインラインで[…]
特性の違いが影響するファクター
ラインの伸度は、各モノフィラメントラインで異なります。
でも、メインラインを選択するうえでそれほど大きな要素にはなりません。
では、メインラインを選択するうえで基準になるファクターはなにか?
その大きなファクターの一つがラインの比重です。
各モノフィラメントラインの比重は異なる
モノフィラメントラインはすべて海水に沈みますが、それぞれの比重は異なります。
エステル 1.38
フロロカーボン 1.78
製品によって幅がありますが、だいたいこれくらいです。
ラインの比重によってルアーの操作感が変わる
すべてのラインが海水に沈むとして、比重の違いによっていったい何が変わってくるのか?
それは水中でのルアーの操作感です。
特に、軽量のジグヘッド(1g未満)を操作するときの操作感が変わります。
僕の感覚としては、もっとも操作感が良いのがエステルです。
ナイロンはラインの沈みが遅いため、水中で何をどう操作しているのかわかりにくいときがあります。
反対に、フロロカーボンは、ラインの沈みが速いため、ルアーではなくラインを操作している感覚に陥るときがあります。
ラインの存在感が邪魔になるときがある
ということです
同じ太さのラインで比べると、軽量ルアーを扱うときのエステルの比重は絶妙なものがあります。
ラインの比重によってフォールのアタリの取りやすさが変わる
ラインの比重の違いは、軽量ルアーの操作感のほかにも、フォールでのアタリの取りやすさに影響があります。
魚のアタリには大きく分けて2パターンあります。
1つは、ルアーに食いついて引っ手繰っていくアタリ。いわゆる「普通のアタリ」がこれにあたります。
もう1つがフォール中に食い上げてくるアタリ。ラインがフッと軽くなるアタリです。
このフォール中に食い上げてくるアタリは、ある程度ラインに比重がある方が明らかにわかりやすいです。
体感でしか比較できませんが、フォール中に食い上げるアタリは、フロロカーボンが一番わかりやすいように感じます。
ナイロンでもエステルでも、フォール中の食い上げるアタリは普通にわかります。
ただ、フロロカーボンはアタリの取りやすさが抜群です。
ナイロンはこんな人におすすめ!
メリット・デメリット
ナイロンのメリットは引張強度の強さと扱いやすさです。
ナイロンはフロロカーボンよりも引張強力に優れているため、同じポンド数であればナイロンの方が少し細糸になっています。
また、ナイロンは、フロロカーボンのような巻きグセがつきにくいため、ライントラブルをかなり抑えることができます。
エステルのような突発的なラインブレイクもありません。
さらに、リーダーを結束する必要がないのも扱いやすい点です。
ナイロンのデメリットとしては、比重の軽さから、軽いリグの操作感とフォール中の食い上げるアタリがぼやけるということが挙げられます。
こんな人にはナイロンがおすすめ!
1.5gくらいのジグヘッドからマイクロスプーン、7g程度のプラグやシンカーまで使ってワンタックルでライトゲームをエンジョイしたい人には特におすすめです。
気温が低くなる冬の季節は、フロロカーボンでは、ラインを細くしなければどうしてもライントラブルが発生しやすくなります。
でも、ラインが細くなると、引張強度に劣るフロロカーボンではやや不安があります。
また、ラインを細くすると、7g前後のルアーやシンカーをキャストするときに高切れが発生することがあります。
ワンタックルで幅広くいろいろな釣りがお手軽に楽しめるのがナイロンの特徴です。
フロロカーボンはこんな人におすすめ!
メリット・デメリット
フロロカーボンのメリットはフォール中の食い上げるアタリの取りやすさと、超軽量ジグヘッドをディープエリアまで送り届けられることです。
ライン自体に比重があるのでフォール中の食い上げるアタリの取りやすさは抜群です。
また、超軽量のジグヘッドでディープエリアを攻めるのにもフロロカーボンは適しています。
さらに、リーダーを結束する必要がないので、いろいろな釣りに幅広く対応できます。
フロロカーボンのデメリットは、巻きグセのつきやすさとライントラブルです。
ナイロンと比べるとフロロカーボンはやや巻きグセがつきやすいので、ピョン吉と呼ばれるライントラブルが発生しやすいです。
フロロカーボンは、エステルほど深刻なライントラブルは起こりにくいです。
でも、ナイロンと比べると、やはりフロロのほうがライントラブルが発生しやすいです。
こんな人にはフロロカーボンがおすすめ!
