ロッド の売り文句に決まって登場する『ロッドの 感度 』。
各メーカーのウェブサイトのロッドのページを見ると
『高感度&超軽量!』
みたいなフレーズがそこかしこにメチャクチャ踊っています。
あるいは、継ぎ方ひとつとってみても
とか
みたいな(醜い)争い。
確かにロッドとリールとサビキがセットになったような釣り竿とスティーズを比べれば全然違うと思うよ(笑
比べたことないけど。
でも、2万円も出せば普通にまったく困らないロッドが手に入る時代です、今は。
それにもかからわず、体感できるかできないかもわからないような感度の差をアングラーが求める必要があるのか?
このページでは入門者にわかりにくいロッドの感度についてご紹介します。
おっさんからすればほとんどが高感度
正直、オシアフリーマンを使っていた世代のおっさんからしたら、(後述のとおり)釣りのスタイルにロッドの性格さえ合っていれば、最近のロッドなんてほとんど高感度ですよ。
今のロッドと比べるとフリーマンなんてマジで棒のようなロッドだったからね。
フリーマンを見たことがないナウいヤングたちには、手元に残してたら一度振らせてあげたいくらい。
それくらい棒だった(個人的感想)。
ダイワからラテオが発売され、シマノからディアルーナが発売されたあたりで、エントリークラスのロッドが
って感じましたから。
最近のエントリーロッドはそういうレベルのロッドですよ。
別にフリーマンの悪口を言いたいわけではないけど(笑)
棒を経験したおっさんからすれば今のロッドはほとんど高感度ロッドです。
感度を必要とするのはどんな釣り?
ここから少しマジメな話。
感度が語られるときにそもそも問題なのが
感度を必要とするのはどんな釣り?
っていう前提が抜けていることがとても多いです。
で、実はロッドの感度が悪いと感じる原因の大部分がココにあるといっても過言ではない。
これ、ホントに。
典型的なのが
・シンキングペンシルで流れの中を釣る場合
バイブレーションやワームでボトムをトレースする場合、ロッドティップが柔らかいとボトムの感触をスゲー感じにくい。
ある程度ロッドティップに張りがあるロッドじゃないと、感度の良し悪し以前に、ボトムにルアーが引っ掛かるたびにティップが「モタァ~~」って入ってしまって感度どころじゃなくなります。
ロッドティップがボトムを弾いてルアーを外せる程度には張りがないと、そもそもロッドの感度は発揮できません。
逆に、シンキングペンシルでわずかな水流の変化を感じながら流れの中を釣る場合、ロッドティップの張りが強いとわずかな水流の変化が感じ取りにくい。平たく言えば、ロッドティップの張りが、ロッドに伝わるわずかな水流の変化を「弾いて」しまって流れの変化が手元まで伝わらないというイメージ。
シンキングペンシルでわずかな流れの変化を求める場合は、多少なりとも流れの変化にティップが追従しないとわずかな流れの変化を感じ取ることはできません。
要するに、感度・感度・感度・感度…という前に、そもそも釣り方に合った性格(硬さ・アクション)のロッドをチョイスしていなければ、いくらロッドの感度を求めても、そのロッドの感度が十分に発揮されることはありません。
たとえば先に挙げたラテオとディアルーナ。
近い価格帯でありながらロッドの性格がかなり対局。
しなやかで粘りのあるラテオに対して、ハリが強くて硬く感じるディアルーナ。
当然のことながら、ボトムメインの釣りにおいてはディアルーナの方が感度を得られやすく、逆に、微妙な流れの変化を釣る場合にはしなやかなラテオの方が流れの変化を弾かずに掴みやすい。
さらにいえば、いまのディアルーナなんてスパイラルX+ハイパワーX+マッスルカーボンという初代エクスセンスを上回るようなスペックを備えたコスパモンスターロッドですよ。
このロッドで感度が悪いと感じるようならば、釣りのスタイルに対してロッドの性格が合っていないか、タックルバランスが悪いか、超鈍感か…。
PEラインを信頼しすぎてない?
上記のとおり、近年のロッドを使っていて感度が悪いと感じることがあるとすれば、主な原因は釣りのスタイルに対してロッドの性格が合っていないことが考えられます。
でも、もう一つ重要なファクターがPEラインの存在です。
僕がシーバスフィッシングに本格的にPEラインを導入したときにメインに使用していたのが東レのF0というラインです。
このラインを使い始めたときにはラインの伸び率が一桁になるとこれほどまでに感度の世界が変わるものなのかと感動しました。
ぶっちゃけ今でも、ロッドよりもリールよりも感度に大きな影響を与えているのはPEじゃないかって思ってます。
ロッドやリールの感度を必死に上げようとしていたところ、PEラインの普及によって、道具における「感度」はPEラインに置き去りにされてしまったとさえ思える。
それくらい「感度」に多大な影響を与えているPEですが、そのPEの感度を信頼しすぎていませんか?
どういうことかというというと
丁寧にラインメンディングしていますか?
