第4回の記事ではシーバスフィッシングに使われるミノーの種類についてざっくりとご紹介しました。
このページでは、シーバスフィッシングで使われる【ディープダイバー】についてご紹介します。
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ディープダイバーとは
ディープダイバーとは、ミドルレンジ~ディープレンジをアプローチできるミノーです。
特徴的なのはリップの大きさです。
とにかく大きい
水の抵抗を受ける部分のことを一般的にはリップといいます。
ディープダイバーのような長い形状のものは、リップではなく『ビル(bill、くちばし)』と呼ばれることがあります。
ディープダイバーのことをロングビルミノーと呼んだりもします。
あるいは、主に中層攻略をメインにおいたミッドダイバー(MD)という呼び方。
シャローランナーとの対比でディープランナー(DR)という呼び方。
いずれも、だいたい同じような用途・形状のルアーのことを指しています。
ディープダイバーは中層以深をアプローチできるミノーです。
具体的に水深〇cm~という基準はありません。
(僕の場合)だいたい100~300cmくらいって感じで考えています。
ディープダイバーにはフローティングモデルもシンキングモデルもあります。
フローティングモデルであれば、基本的には設定深度までしか潜りません。フローティングモデルのリップはルアーを深く潜らせるためのリップです。
シンキングモデルであれば、かなり深いレンジでもアプローチすることができます。シンキングモデルのリップは、潜らせるためというよりも、どちらかといえば、より深い水深においてレンジをキープするため(浮き上がりを抑えるため)のリップです。
ディープダイバーの特徴
ミドルレンジ以深でレンジキープしやすい
ディープダイバーには二つの大きなメリットがあります。
その一つは、ミドルレンジ~ディープレンジでレンジコントロールがしやすいことです。
シーバス用のルアーで中層より深いレンジにアプローチするためのルアーとして真っ先に挙げられるのがバイブレーション。
バイブレーションは15g前後であればミドルレンジで使いやすく、25g前後になると水深のあるポイントで深場を攻略することができます。
バイブレーションは小粒でボディ全体の水の抵抗が小さいため、ルアーが沈むのがとても速いです。
沈むのが速いため、ルアーが沈む速度よりも遅いスピードで巻いてしまうと、バイブレーションはどんどん沈んでいきます。
反対に、バイブレーションには抵抗になるようなリップが付いていないため、ルアーが沈む速度よりも速いスピードで巻いてしまうと、浮いてきてしまいます。
ルアーを巻くスピードとルアーが沈むスピードのバランスがとれているときに初めて、一定のレンジを横方向に引っ張ってくることができます。
それがバイブレーションです。
つまり…
バイブレーションは、ビギナーにとってレンジをコントロールするのがけっこう難しいんです。
でも、シンキングモデルのディープダイバーは、ボディの形状はミノーなので、通常のシンキングミノーと同じような沈み方をします。
また、フローティングモデルのディープダイバーであれば、そもそも決まったレンジを泳ぐので巻きスピードが一定であれば、レンジも一定に引いてくることができます。
つまり、ディープダイバーは、ミドルレンジより深いレンジを攻めるためのルアーとしては抜群のレンジキープ能力を備えているのです。
中層以深~でレンジキープが求められる場合、ビギナーにとってはディープダイバーが圧倒的に使いやすいといえるでしょう。
足場の高い場所でも足元まできっちりとレンジキープできる
ディープダイバーの大きなメリットの二つめは、足場の高い場所でも足元まできっちりと深いレンジをキープできるということです。
通常のシンキングミノーでもかなりレンジキープをしてくれます。
でも、足場の高い場所で釣りをしているとルアーが上に向かって引っ張られるので、岸に近い1~2割の距離はどうしてもルアーが浮いてきてしまいます。
たとえば、50mほどキャストして、40mくらいはレンジをコントロールできますが、残り5~10mくらいの距離は徐々にルアーが浮いてくるというイメージ。
これでは、岸際のヒットゾーンを丁寧にアプローチできないということになります。
でも、ディープダイバーは、ノーマルのシンキングミノーよりもさらに水を掴む能力に優れています。
より足元に近いところまできっちりとレンジをキープしてアプローチをすることができます。
足元まできっちりとアプローチできる能力というのは、ロングビルを持ったディープダイバーだからこそなせるワザといえます。
バレにくい
小粒のバイブレーションと違って、ディープダイバーはミノーなのでやや大型のフックを取り付けることができます。
バイブレーションが#8とか大きくても#6くらいのフックだとすると、ディープダイバーは#6~#4サイズほどのフックを搭載可能です。
大きなフックが搭載できるということは、それだけフッキングしやすくバレにくいということです。
飛距離が出にくい