ジグヘッドを中心に、スプーンやプラグなどを使ってワンタックルでライトゲームをエンジョイしたい人にはおすすめです。
汎用性という点ではわずかにナイロンに分があるかもしれません。
でも、ジグヘッドの釣り(特に軽量のジグ単)のやりやすさはナイロン以上です。
ただ、4lbくらいの太さになると、ゴワつきやライントラブルが気になるようになります。
フロロカーボンも、ナイロンと同様に、ワンタックルで幅広くいろいろな釣りがお手軽に楽しめます。
エステルはこんな人におすすめ!
メリット
エステルのメリットはなんと言っても超軽量ジグヘッドの操作感とフォール中の食い上げるアタリの取りやすさです。
エステルはラインの比重(水馴染み)が絶妙です。
そのため、ナイロンでは操作感がわかりにくいけど、逆にフロロカーボンではラインの存在感が気になる、というときでも、エステルならとても軽快にジグヘッドを操ることができます。
また、フロロカーボンほどではありませんが、ラインの比重がそこそこあるので、フォール中の食い上げるアタリも取りやすいです。
デメリット
エステルのデメリットは、繊細な扱いが必要なこと、ショックリーダーの結束が必要なこと、ライントラブルが多いことです。
よく「エステルは弱い」とか「エステルは切れやすい」と言われることがあります。
でも、実際にはそんなことはなく、表示どおりの引張強度はあります。
むしろ同じ号数同士で比べると、ナイロンよりもエステルの方が引張強度は強い製品が多いです。
ただ、キャストのときの高切れや、大きめな魚が掛かったときのアワセ切れは、(体感的に)他のモノフィラメントラインよりも多い印象はあります。
そのため、ドラグをシビアに設定する必要があります。
また、ショックリーダーの結束を推奨されるのも面倒な点といえます。
さらに、エステルは、ラインさばきを怠ると簡単にライントラブルが発生します。
PEでいうところのゴップと呼ばれる現象が起こりやすいです。
こんな人にはエステルがおすすめ!
3g未満のジグヘッドメインで釣りをエンジョイしたい人にはエステルがおすすめです。
軽量ジグヘッドの操作感が良く、フォール中の食い上げるアタリも取りやすいので、まさに
ウルトラライトゲームに特化したライン
といえます。
同じ号数同士で比べるとナイロンやフロロカーボンよりも引張強度が強いので、ワンランク細い号数を使うこともできます。
その反面、アワセ切れや、キャスト切れが他のラインより起こりやすいです。
使用感に点数をつけてみた
3lbクラスのラインを使ったときの使用感を(僕の主観で)勝手に点数化してみました。
ナイロン
・2g以上のルアーの操作感 75点
・扱いやすさ80点
2g超えのジグヘッド・スプーン・プラグであれば、操作感はフロロカーボンと遜色ありません。
しかし、超軽量のジグヘッドになると、やはり操作しづらいです。
フロロカーボン
・2g以上のルアーの操作感 80点
・扱いやすさ70点
ライントラブルの少なさ、扱いやすさという点ではナイロンに劣ります。
しかし、ジグヘッドの操作感やアタリの取りやすさに関してはフロロカーボンに分があります。
エステル
・扱いやすさ 45点
もっとも性格が尖っているのがエステルです。
3g未満の軽量ジグヘッドやプラグの操作感にはとても優れています。
しかし、伸縮性がイマイチなのか、やや重いルアーをキャストすると、キャストの瞬間に高切れが起こることがあります。
エステルは、ドラグをきちんと設定すれば、軽量ルアーを中心にとても快適に釣りができます。
他方で、ドラグ設定のシビアさやライントラブルの起こりやすさ、リーダーの必要性という点から、扱いやすさでは他のモノフィラメントラインに大きく劣ります。
各ラインの特徴を理解してメインラインを選ぼう!
モノフィラメントラインは、ラインの種類ごとに特性が異なります。
そして、その特性はダイレクトに使用感に現れてきます。
上記でラインの特性を点数化してみましたが、細かい点数の差は気にする必要はありません。
また、細かい特性の差を活かしてラインの使い分けをする必要もありません。
自分がライトゲームでどんな釣りをしてみたいか?ということを考えて、そのスタイルに合った特性のラインを選びましょう。
ワンタックルでお手軽に始められる冬のライトゲーム。しかし、最近はアジングやメバリングというふうに強制的にカテゴライズされたため、タックル選びに迷うようになりました。特に意見が錯綜(殺伐と)しているのがメインラインで[…]