1ピースロッドと2ピースロッドの大まかな違いについてはコチラのページに記載してあります。
ところで、2ピースロッドを毛嫌いする理由で最も多いのが
2ピースは折れやすい
ということ。
実際に2ピースロッドが継ぎ目から折れたという話はよく聞きます。
でも2ピースロッドは本当にそんなに簡単に折れるのでしょうか?
このページでは2ピースロッドの「折れ」についてご紹介します。
2ピースロッドは折れやすい?
結論
いきなり本題です。
2ピースロッドは本当に折れやすいのか?
結論は決まっています。
折れやすいわけではないよ。
ただし…
継ぎ目の強度は大丈夫?
2ピースロッドは折れやすいわけではありません。
それにもかかわらず1ピースと比べると折れやすいと誤解される原因が
継ぎ目
の存在です。
継ぎ目があるためにどうしても「この部分から折れるのでは?」と誤解されてしまいます。
でも、市場に出回っている大手メーカーのロッドで継ぎ目が強度不足ということはほとんどないと思っていいでしょう。
確かに継ぎ目の部分に強度低下が発生することは感覚的に理解できます。
でも、メーカーは開発費用を掛けて強度不足を克服してロッドを商品として世に売り出します。
そのため2ピースロッドは1ピースロッド以上に開発費用が掛かります。
費用を掛けて強度不足の問題が生じないレベルに克服したロッドだけが商品として市場に出回ります。
設計上の強度不足はほとんど心配するレベルではありません。
たとえば1mを超えるイトウやレインボートラウトを釣るようなエリアトラウトロッドはほとんどすべて2ピースロッドです。
最近では青物やGTなど海の大物(20kgオーバー)を釣るためのロッドですら2ピース3ピースロッドが販売され始めています。
もはや強度的な面でマルチピースロッドを否定するのは時代遅れでしょう。
時代の流れは確実にマルチピースロッドです。
なぜ折れやすいと誤解される?
実際によく折れる…
マルチピースロッドの継ぎ目の強度低下は、商品として売られている段階で基本的には克服されているものと思って問題ないでしょう。
各メーカーが数字的にも実釣でも相当にテストをしているはずです。
にもかかわらず、いまだにマルチピースロッドは弱いと誤解されています。
それはなぜか?
よく折れる
マルチピースロッドは、継ぎ目の強度は充分なのによく折れるんです。
折れる原因は?
(何度も書いていますが)マルチピースロッドの継ぎ目の強度は弱くはありません。
メーカーの信頼にも関わるのでポキポキ折れるような弱いロッドはそうそう販売されません。
にもかかわらず、なぜ折れるのか?
継ぎ方の不具合
これがほとんどです。
「不具合」というのは主に「緩み」です。
ロッドの継ぎ目部分(フェルール)は#1のテーパーに合うように微妙なテーパーが付いています。
(ロッドにもよりますが)目で見てもほとんどテーパーなんてわからないようなフェルールもあります。
2ピースロッドはこのフェルールのテーパーが#1にきっちりハマるようにできています。
フェルールがきっちりハマっている状態で強度テストも行われます。
ところが、フェルールが緩んでいると#1とフェルールの間にわずかに隙間ができます。
(0.0●mmというレベルの隙間ですが)隙間が空いてしまうと#1と#2の2本のピース間で負荷を伝達したり負荷を支え合うことに支障が生じることになります。
その結果、負荷に耐えられなくなった箇所が破損することがあります。
以前一緒に釣行した友人のロッドの#1が、キャストの際に継ぎ目の部分から割けたことがありました。
この友人がいうには
ということでした。
これはあくまで一例ですし、友人の感想にすぎませんが、継ぎ目が緩むと負荷の伝達や支え合いがスムーズに行われなくなることは容易に想像できるはずです。
折れるリスクが内在している
2ピースロッドであろうと3ピースロッドであろうと、設計上の強度が保たれている限りは容易に折れるものではありません。
マルチピースロッドが折れやすいということはありません。
しかし、マルチピースロッドはロッドの構造自体に折れるリスクが内在しています。
実際にマルチピースロッドで釣行すると、キャストの繰り返しで継ぎが緩んだり、そもそも継ぎが緩いということがあり得ます。
この時、設計どおりに負荷の伝達や支え合いが行われないため、ロッドが継ぎ目から破損するという事態が起こってしまいます。
マルチピースが潜在的に有している折れるリスクが、継ぎ目の不具合によって顕在化したのが「マルチピースロッドが折れる」という現象です。
でも、【継ぎ目】というロッドの構造上、潜在的に折れるリスクを抱えている。
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しかし、実際には折れるリスクが顕在化しない限りは、マルチピースロッドの強度的不安というのは大きな問題ではありません。
強度的な問題ではなく、「継ぎ竿」というロッドの構造上、必然的に内在している「折れるリスク」が「継ぎ目の不具合」によって表に現れた結果、ロッドが折れます。
2ピースロッドを折らないためには?
