ここ6~7年くらいで勢力を拡大したガイドコンセプトがFujiのKRコンセプト
従来の『ニューガイドコンセプト』とは異なった小口径ガイドシステムです。
Kガイドのフレーム形状でありながらガイドリングを従来のものより小さい(小口径)ものを使用するガイドコンセプトです。
ところで、このガイドコンセプトが流行り始めた頃に多くのロッドビルダーが疑問を抱いたはず。
このページではガイドの大きさと飛距離の関係についてご紹介します。
結論
結論から先にいえば
細糸を使う限り飛距離に影響はほとんどない
ということ。
細いラインを使っている限り飛距離不足を感じるようなことはありません。
ロッドガイドの役割
延竿やインナーラインロッド以外のどのロッドにも取り付けられているのがラインを誘導するためのガイド。
ロッドにはガイドが付いているのが当たり前で普通は深く考えることもないですが、ロッドの性能を引き出すために非常に重要な役割を果たしています。
ロッドの曲がりにラインを追従させる
ロッドはそれぞれ設計されたアクション(曲がり方)を持っています。
設計どおりの曲がり方をして初めてロッドの性能が充分に発揮されます。
このロッドの曲がりに合わせてラインを誘導してやる必要があります。
たとえばロッドにガイドが2個くらいしか取り付けられていないとします。
ロッドの曲がりはどうなりますか?
とても歪(いびつ)な曲がり方します。
これではロッドの性能は発揮されません。
またロッドが簡単に折れてしまいます。
ロッドが設計上本来的に有しているアクションに合わせてラインを誘導し、ロッドの持つ性能を発揮させるためにガイドが必要になります。
キャスト時のラインのブレを抑える
ルアーでもシンカーでも同じですが、ロッドとリール(スピニングリール)を使って何かモノをキャストした瞬間、ラインは凄まじい勢いで螺旋状に放出されます。
この時にラインがロッドを叩きます。
要するにラインがロッドと接触して飛距離との関係でパワーロスが生じます。
この螺旋状に放出されるラインのブレを収束さえてスムーズにラインが放出されるようにするのがガイドの大きな役割です。
KRコンセプトとは
です。
下の方に取り付けられた大きなガイド3つ利用して螺旋状に放出されるラインのブレを一気に収束させ、それより上の方のガイドに同一小口径のガイドを並べてラインを直線状に放出させようとしたものです。
このガイドコンセプトの特徴はティップからベリーにかけて非常に小口径の小さいガイドが使われているということです。
下3つの大きなガイドでラインのブレはおおよそ収束されているので、ベリーからティップにかけてのガイドは小さいとしてもラインがロッドを叩いて飛距離ロスにつながることはないという発想です。
ガイドの大きさと飛距離の関係は?
KRコンセプト登場当時からの富士工業の説明によればKRコンセプトを採用することで飛距離の向上が見込まれるそうです。
しかし多くのロッドビルダーが
と思ったはず。
そして実際に試してみたビルダーもたくさんいたことでしょう。
ここからは理屈ではありません。
試した結果どうだったのか?
ということです。
ガイドは大きい方が飛距離が出るのか?
小さいガイドでも飛距離が出るのか?
答えは驚くほど単純でした。
◆ナイロン12lb~になると飛ばない
◆太いリーダーはアウトリーダーにすべき
まず第一にソルトシーンで最も多用されるPE0.8~1号クラスの太さのラインは小口径ガイドによる飛距離の低下は感じない。
まぁ当然といえば当然。
PE1号のラインの太さは4lbクラスラインと同じくらい細いので、小さいガイドでも抵抗になるような感触はありませんでした。
ただしKRコンセプトの方が飛距離が出ているか?といえば、そうは感じない。
結論をいえば飛距離は変わらないというのが印象。
第二にソルトでよく使うモノフィラメントラインの太さは(アジ・メバルなどの超ウルトラライトゲームを除けば)だいたい10lb(2.5号)~16lb(4号)ほどです。
これを投げてみたところ…飛ばない。16lbクラスになるととにかく飛ばない。
だいたい12lb(3号)くらいから飛ばないなぁ~と実感できるようになります。
第三にショックリーダーはアウトリーダーが望ましいです。
リーダーに使うラインの太さは16lb(4号)~くらいなのでリーダーをガイド内に入れてしまうとけっこうキツイ。
重いルアーを投げるのにはそれほど影響はありませんが、軽いルアーを投げるときはキツイ。
まとめ
◆太糸を使うと飛ばない
◆できればリーダーはガイド内に巻き込まない
ロッドの性格(アクション)はそれぞれのロッドで異なるので一概には言えませんが…
PE1号程度の細糸しか使わない場合にはKRコンセプトなどの小口径ガイドシステムでも飛距離に影響はありませんでした。
ただしナイロン10lb以上の太さのラインを使う場合にはガイドの抵抗を感じるようになってきます。
特に軽いルアーを投げる場合にはかなりストレスになります。
またショックリーダーもガイド内に巻き込むと飛距離が出にくく感じます。