
近年のソルトシーンにおいては、軽量・高感度を謳う高弾性ロッドが主流になっています。
一見して、(高価ということを除いて)良いことずくめの高弾性ロッドですが、タックルバランスを損なうと、途端にバレまくるロッド、弾きまくるロッドに早変わりします。
もともと、入門者・初心者には高弾性ロッドはオススメはしませんが、「高弾性ロッドを使ってみたい!」という入門アングラーも少なくないと思います(それが主流なので…)。
そこで、このページでは、高弾性ロッドのタックルバランスについて考えます。
高弾性ロッド至上主義
近年のシーバスロッドやバスロッドは、感度 感度 感度 感度っていうくらいに感度を売りにした高弾性ロッドが主流になっています。
かくいう管理人がメインで使っているシーバスロッドも、35tカーボン+40tカーボンのコンポジットの高弾性ロッドです。また、市場では販売されていないオール40tカーボンの高弾性シーバスロッドも使用しています。
シーバスのようなライトソルトゲームにおいては、高弾性ロッドがもたらすロッドの軽量化・高感度化の恩恵は非常に大きいです。
ロッドの高弾性化の恩恵を最も受けるのが、メバル・アジといったウルトラライトゲームであるといわれています。
高弾性ロッドは、引きの強い大物釣り用のロッドには不向きですが、非常に軽量・高感度であるため、アジ・メバル・シーバス・エギングなどのライトゲームにはとても向いています。
そして、近年のライトソルトゲーム(メバル、アジ、シーバス、エギングなど)のブームにより、ロッドの高弾性化が加速しました。
(もちろん、高弾性カーボンシートの進化によるところも大きいです)
高弾性ロッドのデメリット
ソルトシーンにおいてこれだけロッドの高弾性化が進んでいるのにもかかわらず、ほとんどのメディアでタックルバランスが強調されていないのは残念な現状です。
高弾性ロッドの軽量・高感度というメリットはとても素晴らしいのですが、必ずしもメリットだけではありません。
ロッドが高弾性になればなるほど、感度は良くなりますが、ロッドの復元力・反発力も増していきます。
加えて、ソルトルアーフィッシングで使われるメインラインは伸びが非常に少ないPEラインです。
さらに、リーダー用のラインにもフロロカーボンという伸びの少ないラインを使うアングラーが多いです。
このようなタックルセッティングだと、
魚のアタリを弾く・バラす
という事態が頻発する可能性があります。
フッキングや魚とのやり取りに慣れた中・上級者であれば問題ないのかもしれませんが、特に入門者であったり、管理人のような釣り下手には非常に致命的な問題です。
高弾性ロッドのタックルバランス

タックルバランスはすごく大切
バスフィッシングの世界では、クランクやバイブレーションといった巻物系プラグをメインに使うロッドには、グラス素材がコンポジットされた食い込みが良くて曲がりやすいロッドが好まれます。
理由は、巻いて巻いて巻きまくる釣り方なので、キンキンの復元力・反発力の強いロッドだとバスのアタリを弾きやすくなるからです。
バスフィッシングの巻物用ロッドとしては、いわゆる「ノリ(乗り)」を重視したタックルのセッティングが好まれます。
では、ほぼ巻物系ルアーしか使わないシーバスフィッシングの世界ではどうかといえば…
タックルバランスの話が語られることはほとんどありません。
「ロッドは軽量・高感度の高弾性ロッド」
「ラインも伸びが少なくて感度の良いPE」
「リーダーも伸びが少なく根ズレに強いフロロ」
このような考え方が定着してしまっています。(定着よりも固着というべきでしょうか?)
しかし、これは、すごくバランスの悪いタックルセッティングです。
ロッドは、曲がることでショックを吸収し、ラインとリーダーは伸びることでショックを吸収します。
ロッドがあまりにも曲がりすぎたり、ラインやリーダーがあまりにも伸びすぎると、これは感度の悪いタックルセッティングになってしまいます。
しかし、感度を求めるあまり、ロッドの復元力・反発力が強すぎたり、ラインやリーダーがあまりにも伸びないと、これは感度は良すぎるけど、アタリを弾きやすい・ノリの悪いタックルセッティングになってしまいます。
何事においても適材適所に極端すぎないことが大切です。
「バスはバス、シーバスはシーバス。バス業界のマネをする必要はない。」という考え方があるかもしれません。
「バイトを弾くのは上等。俺はキンキンのタックルセッティングでシーバスを掛ける攻めの釣りをしたいんだ」という男らしい考え方もあるかもしれません。
釣りにはいろいろな楽しみ方がるので、そういう考え方は一切否定しません。
しかし、ごく普通のアングラーにとっては、やはり、高弾性ロッドのメリット(軽量・高感度)を活かしつつ、バイトをしっかり獲れるタックルバランスを模索した方が魚を獲れる確率が上がって釣りが楽しいのでは?と思います。
タックルバランスが語られない理由
ところで、ロッドの高弾性化がこれほど進んだソルトシーンにおいて、なぜ今までタックルバランス論が語られることがなかったのでしょうか?