ということです。
実はこのPEラインというのは、ラインが張っているときはとてつもなく感度のいいラインですが、ラインが弛んでいると情報をほとんど伝達しないとてつもなく感度の悪いラインなのです。
ナイロンやフロロはラインにある程度の重さがあるので、少々ラインが弛んでもラインの重みがロッドに情報を伝えてくれます。
でもPEラインは「水に浮く」のです。
水に浮いたPEラインは波や風の影響を受けて知らず知らずのうちにラインに弛みが生じていきます。
ラインがたるんでしまうと(大きなアタリを除いて)軽いPEラインではアタリをアタリとしてロッドまで伝えることができなくなります。
つまり、PEラインはラインメンディングできていないとアタリが感じ取りにくいのですが、アングラーとしては感度のいいラインと思っているので、行きつくところは「ロッドの感度が悪いんじゃね?」って勘違いをしてしまいます。
PEを常に張っていると、アタリは明確に分かりますが、魚にとってもロッドの感触がモロに違和感となって伝わってしまいます。
基本的にラインは「たるませず、張りすぎず」という微妙なレベルが望ましいといわれているので、一言でラインメンディングといってもそれほど簡単なもんだいではありません。
そういう意味で、入門者にとってはナイロンラインという選択肢もあってもいいんじゃないかと思っています。
誤解に誤解が重なって、ラインの扱いの問題がロッドの感度の問題に行きつきかねないので…
釣りビジョンを見ていて俺は悟った
ここまでは「そもそも最近のロッドは高感度だよ」「そもそも釣りのスタイルにロッドの性格が合ってないんじゃない?」「ラインの扱い方が感度に影響を与えることもある」って感じで感度の話をそれっぽく説明してきました。
ただ、ルアーフィッシング系の釣り番組を見ていていつも気になっていたことがあります。
魚信(アタリ)と根掛かりを間違えるときがある
これはアングラーの腕の問題なのか?
ロッドの感度の問題なのか?
それともアタリと根掛かりを区別するには究極の感度が必要なのか?
僕にはよくわかりませんが、とにかく「プロ」と名の付くアングラーでもアタリと根掛かりって普通に間違えることがあるよね。
といわれたら、全然そんなことない。
でも反対に、「アタリと根掛かりの区別ができるかという問題がロッドの感度における究極的な到達点なのか?」といわれると、絶対にそんなことはありません。
むしろ区別できて当たり前のレベルの問題とも思えます。
だってロッドの売り文句で
「もう根掛かりと間違えない!魚のアタリを明確に捉える超高感度ロッド!!」
みたいに宣伝されても、全然高感度ロッドっぽく聞こえないでしょ。
「極小の吸い込み系バイトも逃さない超高感度を実現!」
みたいに宣伝された方がよっぽど高感度っぽい印象を受けるでしょ。
アタリと根掛かりを明確に区別できるロッドが超高感度なんて思ってるアングラーは一人もいないと思いますよ。
僕だってアタリと根掛かりを明確に区別できるロッドが高感度ロッドだ!というふうには思いません。
でも、実際には超高感度ロッドといわれるロッドを使ってもアタリと根掛かりを明確に区別できないこともある。
要するに、アタリと根掛かりを区別できないときがあるロッドですら超高感度ロッドといわれるのです。
そう考えていると、ぶっちゃけ「感度」という概念そのものが自己満足の世界で独り歩きしているとさえ思うこともあります。
何が高感度で、何が高感度でないのか…
アタリと根掛かりが区別できないことがある超高感度ロッドって一体…
そこで俺は悟った。
2万円以上のロッドの感度の差は自己満足の差だよ。
って思うようになりましたね、最近。
長らく棒(フリーマン)を使っていた僕からすれば、ラテオとディアルーナ以上は誤差です。
あくまで鈍感な僕の感覚だけどね。
数値化よりも体感できるかどうか
おそらく高感度ロッドと謳う以上、ロッドの振動の伝わり方を数値化して比較したうえで従来よりも「高感度」と表現していると思います。
その意味では高感度というのは嘘でもなんでもないと思います。
ただ、その「従来よりも〇〇%アップ」した感度が体感できるかどうかというのは全然別の問題です。
ロッドのガイドを20%軽量化したところで、もとが1gであれば軽量化されたのは0.2gです。
その軽量化が体感できるかどうか…
工業製品的には、より良い「ものづくり」のためには20%のガイドの軽量化というのは追い求める価値のあるものといえます。
でも、それがアングラーにとってどれだけ影響があるかといえば…常に意味があるとは限りません。
ロッドの「感度」でいえば比較的数値化しやすい(比較しやすい)性能ですが、実釣においてどれだけ高感度のロッドを使用しても魚のアタリと根掛かりを区別できないこともあります。
そんなもんです、実際。
アングラーがロッドの感度を追求するのは悪いことではありませんが、それ以前に、「ラインの扱い方はどうか?」とか「釣りのスタイルにロッドの性格がマッチしているか?」という基本的なことを見つめ直すのも重要です。