1ピース派アングラーからすれば
といえるかもしれません。
しかし「折れやすい」ということと「折れやすいわけではないけど、折れるリスクを抱えている」というのは似て非なるものです。
2ピースロッドが折れやすいというとき、通常は『強度的な問題』のことを指していると思います。
確かに強度の問題というのは設計レベルの問題なので、本当に強度的な問題があるならばユーザー側で対処することは困難です。
しかし、『継ぎ目の緩みによって折れるリスクが顕在化する』という問題であればユーザー側でいくらでも対処可能です。
②定期的に緩みのチェックをする
③フェルールワックスを使う
設計上の強度を十分に発揮できれば2ピースロッドでも3ピースロッドでもそう易々と折れることはありません。
そして設計上の強度を十分に発揮させるためには、継ぎ目が緩まないように注意する必要があります。
継ぎ目の緩みへの対処方法はいくつも考えられますが、基本はキッチリ継ぐことです(①)。
釣りを開始するときにキッチリ継ぐことができていれば、それほど緩むことはありませんし、数時間釣りをした後でも外すのに苦労するくらいです。
まず、フェルールを95%くらいまっすぐ差し込みます。
残り5%くらいを差し込むときに、ねじり込むようなイメージで少し回転させながら差し込みます。
以上です。簡単です。
【補足】
最後にねじり込んだときにガイドが揃う必要があるので、最初に差し込むときは少しガイドをずらして差し込みます。
実はマルチピースロッドをキッチリ継ぐコツは簡単です。
↑を実践するだけで随分と継ぎ目が緩みづらくなります。
管理人はこれに加えて、継ぎ終わったあとに#1をもってロッドエンドで軽~く地面をトントンと叩くようにしています(念のために)。
これくらいやれば、そうそう継ぎ目が緩んで折れることはありません。
まとめ
◆しかし「継ぎ目がある」というロッドの構造上、継ぎ目が破損するリスクを抱えている
◆継ぎ目の破損の多くは強度不足ではなく、設計上の強度が十分に発揮されないために起こる
◆継ぎ目の強度が発揮されない原因の多くは「不十分な継ぎ方」
◆キッチリ継いでいれば簡単には折れない
最近は各メーカーが次々とマルチピースロッドを発売するようになってきました。
これはひとえに「マルチピースロッドに対する自信の表れ」です。
強度の問題を克服し、ワンピースロッドと変わらない(もしくはそれ以上の)ロッドとして自信を持って商品化しています。
しかし、マルチピースロッドは【継ぎ目】が存在する以上、ワンピースロッドでは要求されない注意を払う必要があります。
それは【継ぎ目の緩み・抜け】です。
この注意を怠ると、十分な強度のあるロッドでも簡単に折れてしまいます。
逆に【継ぎ目】への対処をしっかり行えば、マルチピースロッドはアングラーにとって新たな釣りのスタイルを与えてくれるでしょう。