正確な理由はわかりません。
でも、次の理由が考えられます。
①ロッドを開発するアングラーが釣りウマだから
②ロッドを開発する側の人たちが、「適切なバランスのタックルであれば拾えるバイト」を「ショートバイトだなぁ…」と考えている
第1に、ロッドを開発するプロスタッフやプロインストラクターの方々は釣りウマなので、ショックを吸収するためのアソビのないタックルセッティングでも、キチンとフッキングできるんだと思います(きっと)。
つまり、
ユーザー目線ではない
ということです。
第2に、ロッドを開発する側の人たちが、「適切なバランスのタックルであれば拾えるバイトを「ショートバイトだなぁ…」と考えているかもしれません。
この場合には、タックルバランスの悪さを無視して、シーバスの食いの渋さのせいにしてるのかもしれません。
ノリが悪い場合の対処法
いずれにしても、高弾性カーボンロッドは軽くて感度に優れたとても素晴らしいロッドですが、その反面、タックルバランスを崩す要因にもなります。
特にシーバスは、ブラックバスよりもはるかにバレやすい魚なので、しっかりフッキングに持ち込んだり、エラ洗いによるバラシを軽減するために、タックルセッティングのどこかに「アソビ」(ショックを吸収する部分)を作る必要があります。
たとえば、以下の点に気をつけてタックルバランスを調整すると、ロッドの軽量・高感度といったメリットをもっと活かせると思います。
①リーダーを長めにとる
②リーダーをナイロンリーダーに変える
③RFアクションのロッドより、Rアクションのロッドを選ぶ
④食い込みの良さを売りにした高弾性ロッドを選ぶ
オススメしない方法としては、魚のアタリを弾かないようにドラグを緩める方法です。
ドラグとは、魚の強い引きに対してスプール(糸が巻いてある部分)が回ることによってラインを送り出し、ラインブレイクを防止する機構のことです。
ドラグ設定は、「魚の引きの強さ」と「使用しているラインの強さ」を総合考慮して、魚の引きや急な突っ込みに対してラインが切れないように行うものです。
せっかく引張強力の強いPEを使っているのに、ドラグを闇雲に滑らせると、強いラインを使用している意味がありません。
また、ドラグ設定が緩いと、合わせた瞬間はアタリを弾かなくても、魚にフックが貫通せず、針掛かりが甘くなるため、魚をキャッチするまでにバレるリスクがかなり高まります。
また、ドラグ設定が緩いと、合わせた瞬間はアタリを弾かなくても、魚にフックが貫通せず、針掛かりが甘くなるため、魚をキャッチするまでにバレるリスクがかなり高まります。
さらに、あまり語られない話ですが、ドラグを緩めてスプールからラインがガンガン出ていく状況でハンドルを巻くとラインにヨレが発生しやすくなります。
タックルバランスを考えよう
シーバスロッドの高弾性化は、タックルの軽量化・高感度化に寄与する反面、シーバスのバイトを吸収する「アソビ」の部分がないと、タックルバランスを損なってシーバスのバイトを弾きやすくなるという弊害が生じます。
アングラーによっては、バイトを弾いたり魚のノリが悪いことをご自身の腕のせいにする人もいます。
しかも、ノリの悪さを解消する目的でドラグを緩めるアングラーもいます。
でも、本当に腕が悪いからシーバスがバレるのでしょうか?
タックルは日々進化しています。
腕のなさをカバーしてくれるのがタックルです。
しかし、そのタックルも、全体のバランスが悪ければ、カバーできるものもカバーできなくなってしまいます。
魚がバレたり弾いたりして困ったときは、ご自身の腕を嘆くのではなく、ドラグを緩めるのでもなく、タックルバランスを見直してみてはいかがでしょうか。