第6回の記事でご紹介したとおり、ミノーというルアーは重さ・空気抵抗という点から、そもそも飛距離が出しにくいタイプのルアーです。
それに加えて、ロングビルタイプのミノーはどうしてもリップの空気抵抗が大きくなってしまいます。
最近は飛距離がだいぶ改善されて、60~70mクラスの飛距離を叩き出すディープダイバーも出てきました。
ただ、バランスを崩すと一気に失速するので「飛ばしにくい」ルアーであることは従来どおりです。
バリエーションが極端に少ない
シーバスフィッシングにおいて「ルアーの飛距離が出ない(出にくい)」というのはとても敬遠される要素になります。
これは、アングラーだけの問題ではありません。
アングラーがルアーを買わなければメーカーも積極的には製品開発をしません。
シーバスフィッシングカテゴリーにおいてディープダイバーは選べる種類がとても少ないのがデメリットです。
ディープダイバーが釣れる理由
唯一無二のルアー
表層でもない、ボトムでもない、中層~ボトムより少し上のレンジを丁寧にアプローチできるルアーというのはそれほど多くはありません。
バイブレーションであれば比較的幅広いレンジをアプローチできますが、アプローチできるスピードの幅が広くありません。
速く巻けば浮いてきてしまうし、遅く巻けば沈んでしまいます。
その絶妙なスピードでしかアプローチできないのがバイブレーションです。
でも、ディープダイバーはミノーなので、バイブレーションのようにストンと沈むわけではありません。
そのため、ディープダイバーはバイブレーションよりもはるかにスローに中層~ボトムちょい上のレンジを引いてくることができます。
また、実釣編第11回の記事でもご紹介したとおり、「中層を攻める」というのはルアーフィッシングにおいてはかなり難易度の高いアプローチです。
表層のように目で見たり、潜行深度の定まったルアーが使えるわけではありません。
ボトムのように手に伝わる感触があるわけではありません。
リールを巻くスピードだけで、泳ぐルアーをイメージしながらアプローチしなければならないのが中層です。
このイメージで攻略する中層~ボトムちょい上のレンジにおいて、ある程度早く巻いても遅く巻いても一定のレンジをキープできるのがディープダイバーです。
アプローチの難しい中層において、ビギナーでも簡単にアプローチできるディープダイバーは唯一無二といえる存在のルアーです。
中層は比較的イージーに釣れる
アングラー側からすれば、シーバスがもっとも狙いやすいのは水面~表層です。
水面~表層は根掛かりを気にせずアプローチできます。また、表層攻略のためのルアーというのは種類がとても豊富です。なので、水面~表層というのはビギナーでも安心していろんな攻め方が試せるレンジです。
その次にアングラーが狙いやすいのがボトム付近。
バイブレーションをボトムに着底するまで沈めて、あとはルアーがボトムにコンタクトする感触を確かめながらルアーを巻いてくればいいからです。
ビギナーの頃には根掛かりが気になるのでボトムはやや攻めにくいレンジです。でも、少し上達するとけっこう根掛かりしにくくなります。
そして、どのアングラーにとってももっとも狙いにくいのが中層です。
正確にいえば中層からボトムより少し上のレンジの間です。
このレンジは、アプローチできるルアーも少なくなってくるし、ボトムのように竿に伝わる感触というのが得られません。
ビギナーの頃には雲を掴むような感覚でルアーを巻くことになってしまいます。ただ巻いているだけ。
ルアーがいまどのくらいの深さにあるのか?
一定のレンジをキチンとキープできているのか?
そういった情報がほとんど得られないのが中層~ボトムより少し上のレンジです。
言い換えれば、アングラーにとって一番攻めにくいのが中層~ボトムより少し上のレンジといえます。
これは見方を変えると、このレンジにいるシーバスというのは、表層やボトムにいるシーバスと比べるとルアーに慣れていないシーバスたちということもできます。
中層~ボトムより少し上のレンジというのは意外に範囲が広いので、このレンジを攻めることができれば、それだけフレッシュなシーバスに出会えるチャンスが多くなるといえます。
ディープダイバーの使いどき
足場が高くて足元から水深が深いとき
足元から水深が深い場所では、シーバスが足元に着いていることも案外少なくありません。
足元から水深が深い場合には積極的に足元も狙うべきです。ただ、足場が高い場所になると、思うように足元まできっちりとルアーが引けないということも多々あります。
足場が高ければルアーは上方向に向かって回収される(引っ張られる)ので、足元近くまでくるとどうしてもルアーが浮いてきてしまいます。
このような場所ではディープダイバーの独壇場です。
足元にシーバスが着いている可能性があるけど、足場が高くて足元まできっちりとルアーを引けないというときには積極的にディープダイバーを試してみましょう。
表層にもボトムにもヒントがないとき
シーバスは表層からボトムまで幅広く分布する魚です。
どのレンジでもシーバスが釣れる可能性があります。
表層とボトムでシーバスの反応がなかったときにどこを狙うか?
もちろん、中層~ボトムより少し上までのレンジです。
このレンジをまったく狙わないアングラーも少なくないので、シーバスがいればイージーに釣れる可能性があります。
表層とボトムで反応がないときは、ぜひ中層~ボトムより少し上のレンジをディープダイバーでアプローチしてみましょう。
ディープダイバーの使い方
フローティングモデル
フローティングモデルのディープダイバーは潜行深度があらかじめ設定されているので、それ以上深く潜ることは基本的にはありません。
キャスト→着水後すぐに巻き始めて、設定された深度に到達したら、ただひたすら巻いてくるだけです。
設定された潜行深度よりも浅いレンジを引きたいときには、リールを巻くスピードを遅くして微調整します。
なお、フローティングモデルのディープダイバーは、設定された深さに到達するまでの『助走』が必要になります。
50mキャストしたところで、設定された深さを50m引いてくることはできません。
たとえば、潜行深度3mのディープダイバーであれば、50mキャストして、着水地点から5mくらい引っぱってくると深さ3mに到達し、そこから3mレンジをキープしてくる、というイメージです。
シンキングモデル
シンキングモデルのディープダイバーを使うときは、必ず最初のキャストのときにボトムまで沈めて、沈むスピードをカウントします。
ボトムまで沈んだカウントの半分のカウントが、そのエリアにおける真ん中のレンジになります。
たとえば、ボトムまで沈むのに24カウントだった場合、12カウントのあたりがそのエリアにおける真ん中のレンジです。
そこから、少し沈めるため18カウントにしたり、少し上のレンジを探るために8カウントくらいにして微調整を行います。
その後は、タダ巻きをすれば基本的には一定のレンジをキープしてくれます。
ディープダイバー使用上の注意点
岸に近い場所が浅い(遠浅の)ポイントでは使用を控える
語られることが意外に少ない注意点です。
岸から20mくらいのところの水深が浅いときには、ビギナーはディープダイバーの使用を控えた方が無難です。
根掛かりが頻発します。
同じ中層~ボトム系のルアーでも、バイブレーションであればこの根掛かりを回避できる可能性があります。
バイブレーションにはリップが付いていないので、根掛かりしそうになったときにロッドを強めにあおるするとルアーが跳ね上がります。
でも、ディープダイバーはリップが付いていてレンジキープしやすい構造になっています。
レンジキープしやすい構造上、ロッドをあおってもルアーは跳ね上がりません。
一定のレンジをキープします。
手前が浅い場所で根掛かりを回避する方法は基本的にはありません。
唯一、根掛かりを回避する方法があるとするなら、フローティングモデルのディープダイバーを使うことです。
シンキングモデルのディープダイバーをロッドワークで浮かせることはけっこう難しいです。
ビギナーの頃には、岸に近い場所が浅い(遠浅の)ポイントではシンキングモデルのディープダイバーは使用しないのが無難です。
飛距離に期待しない
もともとミノーやディープダイバーは飛距離が出にくいタイプのルアーです。
最近では『飛距離80m級』を謳うようなディープダイバーも登場しています。
でも、ビギナーが投げても(おそらく)それほど飛びません。
けっこう飛距離が出たとしても、なかなか安定して飛ばすことは難しいです。
クルンッと回ってバランスを崩して近くにポチャンと落ちることもあります。
一昔前のディープダイバーと比べると最近のものはずいぶん飛ぶようになりましたが、過度の期待は禁物です。
ビギナー必携の中層攻略ルアー!
中層というのは、ルアーがレンジキープできているかどうか、とても把握しにくいレンジです。
表層系ルアーのような潜行深度の決まったルアーは少ないです。
また、ボトムのようにロッドに伝わる感触でレンジを確認することができません。
そのため、中層というのはけっこう避けられがちなレンジといえます。
しかし、狙う人の少ないレンジだからこそ、フレッシュでイージーに釣れるシーバスもたくさんいます。
その中層においてビギナーでもアプローチしやすいのがディープダイバーミノーです。
ディープダイバーは、バイブレーションよりもはるかにレンジキープしやすいルアーです。
避けられがちなレンジだからこそ、ディープダイバーを使って積極的に攻めてみてください。
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